今日も今日とて、いつもの放課後、俺は部室へとやってきた。  
長門と朝比奈さんは、すでに部室に来ていたようだ。  
朝日奈さんが鏡に向かって何かしているようだ。  
「ああ、クリームですか」  
「ええ、最近乾燥してきましたから」  
なるほど、朝比奈さんのつるつる卵肌は、日々のこうした努力の賜物だったのか。  
機会があれば、ぜひその触り心地を、体感してみたいものだ。  
 
・・・ふと見ると、長門が本から顔を上げて  
朝比奈さんがクリームを塗っているのを、物珍しそうに眺めている。  
「どうした長門、興味津々だな」  
「長門さんも使います?」  
こくりとうなずく長門。  
長門もお肌が気になるお年頃なのだろうか・・・っておい!  
長門、顔がクリームでベトベトになっているじゃないか!  
「おい長門、それはさすがにつけ過ぎだろ」  
 
いきなりガタッと椅子から立ち上がり、ものすごい速度で、俺に近寄ってくる長門。  
いかん、もしかして怒らせたか!?  
なすがままに、顔を両手で鷲づかみにされ、俺の顔に−−−−−  
 
 
すりすりすりすり・・・・・・  
思考が止まる。  
クリーム過剰の頬を、俺の頬と摺り寄せる長門。  
右頬、左頬。  
俺の顔と長門の顔に、適量のクリームが満遍なく塗りたくられる。  
 
「乾燥は、お肌の大敵」  
 

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