季節は夏本番。の少し前。とても天気が良く本番前なのにいかにも夏本番らしい日。高校生活二年目  
に突入した俺は幾度となく苦汁を舐めさせられている、テストという俺との相性最悪の紙切れと格闘す  
る期間を乗り切り最終日を終えた。ちなみに何の因果か、二年になっても同じクラスになってしまった  
団長様はやはり二年になっても相変わらずで、試験中は奴の寝息により時計を見ずとも残り時間が分か  
るようになってしまった。いまいましい。  
 
 まぁ察していただいたとおりに進級してもSOS団は元気に活動しており、この試験期間中も例に  
よって例のごとく活動していた。そして俺も律儀に毎日部室に顔を出し、朝比奈さんの淹れてくださる  
甘露で疲れを癒しつつ古泉を痛い目に遭わせ、テストのことを考え少し憂鬱になっていたのだった。  
 
   
 さてその憎きテスト期間を終え、俺が解答用紙の朱色のペケによるダメージを受けるまでの束の間の  
休息をあの部室で潰そうかと席を立ったところで、  
「今日はあたし用事あるから部活休みね! 古泉くんと有希には言ってあるけどみくるちゃんだけ捕ま  
えられなかったのよね。たぶんもう部室に居ると思うからあんたから言っといて」  
 ハルヒからの業務連絡が耳に入ってきた。そうか、今日は休みか。っていうかなんでクラスの違う古  
泉や長門には連絡しておいて一緒のクラスの俺はこんなにギリギリなんだ? あと朝比奈さんの居る場  
所に見当がついてるなら自分で言いに行けよ! なんて不満が頭を駆け巡っているうちに、ハルヒは  
じゃーね、と言って帰っていってしまった。愚痴を言っても仕方がないので、俺はしっかり手を振って  
やったよ。じゃーなハルヒ。やれやれだ。  
 
   
 部室に向かいながらふと空に目をやると、少し雲行きが怪しくなっている。こりゃ一雨来るかもな。  
早いとこ朝比奈さんに本日の活動内容を告げて帰らねば。と、だらだらと考えていると見慣れたドアが  
目の前にあった。どうやら部室に着いていたらしい。まったく習慣というものはすごいもんだなと感心  
しちまったぜ。下手すりゃ目を瞑っていても教室からここまで来られるんじゃないだろうか。まぁ無理  
だろうけどな。そしてこれも習慣となってしまったノックをすると、はぁい、と愛らしい上級生の甘い  
声が聞こえ、俺は少しほっとした。っていうかホントに居たんだな。  
 
 部室の中に入るとすでにSOS団専属メイドへと姿を変えた朝比奈さんが居た。  
「こんにちはぁ。遅かったんですね〜」  
 朝比奈さんは椅子からすっと立ち上がり、微笑みながら言った。  
「こんにちは。お待たせしてすみません。あと今日の部活は休みだそうですよ。ハルヒは他の二人には  
言っておいたから朝比奈さんに伝えておくように、って言って先に帰っちまいました」  
「そうだったんですか。わざわざありがとう。えっと、ごめんね、キョンくん」  
 入り口に突っ立ったままの俺のところまでぱたぱたと駆け寄ってきて、少し不安そうにもじもじと上  
目遣いで感謝と謝罪の言葉を並べた朝比奈さんにクラクラしながら、  
「いえいえ、お安いご用ですよ」  
 なんとか返答した。  
「うふふ、ありがとう。じゃああたしは着替えるから先に帰ってて」  
 俺はにっこりと言う朝比奈さんに一礼して部室から出た。  
 
