授業も終わり放課後、俺は部室にいる。長門と古泉と朝比奈さんはおらず、ハルヒと2人だ。なんか嫌な予感がする。  
まぁこういう事もあるさ。と、一人詰め将棋をしている時だった。  
「ねぇキョン。あんた子供欲しいって思った事ある?」  
いつものように強奪パソコンでネットサーフィンをしていたハルヒが問い掛けて来た。  
どうでもいいがいつも何のサイト見てんだ?2ちゃんねるか?あそこには不思議な人がいっぱいだからこいつにはうってつけだろうよ。おっと質問されてたんだったな。  
「まぁ一人位は欲しいと思うが…それがどうかしたのか?」  
これは俺の本心だ。結婚したら一人位は欲しいだろ?  
「……前にあたし言ったわよね?若い女なんだから体を持て余すって」  
確かにそんな事を言っていたような気もするが……。  
「それで?」  
「もしもよ?もしあたしが今、その状況だったとしたら、あんたどうする?」  
訳がわからん。何が言いたいのだこいつは。  
「ハッキリと言え。それだけじゃわからん」  
「本当ニブチンねぇ。いいわ、お望みどうりハッキリと言ってあげる」  
なにかいやぁ〜な予感がするハルヒは一つ深呼吸するとこう言った。  
「キョン……ヤ ら せ ろ !」  
 
 
 
「………は?」  
今なんて言ったこいつ?たしか「ヤらせろ」とか聞こえたが……  
ははは。耳掃除をサボっちゃいけないな。どうも耳にワカメが沸いているようだ。  
念のため確認しないといけないな。  
「すまん。俺の耳が確かなら「ヤらせろ」と聞こえたんだが」  
「そのとうりよ」  
………………いゃあまいったまいった。本当に耳にワカメが沸いているみたいだ。こりゃ早く帰って処理しなくちゃいけないな。  
じゃあなハルヒ、俺は帰るから戸締まりよろしくな。  
「ちょっと待ちなさい……」  
ドスが効いた低い声でハルヒが制止する。  
なんですか?ハルヒさん。僕はお家に帰ってこの耳に詰まった海草共を駆除しないといけないんですよ?  
「……なに逃げてんのよ?」  
チッ…バレたか。だがなハルヒ!俺だってみすみす純潔を奪われる訳にはいかんのだよ!!!  
「あんたは黙ってあたしに犯されりゃいいのよ!!!」  
椅子を蹴飛ばすように立上がるハルヒ。  
やばい……逃げなきゃ!逃げなきゃ犯されちゃぅぅう!!!  
「イヤァァァァァァ!!!!」  
「まてコラー!!」  
飛び出すように部室から逃げ出す俺。後を追うハルヒ。  
男と女の追いかけっこ。まるで淡い青春の一ページ。  
な訳ねぇだろ!!  
 
……俺は走り続けた。己の貞操を守る為に…走り続けた先に見た物。それは理科室。丁度いい、ここに隠れよう。鍵はかかっていなかった。  
理科室に入るとあの独特の科学薬品臭く生温い空気が迎えてくれた。走り続けたおかげで喉がカラカラだ。水道で喉を潤す  
「プハァー!!ハァハァハァハァ……ハァ…ハァー…………撒いたか?」  
ハルヒはとうの昔に見えなくなっていた。あれだけ逃げりゃ見失ってくれただろう。  
「疲れたぁー……」  
理科室の壁にもたれかかり座ろうとしたその時。  
コツ…コツ…コツ…コツ…  
来やがったか!?  
「……クンクン…キョンの匂いがする……」  
えぇぇぇぇえ!!  
なんで分かるんだよ!!!  
「クンクン…ここらへん?理科室?」  
ヤベェェ!!!!!隠れるとこ!!隠れるとこ!!  
あっ!あれは……  
ガラガラガラガラッ  
「さぁ〜キョン出てらっしゃい!ここにいるのは分かってるのよ!」  
……ここにいれば大丈夫なはず!俺は蛇を信じる!!  
「さぁさぁキョンちゃ〜ん。出てらっしゃ〜いお姉ちゃんといいことしましょ〜」  
ハルヒは何やら囁きながら教室内を探しているようだ。それにしてもキョンちゃんてお前……  
コツコツコツコツ……コツッ。  
「ここかなぁ〜?」  
グワバッ!!  
「…………」  
「……いないわねぇ〜」  
ふっ。そんなとこにはいないぜ…  
また探し始めるハルヒ。  
コツコツコ…ガツッ!!  
「ビクゥッ!!!」  
「いったぁ〜!!何なのよもうっ!!!」  
や ば い !  
「んん?何この段ボール?」  
「えーと…幼女フィギュア詰め合わせ?宛先は……ひろゆき様……誰よそれ?」  
「ビクビク……」  
ハルヒはそれをじっと見ている。  
「…クンクン……フン。ただの箱のようね……」  
「(ハァァァ危なかった……)」  
その時の俺には見えなかった。ハルヒが妖しく微笑んだのを……  
「ここにはいないみたいね」  
コツコツコツコツ……ガラガラガラッガラガラッピシャッ!!  
 
ガバッ  
「ふぅ…ビビったぜー。それにしても何で幼女詰め合わせが学校にあるんだ?」  
「ハルヒは?……もう離れたみたいだな」  
俺も出るか。そう呟いて理科室を後にしようと引き戸を開ける。  
ガラガラガラガラッ  
「ふぃ〜疲れた疲れた」  
「あたしも疲れたわ〜」  
「おう、お前も……」  
ギギギギギ…油が切れたロボットのように横に顔を向ける。そこには……  
「みぃ〜つけたぁ〜」  
「キャアアアアアアアア!!!!!!!!」  
 

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