「いた!」
どうしたことか、ハルヒのやつが突然悲鳴をあげたかと思うとそのままうずくまっちまった。
なんだ?このブルドーザーとガチンコで喧嘩できそうなほどバイタリティに溢れたハルヒがこともあろうに
よくはわからんが痛みを訴えているだと?
「おい、どうしたハルヒ?」
「指が…」
ハルヒはおそらく痛みに耐えるのに必死なんだろう、まともに返答することができないらしい。
それでも指に異常が発生したんだろうことだけはわかった。
「右人差し指の乳酸蓄積量が異常。
また筋肉の摩擦による損傷を確認」
長門が俺にだけ聴こえるような小声で説明してくれたんだが、正直言って詳しすぎてかえってよくわからん。
それでも必死になってその意味を理解できるよう頭の中で咀嚼する。
えっと、つまり
「ハルヒ、お前、指がつっちまったのか」
「……そうみたい」
なんともはや。これには純粋に同情するね。
なんせこういう症状には明確な治療法なんてもんがない。
ただひたすら痛みが治まるまで我慢するしかないんだからな。
「原因はなんなんだろうな?」
俺は、目元に涙をためながら人差し指をくわえるなんていう普段じゃ絶対お目にかかれないレアなハルヒを眺めながら、
そんな疑問を口にした。
「僕にはなんとなくわかりますよ」
なんだ、古泉。言ってみろ。
「ではお言葉に甘えて」
「涼宮さんは人差し指をつきつけすぎなんですよ。同人誌の表紙で」