熱いハルヒの舌が俺の口内を、歯茎を、舌の裏を、奥歯を這いずる。  
唾液を流し込んだ後ようやく離れた。ついでに上の服もはぎとられた。  
「ちょっとキョン何ぼーっとしてんの?せっかくあたしがキスしてあげてるのに」  
 目の前には、ハルヒだけではなく、長門や朝比奈さんまで裸でいる。  
「キョンくん、次はわたしにもキスしてください」  
 陶然としている俺に朝比奈さんがキスをしてきた。舌を出してきたが、ハルヒ  
の様に大胆ではない。俺の前歯に触れるとすぐに離れてしまった。  
顔は真っ赤だ。ハルヒより体温が高いかも。天使だからかな。  
「……わたしにも……」  
 長門のキスは単に唇に触れただけだった。  
 離れてみると、いつものポーカ−フェイスのままだ。  
 唇の感触って個人差があるんだな。いや待てこれは一体。  
「だって仕方ないじゃない。あんたはすぐふらふらどっかいくんだもん。  
みくるちゃんと有希もいればあんな訳の分からない女にも目がいかないでしょ」  
 別にふらふらした覚えはないが。  
「ふらふらしてます」  
「……してる……」  
 俺に味方はいないらしい。これが四面楚歌か。  
「キョンがあたしのこと大切にしてくれるのわかるけど、あんた  
みくるちゃんと有希の事も好きなんでしょ。みてればわかるわよ」  
 いや、それは男の本能というかなんというか。  
「嬉しいです」  
「……そうなの?」  
「まあさ、抜け駆けしたあたしも悪いし……。とにかく今夜はみくるちゃんと有希とも  
えっちすること。もちろんあたしとも!」  
 お前が何を考えてるのかよくわからん。しかしこの状況で良く俺は冷静だな。  
「うだうだ言わない。団長命令は絶対!大体あんたの下半身は嫌とは言ってないわよ」  
「わ、凄いです。こんなにおっきくなるんですか。それに何だか濡れてます」  
「通常時より423.5%増大している」  
「流石うなぎとスッポンは効くわね。この前より大きいかも。  
有希が見つけてきた薬のせいかな」  
 そんなものまで。旨すぎて材料までは気にならなかった。  
しかし、長門謹製の薬とは一体なんだ。  
 
 都合の悪いことは忘れよう。  
 どちらにせよこの状況で勃たない奴は子孫を残す資格がないね。  
カウパーもでまくりだ。  
 しかしまじまじと見ないで欲しい。恥ずかしいのなんのって、  
これが羞恥プレイってやつか。  
朝比奈さんやハルヒの様に顔が真っ赤だとまだましなんだが、  
長門のようにクールな顔で見つめられると余計効く。  
 長門よ男ってのは繊細なんだ。あさがおを観察するような目で見ないでくれ。  
「じゃあ事前の打ち合わせどおり、まずはみくるちゃんからね。  
有希はしっかり見ときなさい」  
 裸の朝比奈さんが抱きついてきた。なんて柔らかい。この人には骨がないのか。  
「キョン君、オッパイさわってください。いつも見てるでしょ」  
 朝比奈さんの手に導かれおずおずと触る。やわらかすぎる。  
こういうのをマシュマロのようだっていうのか。  
「エロキョン!」  
 いつのまにやらハルヒは俺のものいじっている。  
 痛い。ハルヒよ男ってのはデリケートな生き物なんだぞ。  
 痛みで少し冷静になる。  
「朝比奈さんいいんですか。この時代「涼宮さんが許してくれるんならいいんです。  
それともわたしじゃ不満ですか?」  
 そんなことないです。まるで夢のようで嬉しすぎです。  
「本当ですか。キョン君はいつも涼宮さんと長門さんのことばかり。  
わたしのことはいつも後回し」  
「そんなことはない。あなたは涼宮ハルヒと朝比奈みくるの事ばかり優先させる」  
「キョンはいっつもみくるちゃんと有希のこと……。やめやめ。  
今日からはそういうの無し!」  
「そうですね。キョン君がいけないんだから、ちゃんと責任取ってくれたら  
許してあげます」  
 朝比奈さんはそう言うと抱きついてきてキスをしてくれた。  
俺の胸であのすばらしい胸が潰れる。  
 いいんですね?朝比奈さん。いいんだな?ハルヒ。いいんだな?長門。  
 
