新年から一ヶ月過ぎたある日,ホームルームが終わり,俺は団室に向かった。あぁ,何で俺は律儀にも毎日団活に行くんだ?ハルヒパワーが働いてるんじゃないだろうな。今度長門に聞いてみるか。  
 と,思案に耽っていると,いつの間にかドアの前にいた。やべぇ,教室から団室までの思考以外の記憶がねぇ,こいつは重傷だ。  
 いつものようにドアをノックしても,朝比奈さんの舌足らずの返事も誰の返事もねぇ。と言うことは,半ば置物化している長門が居るだけかと思い,ドアを開けた。  
 
 するとそこには,誰も居なかった。  
 おい,そこ,鍵当番である長門やハルヒが居ないなら,ドアは開けれないじゃないか? とか思った奴。俺にも分からん。まぁ,物語なんだから気にするな。  
 一人空しく,糞不味い緑色半透明の液体を飲んでいると,ドアを壊さんばかりの勢いで入ってきた奴がいた。  
「みんな居る? 」  
見ての通りだ。  
「あれ,キョンだけ?」  
はい,そうですよ。団員その1だけですよ。  
「なら好都合ね」  
そのとき,俺は得体もしれぬ,寒気がした。ちょっとまて,ハルヒ。好都合って何だ? 何で笑っているんだ?  
「キョン,今日は何日か知ってる? 」  
二月五日だ。  
「じゃあ,何の日か知ってる? 」  
知らん。  
「はぁ,キョン,もっと新聞とか読みなさいよ。きょうは初午よ」  
初午? それがどうした?  
「あんたホントなにも知らないわねぇ。初午に御稲荷さんに御参りすると,願いが叶うと言われてるの」  
それと此処にいるのが俺だけで好都合なこととの接点は何だ? ……はっ,まさか……  
「よく分かったね。さぁ,あんたの御稲荷さんを見せなさ〜い! 」  
 
数分後,必死の抵抗をするも,下半身が丸出しになった俺がいた。  
その時である。タイミングを見計らったように,朝比奈さん,長門,そして古泉が入ってきた。  
「キャッ」  
「…………」  
「立派ですねぇ……キョンたん」  
朝比奈さん,指の間からみてるでしょ  
長門よ,何だその恥じらいと嫉妬と嬉しさを足して一兆で割ったような表情は。  
古泉,キモイ  
 

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