 すると、パシパシと不吉な音が廊下の窓のほうから聞こえ、そちらを見ると雨が降り始めていた。ち  
くしょう、やっぱり降ってきやがったか。空は先ほどよりもどんよりとしており、遠くではゴロゴロと  
音がしている。やれやれ、しょうがない。雨が上がるまで部室に居よう。朝比奈さんが出てくるのを待  
ちつつぼーっと空を見ていると、いつの間に横に居られたのか制服姿の朝比奈さんが、  
「雨、降ってきちゃいましたね……。どうしよう」  
 と、悩ましげに空を見つめていた。  
 俺は空を見たまま、思案顔の朝比奈さんに部室で雨が上がるまで待ってますよと告げた。通り雨だろ  
うしな。すぐやむに違いない。  
「そっかぁ。じゃあ、あたしもそうしますね!」  
 にこにこと笑顔の朝比奈さん。  
「なにか用事とかないんですか?」  
「うん。傘も持ってないし……」  
「それじゃあ雨が上がるまでオセロでもしてましょうか」  
「そうですね〜。あっ、キョンくんはもうお昼食べましたか?」  
「いや、まだですけど」  
「じゃ、じゃあ一緒に、食べましょうか?」  
「ええ、構いませんよ」  
「よかったぁ……。じゃあ今鍵開けますね」  
 そう言うと朝比奈さんはかちゃかちゃと鍵を開け始めた。なにかるんるんとした様子であったのは俺  
の気のせいだろうなぁ。きっと。  
 
 
 部室に朝比奈さんと揃って入ると、俺は定位置へと腰掛けふっと息をついた。  
「お茶淹れるからちょっと待っててね」  
「いつもすいません、ありがとうございます」  
「ふふっ、いいんですよ〜。好きでやってますから」  
 どうやら朝比奈さんはこの一年で茶を淹れることが楽しくなってしまったようだ。まさか自分が未来  
人であるということを忘れてしまっているのではないのだろうか。本気でありえそうなので、俺は少し  
心配してしまった。大丈夫なんですよね? 朝比奈さん。  
 そんな俺の不安を知ってか知らずか朝比奈さんはちょこまかとお茶を淹れている。いつもの見慣れて  
いるメイド服ではなく、制服でお茶を淹れる姿はなんとなく新鮮だった。まぁ今はそんな未来人なんて  
設定は忘れてゆっくりしよう。俺はそう思い、朝比奈さんを眺めながらのんびりと過ごすことにした。  
うん、こういうのも悪くないな。むしろ好ましいかもしれない。きっと試験に耐えた俺へのご褒美だろ  
う。ありがとう、ハルヒじゃない神様。  
 頬杖をつきぼんやりと朝比奈さんを眺めながら横目で窓の外を見ると、依然雨は降ったままだった。  
むしろさっきよりもひどくなっているようで、外も随分暗くなっている。当然部室も薄暗くなっており、  
電気を点けないと陰気くさくてたまらない。なんでこういう雨の室内の雰囲気っていうのはこうももの  
悲しいのかね。  
「お待たせしました〜。遅くなってごめんね」  
 ことり、と俺の前に湯飲みを置きながら朝比奈さんが言う。  
「いえいえ、そんなことないですよ」  
 朝比奈さんをじっくり観察することができましたからね。なんてことは言わないさ。引かれること間  
違いなしだからな。  
「じゃあ飯食いましょうか」  
「そうですね。ん、しょっと」  
 朝比奈さんも定位置に、つまり俺の隣に腰を下ろした。  
「朝比奈さんも弁当なんですか?」  
「そうなんですよ〜。ちゃんと作ってるんですから」  
 そう言う朝比奈さんの手の中には女の子らしい小さな弁当箱があった。  
「そうなんですか。大変じゃないですか?」  
「そんなことないですよっ。お料理するの楽し――きゃっ!」  
 ピカッと空が光ったかと思うと、間もなく轟音が響き渡り、部室が一気に明るさを失った。同時にど  
んっ、と体になにかがぶつかる衝撃。朝比奈さんの言葉は轟音に途切れ、小さな悲鳴へと変わった。そ  
うか、今の衝撃は朝比奈さんが俺に抱きついてきたんだな。どうりで豊かで柔らかな二つのふくらみを  
否応なしに腹に感じたり、朝比奈さんの髪から香るシャンプーの香りにくらくらしたりしてるんだな。  
俺は。それにしてもすごい音だったな。ビクッとしちまったぜ。お隣さんからは断末魔の叫びが聞こえ  
る。ホントご愁傷様です。ってそうじゃないだろ! 俺!  
 
