稲川 キョン二  
 
――真冬の部室――  
 
 
この前も、変わった事があってねぇーー。  
 いやぁーー、冬の部室での事なんだけどね、今は部室にはストーブがあるんですよ。  
 
……この部室はね、元々ストーブが無かったんだ。  
ストーブといわず、本棚しか無かったんだからねぇ。  
いやぁーー、今思い出すと感慨深いねぇ。  
 始めはね、一体何処から物を持って来たんだ。ってなもんで揉めたもんだぁ。  
でもね、段々慣れてきてねぇ。いやぁーー懐かしい、うん。  
それでね、ストーブなんだけど。あれね、アタシが運んだんですよ。  
それをアタシに命令したのが、んーー、仮にHさんとしましょう。そして彼女がね。  
「キョン、あんた電器屋さんからストーブ取ってきて!!」  
なぁんて言うもんだからね。  
 まぁ、しょうがない。アタシね、電器屋に行ったんですよ。  
その日は寒くてねぇ。冬将軍ですよ、寒波でエルニーニョでアイスピックですからねぇ。  
……それでね。えっちらおっちら歩いて、やっと電器屋に着いたんだ。  
電器屋のおじさん良い人なんだぁ。型落ちした古いストーブをね、なんと……くれたんだ。  
 
 いやぁ――、なかなか出来る事じゃあ無いですよ。アタシ嬉しくってねぇ……。  
それでね、お礼を行ってから、またえっちらおっちら歩いて学校に向かったんだ。  
学校への道は坂だから大変なんだ、ストーブも重くってねぇ  
そんなこんなでね、部室に着いたんだ。  
でね、……アタシ気付いたんだ。  
……いやに部室が静だ。  
いつもだったら中はね、結構賑わってるんですよ。  
三人寄ればかしましい、てなもんでアタシはね、覚悟を決めて中に入ったんだ。  
「イィーーーー(ドアを開ける音)」  
部室の中にはね、んーー、仮にNさんとしましょう。  
 Nさんが一人で本を読んでたんだ。  
あぁーー。だからか、だから部屋が静かだったんだ。アタシそう思ったんだ。  
それでNさんに挨拶して、ストーブを設置したんだ。  
いやぁーー、暖かくてねぇ。  
そうこうしてる内に、うつらうつらーとしてね。  
 
 
 
「うぅぅあぁぁぁ!!」  
アタシ寝ちゃったんだ!!  
こんな寒い中で寝れるはずが無い!!  
はずが無いんですよ!!  
アタシびっくりして飛び起きましたよ!!  
するとね、隣りにHさんが居たんですよ。  
 
いやぁーー、びっくりしたなぁ、なぁんて思っているとね。  
カーディガンが二枚アタシの背中に掛かっていたんです。  
……そうか、だから寒くても起きなかったんだなぁ。  
後で解った事なんですけどね。  
……カーディガンはHさんとNさんの物だったんですよ。――――――――  
 
 
……でもね、今考えてみると、どーもおかしい?  
カーディガン二枚じゃ寒いはずなんですよ、えぇ。  
実は、ストーブがね、  
 明らかに!!  
明らかに近付いてたんですよ!!  
 ……不思議ですよねぇ?  
 いやぁーー、こんな事って、あるんですね。  
 
 
 
「それでね、長門さん。アタシこんな喋り方になってしまったんだ。  
多分ね、多分Hさんのせいだと思うんだなぁ……」  
「ユニーク」  
「なるべく早く対処して欲しいなぁ、なんてアタシ思ってるんだ」  
「……ストーブ」  
「うん?何か言った?」  
「すぐに対処する」  
「よろしくお願いします、うん。電話で悪いねぇ。じゃあ」  
 
 
 
「……ストーブ」  
 

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