「お邪魔しま〜す。」  
望美は知盛のマンションへ合鍵を使い入ってきた。  
真っ直ぐにキッチンへ向かうと、手馴れた様子で買い物袋から食材を  
出し冷蔵庫にしまう。元の世界に戻ってから嫌がる譲に頼み込んで  
料理を教えてもらったため、なんとか普通レベルまで腕は上がった。  
キッチンにある時計に目をやると、まだ夕方の4時半。夕食の支度を  
するにはまだ早い。望美はキッチンを出ると知盛の自室へと足を向けた。  
「知盛…。」  
ノックをして部屋に入ると知盛はパソコンに向かい、株価のチャートを  
みていた。元々器用でなんでもすぐこなす性質なのか、将臣が教えた  
現代の知識もすぐに習得してしまった。パソコンもその中のひとつに  
すぎない。  
「よう…。」  
「あ…いいよ。終わるの待ってるから。」  
望美に気づいて、パソコンの電源を切ろうとする知盛を望美は止めた。  
そうかと言って再びパソコンの画面に向かう知盛。望美は後ろにある  
ベットに腰掛け、知盛の背中をみつめていた。  
何度違う時空を彷徨っても、なぜか知盛と剣を交えるはめになり  
その結果…望美の手で知盛を死に至らしめた。  
今こうして穏やかな暮らしをしているとついあの世界のことを忘れそう  
になるが、時々知盛をみていると胸をしめつけられそうなくらい苦しくなる。  
熊野で一緒に舞った知盛とも、福原で初めて剣をあわせた知盛ともここに  
いる知盛は違う。望美はついあの時空の知盛も助けたかったと思ってしまう。  
そう考えると、知盛に切られた肩の傷跡が痛くなってくる…。  
「誰をみてる…?」  
「え…。」  
 
色んなことを考えていたせいで、知盛が近づいていることさえも気づかなかった。  
知盛は望美の手首をきつく握り締めながら、怒りを含んだ瞳で望美の顔をのぞき  
こんでいた。  
「俺を通して誰を想っていた…?」  
心を見透かされたようで、望美は言葉につまってしまった。相手の眼差しから  
目を逸らすことで返事をしてしまった望美を、知盛は見逃さなかった。いら立った  
ように望美の手首を捻りあげると、そのままベットに押し倒す。  
「やっ、やだ!」  
「クッ…つれないこと言うなよ…。」  
元の世界に戻ってから知盛には何度も抱かれてきたが、いつも邪魔くさいとか  
言いながらも望美のペースに合わせてくれていたのに…。まだ日も暮れていない  
なかで、体を求められるのは初めてだ。  
知盛は抵抗する望美を組み敷くと、タイをはずしてブラウスを一気に剥いだ。  
「やめてよっ。まだ…心の準備が!」  
「あいにくだが…今日は俺のやりたいようにさせてもらうぜ。」  
望美の顔をのぞきこみ唇の端をあげて笑う知盛に、足掻いても無駄なことを  
悟る望美。でも、こんなのは強引すぎる…。  
恥ずかしさから顔をそむけると、首筋に知盛の唇がおりてくる。柔らかな素肌  
を知盛が舌で舐めあげると、ピクリと望美は体を震わせる。肌を吸いあげ赤い花々  
を咲かせると、ますます望美は体を震わせる。  
知盛は望美の背に手を這わせると、簡単にブラのホックを探し当てて望美の胸を  
締付けから解放させた。小ぶりだが形の整った胸が冷たい空気に晒される。  
胸の柔らかさを楽しむように望美の胸を両手で包み込むと、知盛の冷たい手のひらが  
妙に心地いい。たったこれだけの刺激を受けただけで、望美の胸の頂にある突起は  
堅く存在を主張しはじめた。  
 
