『宇宙人の精神構造など地球人とかけ離れた異質のものである。だから推測しても無駄だ』
以前読んだSF小説にこんな一文があったな。ということは、今俺を押し倒してマウントポジションをとっているこの女性の考えてることをあれこれ推測するのは無駄か。だったらなんとかこの状況から抜け出たいのだが、例のごとく体が動かない。さてどうしたものか。
「大丈夫。すぐ済みますよ。私に任せて。」
相変わらず優しい笑顔だが、すぐ済みますよってまるで俺が早漏みたいじゃないか。それに、女性主導ってのはハルヒだけで充分なんですよ。俺はそんなニュアンスの言葉を、俺の体の上で服を脱ぎだしている上級生、喜緑江美里さんに発した。
「うふふ。やっぱりあなたと涼宮ハルヒは密接な関係にあるのですね。」
誤解を招く言い方はよしてくれ。俺はハルヒの保護者でもなんでもないんだ。
「さあてどうでしょうか・・・?」
年上の宇宙人製アンドロイドの手が、俺の制服に伸びてきた。
さてなぜ今俺はこんな状況なのか?それはほんの30分ほど前にさかのぼる。放課後、掃除当番のハルヒより早く、俺は文芸部室へと歩を進めていた。そのとき、喜緑さんに呼び止められた。
彼女は俺に用があるからついて来てほしいと言った。しかし俺は、喜緑さんが長門のお仲間であることを古泉から聞いていたし、なにより朝倉の一件もあるので返事に戸惑っていた。はっきりいって信頼できるアンドロイドなんて長門だけだからな。すると喜緑さんは俺に近づいてきた。いつぞやのクラリとするいい香りがその柔らかい髪からただようと俺はまるで夢遊病者のように彼女の後をついて行ってしまったのだ。
連れてこられたのは近くの誰もいない教室。中に入ると、朝倉のときのようにドアも窓もなくなってネズミ色一色の無機質な壁になっていた。かつての思い出したくもない光景が頭の中をよぎったが、喜緑さんはある意味それと匹敵するようなことを言い出した。
「私と性交して下さい。」
はあ?
「このところ、涼宮ハルヒの精神状態は非常に安定しています。・・・まあ、あなたにしてみればそれにこしたことはないかもしれませんが、情報統合思念体としては色々とサンプルが欲しいのです。」
スラーによって結ばれた音符のようになめらかにしゃべっているが、勝手なこと言ってることに変わりはない。
「なので私とあなたが性的関係になった時の涼宮ハルヒの出方を見ます。」
それでなんで性交、セックスになるんだ。
「そうですか。それで、俺に拒否権はあるんですか?」
そのとたん、俺の体から自由が奪われた。拒否権はないようだ。そしてあとはされるがまま、押し倒されたってわけだ。
そして冒頭に戻る。
どうやら口の自由はあるので、俺は喜緑さんとコンタクトをとることにした。ここまできても意外と冷静なのは、今までのトンチキな事件の賜物かな。
「あなたは俺なんかとセックスしても平気なんですか?」
一瞬彼女はキョトンとした。
「私には有機生命体の性交の概念がよく理解できませんが。」
似たようなことを朝倉から言われたような気がする。やっぱり宇宙人の考えてることなんて考えるだけ無駄か。
喜緑さんが俺の上着のボタンに手をかけようとしたそのとき。
ピシピシ・・・
ゆっくりと、教室の壁だったところが卵の殻にひびが入るように割れだした。人一人は入れるぐらいの裂け目から、今度はよく見知ったアンドロイドが現れた。
「長門さん?」
俺より先に、喜緑さんが声を発した。
「・・・何をしている。」
長門は肩で息をしている。そんなにこの壁を破るのに手間取ったのか。
「・・・?今回のことは、あなたの操り主も同意していることですよ。」
「・・・私は何も聞いていない。」
どうやら長門と喜緑さんとの間で情報の相違があるようだ。古泉のやつも情報統合思念体にはいくつかの流派があると言ってたな。やはり二人の親玉は別流派か。しかし、同意しているといったが・・・。
「おかしいですね。なぜあなたに・・・、ああ、」
