「く、…んっ……」
噛み締めた唇から、切ない喘ぎが零れる。
その立派な体格から予想はしていたんだけど……先生のは、大きい。
「く、…ぅ……っ」
「大丈夫か?少し、耐えてくれ…」
初めての時に比べれば、随分楽になったとは言え、やっぱり挿入時は辛い。痛いと言うよりも、重苦しい感じ。
大きなモノが狭い入口から押し入ってくる圧迫感に息を詰める私を気遣って、先生はゆっくりゆっくり腰を進めていく。
全てを収めきると、先生の唇から耐えるような溜め息が漏れた。
同時に、さっきまであんなに苦しかったのが嘘のように、繋がった部分から焦れるような快感が湧き上がってきて、私はいやいやをするようにゆるく首を振った。
「せん、せ……」
声が掠れる。
涙で歪む視界に映る先生の紺碧の瞳には紛れもない欲情の熱が揺らめいていて、額には汗で湿った黄金の髪が垂れかかっている。
――凄く、セクシーだ。
背筋を走った快楽への予感に体を震わせると、ナカにある先生が更に質量を増した。
「いいか…?」
そんな切なげな表情で求められて、嫌だなんて言えるはずがない。私だって、先生が欲しくて堪らないのだから。
小さく頷く私に甘く口付けて、先生はゆっくり動き始めた。
暗い寝室にぐちゅぐちゅと、粘着質な音が響く。
「あ、んっ…せんせ、先生っ……」
次第に激しく執拗になっていく責めに息が上がって呼吸もままならない私を見て、先生が笑う。
彼を受け入れている部分は熱を持ち、じんと痺れていた。
先生が腰を動かすたびに混じりあった二人の体液が腿を伝ってシーツに染み込んでいく。
「望美…名前を……」
「ん……リズ…あ、いやぁっ!」
奥を擦りあげられ、泣き声をあげて先生の大きな体を押し退けようとするが、逆に先程よりもきつく抱きしめられた。密着した体が擦れて汗でぬめる。
「っ…ぁ…あぁ、っ…も、イっちゃ…!」
「我慢しなくていい、望美。……私も一緒に…」
ギチ…ヌチュ、と接合部がたてる音に目眩がする。一際深く貫かれて、意識が白く弾けた。
掠れた甘い悲鳴をあげる私を先生がきつく抱き締める。それと同時に、痙攣するように跳ねる胎内に熱い奔流が迸るのを感じた。
「…愛している…望美……」
足腰立たなくなるほど抱かれるとはどういう状態なのか。
誰かにそう聞かれたら、私は即座に答えられるだろう。まさに、今がその状態だった。
ぐったりとうつ伏せにシーツに沈み込んでいる私に体重を掛けないように覆い被さっていた先生が、項に口付ける。
「大丈夫か?望美」
「ん……はい…」
背中にぴたりと寄り添う裸の胸の体温を感じるのは心地良いのだけど、散々彼を受け入れさせられた躯の奥がまだ痺れているようで、こうして密着しているのが何だか恥ずかしい。
もぞもぞ動いて先生の下から抜け出そうとすると、小さな笑い声とともにしっかり抱き締められた。
「このままゆっくりしていなさい。まだ辛いのだろう?」
密着していた体が離れ、布の擦れる音が響く。シーツにころりと転がって見上げる先で、先生がガウンを羽織っていた。
「食事の支度をして来よう。ここに運んで来るから、横になったまま待っていなさい」
まるで子供扱いだ。こんな風に甘やかされると、擽ったいような面白くないような複雑な気持ちになる。
でも、そんな私の気持ちなんて先生にはちゃんとお見通しのようで、
「私は十分お前に馳走になった。今度は私が美味い物を食べさせる番だ」
そう笑って、先生は寝室を出て行った。
……この人には、一生勝てそうにない……