「船に乗らずに孤島に行った話」
ペチペチ。
・・・ん?誰だ。誰かが俺の頬を叩いている。眠い。俺の眠りを邪魔するな。
「・・・おーい。」
人の声だ。聞き覚えがあるな。でもいつも俺の後ろの席で退屈を打破するための突飛な行動計画を立てているあの女の声ではないようだ。
「キョンくんっ。・・・返事がない。ただの屍のようだ。・・・って、ぷっ、ぶあはははっ!あーっはっはっはっ!キョンくん目を覚まさないよ!ホントに死んじゃったのかなあっ?でも息はしてるっし。」
ん?この声は・・・
がばっ!!
「あっキョンくん気が付いたかいっ?」
全力で腹筋を使い上半身を起こした俺の視界に映ったものは、我らがSOS団名誉顧問、鶴屋さんであった。
「あー、鶴屋さん・・・」
まだ少しこの状況を理解していなかったが、
「無事で何よりです。」
まずは自分達が生存していることに安堵した。
「うんっ、大丈夫だよっ。キョンくんのおかげだよ!」
俺の横で体育座りしながら、いつもの白い歯を見せ鶴屋さんが笑いかけてきた。
「しかし・・ここ、どこですか?」
俺が状況を理解しきれていなかったのは、今、俺と鶴屋さんがいるこの場所が、見たことのない浜辺だったからである。付け足せば、二人とも水着である。
何故こんなことになったのか・・・。
それは、古泉が所属する機関が主催したハルヒを退屈させないためのエセ殺人事件孤島ツアーから帰ってきて3日も経たない頃であった。
「海水浴へ行くわよ!」
携帯の通話ボタンを押したとたんこれだ。こいつには前置きというものがないのか?それに海水浴ならあの島のプライベートビーチみたいな場所で散々してきたばかりだろうが。
「何言ってんのよ!島に行った次の日から大雨で海水浴なんかしてないのと同然よ!それに今度はその他一般人の中で海水浴を行うのがSOS団の為なのよ!」
こいつまた何か企んでるんじゃないだろうな。俺は悲鳴を上げる朝比奈さんの姿が一瞬脳裏に浮かんだが、そんな心配がハルヒに伝わるはずもなく、一方的に集合日時を告げられ携帯を切られた。
「やれやれ。」
これ、俺の人生何度目のセリフだろうな。
その海水浴場は、全国区に知られるほどではないが県内有数の人気スポットだった。まだシーズン中なので、雨も降っていないのにそこらじゅうにパラソルが立っている。
「ふええ、本当にこんなの着るんですかあ・・・。」
水着に着替えるため更衣室に入っていた朝比奈さんが半ベソをかきながらやって来た。
「みくるちゃん、これでSOS団の名を世に知らしめるのよ!」
更衣室から出てきた朝比奈さんは、あの孤島で拝見した水玉模様の水着ではなく、紺色のスクール水着だった。意気揚々と朝比奈さんの背中を押しながらハルヒはいつものタンキニで登場。
「お・・・おい、ハルヒ、それは・・・」
「何よキョン。スクール水着なんていつも学校で見てるじゃないの。」
「そりゃそうだが、その名札は何だ?」
スクール水着の耐久性を著しく下げさせているんじゃないかと思うその豊満な胸元に、『SOS団』と白地に黒字で書かれた名札が縫い付けられてた。
「世の男共の目を釘付けにするスク水に、SOS団のネームが入れば、宣伝効果も世界人口並みにうなぎのぼりよ!」
自分が担当する番組が大当たりしたTVプロデューサーのように高らかに笑うハルヒの横で、半泣き状態の朝比奈さん。そりゃ、学校と違うしね。
「みくるーっ。そんなに恥ずかしがるないっ。あたしだっておんなじ格好だよっ。」
やや遅れて登場したのは朝比奈さんが心配だからといって同行してきた鶴屋さん。どういう訳か鶴屋さんまでスク水だ。紺色の水着が体のラインを強調している。麦藁帽子もこれでもかと似合っている。
鶴屋さん、あなたも宣伝係ですか。
「あたしは単なるファンサービスさっ!」
そうなんですか。って、ファンって誰?!