 もう止まらなかった。  
 朝比奈さんを押し倒す。きゃ!っとかわいらしい悲鳴が聞こえたが無視して  
固くしこった乳首にむしゃぶりつく。  
右手でもう一方の胸を揉みしだき、左手で朝比奈さんの足の付け根に手を差し入れる。  
すでにものすごく濡れている。  
 いや俺はハルヒしか女を知らないのであのときのハルヒと比べてだが。  
「朝比奈さん……」  
「みくるって呼んでください。」  
 みくるの胸は最高だった。乳房に取り付いて、胸を揉みながら、  
乳首を舌で転がしたりした。よくわからんが甘い気がする。  
 みくるはおれの頭に腕を回して軽く抱き寄せ、  
「キョン君」と切なげにささやいてくれた。  
 気のせいかやたらと反応が良いな。  
「わたしたちが飲んだ薬は、いわゆる媚薬、避妊薬、痛み止めを兼ねた物」  
 なんだその都合の良すぎる薬は。またナノマシンでも注入したのか。  
「あなたの食事に混ぜたのは一般的に精力剤と言われる物」  
 やっぱり盛っていやがったか。  
「さすが有希よね。薬にも詳しいなんて」  
 真っ赤な顔でハルヒは俺達を凝視している。  
「超強力だが副作用はない」  
 相変わらず長門の顔は変わらない。実験動物を観察するかのようにも思える。  
「キョン君もうお願いします」  
 我慢できない。何だかはやすぎる気もするが、どうしようもない。、  
いきり立ったモノをみくるの入り口へと押し当てる。  
「みくる、いくよ」  
 とにかくゆっくりと腰を下ろして、しずしずとみくるの中に埋める。  
 みくるの中は狭くてきつかった。先端を入れただけでも、押し戻してくるようだ。  
濡れているのに何だかかたい。外側はあんなに柔らかいのに。  
 天使は目尻に涙を浮かべている。思わず舐め取ってしまった。  
「もしかして、痛い?」  
「……続けてください……」  
「痛み止めはあまり強くはない」  
 メキメキと音をたてているような異物感を股間に感じる。みくるは俺の体に  
腕を巻き付け、力を込めてきた。  
 
 俺はそれに答えて長々と口をつける。舌でみくるの口唇をこじ開け、掻き回す。  
みくるは先ほどより大胆に舌を絡めてくれる。  
 みくるのなかはやたら強い力で俺のモノを締めつけてくれるので今にも出そうだ。  
この人にこんな力強い部分があるなんて信じられないね。  
 とにかく、暴発するわけにはいかない。ただでさえかっこわるいのに、  
この場にはハルヒと長門もいるのだ。  
 脳裏に谷口のアホ面を浮かべ、なんとか我慢する。  
「……はぁ……あっ……」  
 どうやら全部はいったようだ。  
「あの……キスしても……いいですか?」  
 どうやらこの天使はキスがお気に入りらしい。  
 キスを終えると  
「……動いても良いです……」  
 イヤ動かなくてもイッパイイッパイです。やばいです。  
 とにかくなんとか我慢して動くと、ちょっと揺するだけで  
 「……駄目!」 とか「……あっぁっ!」 とかやたら色っぽい声を上げてくれる。  
 自慢じゃないがテクニックなんぞ無い。  
 ホント大丈夫なんだろうな、ナガえもん?  
 試しにもうちょっと強く揺さぶると  
「……駄目……やぁっ! やぁっ! んっ! んっ!」  
といいながら背中に容赦なく爪を立ててきた。  
「出して!」  
 背中をのけぞらせながらみくるがそう言うと膣内が萎縮し、やせ我慢も終わった。  
 
 俺のモノを引き抜くと、精液、愛液に結構な量の血が混じっている。  
 朝比奈さん、冷静になるとみくるとは言いにくい、は気を失っているようだ。  
「このままでは風邪を引く」  
 長門が濡れタオルとバスタオルを持ってきたくれた。  
「そうね、みくるちゃんの体拭いてあげましょう」  
 俺が濡れタオルで股間を拭いている間に2人で朝比奈さんの体から汗その他諸々を  
拭き取っていた。  
 朝比奈さんを用意済みの布団に運ぶ。この人はホントに軽い。付いてるところには  
ちゃんと付いてるのに凄いね。  
 ハルヒ達の所に戻ると、家へ連絡してない事を思い出した。  
「大丈夫よ、今日は古泉君の家に泊まることになっているから」  
「情報操作は完璧」  
 ああ、そうですか。しかし古泉にはどこまで知られてるんだ?  
「古泉君には大体の事報告済みよ。混ぜてあげられなくてごめんね。って言ったら  
僕にはちゃんと相手がいますからだって。  
 そうよね。古泉君なら誰かさんと違ってもてるからね」  
 ああそうだな。確かにあいつは色男だよ。  
「拗ねないの。あんたにはあたし達がいるじゃない」  
「わたしにとっては古泉一樹よりあなたの方が異性として魅力的」  
 そういって二人が抱きついてきた。  
 ふたたび俺のモノが復活する。  
「今度は有希の番だけど、あたしも我慢できないから混ざる」  
「わたしが優先。それならかまわない」  
 どうやらインターバルは終了らしい。  
 