「どうしたんですか!? 朝比奈さん!?」  
 なんとか持ち直して未だ俺にしがみつき胸に顔を埋めたままの朝比奈さんに訊いた。  
「……ちょっと、びっくりしちゃって……。ごめんね、キョンくん」  
 ……なんてことだ。ふるふると震えておられるではないか! 雷の野郎、実体があれば一発殴って  
やってるところだ。  
「本当に大丈夫ですか?」  
「うん。大丈夫……」  
 朝比奈さんは掴むカッターシャツをキュッと握り直した。ちらと上目遣いに俺を見上げる。いかん。  
ドキドキする。朝比奈さんはうるうると涙の滲む大きな瞳を伏せると、ごめんね、と呟いて震える体を  
軽く俺にあずけてきた。  
 ……だめだ。これは本当にまずい。先ほどから感じていた朝比奈さんの感触がより強く感じられてし  
まう。朝比奈さんの息づかいとか鼓動とかじんわりと暖かく濡れるカッターシャツとかがやばいぐらい  
感じられる。……うんっ? なぜシャツが濡れてるんだ? 不審に思った俺は朝比奈さんを見た。朝比  
奈さんは相変わらず俺の背中に腕をまわし、胸に顔を埋め、肩を震わせている。しかし、時折すんすんと  
鼻を鳴らすような音が聞こえている。……朝比奈さん、泣いてるのか!?  
「朝比奈さん!? どうしたんですか!?」  
 俺の言葉にびくんと大きく震えた朝比奈さんは、ゆっくりと顔を上げた。その顔には涙がつけたであろ  
う濡れた跡が残っており、さらには現在進行形で目尻に大きな水玉が溜まっている。  
「ごめんなさい、キョンくん。ごめんなさい……」  
「なにを謝ってるんですか!?」  
「なんでもないの」  
 そう言うと朝比奈さんは抱きつく腕の力を少し強め、再び俺の胸に顔を埋めた。なんでもないことないん  
じゃないのか? マジで。  
 
 
 しばらく朝比奈さんが俺の胸で泣いている間、俺の腕は所在なさげに朝比奈さんの背中の後方をふらふら  
と行ったり来たりしている。さて、どうしたもんかね、これは。それに今まで何度か朝比奈さんと接触した  
ことはあるが、こんなに長い間密着しっぱなしというのは未知の経験だ。いい加減理性が……ってだめだろ!  
理由はわからんが泣いておられる朝比奈さんに劣情を抱くなんて許されないだろ! 犯罪だ! 落ち着け、俺!  
「ごめんなさい、キョンくん。ちょっとびっくりしただけだから……」  
 馬鹿なことを考えながらも俺はしっかりとその呟きを耳にした。  
「えっと、もう落ち着きましたか?」  
「うん、ごめんね。ありがとう」  
 顔を上げずに朝比奈さんが答える。確かにもう震えてはいないし、多少涙声ではあるが大丈夫なようだ。  
依然として抱きついたままの状態ではあるが。  
「あの、キョンくん」  
「なんですか?」  
「も、もうちょっとこのままでいさせてください……」  
「――ええ、いいですよ」  
 いいのかよ! 俺! 内心動揺しまくりでいいですよと言い、さらにテンパるという自虐コンボを  
披露する俺。そんな俺を見上げ朝比奈さんはにこりと微笑んだ。ああ、もうだめだ――。  
 視線を部室の天井あたりに向けたまま、俺は朝比奈さんをぎゅっと抱きしめた。ぴくんっと震えた  
小さな体はすっぽりと腕の中に収まってしまう。やっちまったぜ。ああ恥ずかしい。朝比奈さんは  
怒っていないだろうかと視線をそちらに向ける。  
「……ふふっ、キョンくん。あったかいです」  
 腕の中の朝比奈さんは嬉しそうに微笑んで、俺の胸に頬をすり寄せている。  
 
