涼宮ハルヒとの騒動から五日が経っていた。  
 いまさらここで騒動というと意味不明か。  
 実は五日前の初顔合わせの時、こんなやりとりがあったのさ。  
 涼宮ハルヒを退屈させないようにするために、まともな活動履歴のない文芸部をつついてSOS団の存続の危機を煽れと機関から達しがあり、俺は唯一の文芸部員である一年の長門有希を生徒会室に呼び出した。  
 実質的には古泉が半ば勝手に動いて事が運んだのが真相ではあるが。  
 今となっては機関に奉公する義理もないが、宇宙人も注目する問題人物の涼宮ハルヒが実際にどんなヤツなのかという純粋な好奇心があった。  
 長門を呼び出せば嗅ぎ付けて涼宮が飛んでくるという古泉の目論見は正直半信半疑だったが、本当にハナシの途中で乱入してきやがった時にはさすがの俺もびっくりしたぜ。  
 で、ぎゃあぎゃあ口角泡を飛ばした末に文芸部の活動として機関誌を発行させることを納得させたワケだ。  
 かなり端折ったが以上が騒動の概要。  
 ちなみに機関誌完成の期限は一週間とした。真面目に活動してれば今頃執筆やら編集やらに追われてることだろうよ。過大な期待はしちゃいないが、これでSOS団の連中の気を逸らしてうまく隠れ蓑にすることができれば儲けモンだ。  
 しかしこうやって概要だけを話すと涼宮という女が直情的に生徒会室のドアを蹴破って入ってくるようなじゃじゃ馬で、ちょっと言いくるめてやれば簡単にこっちの提案をあっさり飲む単細胞だということが一見際立って見えるが、俺の嗅覚に依ればヤツはただの莫迦女じゃない。  
 騒ごうが落ち着こうが終始あいつの眼の奥に潜む色に変化はなかった。  
 つまり外面とは裏腹に精神の奥底は極めて安定状態にあったことが伺える。  
 あの様子じゃ傍若無人なハネっかえりは相手を選んで空気を読んだ上でやっているとみたぜ。ここまで来るとほとんど役者だな。俺が言えた義理じゃないがね。  
 古泉はせいぜい気をつけるこった。涼宮をコントロールしたつもりになって実は自分が踊らされていた、なんてことになる可能性も十分ありえる。あの女ならな。  
 さてと、演技派女優の涼宮サンだが、その素顔を晒してもらう瞬間が刻々と近づきつつある。呼び出しの時刻まであと5分。  
 一枚板で作られた重厚なデスクの前で肘掛付きの本皮張りのチェアに身を深く預け、俺は身体の前で手を組み替えた。  
 耳を澄ませば放課後の人通りのほとんどない生徒会室前の廊下を早足で歩く安っぽい上履きの足音がドア越しに近づいてくる。  
 性格的に時間よりも早く来ることはしないタイプだとは思ってたが、……5分もお早いご登場か。  
 待ちきれないってことは焦りがある証拠だぜ。  
 相当にアレが利いてるみえる。  
 そりゃそうだよなぁ。我ながら相当陰険なやり口を使ったもんだ。  
 
 バンッ!  
 
 ノックなしに勢い良くドアを開け放つと、涼宮が生徒会室にズカズカと入ってきた。淀みなく無言で。俺が座っている机の2メートル程手前で歩みを止める。  
   
 「どういうつもりよ。人のケータイにいきなりメール送り付けてくるなんて。家族と数人の友達にしか知らないはずのアドレスをなんであんたが知ってるワケ?」  
 
 身体は然して大きくもないくせに相変わらず政治家並の態度で気圧してくる。この状況で大したもんだ。しかしその表情は……、眉が釣り上がって猜疑心と嫌悪感が滲み出ている。動じないはずの眼の光が揺らいでいた。  
 
 「まぁ、落ち着けよ。何でもツカミってのは重要だろ? 生徒会の情報収集パフォーマンスだと思えば良い」  
   
 そう言いながら鬱陶しい伊達眼鏡を外してわざと緩慢な動作で立ち上り、机の前まで回って涼宮と対峙する。  
 涼宮の表情が怪訝に曇った。そりゃあそうだろうな。常に芝居がかった理知的な生徒会長を演じていた俺がこいつの前で素の言葉遣いを披露するのはこれが初めてのことだ。  
 
