『孤島症候群・番外編』
俺たちはどんなバカ騒ぎをするときでも酒にだけは手を付けない。
これはあの孤島での合宿でできたSOS団の鉄の掟だ。
ハルヒは「飲んだ後に記憶が消えてしまうのは勿体ない」
みたいなことを言っていたが、
理由はもっと他にある。それは、「酒の勢いは恐い」ということだ。
あれはまだあの大事件の起こる前。
俺たちは豪邸で酒精による乱恥気騒ぎを起こし、
いつのまにか一日目が終了した二日目の朝だった。
「う〜ん……」
肌寒さで目を覚ます。寝呆け眼で隣にあるものに抱きついた。
「あったけー」
豪邸にある高価な抱き枕かなんかだろうと思って、遠慮なく抱かせてもらう。
柔らかくてすべすべした感触が、肌に直接に伝わってきた。
「俺、裸なのか」
道理で寒いはずだ。俺は抱き締める力を強めた。
この抱き枕、なんだかいい匂いもする。その、何て言うか……
「ムラムラしてきた」
謎の抱き枕の匂いを嗅ながら、それに手を這わせた。
何とも言えない良い感触が、手に返ってくる。
「くそ、もう我慢できん」
初めて薄目をあけて隣を見る。古泉はまだ寝ていた。
それを見た俺は再び目を閉じて、俺の朝立ちを抱き枕に擦り付けてしまった。
「うわ……すっげぇ気持ちいい」
その感触に夢中になる。
このままではばれるんじゃないかって程ハァハァしていたら、
「ひっ」
という可愛らしいお声が。
声のする方向に目をやると、なんと俺のベッドで裸の朝比奈さんが
涙目でこっちを見ていらっしゃった。
「あ……邪魔しちゃってごめんなさい!」
と言って裸のままそそくさとベッドから降りてしまった。わけがわからない。
朝っぱらから朝比奈さんのセクシーショットを見ることができた
幸せを噛み締めつつ、俺もそろそろ起きるかなと思い立って
ふと抱き枕だと思っていたものに目をやると、
……あれ?
ハルヒ?
「むぅぅぅ〜……」
俺の腕の中には、顔を真っ赤にして怒るに怒れないみたいな表情をしたハルヒが、
少女漫画みたいなうるうる目をして俺を見つめていた。
「うわぁっ!すまんハルヒ!」
慌てて飛び退く。そのまま下を隠すのも忘れてハルヒの体を眺めてしまった。
しなやかな体のライン、引き締まったウエスト、
意外に豊かな胸のてっぺんにある薄ピンクの……
あっ、隠された。
ハルヒは俺の顔と朝立ちと交互に見ている。やべ、隠すの忘れた。
「こ、こんなに大きくして……このっ、エロキョーーン!!」
その後、朝食の時間まで裸で正座したままハルヒに説教された。
ハルヒも昨日の記憶がないらしい。古泉と長門は何も話してくれないし、
朝比奈さんにはお得意の「禁則事項」で逃げられた。どーなってんのかね。これは。