そんなこんなで海水浴に来た以上、海に入らないわけには行かない。誰が言い出すこともなくシートを引いてパラソルを立て、地球の表面積の70%以上を占める海の片隅に飛び込むのであった。
「いやまったく涼宮さんの体力は底知らずですね。」
ひと泳ぎしてパラソルの日陰部分で休んでいた俺に古泉がいつものニヤケ顔を向けてきた。今回はお前に同意するぜ。
「あの合宿は正直言ってかなり疲れましたからねえ。本当は家でゆっくりしていたいのですが。」
ならいいかげんそのイエスマンという仮面を捨ててたまには反論してみたらどうだ。
「それもいいかもしれませんが・・・。今のキャラが、涼宮さんの望むものですので。」
さいですか・・・、と古泉にたいした感慨も抱かず、相変わらず海に来ても本を読みふけっている長門に視線を向けた。
「楽しみ方は、人それぞれです。」
その言葉、どこかで聞いたな。
「ぷはー!のどが渇いたわねー!」
俺と古泉がしゃべっている間も水際でスク水朝比奈さんと遊んでいたハルヒが戻ってきた。しかし充分持ってきたと思われるはずの飲食類のストックが怪しくなってきていた。海水浴場に便乗してできた近くの
コンビニにでも行かなくてはならない。
「よぉし!買出しよ!有希、本ばかり読んでないで付き合いなさい!みくるちゃんと古泉君もね!」
あれ、俺は留守番か?
「あんたが来るとみくるちゃんをエロい目で見るからダメよ!」
スク水朝比奈さんは眼福だが、エロいとはなんだ。
「それに」
と、ハルヒが沖合を指差す。
「鶴屋さん泳いでるし、ここに誰かいないと困るでしょ。」
沖合で鶴屋さんがイルカのようにスイスイ泳いでいる。ハルヒより元気だな、あの人。てか、沖に行きすぎではありませんか?
「そういうことだから、ちゃんと留守番よろしくね!」
そう言うとハルヒ一行は、どこかのRPGのキャラのように一列になって買出しに出かけていった。
まあ、こういう青空の下で昼寝もいいかなと気持ちを切り替え、ハルヒ達が帰ってくるまで一眠りでもしようかと思った。朝も早かったしな。
しかし、
「わひゃあっ!」
突然の鶴屋さんの悲鳴でそれは中断された。さっきまで軽快に泳いでいた鶴屋さんが、一転して水面から両手を出してもがいている。
「鶴屋さぁーんっ!!」
俺は水際までダッシュして名前を呼んだ。鶴屋さんは手だけで水面に顔を上げようとしている。
「ギョンぐ・・・うぷぁっ!」
いかん。まさか足でもつったのか?とにかく助けに行かなくては!俺はそのまま海に飛び込み鶴屋さんめがけて泳ぎだした。
「鶴屋さん、大丈ぶあっ?!」
やっとこさ鶴屋さんのところまで辿り着いたと思ったら、おぼれて混乱した鶴屋さんが俺の体にしがみついてきた。
「たっ助けてっキョンくんっ」
「つっ鶴屋さん!ちょっとそんなにくっついたら俺が泳げなくなって・・・」
「わっぷわっぷ!」
鶴屋さんが全身で俺にしがみついているものの、手足の自由が奪われてしまったためにその感触を味わう余裕もなく、ミイラ取りがミイラの如く二人しておぼれ始めた。
とにかく足を動かさなくては!