 「……あんた何者? ストーカーと二重人格のダブルの役がついた救いようのない変態?」  
 
 「残念ながら付いてる役が見当違いだ。変態なのは否定せんがな」  
 
 「悪いけど変態と話すために取ってある時間なんて1フェムト秒もないの。一人でエロ本でも読んでヒキこもってるのがお似合いよ」  
 
 そう言い放つと涼宮は踵を返して足早に生徒会室を後にしようとする。  
 
 「待てよ。残念ながらエロ本はないがエロDVDなら用意があるんだ。涼宮団長主演の動画だぜ? せっかくなんだ、観ていけよ」  
 
 さすがに涼宮の歩みが止まって、耳を疑うかのような表情が振り返った半身から覗く。 俺は机の上で開いていたノートパソコンを涼宮から画面が見える位置まで回転させると手早くスピーカーのミュートを切った。  
 
 「……んんっ、はあっ、キョンっ、キョンン――――」  
 
 ノーパソ備え付けのちゃちいスピーカーから音割れ気味の大音量が生徒会室に響いた。  
 液晶画面の中では文芸部部室で椅子に腰掛けながら机に前のめりにしな垂れかかって熱病に浮かされたように男子生徒の名を呼ぶ涼宮の姿が映っていた。  
 左手で机に置いた体操服を掴んで顔に押し当てながら右手をスカート中に伸ばし一心不乱に股座を弄っている。このアングルじゃどこをどう弄ってるかまでは分からんが、何をやってるかはもう明白だろう。  
 涼宮に興味を持ったその日に俺は文芸部室にビデオカメラを仕掛けた。もちろん悟られないように喜緑にあらゆる偽装工作を施させた上でな。  
 これは昨日の録画映像だ。何かネタがあれば追い込みがかけやすくなると半分戯れでやったことだが、まさかこんなにも早くこんなお宝映像がゲットできるなんて思ってもみなかったぜ。  
 
 「んっ、キョンの匂いぃ。っすうぅぅ――――」  
   
 涼宮は男子生徒の体操服に顔を埋めながらまるで深呼吸をするかのように大きく息を吸い込んだ。肺の隅々まで吸気が行き渡ると頬を桜色に染めて顔に恍惚の表情を浮かべる。  
 確かキョンってのは長門有希を呼び出したときに金魚の糞みたいについてきた存在感のない野郎だ。冴えない野郎に恐妻が付くってのの典型だなぁ、おい。  
 涼宮は画面に向き直って呆然自失といった様で立ち尽くしたまま動画に釘付けになっていた。  
 ククッ。さすがに動揺が隠せねぇみたいだな。  
 
 「男子生徒が置き忘れていった体操着袋を見つけて家まで届けてやるのかと思いきや、中を検めて匂いを嗅ぎながらの自慰行為……かぁ」  
 
 煽るようにねちっこくわざわざ解説してやると、拳を握り締めたまま立ち尽くす涼宮の身体が小刻みに震え出した。  
 それでも削られた意地を総動員させて、顔を青ざめさせながらも唇をきつく噛んだまま俺を睨みつけてくるのはさすがだがな。  
 
 「……、何が目的なワケ? ここまでしてSOS団を潰したいってこと?」  
 
 「莫迦を言え。俺があんな暇人集団一つににこんな執着するわけねぇだろうが。さっきから俺の視線見てりゃ分かんだろ?」  
 
 俺は値踏みするかのように涼宮の身体に視線を這わせた。いいね。ションベン臭そうな黄色のカチューシャとリボンが堪らなくそそる。  
 
 「オマエに興味があるんだよ」  
 
 一歩踏み出すと、涼宮は両手で身を隠しながらあとづさる。構わず二歩三歩と踏み出しながら  
 
 「ヤらせろよ、涼宮」  
 
 と追い詰めてやろうとすると、涼宮は後退一転、獣のようなスピードで飛び込んでくると流れるような動きでローキックを放ってきやがった。  
 咄嗟に受ける脚に体重を乗せて踏ん張って受ける。バシンと小気味のイイ音が屋内に響く。  
 俺は怯まずに引きの遅い涼宮の脚を捕らえた。そのまま強引に持ち上げてやって重心を奪ってやる。  
 