長門が俺の胸に飛び込んできた。全く衝撃がない。軽すぎる。  
あのちっこい妹より軽いんじゃないか?  
 今まで忘れてたが、宇宙人とナニはできるんだろうか?  
 長門は俺の耳に口を寄せると  
「わたしの体はこの星の住民とほぼ同じ構成をしている。生殖行為はもちろん、  
あなたとの子供も受胎可能」  
 情報統合思念体万歳。いい仕事してます。  
 とりあえず、手順通りにキスをしてみると、積極的に舌を絡めてきた。  
「朝比奈みくるとの行為を観察し学習した。遠慮はいらない」  
 次に、胸を触ってみると感触は良いが他の二人に比べるとかなり小さい。  
「乳房の体積は大きい方がいいの?」  
「いやお前の胸は素晴らしいよ」  
 下手なことを言うとこの場で胸のサイズを変更しそうだ。  
「ちょっとキョンあたしも!」  
 名犬ハルヒが横から抱きついてくる。  
 キスをしてやるとやたら嬉しそうだ。  
 阪中に見えたしっぽがおれにもどうやら見える。  
 今度は長門が拗ねたのだろうか。無理矢理自分の方に俺の顔を引き戻す。  
 長門の体をじっくりみるとあることに気付いた。  
 パイパンである。無駄な毛が一本も生えていない。というより体に無駄が全くない。  
素晴らしい体型の持ち主である朝比奈さんやハルヒにもほくろやほんのちょっとした  
弛みなどわずかではあるが無駄がある。  
 しかし長門にはまるでない。胸の大きさなど個人的趣味を除けば完璧といえるだろう。  
これは人間には不可能なんだろうな。情報統合思念体に感謝である。  
 全く良い趣味をしている。お義父さんありがとう。  
「ホント、有希の肌ってきれいよね。うらやましい」  
 ハルヒも寄ってきて長門の体を撫で回す。お前も綺麗だよ。  
 
「しっかしチンコって変な形してるわね」  
チンコって言うな。下品だ。  
 ハルヒの興味は今度は俺のモノに移った。  
「あなたはこっち」  
 長門が俺の頭を抱きかかえ自分の胸に埋める。右の乳首に吸い付き、  
左胸を揉みしだくと抱える力が強くなったようだ。朝比奈さんより張りがあって  
押し戻す感触が強い  
 性器に指を触れるとやはり濡れている。しかも何だかかなり柔らかい。  
 試しに指を入れてみるとすんなり入る。  
 そんなことをしてると  
「よし、予習の成果を今みせるわ!」  
 俺のモノをいじくっていたハルヒがとうとうくわえ始めた。  
 なま暖かく、柔らかい未知の刺激が与えられる。  
 う!。これはまた膣中とは違った気持ちよさだ。  
 しかし頼むなよ名犬ハルヒ。それは骨ではない。くれぐれもデリケートに。  
けっして噛んだりしてくれるな。  
 注意がそれたのを察した長門が今度はキスをしてくる。  
 舌の動きが気持ちよすぎる。学習能力も完璧だ。  
 ハルヒのけして上手いとは言えない、比較対象がないのでホントの所はわからないが、  
フェラチオとの上下W攻撃で俺は撃沈してしまった。  
「ばかキョン!出すときにはちゃんと言いなさい」  
 顔射してしまった。スマン。  
「しっかしまずいわねこれ」  
「そうなの?」  
 宇宙人が興味を持ったようだ。これも観察対象なのか?  
「そうだ!有希キスしよう。」  
 いきなり長門の唇を奪った。  
「一般的には美味とは言い難い」  
 どうやら俺の精液を口移ししたらしい。  
 しかし美少女同士の口づけがこんなに官能的だとは。  
 あっという間に下半身が復活する。  
   