今の俺の足の自由は通常の20%ぐらいしかないが、必死に足をバタ足して泳ごうと努めた。次第に体が進んでいる感じがしたので、俺はとにかく足を動かした。
気を失うまで・・・。
「あははっキョンくん。心配要らないよっ。あれをみてごらんっ。」
見たこともない砂浜に俺の不安が増大していくのを感じ取ったのか、鶴屋さんが海の向こうを指差した。
海岸線がみえる。
「あそこはあたし達がいたビーチだよ。流されて、近くの小島に着いちゃったっぽいねっ。」
俺は安心感から体の力が抜け、再び大の字に寝転がった。そういえば、向こうの浜辺からこの島見えてたよな。視点が変わると、景色もまったく違って見えるのか。
「このくらいの距離なら泳げそうなんだけど、さっきつった足がまだ痛いのさっ。」
スク水から伸びる細く長い足をさすりながら、鶴屋さんは申し訳なさそうに言った。いや、あなたの責任ではないです。俺も今対岸まで渡りきる体力は無いですよ。
「きっとハルにゃん達が助けに来てくれるっさ!ここでゆっくり待つにょろよ。」
いつもの鶴屋さん節を聞いてさらに安心感が増した。しかしー、
「もう、夕方ですね?」
俺は空と海面が赤いことに気づいた。
「あっちゃー。気づいたっかな?」
舌を出して鶴屋さんが苦笑いする。そうか、鶴屋さんがおぼれたとき、俺しかいなかったもんな。突然いなくなったから、探そうにも場所も見当つかないか。どうやらおぼれてから2〜3時間は経ったようだ。
「あれっキョンくん冷えるのかいっ?」
「えっ?」
気がつくと、俺の体は震えていた。いくら夏とはいえ、日が沈んでくればそれなりに冷える。上半身裸だし、海水に浸ってたし。
「鶴屋さんは平気ですか?」
「あたしはまだ平気だよっ。スク水だからお腹も冷えないしねっ。」
確かに生地も厚いですしね。
ふわり。
ふいに俺の肩に柔らかく暖かいものがかけられた。
「あたしの自慢のロングヘアーだっ。マフラーがわりさっ。」
鶴屋さんは俺にぴったりと寄り添い、体をくっつけてきた。海に入っていたのにとてもいい香りがした。
「つ、鶴屋さん・・・。」
「いいからいいからっ。こういう時はお姉さんに甘えなさいっ。」
一瞬、駆け落ちしてしまった従姉妹のねーちゃんと鶴屋さんがダブッた。いかん、走馬灯か?
「暖かいかい?」
「は・・・はい。とっても気持ちいいです。」
なんかズレた言い方のような気もしたが、俺の口から出たのはその言葉だった。俺がゆりかごの中にでもいるような気分でいると、
「わわ、キョンくんっ?」
鶴屋さんが素っ頓狂な声を上げた。
「ん?どうしたんですか?」
半分眠りかけていた俺は、自分の体の変化に気づかなかった。
「ああ??」
俺の股間が元気になっていた。何故だ?別にHなことを考えていたわけでもないのに。
「キョ、キョンくん、それ・・・疲れマラだよ・・・」
俺が混乱していると、顔を真っ赤にした鶴屋さんにそう告げられた。いくら理由を知っているとはいえ、女性が『マラ』とか口にするのはどうかと思いますが・・・。
「どっどうしましょうか。つ、鶴屋さん。とりあえず離れましょうか・・・あ?」
その時、鶴屋さんが俺の股間を握ってきた。
「だっだめにょろ。ちゃんと処理しないと・・・。」
しょ、処理って?!
鶴屋さんは黙ったまま俺にもたれかかり海パンの中に手を入れ、ビンビンに元気になっているペニスを直に触ってきた。
「うわっ」
思わず腰が引ける。
「ダメだよ・・・逃げちゃ・・・。」
今度は頭を股間の位置まで下げ海パンをずらしてきた。海パンから外へ引きずり出された俺のペニスは勢いよく反り返り、鶴屋さんのおでこに当たってしまった。
「す、すいません!」
「うふ、元気だねっ。大好きだよ、こういうの。」
じゅぼっ、ぐぷぷ・・・
鶴屋さんは唐突に俺のペニスをくわえ込んだ。口の中はとても暖かくて気持ちよくて、気が飛びそうだった。
ずずう〜っ、じゅるう〜っ!
ゆっくりと根元までくわえ込み、またゆっくりと頭を上げていく。舌先で尿道口をチロチロとこすり、カリの部分も舌全体ではいずり回してくる。このフェラの間俺はずっと電気ショックを受けたかのように
小刻みに痙攣していた。ふと四つんばいになってフェラしてくれている鶴屋さんのお尻が目に入った。鶴屋さんは細身だが、そのお尻はとてもよい形をしている。かなりの美尻だ。俺は手を伸ばし、そのお尻
をスク水越しに掴んでみた。
「んふうっ?!」
ピクンッとお尻が震えた。
「ぷは・・・キョンくんっ、おいたはだめにょろよっ。あたしのお尻を触りたいなら・・・」
にこりと鶴屋さんは笑うと体勢を変え、俺を寝転がせ自分の股間を俺の顔の位置に持ってきた。
「ふぃっくふなふぃんふぁっ!」
俺のペニスをくわえながら喋らないでっ!