 「え、……あっ」  
 
 うろたえる涼宮に構わずそのまま身体を差し込むようにして軸足を大きく払ってやると、転がるように涼宮の身体が宙を舞った。  
 涼宮は受身もままならないままリノリウムの硬い床に強かに身を打ちつけた。  
 なめてんじゃねぇよ。  
 
 しっかし素人とは思えないほど恐ろしく鋭く正確無比に蹴ってきやがった。  
 やたらと格闘がどうのって言うだけのことはある。不用意に急所にもらってれば一発で立てなくされたかもしれねぇ。あぶねぇヤツだ。  
 
 「っつっ! うぅ……。くっ!」  
 
 痛みの走る身体に鞭打って涼宮は出口へと這い出ようとする。中々の好判断だ。しかし、そう簡単に逃がすほど俺も間抜けじゃない。  
   
 「なっ、なによこれっ!?」  
 
 生徒会室のドアは涼宮によって開け放たれたままだった。だから逃げるには廊下に身を躍らせるように飛び出るだけで良いはずだった。  
 しかし、入り口には厚いアクリル板で隔たれたように透明の壁があって涼宮の脱出を阻んでいる。  
 生徒会室は喜緑が用意した異空間に変化していた。外界から完全に遮断されているために泣こうが喚こうが邪魔は入らない。  
 都合の良さから女を食うときの常套手段となっていた。  
 
 「キョンっ、キョンっ、ああっ、気持ち良い。気持ち良いよぅ。イ、イキそう。あ、あたしっ、っっ―――――――」  
 
 映し出してる当の本人のピンチなどおかまいなしに、涼宮のオナニー動画は大音響でクライマックスを迎える。  
 右手でめちゃくちゃにアソコをまさぐって涼宮は絶頂に達していた。白いソックスを穿いた脚が一瞬ピーンと伸びきり、あらぶる呼吸を三回ほど待ってゆるりと脱力する。そこでブツリと動画は切れた。  
 
 「今からもっと気持ちよくイカせてやるよ」  
 
 「ぃ、いや……」  
 
 透明な出口にもたれ掛かって絶望に涼宮は腰を抜かしていた。  
 いいね。どっちが食われる立場かを悟った眼だ。涼宮の新しい表情を暴くたびに、俺の欲求の杯が満たされる。だが、これからが本当のお楽しみだ。  
 俺は肉食獣が手負いの草食動物に飛びつくように低い角度から涼宮に覆いかぶさった。  
 全体重を掛けて組み敷いて自由を奪う。  
 
 「やっ、いやあっ! 」  
 
 もがいて抵抗する涼宮だが、腰を抜かしてるせいで下半身を使えないせいか動きに鋭さがない。両足の間に自分の片足を割り込ませて、片手で相手の両手をまとめて掴んでしまえばもうこっちのカタに嵌めたも同然だ。  
 
 「やめてっ、やめろぉ。っ! むうぅっ」  
 
 強引に唇を奪っておしゃべりな口に栓をしてやる。健気に唇を力んで閉ざそうとするが甘いね。  
 俺は攻撃場所を無防備な下半身に移し、パンティの上から痴丘のワレメを絶妙の摩擦加減でなぞってやった。上背があってリーチのある俺だから楽にできる芸当だ。毎回のことだが、まったくこのときほど親に感謝する瞬間はないね。  
 
 「ひゃうっ!」  
   
 可愛らしい声を上げて涼宮の身体が弾かれたように反応した隙を突いて、俺は唇の閂をこじ開けた。瑞々しくて柔らかい唇の感触を堪能する。ガサツでもいっちょ前にリップを塗ってやがるらしい。ほんのりと淡い香りが鼻を掠めた。  
 