「もう準備は整った」  
 かすかに顔を上気させて美少女アンドロイドが誘ってくれた。  
 所詮猿にも等しい高校生の俺は長門を抱きしめるとゆっくりと進入した。  
 朝比奈さんやハルヒとちがってあまり抵抗がない。それに何だかやんわりとしている。  
「あなたの性器に合わせてわたしの性器を再構成した」  
 ビバ科学!  
 調子に乗ってすすめていくとわずかに抵抗があって、長門が一瞬顔をしかめた。  
「もしかして」  
「一般的に処女は価値があると認識している。だからわたしの処女膜はそのまま」  
 すまん長門。俺の気配りが足りなかった。いくら万能宇宙人でも長門は女の子だ。  
「こらー!キョン。有希にやさしくしてあげなさい」  
 顔を洗ってきたらしい団長からも当然のおしかりを受ける。  
「もう動いていい」  
 こんどはやさしく動くとあの長門からかすかであるがあえぎ声が漏れてきた。  
 なんだか今日一番の感動だ。  
「有希、可愛い!」  
 ハルヒもお気に入りのようだ。長門の体をあちこちいじくっている。  
 ゆるゆると腰を動かしながら、ハルヒの魔の手から逃れている左胸をいじり回す。  
 乳首を強く噛むと「……んっ。んっ……」と俺のモノを捕らえている膣が、きゅっと収縮した。  
 長門の体が一瞬硬直した後、びくびくと震えた。それにつられて俺も精を放った。  
 しばらく惚けていたようだが、  
「入浴してくる」  
と言って、すたすたと浴室へと向かう。  
 足の付け根からピンク色の液体が垂れているものだから、やたらとエロイ。  
 今度から猿と呼んでください。俺のモノを見てハルヒはくすくす笑った。   
 
 
「さあキョン!ようやく本番よ」  
 俺のモノを丁寧に、優しく拭いてくれているハルヒが宣言した。  
「しっかし3回も出してるのに有希の薬はすごいわねー!それともキョンがエロイだけ」  
 さあな、少なくともお前を見ていると疲れなんて感じないな。  
「団長たる者、たまには団員に譲らないと。正直今日は見てるだけかと思ったけど  
あんたは大丈夫そうね」  
 ハルヒはそう言って俺にしなだれかかってくる。  
 よく体を動かすからだろうか。こいつの体は柔らかさとしなやかさが同居している。  
 強く抱きしめ、深く、深く口づけをする。  
「ハルヒ、お前の決断はこれで良かったのか?」  
「さあ、わからない。でも後悔はしていないわ。あたし、有希もみくるちゃんもとっても  
大事だもの。キョンは嬉しいでしょ。ハーレムよ、ハーレム。男の夢でしょ!」  
「そりゃ嬉しくなくはないというかなんというか」  
「うーん。それにね、あの二人はあたしとキョンでしっかり捕まえていないと  
遠くに飛んで行っちゃいそう。消えちゃいそうなのよね」  
「誰か他の人に任せるってのは?」  
 本心ではないが試しに言ってみた。  
「古泉君は信頼できるけど何か違うかな。ちゃんと足場を固めているし、SOS団の他にも  
きちんと自分の場所がありそう。他の男どもは論外ね」  
 こいつホントは全部わかってるんじゃないのか?  
「だからあたしがしっかりと有希とみくるちゃんの手を握っているわけ。  
あんたはオマケ。あたしの永久パートナーなんだから側にいるのは当たり前。  
でもおまけで雑用なんだから、調子に乗らないこと。団長の命令に服従よ。  
有希とみくるちゃんが遠くに行っちゃいそうなときはしっかり抱きしめてあげること。  
あたしのことは毎日抱きしめること。今言ったことをきちんと守りなさい」  
 ああわかった。約束する。  
「とりあえず今はあたしのことだけ考えなさい」  
 もう一度強く抱く。本当にいい匂いだ。  
 
 キスをしながら胸を揉みしだくと  
「このあいだはもっと乱暴だったわ」  
 やさしく、笑いながら俺の頬を撫でる。  
 すまん。あのときはもうイッパイイッパイで正直良く覚えていない。  
「実はあたしもそうよ。でもキョンは怖くなかったわ。多分優しかった」  
「そうか。ホッとしたよ」  
 カチコチにしこった乳首を吸うと、優しく俺の頭を抱きかかえてくれた。  
 手をハルヒのオンナの部分に差し入れる。熱い。それにしっとりと濡れている。  
「だいぶ待たされたわ」  
「いいのか?」  
 無言で首を縦に振ったハルヒのオンナに俺のモノをあてがう。  
 ゆっくりと中に入れると強く俺のモノを締め付ける  
 朝比奈さんよりはやわらかいが長門よりもカタイなと失礼なことを考えていると  
「他の女のことは考えない!」  
 怒られましたよ。おそろしく勘がいい。  
 優しく笑ってるので本気ではなさそうだ。  
 ここ一週間で新しいハルヒの顔をたくさん発見したようだ。  
 
 優しく腰を揺すると「……んんっ……」とか「……あぁっ……」と声を出す。  
 何度もキスをするとそのたびに舌で俺の口内を愛撫してくれる。上手い。  
 そういえばこいつも何でも出来る奴だっけ。ナガえもんもびっくりだね。  
 そうこうしてるうち、ハルヒが背中をのけぞらせたかと思うと、膣圧が  
ぎゅっと高まった。それと同時に俺は長々と射精した。  
 なんだか今日一番の量が出た気がする。  
 ハルヒを優しく抱きしめる。  
「……きょん、だめぇ……」  
 モノを抜こうとするとハルヒが甘えた声を出した。  
 だいぶ眠そうだ。もちろん俺も眠い。疲れた。  
 モノを抜いた後、ハルヒを抱きかかえ布団まで運び、軽く汗を拭いてやると、  
ちょうど長門が戻ってきた。  
「入浴しなくていいの?」  
「このまま、きょんのにおいが付いたまま寝る」  
と言ったかと思うともう寝息を立て始めた。  
 
