人の話のお話
〜join too join us all〜
“文芸部は廃部に処す”だってよ。
聞いた話によるとな。
会長が涼宮ハルヒに振られた逆恨みであのヘンテコな団体……SOS団だったっけか?
あぁそう、それだ。
まぁ名前なんてどうでもいいよな。
それで逆恨みらしいぜ。
涼宮ハルヒも可哀相だよなあんな野郎に惚れられるなんてよ。
まぁ自業自得か、結構目茶苦茶な事してるらしいからな。
それでな、あの会長だったら表じゃ良い顔してるくせに裏じゃ悪どい事ばっかしてるらしいぜ。
だいたいだな、俺はあの善人顔が気に入らねーんだよ。
えっ、何の悪い事をしてるって?
うーん、知らないね。
何でって?
友達から聞いたからだよ。
だからさ――――――――――――――――――――――――――――
“文芸部は廃部に処す”だって。
聞いた話によるとね。
SOS団が生徒会に成り代わるつもりで会長を脅したらしいのよ。
それでしょうがなく先生達の指示で団の元になる文芸部を潰すらしいわ。
そう、すごいわよね涼宮さんは。
やっぱ頭のネジが二.三本吹っ飛んでるとしか思えないよね?
それにしてもあの団体のイケメン、古泉君だっけ?
可哀相に彼もきっと涼宮さんにたぶらかされてるのよ。
彼女ちょっと可愛いからって調子に乗ってるよね?
えっ、この話に信憑性は有るかって?
あるわよ、だって友達に聞いたんだもの。
間違い無いわよ。
だいたい涼―――――――――――――――――――――――――――
“文芸部は廃部に処す”らしいんだよ。
聞いた話によるとさ。
コンピ研あるだろ?
あぁそれそれ、あそこのパソコンの問題らしいよ。
なんでもコンピ研が貸したパソコンがSOS団が盗んだって事になったらしくてさ、生徒会が誤解してるらしいんだよね。
馬鹿だよね生徒会も。
いくらなんでも盗みなんてする訳無いよ?
ましてや我が北校の天使朝比奈さんが居るんだよ。
そんな事朝比奈さんが許す訳無いじゃん。
えっ、誰に聞いたかって?
友達だよ、その友達がどこから聞いたかは知らないけどね。
本当だと思―――――――――――――――――――――――――――
×
“文芸部は廃部に処す”その話ですね?
私も聞いた話ですが、文芸部として活動してはいないので正式な部活としては認められていない、それで廃部らしいですよ。
えぇ、そうですよね。事実はもっとエキセントリックなのかもしれませんね。
まぁ、所詮噂ですからね。
部活動はちゃ――――――――――――――――
“文芸部は廃部に処す”えぇ、らしいのね。
生徒会もひどいのね、鬼なのね。
みんな涼宮さん達が悪いって言ってるけど。
…きっと真実は違うと思うのね。
私には涼宮さん達は悪い人達には思えないのね。
涼宮さんはちょっと真っ直ぐすぎるだけだと思うのね。
私はそう信じてるのね。
友達なのかって?
ううん、違うと思う。
…でも友達になれたら楽しいと思うのね。
「―――だって」
中庭の真ん中、一人の少年が言った。
少年は十五.六歳ほど、髪の短い少年だった。
校舎は半分沈んだ太陽がオレンジ色に染めていた。
隣には谷口(二足歩行、ナンパを繰り返す物だけを指す)が静かに国木田の話を聞いていた。
「なぁ、最後の阪中っぽいのはマキバオーなのか?それとも国木田アレンジなのか?」
「失礼だな、原文のままだよ」
国木田は笑いながら首をかしげる。
「きっと“のね”だけが印象に残ったんだろうね」
国木田はマフラーを掛け直しながら、まだ暖かい珈琲を口に運ぶ。
「何なんだろうな、このノートは」
ふと、谷口が思い付いた様に聞いた。
「さぁ、新聞部かそのたぐいの物じゃない?」
「ヘンテコな物落としやがって。どうするんだ、コレ」
谷口は実に迷惑そうに呟く。
「じゃあ、こうしよう」
国木田は3ポイントシュートをするようにノートをゴミ箱に投げた。
左手は添えるだけで。
「いいのかよ?」
「いいんじゃない。闇に葬られた真実だよ」
谷口はゴミ箱を指差し呟いた。
「あれが真実かよ?」
国木田は残りの珈琲を飲み干し答える。
「さぁ、答えた人にとっては真実なんじゃない?」
「そうかもしれんが」
国木田は目を細め諭す様に喋りだした。
「そんな事より今は、オモシロ日常エッセイだろ?帰りたいんだよボクは、それも早く」
「うっ、すまん」
太陽は三分の一ほど沈み、
中庭では街灯が寂しく瞬いていた。
おしまい