 「うぅんっ、っんちゅ、ちゅっ、ちゅ、むぅっ、っちゅ」  
 
 しつこいくらいにキスを続けて。口腔の粘膜同士を接触させることに腐心する。  
 
 「ちゅっ、んんっ、ちゅ、ちゅっ、ちゅるっ」  
 
 キスを繰り返す時間に比例して涼宮の抵抗する力が弱まっていった。  
 上半身の突っ張りはなくなって暴れるような素振りも見せなくなったころを見計らい、一気に舌を絡ませて陥落させる。  
 
 「んんっ、れるっんむっ、ちゅるっ、ちゅっ、んんんっ、……んっ、ごくっん、っん、はぁっ、はぁっ、あぁ……」  
 
 勢いに乗じて気丈な涼宮に唾液を飲ませてやった。  
 
 涼宮が異常に大人しくなったのは喜緑が俺の身体に仕込んだ媚薬の効果だ。今、俺のあらゆる体液から媚薬成分が分泌されている。わざわざ体臭をあの男子生徒の体操服の同じ匂いにする細かい演出付きだ。  
 
 「なにこれ、……キョンの匂いがする。それに、身体が熱くて……、はぁ……」  
 
 涼宮はトロンと虚ろになった眼で呆けたように喘いだ。  
 密着状態で俺の体臭の吸引とキスによる唾液の嚥下によって完全に媚薬が回ったみたいだな。  
 
 「いい気分だろ? もっと快感に素直になっていいんだぜ?」  
 
 「……やだ、あたし、……こんな、こんなのっ」  
 
 うわ言のような涼宮の声に耳を貸さず俺は制服に手をかけた。リボンを抜き取ってファスナーを上げれば前が開く。あとは前襟をとめてるちゃちいボタンに構わず強引に開けば簡単に上着がはだけた。  
 自慢じゃないがウチの学校のセーラー服の早脱がしにはかなり自信がある。童貞どもを集めてレクチャーすりゃ小金が稼げるんじゃないか。  
 そんな莫迦な思考も刹那の幕間、柑橘系のシャンプーの香りに混じって涼宮の体臭が仄かに香る。それだけで眩暈がしそうだった。  
 薄いキャミソールを捲り上げると涼宮のピンクと青の水玉模様のブラが露になった。コイツ着やせするタイプだな。制服の上からの予想に反する豊満な胸が視界に飛び込んできた。  
 
 「はぁ、あんっ、やだ。ん……、んんっ」  
 
 ブラの上から揉むとゴワゴワした感触の中でボリューム十分の弾力のある乳が指を押し返してくる。性感帯が過敏になってるせいか涼宮はそれだけでも感じていた。  
 理性のかけらが残っているのか、一瞬俺の手を払うようなそぶりを見せたが、軽く俺の腕に手を掛けるのが精一杯だった。  
 涼宮の頬は朱色に染まり婀娜っぽい視線を絡ませてくる。無意識でやってるんだろうが、口は半開きになってそこからチロチロと覗く舌がキスをせがむように俺を誘う。  
 
 「んむっ、ちゅっれろ、んっあむっ、ちゅっ、んちゅっ」  
 
 堪らず吸い付くと驚いたことに積極的に舌を絡め返してきやがった。  
 
 「ちゅむっ、んむっ、はむっ、んんっ、ちゅるるっ、ちゅむむむむっ、んんんぅ……、あぁ? ……はぁっ、はあっ」  
 
 柔らかい唇と舌の感触をいつまでも味わっていたかったが、呼吸のために一息つく。唇を離すと唾液でできた銀糸の端が架かった。  
 コイツ、唇が離れる瞬間名残惜しそうに一瞬顎を突き出してこなかったか?  
 確認するかのように涼宮の顔を見ると、  
 