「わたしも就寝するけどあなたは?」  
さすがに三人分の女の匂いはなにかと気になる。  
「風呂借りるよ。おやすみ、長門」  
「おやすみなさい」  
 なんだか長門の声も優しく感じる。  
 
 軽く汗を流した後、家から着てきた服に着替える。  
 寝室を覗くと三人ともぐっすり寝込んでいるようだ。   
 邪魔するのも無粋かな、と思い浴室からバスタオルを持ち込み、  
性臭のする部屋で眠りについた。  
 
 ふと目が覚めた。時計を見るとまだ真夜中だ。疲れすぎるとあまり眠れないらしい。  
 気分転換に外へ出たところ、意外な人物と出会った。  
   
 そこにいたのは麗しの朝比奈さん(大)だった。  
 
 彼女は俺を見ると嫣然と微笑んだ。  
 なんという色っぽさ。精力を使い果たした俺のムスコが反応しかける。  
 いや待て、彼女は俺とナニをした朝比奈さん本人だ。ということは、  
「キョン君、私を愛してくれてありがとう」  
 え!、いやあのこれは、その。初恋の人を目の前にした中学生のように焦った。  
「うふふ。落ち着いて、キョン君。私はあなたに抱かれたみくるです。」  
 えーともしかして今回のことは規定事項なんですか。  
「そうとも言えるし、そうでないとも言えるわ」  
 出来れば説明をお願いします。  
「長くなるけどいいかしら。まずは私自身のことからね。キョン君は私が未来人である事  
不思議に思ったことはない?」  
 見事などじっこメイドというか、現代に適応しているというか。  
「そうねあなたの側にいる『みくる』は未来人としては何も知らない、何も出来ない。  
一方でお料理やお掃除や編み物といったことは得意でしょう。それから、『みくる』  
の容姿も今現在の人々に好まれる姿をしている。自分でなにかを成し遂げるというより、誰かに寄りかかってなにかをして貰う性格。変に思ったことはありませんか?」  
 そう言われればそうですね。100年も経てば美醜の感覚や生活様式なんて  
大きく変わりますね。  
「簡潔に言えば『みくる』は単なるお人形なんです。それも涼宮さんやあなた方に  
愛でてもらい、守ってもらうだけの愛玩人形なんです。  
更に言えば『未来』の奴隷でもあります」  
 あまりの発言に言葉も出ない。  
「『みくる』はいまちょうどこの時代の人々、特にあなた達に愛され、庇護されるように  
その体も心も人工的に造られた存在です。この時代の人とは全く変わりません。  
子供も産めます。『現在』の定義で言えばまったくの『人間』です」  
そんなことが許されるんですか!  
「『未来』は時間跳躍を可能にしている世界です。『人間』一人作るなんて簡単ですよ。  
それに過去に介入しようなんて考える時代です。どんなことだってします。  
倫理的制約なんてほとんどありません。『現在』とは基準が違います」  
 
「そうやって造られた『みくる』は時間跳躍に必要な最低限な知識さえも『禁則』により  
制限をかけられ、『現在』、涼宮さんのもとに送られました。  
涼宮さんの周辺を操り、『未来』に取って都合のいいようにするためです。  
 今まであなたがやってきたことや規定事項ってのはなんなんです?  
「そもそも規定事項というのは単に『未来』にとって都合のいい出来事、  
ただそれだけです。それから、私は『みくる』の本当の上司ではありません。  
SOS団の仲間の力を借りて強制的に介入したのです。本来の『みくる』の任務を少しだけ  
変えて行動させました。『未来』のためではなく、『現在』、そしてなにより、  
SOS団のためとなるようにです。それも今日で終わりです。『みくる』は『鍵』である  
あなたと涼宮さんのちからにより、『未来』から完全に解放されました。  
涼宮さんのちからは強大です。例え『未来』でも直接介入は出来ません」  
 なんだかパンクしそうです。ところで以前わたしとあまりなかよくしないで  
とか言ってましたよね。アレはなんですか。  
「あら、障害が大きいほど恋は燃え上がるって言いませんか?  
嫌よ嫌よも好きの内でしたっけ?」  
 にっこり笑ってくださったよ。まあ本人が良いならいいか。  
「これは忠告ですけれど、『禁則』のとけた『みくる』に未来のことを聞くのは、  
もう少し待ってください。『みくる』のためというよりもあなたのためです」  
 困ったときには長門さんに相談してください」  
 わかりました。知らない方がいい事ってありますからね。  
 ところで長門とは仲良くやってるんですか?  
「それはもう、いえ未来のことは秘密の方が楽しいですよ。  
じゃあねキョン君『私』とはもう逢うことはないだろうけれど  
『みくる』を末永くかわいがってね」  
 俺の頬にキスをして、彼女は去っていった。  
 
