さて、終わらない夏休みもようやく終わり、さしたるイベントや事件も無く、俺たちSOS団は平穏な日々を送っていた。  
相変わらず長門は読書に精を出し、朝比奈さんはいつものメイド服に着替え、編み物にいそしみ、俺と古泉はボードゲームで暇をつぶしていた。  
ハルヒといえば、毎日飽きもせず、コンピ研から分捕ったPCをいじり、一向にコンテンツの増えない我がSOS団のホームページのカウンタを回す作業に没頭していた。  
古泉によると、近頃はめっきり閉鎖空間を作り出すことも少なくなり、非常に安定した状態が続いているそうだ。  
暇は暇だが、気心知れあった仲間たちと過ごすだらだらした時間も悪くない。  
俺がそう思いながら朝比奈さんの淹れてくれたお茶を味わっていたそのとき、大きな声でハルヒが俺を呼びつけた。  
 
「ねえ、ちょっとキョン。これって一体何なのかしら?」  
 
古泉との対戦を一時中断し、ディスプレイの中のハルヒが指差した一点を見る。  
いつもどおり、簡素なつくりのSOS団のHP。しかしその下のほうに、見覚えのないリンクが貼られていた。  
 
「なんだ……? エロパロ板?」  
「ねぇ、とりあえず見てみましょうよ!」  
 
俺はこの時点で嫌な予感がしていたが、好奇心の塊であるハルヒをとめられる筈も無かった。  
 
そのリンク先に飛んでみると、どうやらスレッド型の掲示板のようだ。……だがその内容が問題だ。  
 
「『ハルヒテラモエス』 『長門おっぱいハァハァ(*´Д`)』 『古泉×キョンまだ?』……これってなに? ねぇ、キョン?」  
 
……非常に答えづらいことを俺に尋ねるな。  
どうやらこの掲示板は、俺たちSOS団をネタに、エロい小説を書く場のようだ。  
こんなのを見せられたらハルヒはさぞ激怒するだろう……と思ったらハルヒは予想外の反応を見せた。  
 
「ふ〜ん、なるほどねぇ――それにしても全然駄目ね! こんなんで萌えられると思ったら大間違いもいいとこだわ!」  
 
そこかよ!ハルヒにとって自分がエロ小説のネタになっていることは些末なことに過ぎないようだ。まぁ、もともと恥じらいなんて言葉とは無縁の存在だからなあ。  
 
「無許可とはいえ、SOS団の名を冠するものがこんな出来で良いわけがないわ!」  
 
ああ、目が輝いている。スイッチが入ってしまった。こうなったハルヒはちょっとやそっとじゃ止まらないぞ。  
 
「情熱思想理念頭脳気品優雅さ勤勉さ!そしてなによりも――エロさが足りないのよ!」  
 
思わず兄貴と呼びたくなるほど男らしい発言だ。ていうかハルヒ、女の子がそんな言葉を口に出しちゃ駄目だろ。  
 
「甘いわね、キョン。そんな甘っちょろい意識だと戦場では真っ先にやられるわよ! というわけでみくるちゃん、かもーん!」  
 
それはいったいどこの戦場の話なのか。って、朝比奈さんが!  
 
「ふぇぇぇ、やめてください〜」  
 
ハルヒに捕まった朝比奈さんは抵抗もむなしく、そのメイド服を剥ぎ取られていく。一瞬俺の中のエロマインドが頭をもたげたが、ここはまだ理性と常識が本能を押さえつけた。  
「ストーップ! ハルヒ、お前何をやらかそうとしているんだ!」  
「何って、資料よ、資料。リアリティのある小説作りのためには、綿密な取材をしないとね!」  
 
ハルヒがこれまで見せた事のないほどの満面の笑顔。だが黒い。真っ黒だ。  
 
「さぁみくるちゃん、お楽しみの時間よ!」  
 
もはや下着だけのあられもない姿にされた朝比奈さんに向き直ると、どこからとも無くピンク色の大人のおもちゃを取り出した。  
 
「……なんでお前はそんなもんを持ち歩いているんだ?」  
「もう、うるさいわね。古泉君、ちょっと抑えてて!」  
「かしこまりました」  
「こらっ古泉、離せっ! ぅわやめあqwせdrftg」  
「な、なんなんですかそれ? なんであたし脱がされてるんですかぁ〜」  
「大丈夫よ、みくるちゃん。すぐに気持ちよくなるから!」  
 
そういうとハルヒは、ローターのスイッチを入れ、小刻みに振動するそれを、朝比奈さんの下着の中に突っ込んだ。  
 
 
「ふわぁっ!」  
 
おそらく初めてであろうその異物の感触に身悶えする朝比奈さん。その姿に俺はあわてて目をそらした。……直視していると股間の暴走が止まらなくなりそうだからな。  
そのときになって俺は視界にようやく長門の姿を捉えた。  
だが何か様子がおかしい。いつもならわき目も振らず読書に勤しんでいる筈の長門の目は、じっとハルヒと朝比奈さんを見つめたままだ。  
時計の針のように正確なリズムでページをめくり続ける手も、ひざの上に置かれたまま停止している。俺は一縷の望みにかけて長門に頼んでみた。  
 