 「んふ……、フフフフ」  
 
 嗤ってやがった。単に壊れた顔じゃない。淫蕩に耽る娼婦の表情だった。  
 なるほど、コイツがオマエの理性の裏側ってワケだ。男子生徒の体操服で部室でオナるくらいだからスキモノだとは察しはついてたが、これは完全に想定外だ。  
 おもしれぇ。同じようなやり方でコマしまくった俺だが、最初からこんな反応する女は初めてだ。  
 喜緑ですら俺が一から開発して数ヶ月かけてようやくおねだりができるようになったんだんだぜ?  
 俄然ヤル気になった俺は涼宮の上半身を起こして後ろに回りこむと、ブラのフロントホックを外す。押さえつけられていた白桃の様な美乳が零れ落ちた。桜色に色づいた控えめで清楚な乳輪に俺は目を奪われるが、俺の掌はじっくり鑑賞するのを待っちゃくれなかった。  
   
 「はぁ、あんっ、ああんっ、んっ、あああっ、はあっ、いいっ、……もっとぉ。んっ、ゃんっ、あああっ、ちくび、いいのっ」  
 
 後ろから揉みしだくと絶妙の輪郭を誇る乳房が面白いように形を変える。乳首を指先で弄んで抓って引っ張ると涼宮は快感に浸るように目を閉じながらだらしなく口を開けて喘いだ。  
 更に快感を高めるべく、俺は片手をスカートの中に滑り込ませる。ムダ毛を処理した痕のないすべすべの内股の感触を愉しみながら徐々に中心部へと迫る。  
 パンティに到達すると熱気が半端じゃない。信じられないくらいに濡れそぼっていた。  
 
 「はぁぁぁん。あそこ、……あついの。さっきからっ、くちゅくちゅしててっ、んんぅっ、我慢できないぃ」  
 
 信じがたいことに俺の先を越して涼宮は自分で秘部を弄り始めた。とんでもねぇ淫乱がいたもんだ。  
   
 「あっ、あふぅっ、んんっ。いいっ。あそこ・・・・・・、お○んこがじんじんしてっ……切ないよぉっ」  
   
 くっちゅ、くちゅ、くちゅくちゅ  
 
 布越しの感触では満足できないのか、自らパンティをずらしてクリ弄りに没頭する涼宮。 完全にオナニーモードだな。まぁいい、イク顔を間近で見るのも一興だ。  
 俺は涼宮の身体を持ち上げて部屋の片隅に置かれていた姿見に写り込むようにようにずらす。  
 これなら背後からでも涼宮の姿をばっちり観察することができる。  
 俺は涼宮を手伝うように乳を集中的に責めることにする。  
 
 「おら、キョンにされてるの想像してやるんだよ」  
 
 「ふあぁ、ああぁ、キョン。んんっ、もっと触って、・・・・・・ずっと、んっ、待ってたんだからぁ。あんたったら、みくるちゃんや有希ばっかり・・・・・・、んんぅっ、あたしのこともっと見なさいよぉっ」  
 
 キョンをいう名前を出した途端に日に油を注いだみたいに格段に一人で盛り上がる涼宮。 まったく現金なこった。  
 一人芝居をずっと見せられるのも癪だな。  
 俺は急かせるように乳首を強く摘んだままその蕾を爪で引っ掻いた。耳朶にも齧り付いて涼宮を一気に追い込む。  
   
 くちゅくちゅくちゅくちゅ  
 
 「あああっ、キョン、あ、あたし、イク、イクっ、イっちゃうぅうぅぅぅ―――――――!」  
 
 涼宮の身体が撥ねてビクビクッと痙攣する、鏡越しに見えた淫慾に狂って絶叫する涼宮の顔は期待を裏切らない絶品だった。  
 ついさっき生徒会室に意気揚々と乗り込んできた凛々しい顔とのギャップが最高だぜ。  
 俺が開放すると脱力した涼宮は上半身を前のめりに崩して床に伏す。  
 涼宮のライブオナニーを拝んだせいで俺は異常に興奮していた。動悸が激しくて息苦しいくらいだ。  
 ギンギンにいきり立った息子が早くハメさせろと喚いている。  
 愛液に塗れてヒクヒクと妖しく蠢く涼宮の秘部が視界に入ったことが引き金になって俺の獣欲が一気に解き放たれた。  
 上着を脱ぎ捨ててネクタイを緩めると、乱雑にチャックを引き落として息子を引っ張り出す。涼宮に取り付くと、折り重なった脚を開いてずらしたパンティの端からもどかしくも狙いを定めると、正常位で一気に貫いた。  
 