じゅっぷじゅっぷじゅっぷ・・・
リズミカルに鶴屋さんのフェラが再スタートした。ここまできたら・・・。俺はお尻を覆う生地をめくり、鶴屋さんの白桃のようなお尻を露出させた。スク水がTバックのようになっている。両手で白桃を掴む
と、指の間から尻肉が飛び出してきた。指を這わすと、ポルプルと桃が震える。俺は次第にその指を2つの白桃の間にあるぷっくりとしたふくらみに進めた。
「んっ!」
俺のペニスを握る鶴屋さんの指に力が入った。スク水の生地越しにそのふくらみを指でこすっていくと、だんだんと生地の色が濃くなってきた。それにつれて、秘部の形もはっきりと分かるようになってくる。
「鶴屋さん・・・濡れてきましたよ・・・」
そしてある一部分を念入りにこすっていると、ぷくりとまた小さな豆のようなふくらみが飛び出してきた。俺はそれを軽く摘んでみた。
「あっあんっそこだめっ!」
ペニスを口からこぼし、鶴屋さんが嬌声を上げる。
「ダメって何がですか?」
俺はわざと強く摘んで引っ張ってみた。
「ひゃあっ、だっ、らめっ!そんな、そんなにぃぃ!」
初めて聞く鶴屋さんの嬌声。俺は我を忘れて小豆をスク水越しに弄っていると、
「もっもう、イ、イクッ!」
体を大きく仰け反らしたかと思うと鶴屋さんは全身の力が抜けたように俺の体に倒れこんだ。小刻みに痙攣している。
「鶴屋さんっ?」
調子に乗りすぎた。俺は急いで起き上がり鶴屋さんを抱きかかえ、体を揺すった。気絶しちゃったんだろうか?
「ひどいっさ・・・キョンくん。あたしだけイカせて・・・」
頬を真っ赤にし、やや上ずった声で鶴屋さんが答えてくれた。でも目は瞑ったままだった。
「す、すみません・・・。」
「でも・・・これで終わりにしないよっ」
目を瞑ったまま鶴屋さんが微笑んできた。年上の女性の色っぽさを醸し出していた。
「キョンくん、スク水は脱がなくてもいいのかい?」
「着たままするのがスク水の醍醐味です。」
「うひゃあ、マニアック〜」
数分後落ち着いた鶴屋さんに、俺はスク水をずらして秘所にペニスをあてがっていた。ずらしたスク水がペニスとこすれるものの、そんなことはまったく意に介さなかった。
「ああ、あっあっあっ〜!」
俺のペニスが奥へ奥へと突入していくと、鶴屋さんの喘ぎ声にも艶がかかったきた。
「あっ当たってるうっ!奥で、奥で当たってるよおっ!」
まだペニスは完全に埋没していないが、子宮口まで到達したようだ。
「つ、鶴屋さんの膣って狭くて・・・浅くて・・・最高ですっ!」
俺は鶴屋さんと正常位でセックスしている。腰を大きくグラインドさせ、思い切り膣へ打ち付けた。その度、鶴屋さん全身が震える。
「ひゃっ、キ、キョンくんっだめっ、そんなに強くしちゃっ」
子宮口への衝撃が強すぎるのか、鶴屋さんの懇願にも似た声が聞こえてきた。しかし苦しそうにする鶴屋さんの顔ですら、俺には感じている顔にしか見えない。
「きゃあっ、あっ、ひっ!壊れ、壊れちゃううううっ!」
ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ!
