いつもの昼休み。私は今部室にいる。なんとなしに中庭を覗くとチラホラとカップルの姿が伺えた。  
どうせ夏休みの間に勢いで付き合っちゃっただけのバカ共だ、すぐに別れる決まってるわ!  
そんなことよりブログよブログ!せっかく有希に作って貰ったんだから有効活用しないとね。  
 
『今日はうれしいことがありました。私とキョン(仮名)は一緒にお昼を食べた後、教室を出て中庭の木の下で休むことにしました。私が座ろうとすると、キョンがハンケチを敷いてくれました。』  
 
なんかいまいちね……てゆーかリアリティに欠けるわ。ここは一つキョンに協力させて中庭のカップルみたいに……あれ?  
なんで中庭にキョンと有希がいるのかしら?てゆーかあんたたちくっつき過ぎよ!それじゃまるで恋人同士みたいじゃない!  
ちょっと……やめてよ…なんでよ有希?私の気持ち知ってるくせに……キョンだってポニーテール似合っるぞってキスしてくれたじゃない…やめて……やめてよ…  
 
 
な〜んてね。雰囲気は似てるけど全然違う人だわ。うん、全然違う人…そんなことよりブログ更新しよっと。  
 
『私がそこに座ると、キョンが私の膝に頭を預けて横になりました。  
 
澄み切った秋の青空の下、風が木の葉を揺らします。さらさらという音が聞こえてきます。  
 
キョンが私の膝の上で寝息を立てています。つい一週間前までは想像できなかった光景です。  
私の側にキョンがいる。それだけで胸が熱くなります。  
 
「○○」と名前を小さな声で呼んでみたりします。キョンは起きません。気持ちよさそうに眠っています。ついうれしくて微笑んでしまいました。  
 
キョンの顔を眺めていて、つい唇を見つめてしまいます。私はゆっくりとキョンの唇に自分の唇を近づけて…』  
あらやだどうしたのかしら?急にパソコンが本棚に向かって飛んでっちゃったわ……それにしてもあの二人いい雰囲気ね、何を話してるのかしら、ここからじゃ良く聞こえないわ。  
 
 
「……………唐揚げの味がする」  
「ご飯食べたばかりだからな………おかわり、するか?」  
「………うん」  
 
 
ふ〜、なんだか野球したくなっちゃった…選手交代しなくちゃね…  
私は備品のバットを持つと中庭に向かった。  
〆  
 

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