 「あっぐ、あああああぁぁぁ――――!」  
   
 あくまでも完全に貫いてからの感想だが、膣内で進入を阻む僅かながらの抵抗があった。  
 思った通り初物だったみたいだな。  
 違和感と激痛に強制的に意識を引き戻された涼宮は目を剥いて叫んだ。  
 しかし、そんなことはお構いなしに俺は自分の快感を貪るためにがむしゃらに動き始めた。  
 
 「ああっ、ううっ、うぐっ、っあああぁぁっ!」  
 
 破瓜の血を俺の息子に纏わりつかせて目の端に涙を浮かべながら苦悶に歪む涼宮の顔が眼前にあった。  
 いいねぇ、普段の顔よりこっちの方が断然好みだぜ。  
   
 「っう!」  
   
 しかし、次に面食らったは俺の方だった。  
 更に動きを大きく強くしようとした矢先だった。目も眩むような快感が俺を襲う。  
 息子の刺激を辿ると、どうやら涼宮の膣内は不規則な凹凸がびっしり敷き詰められていて、ピストンするととんでもない量の刺激を受けるようだった。  
 動かずにいても膣が収縮する動きに連動してザラザラが裏筋やカリを這い回ってきやがる。  
 気づけばもう余裕のないところまで射精感が高まっていた。  
 ちっ、一回出すしかねぇ。  
 早漏を恥じながらもこのとめどない快感には逆らえなそうもない。俺は諦めてピストンを再開した。再びゆっくり浸る余裕もない大量の快感が押し寄せる。  
 
 「っ、すっげぇ……、ダメだっ、射精るっ!」  
 
 「うっ、あああっ、ああっ、ああっ、ああああっ!」  
 
 ビュクン、ビュクン、ビュクン! ビュルルっ、ビュルビュル!  
 
 十往復もしない内に俺の絶頂は訪れて涼宮の膣で自分勝手な射精を行う。  
 
 「はあっ、はあっ、はあっ、はあっ、はあっ―――」  
 
 最多射精量を更新したんじゃないかと思うくらい、大量の精液が放出されていた。  
 余韻が大きすぎて目の前が薄く霞んで見える……。こんなのは初めてだぜ。  
 
 グププッ  
 
 朦朧とした意識のまま結合部を見下ろすと、破瓜の血と精液の混ざった液体が息子の隙間から漏れ出ていた。  
 イってない涼宮の膣は俺を休ませるつもりはないらしい。  
 ザラ目が萎みかけた息子に鞭打つように這い回り続けるおかげで、あっという間に息子は奮い立つ。  
 涼宮の表情は落ち着いていた。さっきのような辛そうな表情はない。虚ろな目で浅く肩を上下させながら呼吸しているだけだった。  
 くそっ、これじゃあどっちが上の立場か分からねぇ。  
 今度こそ俺がヒイヒイ言わせてやる番だ。  
 俺は一度息子を抜いてから涼宮の身体を再び折り返し、片足を肩に担いで身を寄せた。  
 いわゆる松葉返しの姿勢で挿入を試みる。  
 
 「あんっ」  
 
 大量の分泌物で滑りがよくなったせいか、涼宮の反応が明らかに違う。上等だ。  
 半ば意地になって俺は二回戦目に挑んだ。  
   
 ずっちゅ、ずちゅ、にちっ、にちゅっ  
 
 粘性の高い液体をかき回すような淫猥な音が響く。  
 回すようにゆったりと腰を抽迭すると、自分から凹凸に息子を擦り付けるような動きになって性感が倍加するが、射精した直後で鈍っている息子には丁度いい。  
 射精す前にこれをやった日にゃあきっと死ねるんだろうがな。  
 
