「遅いよ」
微笑んでいた。
朝倉涼子が。
どこで。
俺の家の食卓で。
「何で、お前がいる?」
机にはご飯に味噌汁、玉子焼きに焼き鮭が並んでいる。
「んっ、何が?」
パンの方が良かった?と、朝倉は続ける。
「何故、お前が、ここにいる。」
俺は無意識に後退りしていたのか、後頭部に壁が当たる。
「どうしたの?『あなた』」
本気で心配した様な顔で、俺に近付いてくる。
そして朝倉が俺に触れた瞬間、意識が飛んだ、気がした。
「あぁ、おはよう、涼子。」
俺は妻の頬にキスをしてから、椅子に座った。