世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団による奇天烈で荒唐無稽な  
毎日を過ごしているうちに、俺たちはいつのまにか一年生を修了して  
二年生になってしまっていたのだが、それでもクラスのメンバーを見てみると  
やはり俺の後ろにはあの奇天烈で荒唐無稽な毎日を連れてくる女がいて、  
そこに機関その他もろもろの陰謀を感じながらも、俺はまたSOS団  
団員その一として奇天烈大百科な毎日に身を投じていくのであった。  
その時は四月の終わりですっかり桜も散ってしまい、これから五月病という取って付けたような病気にかかる奴らが続出しだす季節で、俺もその例外に漏れずにしっかりとその五月病を先取りしていた。  
俺はその日も授業が終わったその足でSOS団の部室へ行き、  
朝比奈さんの御手から注がれるお茶を堪能しながら古泉とチェスに明け暮れるという  
何の変哲もない一日を終え、そしてその次の日の朝、事件は突然起こった。  
 
 
「キョンくんキョンくん、あっさだよー」  
お袋から俺を起こすように頼まれた妹のフライングボディプレスで  
俺は目を覚ました。ん?妹軽くなった?  
「キョンくん、今日からハルにゃん達と旅に出るんでしょ?」  
俺の上に乗っかった妹がわけの分からないことを言っている。  
旅?ハルヒと?お兄ちゃんはこれから学校に行くんだぞ?  
「学校?でも、ハルにゃんは旅の準備して酒場で待ってるよ?」  
酒場?なんであいつがそんなとこにいるんだ?  
俺は起きて辺りを見回した。部屋の全てがまったく別の物になっている。何だ?ハルヒか?  
「それじゃ、キョンくんは起きたからシャミにごはんあげてくるねー」  
そう言って妹はきゃっきゃと笑いながら俺の部屋を出ていった。  
 
妹が出ていった後で俺は見慣れない自分の部屋を見回してみる。  
辺りにはダンベルとかトレーニングの方法論とか西洋の武器の雑誌とか  
そんなんばっかだ。  
そして大きな姿見がある。俺は記憶を改変されてナルシストにでもなって  
しまったのだろうかとか余計なことを思いながら鏡を見て、俺は驚愕した。  
体中に逞しい筋肉が付いている。SOS団の生活は確かにきついが、いくら何でも  
ここまでビルドアップされるような肉体の酷使はしていない。  
俺はこの状況から早く逃げ出したくなって、長門を捕まえに出掛けることにした。ハルヒと一緒に酒場にいるのかもしれない。  
俺の服はやけに中世じみていたが、不思議なことに何をどう着ればいいかはすぐに分かった。  
 
外の光景はこれまた見たこともない中世の田舎城下町なだったが、  
俺はなぜだかこの町を知っているような気がした。現に酒場までの道のりに迷うことはなかったし、ちょっと先に見えるお城のなかにも俺は入ったことがある気がした。  
 
とりあえずボーっとしていても埒があかないので、俺は酒場のドアを開けると、  
「遅いわよ!キョン!」  
武道着を着たハルヒは屈強な冒険者に紛れながらカウンターに座って待っていた。  
俺は諦めたように財布の中身を確認する。やはり貨幣も日本円ではなかったが、  
やはりお金の使い方も大体分かった。  
「じゃ、ビール奢りね」  
ハルヒは至って普通に要求してきた。  
おい、未成年だろ。いくら何でもフォローしてやれないぞ。  
「はぁ?何言ってんのキョン、私もう16よ?」  
…16はこの世界では大人なのか。それじゃあ俺も飲んでみようと言うことで、とりあえず飲み物を頼むことにした。  
あ、生中二つお願いします。  
「遂に私たちも旅に出て名を上げる時が来たようね!」  
ハルヒは記憶を改変されたらしい。名を上げる?さっぱりわけがわからないな。  
「何言ってるのキョン!私たちは勇者一行として魔王を倒しに行くんじゃない!」  
……何だかすごい壮大な話だな。そうだ、他のメンバーはどうした?長門はいるのか?  
「もうすぐ来るわ。古泉くんもね。」  
「あっ、キョンくんおはようございます」  
ウェイトレス姿の朝比奈さんが生を持ってきてくれた。  
何だこの爽やかな朝の始まりは。いいね。実に良い。  
「うふ、ゆっくりしていってくださいね。」  
どうやら朝比奈さんはこの店の看板娘のようだ。さっきから冒険者に話し掛けられたり  
口説かれたりしている。  
誰だ今朝比奈さんの可愛らしいお尻を触ったのは。表に出ろ。  
などと俺が遠目から憤りを見せていると、  
「……」  
「いやあ、遅くなってすいません」  
長門と古泉もやってきた。長門は魔女の格好に鈍器みたいな分厚い本を持っている。なんかシュールだ。  
「鶴屋さんはまだ来ていないようですね。王さまの話が長引いているのでしょう。」  
古泉は肩をすくめている。こんな話をする辺りこいつもどうやら改変に巻き込まれたらしい。  
俺は挨拶もそこそこにハルヒと離れて長門と話すことにした。  
 
