ある日のことだった。俺はいつものように部室で朝比奈さんの入れたお茶をすすってまったりしていると、デカいダンボールを
積んだ台車を転がしてハルヒが部室に入ってきた。
「今日は全員コスプレ!着ないやつは死刑よ!!」
全く、今度は何だ・・・ってこれ、まさかお前・・・・。
「そうよ、懐かしいでしょ?」
懐かしい・・・?じゃ、やっぱりこれは・・・
「「鳥人戦隊ジェットマン」」
どうやらハルヒの奴、この間俺が偶然古本屋で見つけて買って、半ば強制的に貸りた小説を読んで影響されたようだ。
んで、俺はどれを着ればいい?
「アンタみたいなのには似合わないけど、はい。」
これは・・・ブラックコンドル、結城 凱の衣装か!懐かしいなぁ、かつて俺が憧れた男、最終回で俺の涙をさそった
男、その男のカッコをするのか・・・どれどれ・・・うわ、ぴったり。それじゃあ、言ってみるか?アレ。
「俺に惚れろ!」
「うん。それ、無理。」
って、朝倉!何故お前が!?っていうか、いつのまに外に出た!?
「それじゃ、死んで。」
朝倉の持っていたナイフが俺の腹に突き刺さる。そう言えば・・・凱もこうやって刺されて死んだっけ・・・あ・・・
意識が・・・・
「・・・ョンくん・・・キョンくん、朝だよー!」
何だ、夢か。しかし縁起の悪い夢だった。
そして、俺はいつものように部室で朝比奈さんの入れたお茶をすすってまったりしていた。すると、デカいダンボールを
積んだ台車を転がしてハルヒが・・・ってアレ?この展開・・・
「今日は全員コスプレ!着ない奴は死刑よ!!」
おいハルヒ、その中身もしかして・・・
「そうよ、懐かしいでしょ?」
やっぱりか・・・んで、俺はどれを着るんだ?
「はい。」
これは・・・レッドホーク、天堂 竜の衣装!?何で俺が・・・てハルヒ!そのカッコは?
「そうよ、ホワイトスワン、鹿鳴館 香!」
・・・おい、長門。女のお前に聞くのも難だが、これってまさか・・・
「そう、そのまさか。涼宮ハルヒは最終回の内容を知っている。だからあなたにその衣装を渡した。」
おいおい、冗談じゃないぜ・・・
「ちなみに、あなたが見た夢のようには絶対にならない。アタシがさせない。」
分かったから、雷太のカッコしてそういう話し方するのはやめろ。
「というわけでキョン!今日はアタシに付き合いなさい!!」
どういうわけだか知らんが、へいへい分かったよ。か・お・り。
「うんうん、分かってるじゃない。じゃ、行きましょ、竜!」
そしてハルヒは俺の腕に組み付いて俺を引っ張っていった。
「「お気をつけて〜」」
凱のコスプレをした古泉とアコのコスプレした朝比奈さんが笑顔で手を振っている。くそっ、古泉め。引ったくりに
刺されればいいんだ。アイツなんか。
その日、俺はハルヒにさんざん振り回され、気付けばあたりはすっかり暗くなっていた。
「楽しかった!コスプレしてデートってのもなかなかいいもんね。」
はいはい、そうかい。こっちはもう疲れたよ。
「それじゃ・・・後、あんたじゃなくて竜にするんだからね、誤解しないでよ!」
「誤解?何をするって・・・」
俺の口はそう言いかけたが、ハルヒの唇によって塞がれた。数秒、いや、数十秒か?ほんのちょっとの間だったが、俺は
ものすごく長く感じた。
「・・・・それじゃ、衣装は洗濯して明日持ってきなさいよ!」
そう言ってハルヒは去っていった・・・。
翌日、俺が部室に行って見ると、そこにはホットパンツをはいたハルヒ、黒いテンガロンハットを被った古泉、地味な服を着た朝比奈さん、
そして、ベレー帽を被った長門がいた。
おいおい、随分と時代を遡ったな。よりによってゴレンジャーかよ。
そう、モモレンジャーがハルヒ、アオレンジャーが古泉、ミドレンジャーが朝比奈さん、キレンジャーが長門である。
「やっと来たわねキョン。今日はこれよ!」
やっぱり、俺がアカレンジャーかよ。で、これはお前が持って来たのか?
「違うわ、有希が持ってきたの。」
長門が?おい、どういうことだ。
「・・・おいどんは活火山たい、怒ればでっかい阿蘇山たい・・・。」
まさかお前、そのカッコをしたいがために・・・?
「・・・・・そう」
分かった、今度カレー奢ってやるから、とっとと辞めさせてくれ。
END