俺達は今、真夜中に冷たい僅かに濡れている草原を背にして仰向けに寝転がっている。こんな夜中、まして冬の寒い寒い夜に、何故こんな事をしているかというと、これはこういうものだからである。
そう、俺達は今、天体観測をしている……と言ってもただ見てるだけだがな。
空を眺め続け、もう見飽きてき、早く終わらないのかと考えていた時、ふと俺の方に近づいてくる、人の気配に気がついた。
その人は、今まで遠くの方を見ていた為か誰なのか見分けることが出来ないが、俺には分かる、こいつは長門だ。
その人ー長門はどんどん俺に近づき、俺の隣で寝転がった。そこで俺は兼ねてから疑問に思っていたことを口にした。
「そういえば、長門、一体全体、暗黒物質ってのはほんとは何なんだ?」
「……人類はまだ正体を知らない、だから言えない……」
はは、やっぱりね
「……でも、あなたには言っておく……」
ってことは教えてくれるんだな。暗黒物質の正体が初めに分かった人に、俺はなるのか。あぁ、理科の教科書に名を残したいねぇ。
「……暗黒物質は私のお父さん」
えっ、何だって
「私のお父さん。正確に言うと私の産みの親、情報統合思念体」
こんな事を言うなんて、やっぱり長門は変わってきているんだな……って、暗黒物質は情報何とか思念体!?
「……そう」
なるほど……っておい、長門、情報何たら体ってのは実体が無いんだよな?
「……そう。だから見えない、発見されていない。そして、発見されることもない」
しかし長門よ、どうして実体が無いのに、力だけはあるんだ?
「……うかつ」
て言うことは、やっぱり……
「そう、私の冗談」
最近はよく長門の冗談をよく聞くようになった。喜ばしい事ではあるのだが、長門よもう少し分かりやすい冗談を言ってくれ。
「……検討する」