「どうなってるんだ一体。」  
「わからない。わたしの記憶の一部も切り取られてしまった。」  
長門は本を読みながら話す。お前だけが頼りだったのに、まずいな…。  
 
「切り取られた私の記憶はこの本の中と、ダーマ神殿に隠されている。  
そこにいくまでにこれを読み終えないといけない。」  
そうか、それならさっさとその何とか神殿に行かないとな。  
こんなへんてこ世界で改変に巻き込まれてないのが俺一人なんて気が変になりそうだ。  
「ダーマ神殿に行く前にあなたが戦い方を知らないとパーティーが全滅する。  
これからこの世界について知っている限りを話すから、聞いて。」  
とりあえず俺は長門の話を黙って聞くことにした。  
「この世界は涼宮ハルヒ自身が作ったものではなく、涼宮ハルヒの力を利用して作られた世界。  
舞台は中世をベースにしたもので、魔王が世界に君臨している。  
五月から六月の終わりまでの二ヵ月間がタイムリミットで、それまでに  
魔王を倒せなかったり時間切れになったり、全滅したら強制的に  
振り出しの五月一日に戻される。」  
セーブとかはないのか。不親切設計だな。  
「ない。でもこの世界は戦闘により死亡しても蘇生させることができたり、  
五時間ほどの睡眠を取れば体中の傷を完治させたりすることが可能。」  
それはある意味凄い世界だ。  
「私の記憶が戻った時点で世界を改変することも可能だけれど、  
その場合は五月病でフラストレーションのたまった涼宮ハルヒがまた  
夏休みをループさせることになる。」  
ということは、こっちで魔王とやらをやっつけたほうがいいんだな?  
「そう。因みに現在23回目のループで1年と10ヵ月経っている。全滅しても  
僅かな戦闘データは残るから、あなたの初期身体能力も、  
若干上がっているはず。」  
朝起きていきなりムキムキだったのはそれか。やっと謎が解けた。  
「あと、気を付けてほしいことが一つ」  
何だ?と尋ねる前に、もう一人の仲間がやってきた。  
「やっほー、やっと王様の話がおわったよっ、私疲れちゃった!  
みくるーっ、生一つ!」  
鶴屋さんだ。とりあえず俺たちは合流することにした。  
「よし!鶴屋さんも来たことだし、そろそろこれからの計画を立てましょう!」  
「まずは全員の武器防具を集めないかい?そのついでにレベル上げにょろっ」  
そう言えば俺たちは魔王を倒す旅に出るのに丸腰だな。  
鶴屋さんが王さまから貰ったのは数十ゴールドと棍棒、檜の棒。多分俺たちが  
魔王をどうにかしてくれるなんて微塵も期待してないのだろう。  
俺にだって実感が沸かない。でも元に戻るためにそれしかないならやるだけだ。  
 
