今日、私はキョンくんをうまく助けられるだろうか。
いえ絶対に助ける。
過去に私がキョンくんに助けてもらった沢山の記憶がよみがえる。
彼には本当にお世話になったから。
沢山のものをもらったから。
今度は私が返しに行きます。
キョンくんはちゃんとこの時間平面状にくることが出来たかしら。規定事項とはいえ少し心配です。
七夕の日に過去の私と一緒にやってきたキョンくんに東中の校門前に行くように指示。
もうすぐ、またキョンくんに会うからここでは多くを語らない。
でもこれはあなたの為。未来のあなたにとってこれは必要なことなの。規定事項。
そして私は歩き出す。
キョンくん。そろそろ現れてもいい時間です。
「朝比奈さん!」
きた。
私はゆっくり振り返る。良かった。ちゃんとこれたのね。
キョンくんは息をきらしていた。
「こんばんは、キョンくん。あなたとは久しぶりですね。」
笑顔で答える。
キョンくんの顔には混乱、焦燥、安堵、色んな表情が浮かんでいる。
色んなことを説明して欲しそうなのでとりあえずベンチに誘う。
今の私はあの頃の私より沢山話してあげられる。
説明したくてもできなかった過去を思い出す。
こうして頑張ってここまできたのもあなたを救うため。
今でも話してあげられることは限られるけどこうやって実現できて良かった。
キョンくんは矢継ぎ早に質問をしてくる。混乱しているのだろう。
「世界を改変したのは一体誰ですか?」
キョンくん。それはもうすぐ分かります。どうして彼女が時間を改変したのかあなたは分かりますか?
長門さんの、本当の気持ちに気づいていますか?
―――そして私の気持ち・・
「あなたもよく知っている人です。」
今はこれしか言いません。
長門さんの家に行くまではまだ時間があった。
キョンくんともう少し話をしたかった。私のいる時間ではあなたと直接触れ合うことはないから。
ベンチに座って過去にあった話をする。
キョンくんの顔をじっと見る。これからのことを教えてもらいたそうな顔をしていた。
「たいへんだったけど、どれもいい思い出です。」
だってどれもあなたが助けてくれたから。
他にも沢山教えたいことがある。これからのあなたのこと。これからのSOS団のこと。
でもキョンくん。未来は今のあなたが切り開くもの。だから教えません。
時間が迫る。でももう少しだけ・・もう少しだけ一緒にいたい。
過去の私は何の理由なしにキョンくんと二人で出歩くことは出来なかった。
でも今ならいいですよね?涼宮さんの目も、誰の目も今なら気にしなくていい。
キョンくんの肩に頭を寄せる。
思いがこみ上げてくる。
ずっとこうしてみたかった・・・・。
今なら言える本当の気持ち。
「キョンくん。。大好きでした。」
声に出さずに言う。だってこれは禁則事項。
キョンくんの様子を伺う。
戸惑っているようだった。なぜこのような行為をされているのか全く理解できていない顔。
―――――ホント、何も分かってないのね。
「ふふっそろそろ時間です。」
そう。涼宮さんのもとへ。涼宮さんのもとへあなたを連れて行きます。
そこから先はあなたが決めることです。それがあなたの未来。
End