「キョンくん」  
 次に聞こえたのはもう涙声ではなくなった真面目な声。朝比奈さんを見ると真剣なまなざしをこちらに  
向けている。俺も自然と気を落ち着け、朝比奈さんに続きを促す。  
「なんでしょうか」  
 朝比奈さんは俺の目をじっと見たまましゃべり始めた。  
「あたしは、キョンくんのことが大好きです。呆れた顔も、怒った顔も、笑った顔も。ぶっきらぼうな  
ところとか、――こうして、優しくしてくれる、ところとかっ、ぜんぶが、好きですっ! ……大好き、です」  
 ……マジかよ。顔が熱い。頭が真っ白だ。心臓が破裂しそうなほどにうるさく動いている。俺をじっと  
見つめたままの朝比奈さんの目は再び潤んでいる。ああ、わかったよ。――俺は朝比奈さんが好きなんだよ。  
きっと初めて会ったときからずっとな。そうでなければこんなにもこの腕の中の女の子を愛しく思うはずない  
だろ? 俺は抱きしめる腕に力を込め、  
「俺も、朝比奈さんのことが好きです」  
 自分の想いを告げた。  
「うそ……。本当ですか? あたしのことが、かわいそうだから――」  
「違います! 俺の本当の気持ちです! きっと最初会った時から一発で惚れてたんだと思う。朝比奈さん。  
俺と付き合ってください」  
「……ほんとう? キョンくん……!」  
 ぽろぽろと俺を見上げる瞳から涙がこぼれた。俺は朝比奈さんをぎゅっと抱きしめると、右手でそっと  
髪を梳くように頭を撫でる。  
 
 
「えへへ、恋人、ですねっ」  
 朝比奈さんは目を閉じ、すっと唇を重ねてきた。ふれあうだけのキス。離れてうふふ、と顔を真っ赤に  
しながら嬉しそうに微笑む朝比奈さんはそりゃもう古泉の安っぽい笑顔の五億倍は素敵だ。古泉なんかに  
ときめくなんてことは断じてないが。  
「キョンくん、もういっかい……」  
「はい。何度でも」  
 そう言うと、今度はこちらからキスをする。薄く形のいい柔らかな唇にふれる。そのまま暖かな熱を  
持った唇にふれていると、その状態のままぐっと横に押され、椅子からずり落ちた。  
「っ痛て……! なにするんですか、朝比奈さん」  
「うふっ、押し倒しちゃいましたぁ」  
 にっこりと笑みを浮かべながらマウントポジションをとる朝比奈さん。スカートからスラッと伸びる  
白い太ももがヤバイ。鼻血出して倒れちまうよ。ってもう倒されてるじゃん! 鼻血は出てないけど!  
はははっ。……押し倒されたのか。なんで!?  
 俺のぐちゃぐちゃな思考などおかまいなしで朝比奈さんは俺の上でもぞもぞと動き、俺の胸に手を  
つき覆い被さるようにして、んっと唇を重ねてくる。暖かな熱を持った唇の感触を楽しんでいると、  
俺の上唇にちろちろと朝比奈さんの舌らしきものが申し訳なさそうに動いている。その動きが無性に  
可愛らしく感じた俺は、朝比奈さんの舌を俺のそれで捕まえ、絡め合わせる。  
「うんっ、……ちゅ、んんっ! ……ぷはぁっ」  
 熱っぽい吐息を吐きながら離れた朝比奈さんの潤んだ瞳はとろんとしつつも、妖しげな雰囲気を  
纏っていた。  
「えっちなキス……しちゃいましたねっ。気持ちいいです……」  
 朝比奈さんの言葉が熱を帯びた吐息とともに俺の頬へと降り注ぐ。俺の体に重なるようにしている  
朝比奈さんの熱によりどうやら俺の理性というものは溶け出してしまったらしい。もはや朝比奈さんが  
愛おしいという気持ちしか残っていない。もっと朝比奈さんを感じたい。  
「キョンくん、我慢しなくていいんですよ」  
 そんな俺の心を見透かしたような言葉を放ちながら、朝比奈さんはずるずると下がっていく。やがて  
ズボンのジッパーに手をかけ、ジジジっと降ろしていく。今まで嫌でも朝比奈さんの感触を味わっていた  
俺は、当然のごとくソコをパンパンに膨張させていた。  
 