「そうね、それがいいわ!特にキョンは強い武具がないと使い物にならないし。」  
何だと?どういう意味だそれ。  
「あなたは戦士ですから、動きが鈍くて狙われやすいんです。」  
小泉がいつものスマイルで解説する。  
「しかし力が強くて重装備が出来るので、強い装備を買えばチームの主戦力となるんですよ。」  
なんだかえらい不器用かつ危険な役どころだな。まるで現実世界の俺だ。お前は何だ?  
「僕は盗賊です。主に敵から逃げたり洞窟の散策などに長けています。  
ダンジョンに行くときには欠かせない役どころでしょう。」  
やはりお前はどこまでも解説的な役どころか。じゃあ、ハルヒは勇者か?  
確か俺たちは勇者一行らしいからな。  
「私は武道家。素早い動きと会心の一撃で敵を薙ぎ倒すチームのリーダー  
かつ切り込み隊長よ!」  
あれ、お前は勇者じゃないのか。意外だな。  
「勇者はあたしだよ!、っていっても只の七光りなんだけどねっ。あと  
私はチームの名誉顧問らしいからよろしくね!」  
あぁ、鶴屋さんが勇者でしたか。それなら頷けます。長門は…大体想像が付くな。  
「私は魔法使い。よろしく。」  
記憶が改変されても不思議な力は使えるようだ。よかった。  
「それじゃ、早速資金集め始めましょ!ほらっ、みくるちゃんも来るのよ!」  
「ふえぇっ!な、なんでですかぁ!?」  
何やってんだ。朝比奈さんはただのウェイトレスだぞ?  
「商人見習いよ!うちの金庫番に今決まったわ!」  
なんじゃそりゃ。おい、他の客からもブーイングが来てるぞ。  
「うう…分かりました。皆さん、私が居ない間もお店に来てくださいね?」  
朝比奈さんに涙目でそう言われたら誰だって断れない。反則ですよそれ。  
店はたちまち野太い声で大騒ぎになり、  
朝比奈さんお別れパーティーと称してビールが飛ぶように売れていた。  
全員ダメだこいつら。  
 
酒場を出た俺たちは二手に別れて行動することにした。6人で歩いていると  
化け物が全部逃げてしまうのだそうだ。くじ引きの結果は俺、ハルヒ、朝比奈さん。  
鶴屋さん、古泉、長門という感じだ。鶴屋さん達は外れにある洞窟で稼ぐらしい。  
俺たちは城の外周辺をうろつきながら、化け物たちを探していた。  
なんでも化け物たちは魔王が出てきてから一緒に沸いてきたらしい。  
迷惑なこって。  
「とりあえず、みくるちゃんは敵が落としたお金は残さず拾ってね」  
「は、はい、わかりました…」  
朝比奈さんはおどおどしながら歩いている。最近は旅人くらいしか  
町の外には出ないらしい。それだけ魔物が増えているとのことだ。  
大丈夫ですよ朝比奈さん。朝比奈さんを傷つけるような不届きな輩は俺が  
全部屠りますから。  
「鼻の下伸びてるわよエロキョン。真面目にやんなさい!」  
はいはい、魔物が出てきたらねってうわっ!  
「ひ、ひぃぃぃぃ!まっ、まものー!」  
数匹でぞろぞろやってくる異形の数々。朝比奈さんはすぐに俺の後ろに隠れた。  
「早速お出ましね!行くわよ!」  
ハルヒは水を得た魚のように急に元気になり、異形の軍団の真ん中めがけて  
飛び蹴りをかました。おい、そんなとこに着地したら囲まれるぞ。  
「ちょっと、キョンも手伝いなさいよ!」  
ハルヒは回し蹴りで魔物の群れを散らしたが、囲まれていることに代わりはない。  
あんなとこに飛び込みやがって。  
俺は棍棒を振り上げながら、ハルヒの背後にいる青いプリンみたいな化け物に  
一撃をくれてやると、ハルヒと背中を合わせて棍棒を構え直した。  
「わざわざ囲まれに行くようなことすんな」  
「旅始まって初の戦闘なんだから、ちょっとはしゃいでみただけよ!」  
顔は見えないが、ハルヒは恐らくすごい楽しそうに笑っているんだろう。  
しばらく膠着状態が続いたが、  
痺れを切らした一匹の青プリンが飛び込んできたときに俺は棍棒で  
そいつにフルスイングをくれてやった。  
そこからハルヒはまた暴れだし、素早い動きで一気に数匹を凪ぎ払う。  
朝比奈さんは流れ弾みたいにやって来た一匹の青プリンをぺちぺち叩いていらっしゃった。  
とりあえず心配はないようだ。  
 
