ちりん---  
 
今日も、鈴の音が聞こえた  
花梨はその音にびくりと肩をすくめる  
どうしよう、もう少ししたら紫姫が来るし、八葉の皆も迎えに来るのに---  
 
そう思うが、もう手は小さな胸の膨らみに延びている  
神子装束の上からそっと手を動かす  
この時代に来てから替えのブラがないので、3日に一度くらいしかブラはつけていない  
初めは抵抗もあったが、洋服でないと胸元はそう頼りなくもないのでいつしか慣れてしまった  
今日もブラは昨夜洗って干したので、ノーブラだった  
その胸を自分で揉みしだく  
着物下の柔らかな生地が胸をこすり、ますます花梨を煽っていく  
淫らな行為だと思う  
だが、鈴の音が聞こえてくると止まらないのだ  
身体の奥からじん、と沸き上がる熱い感覚に耐えられず自慰に耽ってしまう  
「ん…は、あ…」  
着衣のまま胸を揉むだけでは足りなくなって、花梨は息を荒くしたまま肩から装束を滑り落とす  
腰に溜まった神子装束をそのままに、花梨は自分の胸の乳首をくりくりと親指で刺激する  
「あ、あん…っ、も、っと…もっとぉ…っ」  
切羽詰まった声が自分の唇から漏れるのを他人事のように聞く  
誰も答えてはくれない。当たり前だ、こんな声を聞かれたらもう顔も見れないだろう  
だが、回を重ねるごとに自分自身での愛撫ではなかなかイけなくなっているのもまた事実だった  
元の世界にいた頃の花梨はまだ恋に憧れている様な少女で、性知識などはそう深くなかった  
それでも沸き上がる欲望のまま、その乏しい性知識を総動員して己を慰める術を覚えた  
しかし若い花梨の身体は貪欲に知らない刺激を求め続けるのだ  
 
「は、あ…っ、ああん…っ」  
ぱたん、と座ったままだった花梨は後ろに身体を倒した  
背中に当たる硬い褥を感じながら、膝を立てて広げると膝丈のスカートがはらりと太股に落ちて淡いピンクのショーツが露になった  
「や、ん…」  
誰も見ていなくても、寝ころんで膝を広げた格好などたまらなく恥ずかしい  
しかしその恥ずかしさも快感を煽るものだと、この何週間かの自慰行為で覚えてしまった  
「あっ、あん…っ、もう、もう…っ」  
無意味に言葉を洩らしつつ、花梨は自分のショーツに指を這わせる  
そこは先程からの自慰でしっとりと濡れていてますます花梨を恥ずかしく思わせ、そしてまた煽っていく  
くちゃりと音を立てながら、花梨はショーツの上からそこを強く刺激する  
指で擦って花弁を広げていく  
「んっ、ん…っ、は、ああん…っ」  
 
もう鈴の音は聞こえてはいなかったが、花梨は浮かされた様に手を動かし続けていた  
「もう…っ、も、いくぅ…!」  
絶頂が見えはじめた花梨はぐいぐいとショーツの上からそこを刺激しながら、喘ぎを洩らした  
 
だが、その瞬間ほとほとと戸を叩く音がして花梨は我に返った  
「だ、誰…っ!」  
「私だよ、姫君。ずいぶん熱中しておられたようだね。何度か声をかけたのだが、気付かなかったようだね」  
「ひ、すいさ…」  
からりと戸を開け入ってきた海賊の姿に花梨は絶句する  
あられもない声を聞かれていた、いや、もしかしたら見られてさえいたのかもしれない  
慌てて起き上がり腰まで落ちていた装束を引き上げたが、花梨はもう顔を上げられなかった  
 
---いやらしい子だと思われちゃった! 今迄だって頼りない神子だって散々紫苑くんに言われてたのに!  
 どうしよう、もう翡翠さんは手を貸してくれないかも…  
 ああそれに軽蔑されちゃったよね…  
 
京に来て初めて出会い、助けてくれた人  
今の都の有り様に不満を抱いている事を隠しもせず、それでも花梨を守ってくれた人  
八葉は皆同様に扱わなくてはならない、そう紫や紫苑に言われても  
どうしても翡翠に入れ込んでしまっていただけに、花梨は目の前が真っ暗になるのを感じた  
 

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