俺の味覚はウマいと絶叫していたが、心の奥底では何喰ってんだか解ってないような気分でひたすらおでんの具を口に詰め込んでいた。
長門はちまちました食べ方で昆布を齧り終えるのに三分くらいかけていて、その場で明るく話しているのは何も食べていない朝倉だけで、俺は生返事に終始している。
そんな地獄の門番でビバークしているような食事風景が十分ほど続いた。肩が凝りそうだ。
朝倉は時計を見て、
「んー、そろそろなんだけどなぁ」
何がだ?、と聞いた途端、眠気が襲って来た。そろそろ帰らないと寝てしまいそうだ。
「睡眠薬」
朝倉がニッコリとした顔で、
「効いてくるのが」
答えた。