「おい、長門。頼む、ハルヒを止めてくれ」  
「その要請は残念ながら受理できない」  
「なんでだ?」  
「情報統合思念体は、現在の涼宮ハルヒの状態を継続して観測したいと望んでいる。この状況下なら三年間の観測の中では得られなかった情報が観測できると推測される」  
「僕も同感です」  
「お前は密着しすぎだ。ちょっとは離れろ気色悪い」  
「これは失礼。さて、涼宮さんはこの三年間、リビドーを己の内側に溜め込んできました。若い体をもてあます、と言っていたあれですね。  
 その潜在的かつ慢性的な欲求不満が、彼女のストレスの一因となっています。彼女は自慰行為だけでは満足しきれないようですから」  
「ちょっと待て。お前らはハルヒのプライベートまで監視してきたのか?」  
「ええ、止むを得ない時もありましたから。大部分は、僕ら超能力者が涼宮さんの精神状態の変動を感知したことによるものですが」  
 
さらりと古泉は言ってのけるが、俺は何だか無性にムカついた。  
 
「ここで僕らが下手に手を出して、中途半端に欲求不満な状態になったら不安定極まりません。ここは涼宮さんの欲求を満たすことが得策かと。寸止め、のストレスは男のあなたならよくわかるでしょう?」  
「…………」  
 
つまり、こいつら二人の言うことには、朝比奈さんをこのままハルヒに弄ばせようということらしい。  
理屈ではそれが正しいのかもしれない。だが……そんなの納得できるか。  
 
「みくるちゃん、おっぱい大きいけど感度の方はどうカナー?」  
 
ハルヒが背後から朝比奈さんの豊かな双丘を揉みしだく。  
白い下着の中から零れ落ちそうになる二つのマシュマロ。  
 
「あっ、ふぁぁ……」  
 
朝比奈さんは真っ赤な顔をして内股をこすり付ける。その中心部では未だ小さな機械が重低音の振動音を出し続けていた。  
 
「あれぇ?みくるちゃんもしかして濡れてるの? えっちな子だねー」  
 
ハルヒが中年のおっさんみたいな口調になっている。  
 
「……古泉。お前は、ハルヒが欲求不満を解消してくれればいいんだな?」  
「ええ」  
「そして長門、お前のパトロンはそれが観測したい」  
「……そう」  
 
……結局のところ俺が動くしかないのか。これで朝比奈さんにトラウマを植え付けてしまって、未来に帰る!とか言われてしまったら非常に困る。  
ハルヒにしても、それは不本意だろうしな。  
 
「ハルヒ」  
「何よキョン。今いいとこなんだから!」  
 
ハルヒは朝比奈さんの手足を縛って、陵辱直前のお姫様シチュを作るのに苦心していたところだった。  
 
「もうそのへんにしておけ。俺が代わりになるから」  
 
ぶー、と膨れたハルヒの顔が、一瞬で180度反転し、何かとっておきの悪戯を思いついた子供のような顔になった。  
 
「それもそうね!実は男のほうの資料が足りなかったのよね!」  
 
やれやれ、なんとか朝比奈さんは救い出せたようだ。  
 
「古泉、朝比奈さんを頼む」  
 
古泉は頷き、足腰の立たなくなった朝比奈さんを抱きかかえると、部室の外へと連れて行った。  
 
「で?ハルヒ、これはなんだ?」  
 
その隙にハルヒは俺の体を椅子にぐるぐる巻きに縛り付けていた。  
 
「こうしておけば、あんたを思うがままに出来るでしょ!? とりゃ!」  
 
ハルヒが俺のズボンを勢いよく引き摺り下ろす。安物のパンツが露になる。ちなみにどうでもいいが俺はトランクス派だ。  
 
「ふっふーん、ちょっと大きくなってんじゃないの?」  
ハルヒの指摘の通り、俺のモノは先ほどの光景を目の当たりにしてから、  
ふふ、その……下品なんですが……『勃起』、してしまいましてね……。  
……俺は、これから一体どんな目に遭うんだろうな。なぁ、長門。ん?長門?  
 
