SOS団の集会が今日も終わる。
夕暮れを背にさようなら。
私はこの喪失感がだぃっ嫌い。
キョンのヤツは最近、有希ばかり見てるし。
私が見ていることなんて、気づきもしないし。
「ただいま。」
そう言って今日も誰もいないだだっ広い家の玄関を開ける。
ダイニングキッチンのテーブルには、一人では食べきれないほどの食事が並べてある。
・・・あのホームヘルパーめ。
こんなにあったって食べきれないのよ。
そう思っても口にも出さなければ、態度にもださない。
電話をとってボタンをプッシュ。
その電話口からも、「ただいま電話にでられませ・・・」などという不快な電子音が聞こえるだけ。
「ハルヒです。ただいま帰りました。今日も一日問題ありません。」
義務付けられている報告の電話をこなし、シャワーを浴びる。
好きなものだけ2、3口摘まみ、早々と自分の部屋に引き上げる。
こんな所に一人でいたってさびしいだけじゃない。
部屋に鍵をかけ机にむかう。
これは、「こうあったらいいな」を書き綴ったノート。
このノートに書いてあることが、私のシタイコト。
みくるちゃんや有希それに古泉くんを仲間に入れてみんなでさわげたらイイナ。
そこにはそう書かれてある。ここまではみんな現実になったわ。
ですのーとって晴れ時々豚を絶対いんすぱいあ、してるわ。
これも現実になった。
だけど、ただひとつだけ現実にならないことがあるの。
その対象は、昔、ジョン=スミスだったけど。
今なら、そんな一度あった人じゃなくて、毎日あって私の心をときめかせるひと。
その人に甘えたい。大丈夫か。ハルヒ?っていわれたい。
野球のノックで苛められたら助けてほしい。
なのに、私にはしてくれなくて。
そう、思うと私は濡れてきてしまう。
勝手にリコーダーに手が伸びる。
この前は、勢い余って膜まで破いてしまったの。
これを知られたらもう・・・
だけどキョンの事を思うと、やめられない・・・
それで私は昨晩、新学期のことを想像したの。
キョンはきっと気難しい顔をするだろうと思ったわ。
二人は他の人が見ない時に、ちょっと横目で見あって笑うだろうと思うわ。
それを他の人に見られたって、見られたら見られた時よ。
それから私はとてつもないことを考えたの。そして一人で笑っていたわ。
それは皆が真面目でいるとき、パンツをみせたらどんなに驚くだろうと思ったからよ。
その時喜ぶのはキョンだけで、他の人は基地外だと思うわ。
しかし、そんなことはしないからご安心。
あなたがしろといえばしてもいいわよ。
しろという勇気がキョンにあれば。