喜緑さんはそこまで言うとおもむろに立ち上がり、服ははだけたまま、長門と正対した。
「あなたがバグ持ちのインターフェースだからね。」
「・・・っ」
さっきまでやさしい笑顔だった喜緑さんが長門を見下すような口調になった。一瞬長門が下唇をかんだように見えたのは気のせいではないはずだ。なんてことだ、あの件以降、長門はほかの仲間から格下扱いされてるんだ。
「バグ持ちのインターフェースの所へなんて、大事な情報がとどくわけないですものね・・・。」
「長門を侮辱するなあっ!!」
俺は声を振り絞って叫んだ。二人のインターフェースが目を丸くしている。
「長門を侮辱したら俺がゆるさんっ!ハルヒのやつをたきつけて、情報ナントカ体ってのがいない世界にしてやるっ!」
思いつく限りの情報思念体が不利になるようなことを叫んだ。さっきまで俺を犯そうとしていたインターフェースは、はだけた服を元に戻しながら
「ここはひとまず撤退としましょう。コトはもう少しスムーズに行うのが私の流儀です。」
くそったれ。
「それでは、またいずれ。」
喜緑さんがいなくなると体が動くようになり、教室は元通りになった。夕日で室内が赤い。しかし長門の顔は暗く見えた。
「・・・ごめんなさい。」
しぼりだすように小さな声で長門が言った。
「なぜ謝るんだ。」
なぜ、そんなに劣等感にさい悩んだ顔してるんだ。いつものおまえは、無表情に状況を説明するだけだろ。
「私の過去の不始末のせいで、今回の情報が私に送られてこなかった。」
「けれどおまえは、こうして助けに来てくれたじゃないか。」
長門の自責の言葉を、俺は即座に否定する。
「・・・でも、・・・でも、これから今回のようなことをすべて知らされる保証はない。」
「だったら!」
俺は長門を引き寄せ、思いっきり抱きしめた。
「いつも一緒にいよう。学校へ行くときも、帰りも、お昼も、一緒にいよう。SOS団の活動がない日はデートなんかするのもいいな。こうすれば、俺に何があったって大丈夫だ。」
俺の胸に顔をうずめている長門の両手も、俺を抱きしめてきた。
「喜緑さんみたいなイヤミなやつがいたら、おれが守ってやる。・・・そうだな、悪口攻撃くらいならできるぞ。」
「・・・ユニーク。」
長門は顔をうずめたまま答えた。きっと顔は笑っているはずだ。
俺は決心して長門に言った。
「長門。お前を抱いてもいいか?
長門は顔を上げ、俺を見た。
「さっき喜緑さんが『またいずれ』って言ったよな?それってつまりいつかまた俺が犯されそうになるってことだろ?」
長門は黙って聞いている。
「俺は、万が一にも長門以外のインターフェースとセックスなんかしたくない。おまけに情報ナントカ体のためになんてごめんだ。俺は長門、おまえとセックスしたいんだ。」
長門は少し黙っていたが、
「私という個体も、あなたが他のインターフェースと性交することを望んでいない。」
俺は長門にキスをした。
「・・・なあ長門。」
「・・・なに?」
「こんなこというのもアレだが、誰かに邪魔されたくないから、教室の壁を、ほら、さっきみたいにできないか?」
「・・・もうしてある。」
すでにドアも窓もなく、ただのネズミ色一色の壁になっていた。
「・・・長門、やる気満々だな。」
「・・・いじわる。」
少し拗ねたように答えた長門は、とてもかわいかった。長門の上着を脱がし、ブラをはずすと、小ぶりの形のいい乳房が露出した。
「・・・私の、ちいさい?」
ちいさいけど、形はいいぞ。俺は別に大きい小さいは気にしないから。
「・・・そう。」
気にするのは、感度だ。
「ひゃっ、んああっ!」
俺は乳首をつまんだ。突然のことで長門が声を上げる。長門、かわいい。
「・・・仕返し」
長門はそういうと俺の股間をまさぐりだした。
「おふっ!」
やや乱暴に俺のペニスや睾丸を布の上からグリグリしてきたので、俺も声を出してしまった。
「長門・・・直接、俺のムスコに触れてくれっ!」
俺は立ち上がってズボンを脱ぎパンツも脱いでペニスを長門の前に出した。すっかり大きくなっている。長門もすでに裸だ。