戦闘終了。疲れた。  
ハルヒによれば今のは一度に出てくるにはかなり多い方らしい。  
十匹くらいいたか。  
確かにこれじゃ剣でも持ってないとまともに外には出れないな。  
実は王さまは黒幕で、始めから俺たちを殺す気だったのかもしれない。  
朝比奈さんは敵が落としたお金を残さず拾っている。普通の冒険者なら戦闘中に  
飛び散ってしまった敵の細かいお金は放って置いてしまうんだそうだ。  
「んしょ、んしょ」  
というお声が非常に可愛らしい。  
その後も俺たちは魔物の群れや単独で行動している奴らを奇襲し、  
経験値とゴールドを巻き上げていた。どっちかと言えば俺たちのほうが悪に見える行動だ。  
金も大分貯まり、徐々に疲弊してきたので城の北にある  
レーベという村で集合する。そこにはボロボロの長門とさらにボロボロの古泉、  
そして傷一つない鶴屋さんがいた。朝比奈さんは道具屋に買い出し、  
ハルヒは宿屋の予約に行っている。ところで古泉、このボロボロ具合は  
一体どういうことだ。  
「あの洞窟は外よりも魔物の数が多いんですよ。その中で散策したからこの通りです。」  
いつものスマイルは欠かさない。それなら鶴屋さんはなぜ無傷なんだ。  
「彼女の剣の腕は天賦のものです。彼女がいなかったら僕も長門さんも  
とっくに死んでいたでしょう。」  
何だって、鶴屋さんそんなに強いんですか?  
「一通りの武術は習ってたからねっ!キョン君も分からないことがあったら  
遠慮しないでお姉さんに聞くんだよ?」  
頼もしい仲間だ。俺も今度剣を教えてもらうことにしよう。  
「ふぅ…、ただいまー」  
朝比奈さんが大きな道具袋を引きずって帰ってきた。そんなに沢山あるなら  
俺も行けば良かった。次は呼んでくださいね。  
買ってきたものは全員分の装備と薬草少々だった。稼いだ金と値札が  
噛み合わないのは朝比奈さんが値切った結果らしい。朝比奈さんを連れてきてよかった。  
これで明日から大分楽になる。そこに、  
「宿取れたわよ!」  
ハルヒの威勢のいい声が響いた。今日はもう遅いから、ゆっくりして  
疲れを取らないと。ほら、いくぞ長門、本は宿の明かりで読め。  
 
ハルヒが取った部屋は、ベッドの二つある一部屋だけだった。お値段は二人分。  
こういう宿の取り方は貧乏旅行にはつきものらしい。  
ふざけんな。  
俺は旅の始めから終わりまで古泉とベッドを供にすることに  
暗澹たる気分を感じながら、風呂で汚れを落とし、眠りに就くべく  
ベッドに向かうのだった。  
 
鶴屋さんとハルヒはぎりぎりまで稽古をして戻ってきた。  
熱心だな二人供。俺も付いていけなくなると困るから明日から参加しよう。  
しかし、二人が稽古をしていたのは別の意味があったことを、  
俺はすぐに身をもって味わうことになる。  
「それじゃ、お休みなさい」  
おやすみ、朝比奈さん。  
「キョン!みくるを襲おうったってこっちには私と鶴屋さんがいるんだからね。  
無駄な抵抗はやめなさい!」  
ふざけんな、俺は紳士だ。馬鹿言ってないで寝るぞ。  
俺がそう言うと、長門が俺を情感のこもらない瞳で見つめてきた。  
何だよ。お前も俺がなんかすると思ってんのか。  
「有希も気を付けなさい。アイツは一度キレたら見境が無いからね。」  
もう何とでも言ってくれ。今日はもう疲れ…  
 
てない。眠くない。  
古泉は今日はよっぽど疲れたのだろうか、ぐっすり寝ている。  
しかし俺は急にこんな変な環境に放り込まれてリラックスできないのだろうか。  
なぜかギラギラしている。まいったなと思いながら隣のベッドに目をやると、  
長門がこちらを見ていた。そのままゆっくりとこっちへ来る。  
「あなたに言いそびれた注意が一つ。」  
何だ。  
「戦士タイプの職業病について。あなたは起きている間は常に体に  
負荷をかけなくてはならない。そうしないと体にフラストレーションが  
貯まることになる。それが今。」  
つまり俺は根っからの筋肉バカになってしまったのか。なんか悲しいぞ。  
「これは戦士、武道家、そして勇者の宿命。そしてフラストレーションが  
性欲に転化すると非常に危険。この世界に避妊具は存在しない。」  
わかった。今度から気を付けるよ。明日から夜の稽古には絶対参加しよう。  
「いい。今回は私のミス。」  
そういうと長門は、自分の布団に戻っていった。  
俺がそんなエロ体質になっていたなんて知らなかったぞ。  
この鍛え抜かれた体には代償があったなんて……。  
俺は軽いショックを覚えながら、無理矢理にでも寝ようと目蓋を閉じる。  
しかし結局色々なことを悶々と考えてしまうという、眠れないとき特有の  
あの最悪パターンに陥ってしまうのだった。  
無事に戻れるのだろうか。  
鶴屋さんはどのくらい強いのだろうか。  
俺はどこまで強くなれるのか…。  
そう言えば朝比奈さんのウェイトレス姿はたまらなかった。  
お尻を触られてたっけ。  
あのお尻はどんなにやわらk  
 
