胸に響く魂の声。  
「私の神子。私はおまえが欲しいのだ・・・」  
今日もあの方が私を招く。  
無意識が体を勝手に揺り起こす。  
何度あの方との逢瀬を重ねたことだろう。  
それはただ言葉を交わすためだけの逢瀬。  
この誰にも決して知られてはならない逢瀬だけが、あの方との絆。  
 
一筋の光さえ、虫の音さえ無い闇という庭へと歩みだす。  
刹那、後ろから2つの腕が私を抱きすくめる。  
「私の神子。おまえは私から離れることはできないのだ」  
囁きと共に、彼の柔らかい吐息が耳から首へと注がれる。  
「!」  
湿った唇は首筋を淫靡になぞりあげていく。  
「っや・・やめて・・・」  
言葉とは裏腹に体の端々が熱を帯び始める。  
快感を渇望しているかのように疼き始める。  
彼と言葉を交わすだけの逢瀬でさえ、それは背徳。  
このまま身を委ねれば、更に背徳への道を突き進むしかない。  
 
唾液を絡めた彼の舌が背中へと。  
熱を帯びた彼の指が胸へと・・・。  
私に触れる彼の全てが優しく私を求め愛撫する。  
「私の神子・・・・・」  
身体は反応を止めない。  
背徳への自制心を振り切って、吐息がとめどなくこぼれ出す。  
「・・・んっ・・ぁ・・」  
「・・・私にはおまえしかいないのだ。なぁ神子?  
私とどこまでも堕ちようではないか。  
たとえおまえが拒絶しようとも、私はおまえをひきずりこんでゆくぞ」  
彼は私を優しくまさぐり、ゆうるりと私の中へ入り込む。  
「・・・っ!!」  
身をよじり、何かを求めるかのように、彼の腕を強く掴んだ。  
「私を思う存分味わうがいい。感じるがいい。好きなだけ求めろ」  
 
彼の一部が静かに、そしてゆっくりと動き出す。  
首に絡みつく湿った唇。  
胸に絡みつく淫靡な指先。  
私の中の彼。  
「・・んっ・・っはぁ・・・ん・・・」  
彼の一部は激しさを増し、波のように私を突き上げ、執拗に絡みつく。  
彼に対する愛か、同情か。  
身体は彼とどこまでも堕ちていくことを望んでしまった。  
2人の息づかいが絡み合いながら、激しく駆け上がっていく。  
「や・・・んっ・・」  
「・・・神子・・・神子・・・おまえが欲しい・・・」  
「んっ・・はぁ・・あ・・あぁ!!」  
 
燃え尽きたエクスタシーは同時に私を背徳の底へと突き落とした。  
この道はもう戻ることができない。  
果てた彼の腕は私を強く抱きしめたまま。  
その腕の力は決して緩みをみせない。  
「最期まで・・・一緒にいるよ・・・アクラム・・・」  
私の唇は彼の唇、彼の舌を貪らずにはいられない。  
もっと強く、もっと激しく。もっと欲しい。  
 
私達はもう戻れないのだから。  
永遠に離れることはできないのだから。  
 
                       終  
 

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