「なっ!長門、何でまだ部室に!」  
「…………」  
 
だがハルヒはそんなことにはお構い無しで、俺のパンツを脱がし、半立ち状態の俺の局所を露にした。  
 
「……グロ」  
「大きなお世話だ」  
 
仮にも俺の相棒に、なんて事言うんだ。  
 
「ふーん……これって意外とぐにぐにしてるのね」  
 
ハルヒは唐突に俺の棒を掴んで、顔を近づけた。そしてまじまじと観察する。  
 
「……それにちょっと変な匂いするわよ」  
「うおっ、あまり顔を近づけるんじゃないっ」  
 
暖かい吐息が俺の股間を刺激する。そしてハルヒの手の中のそれは、ついに完全なる姿となった。  
 
「す、すごいわね……」  
 
さすがのハルヒも、屹立した俺の息子に動揺した様子だ。少し頬を染めている。  
 
「……」  
 
長門がまったく視線を逸らさずに凝視してくる。それは命令によるものなのか、それとも――  
それはともかく、俺にも人並みの羞恥心はあるわけで、美少女二人にこうも下半身を見つめられるのは恥ずかしい。  
 
「なぁ、もういいだろ?」  
「だめよ!」  
 
俺の提案は一考の余地も無く一瞬で却下された。  
 
「まだ射精の瞬間をこの目で見てないわ! しっかり観察させてもらうわよ!」  
 
おいおい、この場でオナニーしろって言うのかよ!  
 
 
「安心しなさい、このあたし自ら、あ、足コキしてあげるから!」  
 
……こいつの知識はやたらと偏っているな。  
 
「文句言うなら踏み潰すわよ」  
「うぐっ」  
 
ハルヒは上履きを脱ぐと俺の肉棒を足の裏で押さえつけた。  
 
「ふふ、びくびくしてるのが伝わってくるわ」  
 
そりゃお前が圧迫してるからだっ!  
と心の中で毒づいたが、俺はこの若さでタマ無しになりたくはないので黙っていた。  
 
「えーっと、これでどうかしらね」  
 
ハルヒの足が陰茎を縦に上下する。ソックス越しのせいか、思いのほか滑りは良く、踏まれる痛みの中に、確かな快感が混じり始めた。  
 
「こういうのもどう?」  
 
ハルヒはもう片方の上履きを脱ぐと、両足で俺の息子を挟んだ。そして、再び擦りあげ始める。  
両足を使うことで確実に快感の量は増しており、加えて、両足を広げたことでハルヒのスカートの中がチラチラと見え隠れする。視覚からも与えられる刺激に、  
はっきりいって俺は興奮してきていた。認めたくはないが、俺だって思春期の少年ということでなんとかご理解いただけないだろうか。  
 
「ねえちょっとキョン。これが精液?」  
 
先端から分泌されたカウパー腺液が、ハルヒのソックスに粘りついていた。  
 
「いや、それは違うが……」  
「なんだ、違うの? ソックスが汚れちゃったじゃない」  
 
ハルヒは汚れてしまった靴下を脱ぐと、素足でそのまま、足コキを続ける。  
先ほどのソックスの感触も良かったが、直に伝わる肌の柔らかさ、暖かさもたまらない。  
さらに先ほどよりも自由に使えるようになった指でカリの部分をぐりぐりと刺激する。ヤバイ、そろそろ限界かもしれん。  
ハルヒの顔も紅潮し、息遣いも若干乱れている。  
 
「ハルヒ、駄目だ、もう……」  
「ねえ、キョン……あのさ、あ、あたし……」  
 
ハルヒが顔を真っ赤にして大きく息を吸い込み、次の句を言おうとした瞬間、ずっとこちらを見つめて椅子に座っていた長門が立ち上がった。  
 
「介入する。実行」  
「へぁっ?」  
 
ハルヒがいきなり倒れこんだ。床と激突するすんでのところで長門が受け止める。  
 
「お、おい、ハルヒ!」  
「心配要らない。眠っているだけ」  
「長門……お前の目的は観察じゃなかったのか?」  
「思念体の判断はそう。しかし私というインターフェイスはまた独自の判断を下した」  
「独断で動いたのか……大丈夫なのか?」  
「そう判断するだけの材料は十分揃っている。一番の理由はまた世界改変の兆しがあった事」  
「閉鎖空間ではなく、か?」  
「現在の涼宮ハルヒの願望を強く反映した世界に変わる恐れがあった。具体的には、性行為に関して、非常に奔放な世界」  
 
やれやれ、アホの谷口が喜びそうな世界だな。いや、そんな世界になってもやっぱり谷口はモテないんだろう。  
なんてったって谷口だからな。童貞というアイデンティティを失った谷口は、もはや谷口ではなく、別の何かだ。  
 
それにしても、あの時ハルヒは何を言おうとしてたんだろうな。  
 
「……今はまだ、時期尚早」  
 
ハルヒが突然倒れた事に気を取られ、すっかり忘れていたが、俺は下半身をさらけ出したままであることにいまさら気づいて恥ずかしくなった。  
しかもその中心には直立状態の我が息子と来たものだ。  
 
「すまん、長門……。これ、ほどいてくれないか?」  
「…………」  
「…………」  
「…………」  
あの……長門さん?もしもし?  
 
 

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