冬のある日。放課後。
古泉と俺とハルヒは、三人で下校した。あたりはもうすっかり暗い。
「どうも、この場に僕が居るのはよろしくないようですね……お先に失礼
しましょうか?」
「お前、失礼しましょうか? って聴かれたらハイそうしてくださいなんて
答えにくいだろうがアホ。それに別にお前が居ても別にかまわん。ハル
ヒと二人になると何かあるとかそういう話ではないしな」
ハルヒはなぜか、ピクリと反応した。が、何も云わない。
「……この際ですから、単刀直入に聞いてしまいますが、あなたは、涼
宮さんのこと、どう思っていますか? いえ、あなたがいつもぼやいてい
るような意味ではなく、一人の女性として、という意味ですが」
「どうもこうもねえよ。どうもこうもあったとしても、横に本人が居る状態で
言えるわけないだろうが」
「……あなたは、本当に不器用ですね……」
ふと横を見ると、ハルヒは、どこかさびしげな様子だった。うつむいたま
ま、ゆっくりと歩いている。
「涼宮さんは、あなたを──」
「うわぁ、流れ星だ!」 ハルヒは高い声で叫び、片手を挙げる。
「見た見た? 二人とも、今の見た?」
俺は、ハルヒの指差した空を見る。
星などひとつも見えなかった。