8月31日と言えば夏休み総清算の日。今までの自堕落な日々に終止符を打つ正に最後の審判の日。
有頂天に飛び回る日々から直滑降で無間地獄に叩き落される。それを逃れる免罪符は存在しない。
「確かに、夏休みと言う長期休暇明けは嫌なものですが。あなたが嫌なのはそれだけでないでしょう」
俺の前にドンと積まれたノートの山。コレが蜃気楼かブロッケン現象ならいいのに。
日本中の学生が今まさに同じ思いを共有してるだろう。
「あんたとあたしを一緒にしないで。だいたい一切、手を付けてないのあんただけじゃない」
ここにいる連中が特殊なんだよ。いろんな意味で。8月後半で大体終わらせてるのは一握りの人間だけだ。
ましてや7月中に終わらせるなんて、道を歩いていて隕石に当たるぐらい有り得ない事だぞ。
多くの学生は、後数日になってこう思う、宿題なんて無ければいいのに、と。
と、言うわけで俺の目の前には夏の課題が山と積まれているのだが…終わらないだろ、これ。徹夜しても
間に合わないであろう量、誰が一体こんなに出したんか。教師連中はサドばっかりか?おれはマゾじゃない。
これが漫画なら突然画期的なアイディアが思いつくんだが……どうしよう。
「キョン君キョン君」
っと、どうしたんですか、朝比奈さん。
「すっごい、アイディアを思いついたんです」
何ですか、早く教えてください。
「いいですか。まずわたしが2時間後に行ってその時間のキョン君を連れて来るんです。そのあと今から
4時間後に行ってそこのキョン君を、さらに6時間後、8時間後のキョン君を連れて来るんです。
全部で五人のキョン君が協力すればすぐに終わります」
……それ、結局徹夜、ですよね。