……何を考えているんだ俺は。  
俺は隣のベッドに目をやる。皆寝息をたてていた。誰でもいい。むしゃぶりつきt  
……非常にまずい。すでに股間はテントを張っている。だからハルヒは俺に  
あんなことを言ったのか。これ以上この部屋にいたら  
本当におかしくなりそうだ。  
仕方ない。寝るのは諦めて外で体動かしてこよう。  
「…キョン?」  
ん、悪いなハルヒ、起こしたか?でも今の俺に構いすぎると危ないぞ。  
「やっぱりムラムラしてるじゃない、このエロキョン。」  
悪かったよ。皆には迷惑かけないからさ。  
「ちょっと待ちなさい。明日に疲れを残したら宿屋の意味無いじゃないの。」  
「しょうがないなぁキョン君!でも毎日はやってあげないからねっ?」  
鶴屋さんも起きてたんですかってあだだだだだだ!  
鶴屋さんに関節をかけられてベッドに押し倒された。  
俺より力は強くないが、身体の使い方がうまいのだろうか、  
俺は寝ている姿勢から動けない。俺は既に上半身を脱がされている。  
「一体何の騒ぎですか?」  
古泉が起きてきた。傷が大分塞がっている。これが宿屋の効果か。  
「古泉くん、悪いけどちょっと向こうの布団に移ってくれる?」  
古泉はハルヒと鶴屋さんに取り押さえられている俺を見て状況を判断したのか、  
「わかりました。どうぞ続きを。」  
いつものニヤケスマイルを浮かべて隣の布団に行ってしまった。  
朝比奈さん達も既に起きていて劣情に支配された俺を昼メロの  
濡れ場を見るような目で見ていた。  
俺はすっかりベッドに手足を括られて身動きが取れないようになっている。  
「やっと出来たわね。それじゃ、すぐに終わらせるわよ!」  
「キョン君、このことは魔王を倒した後もずっと内緒だからね?」  
二人は服を脱ぎだした。月明かりに照らされた二人の裸体に、  
俺はたまらなくなって意志に関係なく腰を動かしてしまう。恥ずかしくて  
死にたくなってきた。  
「ふふ……そんなに嬉しいのかい?こっちも抜き甲斐がでてくるねっ」  
鶴屋さんは妖しげな笑みを浮かべると、俺の顔に手を添えて、唇を重ねた。  
くちゅっ、くちゅっ、とかなりいやらしい音をたてている。  
舌を入れた辺りから、羞恥心が飛んでいった。堪能するように舌を絡め合い、吸いつく。  
「ハルにゃん……、本番はダメだからね?」  
ハルヒは俺の股間を物欲しそうに眺めていた。鶴屋さんにそう言われて  
ハルヒは諦めたのか、俺の乳首を刺激しながら、肉棒をしごきあげる。  
 
