おかしい。
髪をばっさり切って以来ハルヒが髪型を変えたところを見た事がない。
あれだ、今のハルヒはいつものカチューシャの代わりに、
いつぞや見せたちょんまげポニーをしていた。腕章には―――
ドゴーン!と地鳴りを上げる校庭側を見ると
なにやらデッカいロボットが暴れてるではないか。いかにも悪役っぽい。
「さあ、いよいよお出ましって訳ね!」
俺たちが校庭で起こった現実に驚いている横で何を言っているんだハルヒ。
「みんな!1年5組、地球防衛組発進よ!」
なんだってー!。AAは省略させてもらうことにする。
ダブルショックを受けている俺たちを尻目にハルヒは星型のバッチを取り出して、机に埋め込む。
「おいハルヒ!おまっ」と言いかけた瞬間、
俺の体がイスとともにすとーんと落ちていくではないか!
おいおい、なんだなんだこの戦隊物の服装は!こら、せりあがってくんな!
そして俺は訳の分からんモーショントレース型のコクピットにいる。
「おいハルヒ、これは何だ、俺にわかるように説明しろ」
『なにってそれは剣王ってロボットよ。ちなみに谷口が乗っているのが鳳凰で国木田君が獣王』
「そうじゃない!この状況を説明しろといってるのだ!」
『えーっとねえ。昨日の帰りに光の戦士って奴が私の前に来て、
なんでも5次元人との戦いで傷ついたから代わりに戦って欲しいんだって。
もう異世界人に加えて戦隊ロボットよ!こんな超ォォーおいしい展開、逃す手は無いわ!!』
「やれやれ」といつものように嘆くが、今回はヘビー無差別級だ。
「さあ3人とも、無敵合体よ!」
この時俺は、ハルヒの腕章に書かれていた『絶対無敵』の文字を思い出した。
光の戦士、俺はあんたを許さない。
―涼宮ハルヒの絶対無敵― 続くわけが無い。