「・・・立派。」
ありがとよ長門。これもおまえのおかげだ。長門はおもむろに俺のペニスを両手でつかむと、上下にしごきだした。
「・・・気持ちいい?」
長門が上目遣いで聞いてくる。
「ああ・・・しゃぶってくれたらもっと気持ちいいぞっ。」
ぱくっ。長門が俺のペニスをくわえた。
じゅるっ、じゅるっ・・・
最初ぎこちなく、そしてゆっくりと、長門のフェラが始まった。長門の口は小さい。両頬の内側の粘膜の感触まで伝わってくる。
ぶふぅっ、ぐぼっ・・・
喉の奥までペニスを突っ込むものだから、少し苦しそうだ。けれど長門はフェラをやめない。俺はすでに意識が飛びそうだ。
「なっ、長門。今度は俺がお前を気持ちよくする番だ。」
俺はひざまづいて長門の両足を開いた。きれいなアソコがヒクヒクいってすでに濡れている。
「・・・私を名前で呼称して。」
長門のアソコに見とれている俺にその持ち主が顔を赤くして頼んできた。
「分かった。・・・有希。」
俺は有希のアソコに指を入れた。ピクンと有希が反応する。これもまた狭い。充分ほぐさないと俺のペニスが入らないな。俺は有希のアソコを貪るように舐めつくすことにした。
「うっ、ううんっ、ああっ、ああっ」
じゅじゅじゅっ、くちゅくちゅ、ぶぷっ!
我ながらすごい音だ。インターフェースからこんなに愛液が出るとは。
「そんな・・・そんな舐めたら・・・っ」
「有希のならいくらでも舐めれる。おいしいぞっ!」
指を入れてみる。今度は二本入った。まだきついかもしれないが、俺もムスコも限界だ。
「有希・・・いいよな。」
俺は有希の瞳を見つめた。
「・・・きて。」
「いれる・・・ぞっ!」
俺は有希の入り口にペニスの先端を当て、そのまま押し込んだ。やっぱりまだ狭かったがぬぬぬぬぬっと俺を受け入れてくれた。
「は・・・あ・・・あ・・・」
有希が俺の体にしがみつき、小刻みに震えている。
「動・・・く・・・ぞっ」
ゆっくりと腰を動かしだした。俺と有希の結合部は動くたびぬちょっ、ぬちょっ、といやらしい音を出す。
「有希、痛くないか?」
「大・・・丈・・・夫っ。あっ、続けってっ・・・」
有希の膣は温かくて、適度に俺を締め付け、ざらざらした膣壁は柔らかい快感を俺に与える。女性の膣はこんなにも気持ちいいのか・・・。そうだ、有希は宇宙人の端末なんかじゃない。俺と同じ人を好きになる感情を持つ人間だ。少なくとも俺はそう信じる。
「ひゃあっ、はっ、はげしっいっ・・・!」
俺が腰のスピードを上げると、有希の感じる声も激しくなってきた。
「あんっ、あっ、すごっ・・・!」
びたんっ、びたっ、ぱんっ・・・
お互いの肉のぶつかり合う音が教室に響く。
「有希っ、もうでそうだ・・・っ!」
「あっ!きてっ、膣に出して・・・っ!」
有希の膣壁が俺をぎゅうっと締め付けた。それに応えるように俺の精液が有希の膣内へと飛び出した。
びゅびゅびゅ〜っ、どくどくっ、どくんっ
俺のペニスから、波のように精液があふれ出す。
「ああ・・・でてる・・・すごい量・・・」
有希も俺の精液を感じ取ってくれている。有希の膣壁はまだ俺から搾り取ろうとするかのように締め付けをやめない。
「有希。俺、まだ有希とつながっていたい。このままでいいか?」
俺は有希を全身で感じとめて痛かった。
「・・・どうぞ。」
「有希、俺の体、あたたかいか?」
「・・・あたたかい。」
「これが有機生命体、人間のぬくもりってやつだ。有希にもそれがある。だから有希は単なる端末なんかじゃない。俺と同じ人間だ。おまえはここにいる。だから、一緒にいような。」
俺は有希とつながったまま話した。
「万が一、涼宮ハルヒに見つかったら?」
そこでハルヒか。
「別に何も起こりゃしないさ。俺たちが真剣だったら、ハルヒのやつも分かってくれるだろ。有希の親玉どもの思い通りにはならんさ。」
有希は間違いなく微笑んだ。そして
「・・・ありがとう。」
と答えた。
終わり