 頬の感触の余韻を楽しんでると、俺の目の前に人影が現れた。  
   
 今度は宇宙人ですか?喜緑さん。  
 
「今晩は。お元気そうですね。」  
 あなたが現れたということは長門に関することですか。  
「ええそうです。それと、わたしたちの今後の行動についてご説明です」  
 この際だ、長門を処分することでなければお聞きします。  
「処分ですってとんでもない。そのようなことわたしには不可能です。情報統合思念体も  
そのようなことはけして望みません。わたしがお話しするのは長門さんの現在の立場と  
それに伴うわたしたちの配置転換についてです」  
 長門や俺達が安全ならそれで結構です。拝聴します。  
「今の長門さんは純粋な意味でわたしの仲間とは言えません。あなたを通して涼宮さんの  
力がはたらき、情報統合思念体から独立した存在となりました。加えてこれまで  
申請無しには使えなかった情報改変能力が単独でも使用可能となりました。  
おまけに処理能力も格段にあがっています。以前発生したようなバグは些細なことです。  
突発的な改変を起こす確率はきわめて低くなりました」  
 つまりスーパー長門になったと言うことですか。  
「わたしたちは別に戦うための存在ではありませんが、今の長門さんには  
何十体でかかっても勝てないでしょう。思念体といえども、長門さんを処分するのには  
多大な労力が必要です。第一敵対する理由がありません。ここの有機生命体風に言えば  
わたし達は家族ですから、お互いのことは良く解っています」  
「そう、いうなれば、わたしは家を出てあなたの所に嫁入りした」  
 来てくれるのは嬉しいが、もうちょっと俺の心臓を労ってくれ。  
「そうですね。姉をよろしくお願いします」  
 喜緑さんはそう言って名前通りの笑みを浮かべた。  
「配置転換についてご説明します。涼宮さんだけでなく、今度はあなたや長門さんも  
重要な観察対象となりました。つきましてはわたしの姉妹二名を  
追加派遣することとなりました。一人はあなたもご存じの  
「待ってくれ、もしかして」  
 
「そう、朝倉涼子」  
 長門の言葉で何だか脇腹が痛くなった。  
「大丈夫です。彼女はもう二度とあなたに手出しすることはありません。そう制限が  
かけられましたから、単にパーソナルデータを使用するだけです。それに  
お詫びといっては何ですが、彼女にはかなり高い順位であなたの守護義務が  
課せられています。第一あなたには長門さんがついています。ご安心を」  
「喜緑江美里の言は全て本当。あなたはわたしが護る」  
 とりあえず安心しますよ。それでもう一人は?  
「そうですね。知らない方が楽しいですよ」  
 もしかして朝比奈さんとの会話聞いていましたか。  
「わたしは観察が任務ですから」  
 このとぼけかた、長門の姉妹とは思えん。  
「それでは姉といつまでも仲良く」  
 笑みを浮かべて去っていった。  
 
 さて未来人、宇宙人と来たら、トリはあいつだな。  
 
「もしかしてお待たせしましたか」  
 嫌みなくらいのタイミングだよ。打ち合わせ済みか?   
 
 喜緑さんの姿が消えたと同時に、にやけスマイル特売男がやってきた。  
 
「今晩は、顔色は良いようですね。おや、奇遇ですね。長門さんもご一緒ですか」  
 お前のそのわざとらしいもったいぶりはさっさと直せ。  
「うまくいったようですね。おめでとうございます。我々が当初想定していた結末とは  
やや異なりますが。これも涼宮さんの望んだカタチでしょう。  
とりあえずなにから話しましょうか」  
 喜緑さんや朝比奈さんの話。お前はどう思う。どうせ全部知っているんだろう?  
「全て本当です。少なくとも我々の持つ情報から判断するのであれば」  
「彼の言うとおり」  
 長門のお墨付きまででたよ。  
「僕は以前あなたに朝比奈さんについて警告しましたよね」  
 わかってる。信頼度10%アップだ。ところで昨日の電話どこまでマジなんだ。  
「全てです。実際はもっと深刻です」  
 しかしこれで、ハルヒは安定してお前のバイトも減るんじゃないのか?  
「涼宮さんの力は無くなったりはしませんよ。むしろ強くなっています」  
 どういうことだ。話が違う。  
「順に話しましょう。そもそも涼宮さんの力が発現したのはいつだったか。  
あの七夕の日、初めてあなたにあった日です」  
 そうらしいな。  
「涼宮さんはいわば宝箱。あの日『鍵』のあなたに会いそれがちょっと開かれたのです。  
そこから漏れた力により我々の様な存在ができ、時間へも影響を与えたと」  
 そこらへんは聞いたことがある。  
「考えてみてください。ちょっと出会っただけなのに箱が開いた。  
では更に親しくなればどうなります?」  
 待てそもそもハルヒはあのときの男が俺だとは知らないんだ。  
「いえ知っています。少なくとも深層心理では、ジョン・スミスがあなただと始めから  
気付いています。我々にはわかります」  
それを認めるとしても、お前は一体どこまで知っているんだ。  
パンツの色は教えないぞ。  
 
