「もうすぐ新学期ね!楽しみだわ!」  
年度末、放課後の文芸部室になにやら不吉な言葉が走った。至って普通のセリフのようだが、声の主がハルヒであることを忘れちゃいけない。  
「春休みをすっ飛ばして新学期というのもお前らしくないが、何が楽しみなんだ?」  
「あら、桜前線追跡花見ツアー反対したのあんただったじゃない。やっぱやりたくなった?」  
そういや言ってたかなそんな事も。例によって聞き流してたのですっかり忘れていたが。はっきり言うが行きたい行きたくない以前に無理である。  
「いや。それよりなんだ楽しみって。」  
「新学期ったら新入生の季節じゃない!1年間の活動でSOS団の名は天下に轟いたから、今年は入団希望者がワンサカ来るわ!」  
悪名なら轟いてるかも知れんが、それで入団したがる奴が居るとは思えない。居たら出て来い。全力で殴って目を覚ましてやるぞ。  
待てよ?古泉、そして長門、お前等のお仲間が新入生を装って入って来たりしないだろうな?  
古泉も長門も俺の視線に気付いたのか否定のアクションをする。朝比奈さんは……視線の意味がわからなかったらしい。  
「まあいいが、バニーガールで勧誘なんかするなよ?お前もだが、特に朝比奈さんは三年になるんだ。内申に響いたら困るだろ。」  
「チッ……しないわよバカキョン!期待してたの?全くスケベなんだから!」  
聞こえたぞ、舌打ち。  
「しかし……」  
古泉が口を挟んできた。  
「気になるのは涼宮さんの新入団員の選考基準ですね。やはり、何かしら不思議な存在でないとダメなのでしょうか?」  
そうか、古泉曰く長門も朝比奈さんも古泉も、ハルヒが望んだからここに居るのだという。  
てことはつまり、ハルヒ次第ではまたとんでもない新入生がやって来ないとも限らないのだ。ついに異世界人登場か?  
「なかなか目のつけ所が良いわね古泉くん。さすが副団長だわ!」  
「恐縮です。」  
なんで俺を見てウィンクするんだ気色悪い。  
「そうね、宇宙人、未来人、超能力者はまだ未発見だけど……」  
先生!それ全部発見済みです!  
「う〜ん、無口でミステリアスな文芸少女、ロリで巨乳なドジッ娘メイド、謎のイケメン転校生ときたら……」  
なんか変な方向に向かってないか?  
「あ!そうよ!ショタっ子よ!」  
あん?なんだって?すまんがよく聞き取れなかった。  
「ショタっ子よショタっ子!」  
すまん、聞き取れなかったのではなく初めからそんな単語は登録されてないようだ。  
「知らないの?ショタっ子ってのはね、ち〜っちゃくてきゃわゆ〜い女の子みたいな男の子のことよ!やっぱり男性客だけじゃなくて女性客も押さえないと!古泉くんだけでも不足じゃないけど、色んな層を押さえときたいもんね!」  
頭痛い……。  
「それに最近ショタっ子って男にもウケいいらしいわ!顔さえ良ければいいのかしらね〜。」  
はて、いつからSOS団は世界を大いに盛り上げる涼宮ハルヒの団から世間の男を喜ばせる少年少女育成のための団になったのだろうか。  
「ねえねえ、ショタっ子って何着るの!?さすがにメイドやバニーは着ないわよね!?また新しい衣装買わなきゃ!」  
俺が知るかってーの!  
 
そんなこんなで4月のSOS団はショタっ子探しに奔走するのであった〜やれやれいい加減にしろよ!  
 
続かない。  

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