「あなたは」
沈黙を破ったのは意外にも長門の方だった。俺の上に乗ったまま、顔だけをこちらに向けてきている。
「あなたはインターフェースに魂があると思う?」
何だか逃亡した目標を狩る悩み多き賞金稼ぎのような瞳を浮かべつつ、えらく重い命題を出してくる。
お前の期待に沿えなくて悪いが、俺はまだインターフェースというものをちゃんと理解していないと思う。
だから、俺にその答えを出す事はできない。
「……そう」
長門は一転して市場に売られていく子牛のような瞳をしていた。
でもな、長門。そんな俺でもこれだけは言える。これだけは間違ってないと言い切れる。
なにせ俺自身が一生忘れる事がないだろう、あの冬の三日間に体験した事だからな。
俺は長門をそっと、でもしっかりと抱きしめながら言ってやった。
「長門有希はヒトと同じ夢を見る」
それはユキのように儚く解けつつも、すっと心に染みこんでいく淡い夢。
それはユキが望んだ、人並みの幸せを求める心のこもった暖かい夢だ。