「あなたと再び出会い、そしてSOS団を結成したとき彼女の力、そして我々の力も  
激増しました。そして、あなたが愚かにも朝比奈さんにたぶらかされ、  
涼宮さんをないがしろにしたとき、我々関係者はあなたが『鍵』であると  
強く再認識させられた訳です。それからはご存じの通り、色々ありましたが  
心身共に結ばれハッピーエンド。今の涼宮さんの力は『神』と呼ぶのに  
ふさわしいですね。ただ朝比奈さんや長門さんも加わったため予想よりも  
やや下回りました。誤差の範囲内ですが」  
 お前は俺とハルヒがくっつけばバイトが減るとかいってなかったか。  
長門、お前は知っていたか?  
「涼宮ハルヒの力はわたしにとっても予測、解析は困難」  
「まあそう怒らないでください。我々は何故かわかるんです。  
大切なのは、あなたと涼宮さんが結ばれることだったのです」  
 何故そこまでするんだ。  
「それは涼宮さんがそう望んだからです。我々は彼女の落とし子。  
彼女の意志に沿うだけです。それに『鍵』のあなたはいわば父親です。  
母と父が仲良くするのを子供が望んでもいいでしょう」  
 お前らはそれでいいのか。この先神人とも戦い続けるんだぞ。  
「望むところです。あの涼宮さんですよ。望まぬ人に力を与えたりしません。  
『機関』関係者は皆神人との戦いを楽しんでいます。もちろん敵対勢力との  
戦いもです」  
「お前もなのか」  
「もちろんですよ!謀略、闘争、陰謀これぞ人生ですね。初めて神人と対峙した  
ときの喜び、そう一生忘れないでしょう。敵味方皆僕と同類です。  
ああちなみに、偶に嫌気がさす哀れな愚か者もいますが、  
彼らはいつのまにか記憶と力を失い、一般社会へと帰っていきます」  
 それがお前の素顔か。  
「安心してください。我々は涼宮さんと『鍵』のあなたに不利益になるようなこと  
は絶対しません。と言うか出来ないのです。それに、彼女がなんたるかの本質を  
理解していない凡俗の欲深き亡者共を近づけたりしませんよ。  
まして、過去に介入しようなどと考える傲岸不遜な輩は一人残らず滅してみせます」  
 できればいつものにやけ顔に戻ってくれ。  
「失礼しました。ということで我々への配慮は無用です」  
 そうですね。ホント。しかしここまで内情を俺に話していいのか?  
「問題ありません。あなたとの信頼関係は大切です。  
それに元々僕は『機関』内でそう低くない位置にいましたが、  
今後は更に強く『機関』の運営に影響力を持ちます」  
 