大きな打撃音が響き渡る。顔を左右に振り、両手をいっぱいに広げて砂を握り締めている鶴屋さん。乳首も立っている。どれもこれも今の俺にはエロく見えてしかたがないのだ。
「あ〜〜〜っ!あ〜〜〜っ!」
いつからか、鶴屋さんはただひたすら嬌声を上げるだけになっていた。口から涎を垂らしたまま、それを拭う事すらしない。
「つっ鶴屋さん、そろそろ射精そうですっ!」
俺が限界が近いことを告げたときも、カクカクと首を縦に振るだけ。
「どっどこに射精したらいいですかっ」
カクカクと首肯。
「外ですかっ、膣ですかっ」
カクカクと首肯。
「外ですかっ」
カクカクと首肯。ここで俺は、もう一度聞いた。
「膣でいいですかっ」
やっぱりカクカクと首肯。
「いいんですねっ膣に射精しますよっ?」
おそらく今の鶴屋さんの状態なら、顔でも口でも、髪の毛にでも首肯しただろう。そう、俺は鶴屋さんの膣に射精したかったのだ。
「鶴屋さんっ射精るうっ!!」
ブシュウ〜ッ!ドクッ!
膣壁の締め付けに導かれ、俺のペニスの先端から大量の精液が飛び出した。精液の圧力で子宮口が押し広げられていく。
「ああああ〜!子宮まで入って、入ってきちゃうよおっ!」
両手で顔を多い、全身をくねくねと身悶えさせながら、鶴屋さんが俺の精液を受け入れてくれている。俺のペニスからは、まだ精液が出続けていた。
「キ、キョンくん。ま、まだ射精るのかい?」
俺の底知れぬ射精量に少し呆れ気味の鶴屋さんだったが
「も・・・、もう抜いてくれないとお腹が破れちゃう・・・」
俺の胸を両手で押してきた。
ぬぽっ
ゴパァ・・・
ペニスを引き抜くと、ダムの放水のように精液が溢れてきた。俺のペニスからはまだ少し精液が飛び出し、スクール水着を白く汚した。鶴屋さんの股間には、白い水溜りができている。
「はあ・・・はあ・・・」
鶴屋さんに覆いかぶさったまま、俺は息を切らしていた。汗の雫が鶴屋さんの頬にかかってしまっていたが、嫌な顔をされることは無かった。
「ふふっ、やっと鎮まったねっ。」
ペニスは元の大きさに戻っていた。
「つ、鶴屋さぁん・・・。」
「ん?何だい?」
「もう、だめですぅ」
すべての体力が無くなり、自分の体重すら支えられなく俺はそのまま鶴屋さんの体に倒れこんでしまった。
「ぶはあっ!重い、重いよキョンくんっ!」
その声を聞いても、俺は体をどかすことができなかった。鶴屋さんは俺の頭を撫でながら
「あはっ疲れたかいっ?」
あなたは何故元気なんですか。
「何言ってんのさっ!あたしだって死ぬかと思ったよ。キョンくん容赦なく突いてくるんだもん。」
よく見ると鶴屋さんの頬はまだ赤く、汗もかいている。てか、震えてるじゃないか。
「こ、これはまだ体が火照ってるのさっ。」
鶴屋さんは片目を瞑り親指を立ててきた。その親指も震えている。そうか、俺を不安にさせまいとして・・・。本当はこの小島に流れ着いてから、鶴屋さんが一番不安だったんじゃないだろうか。
「鶴屋さん、俺・・・、」
言いかけた俺の唇を、鶴屋さんがその親指で塞いだ。唇に触れるその指は、震えていなかった。
「その先は・・・、言っちゃダメ。うん。今日のことは、今日だけの思い出なのさっ。」
その時の鶴屋さんの笑顔は、何百枚の原稿用紙を使っても書き表せない量の感情を俺に伝えてきた。ああ、やっぱりこの人には敵わない。俺は心に確かに湧いたこの感情を一旦封印することにした。
その後古泉たちの乗るボートに発見されるまで、体温の低下を防ぐため俺達はぴったり寄り添っていた。それをハルヒに見られた後、ジト〜ッとした視線を元の浜辺に戻るまで向けられたが、緊急事態だったこ
ともありそれ以上の追求をされることは無かった。何より警察沙汰になる前に見つけてくれたので、親にばれずに済んだことが一番安心した。
えっ?鶴屋さんとはその後どうしたかって?別に何も。ハルヒ達に見つからないようたまに二人きりで会うくらいさ。
海には行っていない。ハルヒに禁止されているからな。
終わり