「どうした?いやだったんじゃないのか…神子殿…。」  
「あっ…んん…。」  
望美の胸の突起を口に含みねっとりと弄びながら、片方の手で突起をこねまわし  
はじめる知盛。知盛によって開発された体は素直に愛撫を受け入れてしまう。  
望美は下も触って欲しくて、つい足を擦り合わせはじめた。望美の反応に気づいた  
知盛は望美のスカートをめくりあげ、ショーツの上から泉を撫であげる。  
形をうつし出すほど濡れている望美の泉を確かめると、知盛はますます唇を歪めて  
笑いながら囁く。  
「すごく…濡らしてるな…。」  
「や…意地悪…。」  
知盛は望美のショーツを取り去ると、膝の裏に手を置いて足を広げさせた。  
もう充分蜜を潤ませて知盛を待ち望んでる泉に口をつける。舌で掠めるように  
蕾を刺激してやると、もどかしそうに腰を動かす望美。  
反応を楽しみながら知盛は、望美の泉に舌を差し入れ蕾を指でこねあげた。  
「あぁ!やぁ…。」  
顔を真っ赤にして左右に身を捩りながら、可愛らしい声をあげる望美。知盛は  
細く長い指をゆっくりと泉に入れ始める。途端に望美は体を固めたが、指が  
上壁をなぞる様に抽出を繰り返し始めると再び愛撫に没頭しはじめる。  
「はぁ…あ…あぁ…んん。」  
何度も上壁に指があたるたび、そこに疼きが灯っていく…。それはだんだん  
大きくなっていって…弾けた先の感覚がいつも望美は怖かった。出来るだけ  
散らさないようにと、ぎゅっとベットのシーツを掴む。  
望美の意図に気づき、知盛は望美のなかでクイッと指を折り曲げた。  
「ひゃっ!あっだめっ…あ…あ―っ。」  
 
望美はたったそれだけで足をしならせて達してしまった。気だるそうにベットに  
横たわっている望美を尻目に、知盛は衣服を脱ぎ捨てると逞しい体をさらけ出した。  
望美の身に着けていたものをすべて取り去ると、再び覆いかぶさった知盛。  
今度は自分が楽しむ番だと、望美の泉に熱いたかまりを押し付けると一気に貫いた。  
「あ―。あ…あ。」  
まだ達したばかりの体を貫かれて、望美は背中をしならせる。知盛が激しく望美を  
揺さぶるたび、溢れ出る蜜がいやらしい水音を室内に響かせる。  
再び望美のなかに甘い疼きが灯りだす。指の時とはまったく違うもっともっと大きな  
ものが…。生理的な涙を流して目を開けた望美の瞳に、眉根を歪ませ切なそうな顔を  
した知盛が映る。望美と瞳をあわせた知盛は、なぜか動きを止めてしまう。  
「あ…。」  
望美が残念そうな声をあげたのを聞いて、知盛はしぼり出すような声で囁いた。  
「今…ここにいる俺だけをみろ…望美。」  
無言で頷き、望美は知盛の背に腕をまわした。知盛は望美の唇を塞ぐと、腰を  
おし進めはじめた。もう何にも考えられなくなっていく。このままとろけてしまい  
そうな感覚に捕らわれる。知盛の鼓動を感じるとたまらなく幸せになる。  
―私が手に入れた大切な人―  
「あ…もう…一緒に…ああ。」  
「望…美!」  
ドクンっと望美のなかで知盛の熱い欲望が解き放たれる。この瞬間が一番好きだと  
望美は思った。知盛という男を一瞬だけ支配しているように感じられるから。  
混沌とした意識のなか望美はベットに倒れこみ、そのまま眠ってしまった。  
息を整えふと望美の肩に目をやると、違う時空の知盛がつけたという刀傷…。  
自分じゃない自分がつけた傷にも嫉妬してしまう知盛は自称気味に笑った。  
そして望美がどこかの時空にいってしまわぬようにしっかりと抱きしめると  
知盛は望美の鼓動を感じながら眠りに誘われた…。  
 

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