「あなたには話しましょう。僕には極最近になって涼宮さんから新たな力が  
与えられたのです。おそらく他の方々にはないでしょうね」  
 どうせ物騒な力だろ。  
「いえ、直接的な力ではありません。なんと言いましょうか。眼力、いやフェロモン  
ですかね。要するに女性にもてます。特に涼宮さん関係の方には」  
 言いたかないが、お前もともともてるだろ。  
「いえ、今の状況は非常識です。例を挙げれば以前朝比奈さんを誘拐した少女、  
彼女は先ほどから僕の忠実な部下になってくれました。森さんも今日から  
立場が変わり、実質部下です」  
 お前香水のにおいがするし、ネクタイ曲がってる。  
「お互い様です。野暮はよしましょう。推測ですが、SOS団で余り物に  
なってしまう僕に対する配慮でしょうね。でも、おそらく、あなた方の周辺では  
何の効力も持ちません。ご安心を。あなたの知人に手を出したりしません」  
「彼の言葉はおそらく真実。わたしや朝比奈みくる、涼宮ハルヒに取って無意味な  
力が南南東51メートルにいる二人の女性には何らかの効果があると推測できる」  
 危ない奴に危ない玩具が渡ったな。絶望的である。  
「涼宮さんの耳に届いたら一大事ですからね、遠くでコッソリとやります。  
しかし、彼女が男性の同性愛に興味をお持ちでなくて幸いでしたね。  
もしそうだったら、想像したくありませんね」  
 良しこの話は終わりだ。  
「とにかくそう言う訳ですので、SOS団とは少々縁遠くなるかもしれません。  
しかし僕のココロは常にSOS団と供にあります。それとイベントはお任せを  
これまで以上に人材、金銭を投与します。母上の喜びこそ我が至上の幸福ですから」  
 信頼度1%まで落ちたぞ。  
「とりあえず大団円です。しかし今後もそれほど変わりません。涼宮さんのご機嫌  
次第では神人や閉鎖空間がでますし、あなたが下手を打てば、世界改変もあり得ます。  
まあ今度の世界改変にはあなただけでなく、長門さん、朝比奈さんも一緒でしょう。  
僕は自信がありませんね。ですのでご健闘を、未来はあなたにかかってます」  
   
 好き放題喋った後、南南東51メートルに消えていった。  
「長門、古泉を信頼していいのかな?」  
「おおよそ正しい。だけど」  
「だけど?」  
「人の数だけ真実はある。わたしはあなたとずっと一緒」  
 そうか、なにか冷えてきたな。さあ戻ろう。  
 俺は長門の肩を抱いて、部屋へと向かった。  
 
 
 翌朝、ハルヒにたたき起こされ、何をするかと思ったら、結局いつもの  
パトロール、組分けはせずに皆で遊んだだけだったが。  
 古泉の奴までしれっとした顔で参加していた。こいつは本当に油断ならん。  
一度長門に頼んでシメてもらおう。  
 朝比奈さんは照れからか朝は顔を赤くしていたが、そのうちいつもの素晴らしき  
どじっこへと戻った。  
 長門はもちろんハルヒまで、いつもと変わらない。  
 なんとなく三人が俺の名前を呼ぶ時に甘いモノが混じっている気がするだけだ。  
 
 次の日、苦行を終えて到着した教室で出会ったのは、朝倉涼子だった。  
 谷口や山根を中心とする男共の大歓声にも関わらず、朝倉は俺にことあるごとに  
話しかけてくる。  
 喜緑さん、話が違います。俺はこいつが本能的に苦手なんだ。  
 その動揺を勘違いしたのか、ハルヒの機嫌は垂直落下、男子の罵声が飛び交う。  
 とりあえず昼休みに部室へ連れ出し、大人の話し合いで何とかなだめたが、  
放課後に再フォローしなきゃならんだろうな。  
 
 授業終了と同時にハルヒの手をひいてダッシュで部室へ避難した。  
 歩きながら話すとなんとかハルヒの機嫌は上昇し始めた  
   
 部室に入るといつもより二人多く五人もいた。  
 
 詰め将棋をする古泉。お前はなるべく遠くで女といちゃついてろ。  
 
 先週より200%増しの笑顔で、お茶を入れてくれる未来天使。  
 
 何故かしっぽがある鶴屋さん。いえすばらしいポニーなんですが、  
何も今日でなくても。  
 
 いつもと変わらず本を読む長門が二人。え!!  
「紹介する。わたしの双子の妹、長門阿芽」  
あ、阿芽ってご両親お天気が好きなんですね。  
「図書館で……あのときはありがとう……」  
ま、まさか……  
「そう、彼女はあのときの改変世界のわたしを元にしたインターフェース。  
有機生命体との接触経験を持つパーソナルデータは貴重。思念体からの打診があった。  
特に問題はないので了承した。ちなみにわたしの声はあなたの聴覚に  
直接働きかけているために、あなた以外には聞こえない」  
 お前のやたらと多い特技がまた一つ増えたな。  
   
「キョン!あんた有希の妹をどこで引っかけたの!」  
「キョン君って本当に女の子の知り合い多いんですね!」  
「ちがうって!ただ図書カードを作ってやっただけ」  
 こら阿芽さん思わせぶりに赤くなるな。  
   
 鶴屋さんはしっぽを揺らして大笑い。  
 朝比奈さんは可愛らしく頬を膨らませている。  
 長門と古泉は知らん顔だ。こら古泉、下を向いて笑うな。  
 ハルヒの機嫌はもうジェットコースターのように乱高下している。  
 
 大きな音がして、扉が開いたかと思うと  
「あ、キョン君いたわね。わたしもSOS団に入りたいんだけど、  
ってあんたなにしてんの!」  
 部室前で由良と朝倉が睨み合っていた。  
 
  とりあえず終わり。  
 

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