キョンが起きるまで本を閉じる気が無いかの様に本を読み続ける長門有希。
キョンが起きるまで付き添っていそうな朝比奈みくる。
正直、今の涼宮ハルヒにとって、二人は少し邪魔だった。
「二人共、もう帰っていいわよ。このいつまでたっても起きないバカは私がどうにかするから」
「で、でも涼宮さん一人で大丈夫ですか?今日は用事も無いしだいじょ……」
「そう」
朝比奈みくるの声を遮った長門有希は本を閉じ鞄にしまいさっさと帰っていった。
「あっ、じゃあ私も帰ります。ごめんなさい」
一々謝りながら朝比奈みくるも帰っていった。
二人が帰った事を確認した後に、音をたてない様に静かに古泉一樹の椅子を出して座る。
「キョン、起きなさい」
まるで起こす気が無い様な小さな声を寝ているキョンに掛ける。当然反応は無い。
キョンの寝顔を見つめて、考える。
……映画やドラマだとここはほっぺたをつんつんしたり、……キスをしたりする場面なんだろうか。
そんなくだらない事を色々と考える内にいろんな事が頭を巡って顔が真っ赤になっていくのを感じ、自分の冷えた手で頬を冷やす。
「……はぁ」
キョンの寝息しか聞こえない部屋に涼宮ハルヒの溜め息が漏れた。
所詮映画は映画、私にそんなことができるはずがない。
机に上体を投げ出し、キョンと顔を並べる。
一度冷やしたはずの頬が、また熱くなってくる。
「・・・・・・はぁ」
ため息を吐き、顔を上げた、その時・・・・・・
目の前にはキョンの顔。鼻。
唇に生暖かい感触がする。頬だけじゃなくて唇まで火照ったのだろうか?
あーもう、やだやだ!何がなんだかわかんない!
キョンが目を開ける。
ハルヒとキョンは、同時に飛び起きた。