「大きい……。んっ、ちゅっ」  
 優しく口づけされた途端、背筋にビリッと快感が走る。朝比奈さんは髪をかきあげたあとそっと竿を  
握りしごく。そして舌で亀頭を優しく愛撫する。すげぇ、マジで気持ちいい。  
「朝比奈さんっ、っ気持ち、いいですよ」  
 俺の言葉にふと顔を上げ、嬉しそうに笑う朝比奈さん。そして再び下を向き、今度は先端を口に含み始める。  
「はむっ、……んんっ」  
 じゅぽっ、じゅぽっと水音を立てながら頭を上下に揺らす。ふわふわとした髪がそれに合わせてはねている。  
朝比奈さんは俺のモノをくわえながら、鈴口や裏筋にねっとりと舌を絡めてくる。そんなことされたら  
ヤバイですよ!  
「くっ、すいませんっ……!」  
「? んんっ! んくっ、ぷぁっ!」  
 俺は朝比奈さんの攻めに耐えきれず口内に発射してしまった。突然のことで驚いたのか、朝比奈さんは  
少し飲んでしまったようで、口を離したあと、残りの吐き出される液を顔面で受け止めることとなって  
しまった。なにやってんだ、俺……。  
「けほっ、これが、キョンくんの……。んっ、ちょっと苦いですぅ……」  
 俺が疲労と自己嫌悪と綺麗なものを汚した背徳感に酔いながらぼんやりと朝比奈さんを見ていると、  
朝比奈さんは顔に飛び散った精液を指で集め、ぺろりと舐め、飲み干した。  
「すいません! 大丈夫ですか?」  
「うん、平気ですよ。それよりキョンくん……、気持ちよかった……?」  
「えっ、あっ、……はい。すごく気持ちよかったです」  
 なんだこれ。すごく恥ずかしい。良かったぁと安堵の息を吐く朝比奈さん。そしてまたずりずりと  
俺の体を這うようによじ登ってくる。  
「キョンくん、あ、あたしの体、触っていいんですよ……?」  
「はい?」  
 間の抜けた返事をする俺。  
「キョンくんにもっと気持ちよくなってほしいから……」  
 上半身を起こし、俺の手を取り自分の胸へと導く朝比奈さん。むにゅっとした女性特有のそれの  
感触は、想像以上の柔らかさを持っていた。すごい、こんなに柔らかいのか。  
「ふっ、んんっ。キョンくん、あたしのおっぱい、気持ちいい?」  
「はい、すごいです」  
「はあっ、嬉しい……」  
 驚くほどの柔らかさと弾力を持つそれは、布を二枚隔てているとはとても思えなかった。しかし、  
指を動かすにつれて、二枚の隔たりを煩わしく感じてきてしまう。  
「朝比奈さん、制服脱がしますよ……」  
「はぁ、えっ?」  
 とろんとした表情の朝比奈さんを置いてけぼりにし、俺は上体を起こし、制服を脱がしにかかる。  
「ひゃんっ、キョンくん!?」  
 可愛らしく驚きの声をあげる朝比奈さんを無視し、するりと制服を脱がせることに成功。なんで  
俺はこんなに手際よく脱がせられたのだろうか? まぁいい。きっと愛の為せる技だ。それだけ  
朝比奈さんに対する愛情が深いってわけさ。俺がエロいわけではない。  
「あうぅ〜、恥ずかしいですぅ……」  
 朝比奈さんはピンクの可愛らしいブラジャーをさらけだされて、恥ずかしそうに胸元を両手で隠す。  
可愛すぎます、ホント。堪らなくなった俺は朝比奈さんを抱きしめ、  
「朝比奈さんの全部が見たいんです」  
 と、耳元で囁いた。体を離すと、朝比奈さんは真っ赤な顔をして、小さく頷いた。胸元からそっと  
手をおろす。  
 俺は小さく笑うと、朝比奈さんの背中に手をまわし、ブラのホックに手をかける。プチっと小気味  
よい手応えを感じると、胸を覆っていた布はするりと朝比奈さんの肌を滑り落ちた。  
 