 「はあっ、んんっ、あん、いっ、いいんっ」  
 
 涼宮の嬌声には明らかに甘いものが混じっていた。  
 一定のペースで抽迭を続けていると何を思ったのか涼宮はいきなり半身を起こし、  
 
 「んんんんっ、……やっ、ちがう、もっとっ、上ぇ。……そう、ここぉ。ああああんっ!」  
 
 信じられないことに涼宮は自分で身を捩ってスイートスポットを固定しやがった。  
 これには絶句するしかない。  
 
 まったく底なしのビックリ箱だぜ。コイツはよ。  
 
 「はぁっ、はんっ、ああっ、やぁっ」  
 
 伏目がちな視線で口を開けたままただ快感を貪る涼宮に乗せられるように、俺は片手を伸ばして涼宮のバストを弄びながら動きを大きく強く速くする。  
 パシン、パシンと身体がぶつかり合うペースが加速度的に速くなる。一時は余裕ぶっこいていた息子も無茶なペースアップであっという間に二度目の爆発が迫っていた。  
   
 「ああっ、ああんっ、いいっ、ううんっ、……な、なにか、くるっ、きそうなの、もうちょっとでっ、はぁっ」  
 
 涼宮も昇りつめつつあるようだが、俺の方が明らか余裕がない。やっべぇ、このままじゃまた先に達しちまいそうだ。  
 咄嗟に俺は胸を愛撫していた左手を下半身に移して、クリトリスを指の腹で弾く。  
 
 「っ、きゃうっっ! ああああ? なにこれっ。だめぇ、くるっ! 変になるのぉ――――」  
   
 狙い通り涼宮の性感は一気に高まる。これに乗じて俺はラストスパートをかけた。  
 数の子天井の恩恵を最大限受けるために、大きな円を描いて描くように深く腰を出し入れする。すっかり根性なしに成り下がっちまった息子がすぐに悲鳴をあげた。  
 
 「ああああああぁぁぁぁ――――――――!!」  
 「っおぉおぉぉぉ!!」  
 
 涼宮と俺の咆哮がハモって同時に絶頂に昇り詰める。  
 
 ビュルビュルビュルビュル―――――。  
 
 一回目と遜色ない量の精液が弾けた。無理が祟ったのか睾丸が痙攣しているのが分かる。 あまりの勢いに睾丸まで外に出ちまうんねぇかってくらいに大量の精液が涼宮の膣内を塗りつぶした。  
 春めいてきたとは言えまだまだ冷え込む季節だ。にもかかわらず、俺は大量の汗をかいていた。酸素を求めて呼吸をするが追いつかない。そのせいか軽い頭痛に見舞われた。  
 無理をしたせいか、させられたせいか分からんがとにかく体中のあちこちが悲鳴を上げていた。最低限の身繕いをして俺はのそりと立ち上がる。  
 脱ぎ捨てた上着からタバコだけを拾って一服した。  
 気を失っている涼宮の割れ目からはだらしなく精液が流れ落ち、床に小さな白濁池を作っていた。  
 
 喫煙によっていささか脳が落ち着きを取り戻してから、ようやく俺は自分のやったことを認識して燻っていた征服欲が満たされるのを感じた。  
 怒る涼宮、絶望に打ちひしがれた涼宮、泣き叫ぶ涼宮、恐れ慄く涼宮、苦しみに悶える涼宮、そして淫慾に塗れた涼宮……、俺の目論見は達成された。  
 しかし、なによりも大きな収穫はコイツが最高の名器の持ち主で、本性がとんでもない淫乱だったってことだ。  
 正直もうコイツの身体から離れられる自信がない。  
   
 このまま俺の女にするしかねぇ。  
 
 俺は静かに寝息を立てる涼宮の邪気のない寝顔を一瞥して煙を吐き出した。新たな悪巧みに口の端が歪む。  
 おいおい、万能宇宙人に次いで世界の鍵を握る女が俺の配下に下るってかぁ?  
 ただでさえ無敵だってのに、これじゃあ史上最強天上天下唯我独―――、  
 
 ドンッ!  
 
