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ブロックで作られた薄暗い部屋には、砂ぼこりと汗と老朽化が混合された独特の匂いが充満していた。
通風孔と明かり取りを兼ねた天井付近に開く穴からは、湿った空気とうっすらした光が差し込み、
そこから不規則にしてリズミカルな地面を叩く大量の音をあわせて伝えてくる。
「…………あー、暇だな」
布団として使うには少々硬いマットに寝転がり、俺は漠然と天井に視線を送りながら呟く。
俺の格好が体操着に短パンなのは一・二時間目に体育の授業があったからだ。
「……暇」
隣から同じようにマットに寝転がり、瞬きと胸の呼吸以外何一つ動いてない姿で、天井を仰ぐ長門が答える。
こちらも俺と同様、体操着にブルマという体育授業の正装姿をとっていた。長門のクラスは体育の授業じゃないけどな。
校庭隅にある体育具倉庫。鍵がかけられ、外は雨。
俺と長門は、情報制御空間の中にいた。
「長門。一つ聞かせてくれ」
「………」
「楽しいか?」
「………わりと」