触れ合う肌の感触が、一物を掴む手が、柔らかい。気持ちいい。  
女の子ってこんなに気持ちいいのか。何も考えられない  
「あっ、あっ、あぁあ〜…」  
情けない声を上げながら、俺は一発目を出した。  
「どう?キョン、気持ち良かった?」  
あぁ…最高だ。  
「ちょ…、私も、ムラムラしてきちゃったよっ…」  
散々舌を絡めたからだろうか、今度は鶴屋さんが来てしまった。  
「ハルにゃん…私の道具袋、取ってくれるかな?」  
鶴屋さんは袋から、ローションを取り出した。  
「私も、一人の時は、よく劣情に襲われるからねっ、こうして、  
持ち歩いてるんだよ…」  
鶴屋さんはローションを自分に使って、自分でいじりだす。  
「ハルにゃん、キョン君を宜しくっ」  
そして鶴屋さんはお掃除フェラを始めた。イキたてホヤホヤだから痛気持ちいい。  
「キョン、片手だけ解放するから、おっぱい触って」  
ハルヒは片手の縄を解くと、俺の唇を奪って、しながら俺の手を胸に誘った。  
俺は待ってましたとばかりにハルヒの胸をもみしだく。  
鶴屋さんのフェラが気持ち良すぎて舌がうまく動かない。  
ハルヒのされるがままに舌を蹂躙されて、その快感に俺はまた勃起してしまった。  
「じゃ…、キョン君そろそろいいかなっ…はぅ…」  
鶴屋さんがローションを俺の下半身にもかけてきた。  
ぬちゃぬちゃして気持ちいい。  
ハルヒは俺のもう片腕を解放すると、それを枕にしてキスをやめてしまった  
「アンタも見学しなさい。」  
という無茶な要求をしてくる。鶴屋さんは俺のモノの上に乗った。  
鶴屋さんまさか  
「ん?入れてほしいの?でも産まれてくる子は  
魔王討伐の為の英才教育だよっ?」  
何だ…入れるつもりはないらしい。  
鶴屋さんは俺の肉棒をそのまま腰をつかって擦り始めた。  
「ああっ!キョンくんっ!キョンくんいいっ!」  
鶴屋さんのボルテージが最大値にまで達した。  
そして俺も気持ちいい。  
ハルヒはまた俺の乳首を噛んで責めている。開発しているのだろうか。  
朝比奈さんはしっかりと眼を開けて見つめており、古泉はニコニコしながら  
傍観し、長門は至って無表情だ。こういうときの長門は恐い。  
うっ、そろそろ出そうだ。腰がむずむずする。  
「きょんくん…、はっ、そろそろわたしも、あっ、限界だよ…ああっ!」  
鶴屋さんは俺と同時に果てた。ビクンビクンしながら俺の胸の上で倒れている。  
射精したからだろうか、急激な眠気が……  
 
 
次の日、結局みんなきちんと睡眠時間がとれたらしく、全快していた。  
今日は作戦会議により、  
洞窟に繋がる塔の探索チームとしてハルヒ、鶴屋さん、古泉。  
いろいろ稼ぎチームとして俺、朝比奈さん、長門に別れることが決定した。  
「キョン君…もう大丈夫なの…?」  
昨日の一件で俺は朝比奈さんからの信頼を大幅に失ったらしい。  
ほとぼりがさめるのはいつだろう。とりあえず世界が元に戻ったときにもこの記  
憶が修正されていなかったら、俺は登校拒否を考慮に入れねばならない。と思い  
悩んでいたら、  
「あれは戦士タイプの職業には仕方の無いこと。それを責めるべきではない」  
「そ、そうですよね、ごめんなさい、キョン君…ぐすん」  
あっさり許してくれた。俺は思わず長門の配慮に泣きそうになる。  
「でも、意図的に毎日やったら許さない」  
長門は氷点下50度の目でじっと俺を見る。恐い。長門恐い。  
 
この日はアリアハン大陸を出て、ロマリアを抜け、途中彷徨う鎧に殺されそうに  
なりながらも無事カザーブの村に到着。ここで俺たち稼ぎチームの本領発揮。ハ  
ルヒは鉄の爪を手に大いに喜んでくれた。そして許してくれたらしい朝比奈さん  
は俺にプロテインを買ってくれた。やばい地味に嬉しい筋肉バカな自分が憎い。  
夜には道具家の宝箱から毒針を拝借し、宿屋へゴー。そして…  
おいハルヒ、夜の稽古いこうぜ  
「ねぇキョン…今夜私としない?」  
ハルヒ……非常に勝手で悪いんだがあれは緊急時以外は止さないか?  
戻れなくなるぞ?  
「何よ!キョンばっかりずるい!あたしまだ一回もイッてないんだからね!」  
あっ  
「それに今日はもう二部屋予約しちゃったんだから!」  
わかった、わかったよ…これでおあいこだよな?  
 
これでこの旅での火遊びは最後にしようと思う。俺自身この旅を通して  
強くなってみたいという欲望が湧いてきたからだ。  
そう、例え魔王を倒してこの記憶が身体データごと改変されたとしても。  
つまり俺はこの「戦士」というロールプレイにすっかりはまってしまっていた。  
今では、みんなが打ち漏らした敵を屠るこの役を楽しめるようになってきた。  
今は現実世界では五月二日。だが五月病など、すっかり解消してしまっていた。  
 

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