休日恒例のSOS団課外活動は当然のように本日も行われる。
いつも通りの集合場所である駅前にこれまたいつも通りの着順で俺が着くと
そこにはいつも通り愛くるしいお姿でたたずむ朝比奈さんと、いつも通り制服姿の長門に並んで
いつも通りでない格好をしている奴が笑顔で立っていた。
普段ははかないミニスカートからすらりとした足を伸ばし、ニーソックスで纏めあげている。
オーソドックスだが、その姿に俺は思わずクラッときた。
ハルヒはただ笑っているだけだが、古泉が俺に感想を言えとアイコンタクトを送ってくる。
溜息をはき内心頭を痛めながらも、俺は仕方なく思ったまま感じたままの感想を言ってやる事にした。
「……キモいぞ、古泉。何でお前ミニスカなんてはいてんだ?」
団員きっての良識派として一応は突っ込んでおいたが、よく考えれば古泉がこんな妙ちきりんな事を何の意味もなくするはずがない。
些細なことにすら意義を見出そうとする探偵気質なコイツの事だ、今回だって何か理由があるはず。
俺は他の三人と軽い挨拶を交わしてから、古泉を半ば引きずるようにして近くのモニュメントの裏に回った。
「で、今回はどんな面倒が起きてるんだ?どうせハルヒ絡みだろうが、
そんな格好までしないといけないなんて、滅多な事じゃないだろう?」
内容如何によってはハルヒに聞かれてはマズい事になるからな。
早めの状況把握も、今まで散々厄介事に巻き込まれたが故の知恵である。
しかし古泉は、そんな俺の気遣いにも苦笑いをするばかりだ。一体何だと言うのか。
「涼宮さん絡みである事はその通りなのですが…
もしかして、僕が自発的にこんな格好をしていると思っていますか?」
「そりゃ喜んで…っつー訳では無いだろうが、
意味も無くそんな格好をしてるわけでもないだろう」
「あなたは一つの可能性を忘れていますよ。しかも一番有り得る可能性です」
一番有り得る…?しかし閉鎖空間や機関絡み以外でコイツがこんな事をするだろうか…いや、そういえば。
「…神様の命令か」
「ええ、その通りです」
しかしどうしてまたこんな。困惑する俺に古泉は、変わらぬ苦笑で説明を始める。
「涼宮さん…いえ、女性陣にはかねてからの疑問があったのです。
つまり、何故あなたが、何時まで経っても三人に手を出さないか」
途端に気が抜ける。
「その疑問については僕も納得なのですが…彼女たちは一つの仮説を建てるに至りました。
あなたが男色である、
という、ね」
なっ…!
「なんだそりゃ!俺はノーマルだっての!」
「知っていますよ…しかし彼女たちはそれ以外に理由を見つけられなかったのです。
仮説を立てた後にすることはなんですか?」
「…そりゃあ実験だろ…まさかっ!」
モニュメントの端から向こうを覗き込む。何やら三人が姦しく言い合っているのが聞こえるぞ…。
「やっぱり古泉くんが攻めでしょうか…」「甘いわねみくるちゃん。ここはキョンのヘタレ攻めで決まりよ!」
こくりと頷く長門。
なんだか頭が痛くなってきた…。