 実際に見た朝比奈さんの胸は、俺が今まで見てきた写真や映像のそれとは比べものにならないほどに  
綺麗だった。  
「朝比奈さん、すごく綺麗です」  
「そ、そんなにじっと見ないでください……。恥ずかしいんだから」  
「でも、ホントにすごく綺麗ですよ」  
 俺はゆっくりと胸に手を伸ばす。そして全体を下から持ち上げるように包み込んだ。冗談抜きで  
こぼれそうだ。  
「きゃっ、あんっ……、な、なんだかえっちですよ、その触り方……」  
 指を動かすとむにゅむにゅと形を変え、指に吸い付くように弾む。その度に朝比奈さんは切なげな  
吐息を漏らし、うるうるとした瞳をこちらに向けてくる。俺はにやりと笑うと、右手の人差し指と  
親指で先端の可愛らしいピンクの突起を摘んだ。  
「きゃんっ! んんっ、だめっ、キョンくん……」  
「なにがだめなんですか?」  
 もう一度きゅっと摘む。  
「ひゃあ! ああっ、そ、そこ、ピリってなっちゃう……」  
 右手で片方の乳房を弄りながらもう片方の乳房に口づけ、突起まで舌を這わせる。ぺろりと  
舐めたあと、硬くなった突起を口に含み、そのまま口内で愛撫を続ける。  
「ああんっ! はぁっ、キョンくんっ、キョンくんっ、おかしくなっちゃうっ、んんっ!」  
 朝比奈さんは俺の頭を胸に抱き、なにかに耐えるようにきゅうっと目を瞑っている。俺の下腹部に  
熱い水のようなものが伝っていくのを感じる。  
 朝比奈さんは俺を引き剥がし、スカートをたくし上げると  
「はぁっ、キョンくん、あたしこんなになっちゃいました……」  
 持ち上げたスカートをくわえ、下着越しに露出させた秘部を自ら触る。くちゅり、と水音を立てた  
そこは、下着が下着の役目を為さなくなっており、次々に愛液が溢れてくるようであった。  
「だから、ね? キョンくん……」  
 朝比奈さんは俺の復活したモノを掴むと、腰を浮かせ、下着を横にずらして入り口に狙いを定めた。  
先端が触れるとぺちゃっ、と卑猥な音を立てる。  
「あ、さひなさん……!?」  
 先が触れるだけで射精してしまいそうな心地よさが体全体を駆け巡る。  
「ふぅっ、キョンくん、いいんです。大好きですから……」  
 そう言うと朝比奈さんはストンと腰を落とす。俺のモノは一気に朝比奈さんの奥まで飲み込まれてしまった。  
「ああんっ! はあっ、んんっ……! ぜ、んぶ、入っちゃいましたね……」  
「う、あっ、朝比奈さん……」  
 つーっと処女の証が伝い落ちてくる。  
「朝比奈さんっ! だ、大丈夫ですか!?」  
「平気だから、キョンくん……。あ、あんっ」  
 辛そうな表情を浮かべながら朝比奈さんは無理矢理に笑い、上下に体を揺らす。体を揺らすたびに  
朝比奈さんの膣が俺に射精を促すように締め付けてくる。俺はいたたまれなくなり朝比奈さんの手を  
そっと握った。  
「あっ、はぁっ、キョンくん……」  
 朝比奈さんは指一本一本を確かめるように絡め、キュッと握りかえしてくる。手を握りあったまま、  
朝比奈さんは俺の上で動き続けた。  
「キョンくん、キョンくんっ、あたしっ、気持ちいいっ……!」  
 朝比奈さんの動きは激しさを増してゆく。その動きにつられるように射精感がこみ上げてくる。  
俺は朝比奈さんの動きに合わせるように下から朝比奈さんを突き上げた。  
「きゃあんっ! キョンくん、キョンくんっ!」  
「朝比奈さん、気持ちいいですよ……」  
 朝比奈さんは耐えきれなくなったのか上半身を倒し、俺の体に覆い被さってくる。俺は目前に  
迫った朝比奈さんにキスをする。  
「んっ、ちゅっ、はむっ、んんっ!」  
 手を繋いだまますべてを貪るような激しいキス。舌と舌を絡め、互いにすべてを吸い取ろうと  
する。その間にも休むことなく俺と朝比奈さんは腰を打ち付けあっていた。  
「キョンくん、あたし、もうっ……!」  
「朝比奈さんっ、俺もっ……!」  
「いいよ、そのままっ……! 膣に、きてっ、キョンくん……!」  
「朝比奈さっ、ん!」  
「キョンくん、キョンくんっ!」  
 互いに愛しい人の名を呼び、互いに頂点に達する。俺は朝比奈さんの膣に白濁液を放ち続けた。  
「ふあぁっ、んんっ、おなか、あついっ、です……」  
 