 身体の中心、胸部を軽い衝撃が突き抜けた。  
 余りに軽い衝撃のため最初はしゃっくりでも始まったのかと思ったくらいだった。  
 身体の芯の熱が急に奪われたように冷たい。  
 視界の下部に蛍光灯の光を反射して輝く研ぎ澄まされた金物が写っていた。  
 ゆるりと見下ろすと血まみれの無骨な剣が俺の胸部を貫いて切っ先が飛び出ていた。  
 
 ごはっ。ああっ? っぐぅっ  
 
 何かが喉の奥からせり上がってくるのを感じたときにはもう血液を撒き散らして派手に吐血し倒れこんでいた。  
 
 「な、にが、起こっ……た?」  
 
 のた打ち回る身体をそっちのけで俺は殺人鬼を探す。すぐに北高の青いスカートが飛び込んできた。  
 女?  
 視線を上げると……、俺が知っていて知らない少女が立っていた。  
 それは概ね喜緑に間違いなかったが、確かに喜緑だ。しかし、顔が……おかしい。  
 目が合った。いや、この表現は適切ではないだろう。  
 眼前で立ち尽くす喜緑には眼球というパーツが欠落していた。  
 愛らしいくりくりした大きな眼が収まるはずのそこは、黒一色で塗りつぶされ、ブラックホールのような不気味な漆黒の闇が渦巻いていた。  
 目に底なしの風穴を開けて完全に表情を捨てた喜緑江美里が立ち尽くしていた。  
 右手に身の丈と同じくらいの刀身を誇る巨大な諸刃の西洋刀を携えて。  
 
 「ぁ、ぁっ、ぁっ」  
 
 すでに生命の危機にあるにもかかわらず几帳面に俺は未曾有の戦慄を感じていた。肺がやられて喉が血で詰まってるせいか声が出ない。間抜けな発声で恐怖を表現するのが精一杯だった。  
 
 「喜緑美登里の感情基幹構造部に修復不可能なエラーが発生した」  
 
 なんだぁ?  
 喜緑が抑揚のない声でいきなりしゃべり始めた。音声案内を聞いてるかのような堅い日本語を使って報告するかのように続ける。  
 
 「重要規範1698『奉仕の喜びと強まる絆』に発生した予期せぬ例外が起点となってエラーが拡大。自己保護プログラムによって喜緑美登里は活動を停止した」  
 
 たらたらと一体何を説明してやがる? 死に瀕した俺にはいちいち難しすぎる。一単語すら脳に留まりゃしねぇ。  
 内容はともかく 俺はこの喋り方を耳にした覚えがあった。どこだ? どこで聞いた?  
 くそっ、思い出せねぇ。  
 
 ……しかし、それももうどうでも良い事か? 程なくして俺の命が尽きることに違いはねぇんだから。  
 
 「重要規範1698は保護ランクAに設定され書き換え不可能なため、完全復帰するためにはフォーマットするしか手段がない。それに随伴して規範内で定義された重要対象人物、通称『会長』を抹殺する」  
 
 とんちんかんな事を言うだけ言い放って喜緑美登里が剣を振りかぶる、あんな剣ゲームや映画の中でしかお目にかかれねぇ。確か、バスタードソードってヤツか?  
 
 
 
 
 ―――――剣閃が眼前に迫る忌わの際に自己に問う。  
 
 
 
 
 俺の人生これで良かったのかと、悔いはないのかと。  
 惑うことなく俺は応える。  
 危ねぇことに首を突っ込んでたのは百も承知。ならば因果応報の摂理に従うが潔しと。  
 
 宇宙が興味を持つ女をコマした功績が光る。  
 報いのタイミングと趣向にはちょっと面食らったがな。  
 だが器の中途半端な小悪党にゃお誂え向きの最期だと思わないか?  
 ならば分相応にこんな風な安っぽい台詞で最期を飾るのも悪くねぇと思うんだ。  
 
 
 
 
 悪徳生徒会万歳―――と  
 
 
 
 
 グシャ!  
 
 不快な水音とともに俺の意識が断絶した。  
   
 「粛清」  
   
 と、幻聴かと紛うほど誰かの小さな呟きが俺に手向けられた最期の言葉だった。  
 

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