みくるちゃんの撮影を終えたあたし達は、そろそろ日も暮れるという事で部室に戻って来ていた。  
「あれ?キョン戻って来てるじゃない。有希はいないけど」  
「あったかいですぅ」  
「彼が持って来たストーブのおかげのようですね」  
確かにこの部室は廊下よりも暖かい。それにしてもぐっすり寝てるわね。  
キョンを起こすために声を出そうとしたその時、古泉君がそっと囁いた。  
「まあまあ、いいじゃないですか。彼もお疲れのようですし」  
「そうですよ。たまには休ませてあげないとダメですよ」  
むぅ。二人して言われちゃしょうがないわね。  
それに……まあ、こいつだって色々雑用させられて疲れてるだろうし。  
「そんなに言うなら……」  
あたしは渋々といった面持ちで答える。それを見てニヤける二人。なんなのよ?  
「いいえ。あなたも本心を語らない方だな。と思いまして」  
古泉君って妙に遠回しな言い方するのよね。  
「ふふっそれでは僕はこれで」  
と言い残し古泉君は帰ってしまった。なにを言いたかったのかしら。  
古泉君の言葉を頭でこねくりまわしているうちにみくるちゃんの着替えが終わっていた。そんなに時間経ったっけ?  
「じゃあわたしも帰りますけど、涼宮さんはまだ残ってるんですか?」  
「うん、デジカメのデータをパソコンに移さないといけないし。もうちょっと居るわ」  
「キョンくんの事も心配ですしねっ」  
「んなっ……!」  
何言ってるのよこの子は!あたしは別にキョンの事なんか……ゴニョゴニョ  
「ふふふ、じゃあさようなら」  
あ、帰っちゃった。  
もう!なんなのよ二人して!そりゃちょっとは気になるけど、好きとかそんなんじゃない……はず。  
ふとキョンの方を見る。幸せそうな間抜け面ね。肩にかかってるカーディガンは有希のかしら?  
有希はこいつの事好きなのかな?あの子の事はよくわかんないけど、多分そうね。  
あたしは……まだよくわからないわね。あとちょっとでハッキリしそうなんだけど。  
こいつはどうなのかしら?何も考えてなさそうだけど……。  
よそう。自分の事もよくわからないのに人の事なんかわかるわけないわよね。  
あたしは考えるのを放棄した。今はこいつの苦労を労う事だけを……。  
「お疲れ様、キョン」  
と、こんな感じだと思ってるけど  
 

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