俺が長門のことを有希と呼ぶようになってから半月ほど過ぎた。  
あの後の怒髪天ハルヒをなだめた時の記憶は俺の人生において汚点といって問題ないだろう。  
やっと落ち着いてきたと思ったらまた長門、いや有希がやってくれたんだ。  
 
別にやることもなくぼけーっと過ごしていたその日。  
ハルヒが例のごとくこんなことを言い出した。  
 
「暇。あんたたち今すぐやれそうなことがあったら言いなさい。」  
 
誰が好き好んで面倒を増やさなければならないんだ。  
俺は不平を言いながらも窓の外を見ながら考えているフリをしつつ、  
有希の横顔をチラチラ見ていた。  
相変わらず我関せずと言わんばかりの読書っぷりに尊敬の念すら抱いていると  
パタンという本を閉じる音と共に有希がこう言った。  
 
「席替え」  
 
--------------有キハ --------------  
 
普段は対した活動をしているわけでもないが、  
席順なんてものはなんとなく決まるもので、  
俺の左横は朝比奈さん。対面は古泉だ。  
ハルヒは団長席として別机だし、有希は言わずもがな窓際だ。  
俺としてはまぁ別に適材適所というかあまり考えてもいなかったが、  
有希は何やら思うところがあるらしい。  
 
「席替え?あーやってもいいんじゃない?別に。風景が変わると多少は新鮮でしょ」  
団長の意見が全ての我がSOS団。有無を言わさず席替えを行う運びとなりました。  
 
「俺も別にかまわんが、どうやって決める?」  
本音ではやらなくてもいいかなと思うが、まぁやらなくてもいいかななんて意見は  
やってもいいかなと対して変わらん。  
どうせ暇だしな。  
 
「そうねぇ・・」  
「くじ引き」  
待ってましたと言わんばかりのタイミングで有希が発言した。  
「くじ?まぁいいかしらねそれで。」  
「用意してある。」  
 
・・・ちょっと待て、何だか嫌な予感がしてきた。  
なんでくじなんかを有希が前もって用意しているんだ。  
さらに言えばくじの引きなんて操作できるだろう。  
どう思う?古泉  
「なんでしょうね。長門さんがやけに積極的な点が非常に気になりますね。」  
珍しくテキパキと動いている二人に面倒だしやめようぜーなどと抜かすと  
今更何言ってんだ空気読め 的な目で見られてしまいそうで怖い。  
つうかハルヒよ、お前が空気読め。  
・・・違うな、空気を読んでいて尚、アレなんだ。  
ほとほとすごい奴だ。伊達に神様といわれてねえ  
 
「席はどういう配置なんだ?」  
「今のあなたたちの机にわたしも移動する」  
と有希。  
 
「あーそういうことか。」  
なんとなく先が見えてきた。  
というかハルヒ以外見えてる気がするね。  
 
「まず、わたしが引く。」  
とそそくさとくじ箱に手を入れる有希。  
「α」  
アルファって言われてもわかんねーよ。  
どうやら現在の朝比奈さんの席がαのようで、有希はそそくさと腰を下ろす。  
「引いて」  
と俺に箱を渡す。  
なんとなく結果は見えているが引いてみることにする。  
「β」  
「ベータはわたしの右隣」  
そうなんですか。  
とりあえず、朝比奈さんに箱を渡し、腰掛ける。  
「θです。」  
「・・・」  
何も答えない有希。  
何やらやり遂げたような雰囲気を出しておられる。  
「朝比奈さんはシータだそうだ。」  
堪らず声をかける俺。  
「どこでも。」  
おい。  
後はどうでもいいと思ってるのが丸解りだ。  
朝比奈さんはなんとなく有希の対面、俺の斜向かいに腰を下ろす。  
古泉も箱に手を入れはしたが、くじが1枚しかなかったのだろう。  
有希の斜向かい、俺の対面に腰掛ける。  
元からここにいた3人は対して変わっていない。  
もっと言えば俺と古泉は移動すらしていない。  
これは席替えと称していいのだろうか。  
一人、窓際から移動してこられたお嬢さんは椅子の位置の調整にご熱心だ。  
一歩後ろに下がってまでして、俺の椅子との間隔を微調整しておられる。  
満足がいったようで腰を下ろしたが、以前、お隣だった朝比奈さんよりも明らかに近いように思える。  
その事を小声で聞いてみると  
「気のせい」  
とご返答をいただいた。便利な言葉だなぁとズレた事を考えていると  
斜向かいの朝比奈さんがカタカタと小動物のように震えているのに気がついた。  
 
理由は聞かずともわかる。  
くじを引き出したあたりから全員が窓の方向に目を向けていない。  
まぁ俺もだが。  
気のせいだと良いんだが俺からみて9時方向からナパーム弾でも落とされた  
かのような熱が伝わってくる気がする。  
例のごとくスゴゴゴゴゴゴと言わんばかりの暗黒オーラと共に。  
 
「さて、キョン」  
なんだ  
「なんだか面白くないわ」  
わかる気もするよ。  
「私、団長よね?」  
仰るとおり。  
「くじ引いてないわよね?」  
そのようで。  
「ふざけんなーーーー!!!」  
 
そういうのもごもっともだ。  
空いてるとこでよければ、自由に座れ。  
ダメ元で言ってみたが、効果はあったようだ。  
ずりずりと机やらPCを移動しつつ、  
古泉の斜向かいに移動してきた。  
古泉の斜向かいは有希だろうって?  
そっちじゃなく逆の斜向かいだ。  
 
 
--------------有キハ --------------  
おしまい  
 

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