 すべて出し尽くすと、繋いでいた手をほどき、朝比奈さんを抱きしめる。俺の胸に手を置き、おでこを  
密着させて荒い息を整える朝比奈さん。乱れた髪を整えるように優しく頭を撫でる。朝比奈さんは目を  
閉じたままくすぐったそうに身をよじった。体全体にかかる朝比奈さんの重みと暖かさが心地よい。  
 俺は朝比奈さんを体全体で感じながら、この人を守っていこうと勝手に決めることにした。長門より、  
ハルヒより、認めたくないが古泉の野郎より役に立たないだろうが、俺はいずれ訪れるであろう別れの  
時でも意地汚く足掻いてやろうと心に決めた。腕の中のぬくもりを守るために。この人の為なら俺は  
なんだってできるのさ。  
 ゆっくりと目を向けた窓の外には、いつの間にか青空が広がっていた。  
 
 
 身支度を整え、部室を後にする。さっきまであんなに乱れていたのに、着替えるところを見られるのは  
なんだか恥ずかしかった。きっと着替えてるときあたしの顔は真っ赤だっただろう。というかずっと真っ赤  
だったと思う。うぅ、思い出しただけで体がかぁっと熱くなっちゃう……。  
 あたしたちが帰る頃には雨はすっかりあがっていて、外がなんだかキラキラと輝いているようだった。  
部室の鍵を閉めると彼がじゃあ帰りましょうか、と照れくさそうに言う。あたしは元気よくうん、と返事して、  
少し先にいた彼に追いつく。  
   
 学校の校門を出たところで彼が手を繋いできた。いきなりだったから少し驚いたけどあたしも指を絡めて  
握り返す。指の一本一本から伝わる暖かさに、あたしはとても安心した。  
 さっきはいっぱい泣きましたね、と彼が冗談っぽく言う。うっ、確かにちょっと泣きすぎちゃったかも……。  
でも、それは嬉しかったから。それと、不安だったから。告白して断られたらどうしようかって。もし成功して、  
必ず来るそれから先の絶対に避けられない別れが、不安だったから。だからあたしは雷に驚いて彼の体に  
飛びついたときに泣いてしまった。不安だったから。勢いで告白したときに泣いてしまった。彼の返事が嬉しくて、  
同時に不安になってしまったから。  
 でも、そのことは彼には絶対言わない。きっとまた心配させちゃうから。あたしは曖昧な笑顔を浮かべて  
誤魔化すようにえへへと笑う。彼は少し不安そうな顔をしたけど照れくさそうに前を向いた。ふふっ、可愛いなぁ。  
でもごめんね。  
 けれど、あたしは強くなるって決めた。彼の優しさに触れて、暖かさを感じて、そう決心した。長門さんみたいに  
彼を守ることはできないかもしれない。涼宮さんみたいに彼を元気づけることはできないかもしれない。古泉くん  
みたいに彼に頼られることはないのかもしれない。だからあたしは強くなるって決めた。彼の心を支えられるように。  
……最後の時にも笑っていられるように。あたしは決めた。これも彼には内緒。これからはあたしが、キョンくんを  
守るんだからっ!  
   
 長い坂の一番上で晴れた空を見上げた。とてもすごいものを見つけてしまった。  
「キョンくん、あれっ!」  
「なんですか?」  
 あたしがあいた手で指さしたほうをゆっくりと見上げる。そこには大きな――  
「虹だ……」  
 キョンくんが驚いた顔をしながら、ため息を漏らすように呟いた。  
 そこにはとても大きな虹が見事なアーチを描いていた。  
「すごい……」  
「ええ、本当に綺麗ですね……」  
 あたしたちはしばらく呆けたようにみとれていた。もしかしたらあたしたちのことを祝ってくれてる  
んじゃないか、なんてキザっぽいことを思った。  
 それから感動の余韻をそのままに、一歩踏み出して彼の手を引くように坂を下り始める。彼も慌てた  
ように歩き始めた。あたしはその様子がおかしくて少し笑ってしまう。すると彼は少し恥ずかしそうな  
顔をして、拗ねたように歩くスピードを速めてしまう。あたしも慌てて彼の横に並び、歩く。  
 あたしは、この坂道がずっと続けばいいのにと思って、さりげなく歩く速さをゆるめた。  
 

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