前回までのあらすじ  
彼の『禁則事項』を賭けて鶴屋山で開催された恐怖のゲーム。惜しくも逃げ切れずに四人に捕まり、色々大変な事に。  
果たして彼の命運やいかに!?  
なお、あからさまに卑猥な表現や当人のイメージを壊す危険性のある言葉には『禁則事項』と表示されます。ご了承下さい。  
以上、今回出番のほとんど無い超能力者でした。  
 
……何か古泉の声が聞こえた気がしたがどうでもいい。とりあえず現在の状況を確認するとしよう。  
ここは長門のマンション。いるのはハルヒ、朝比奈さん、長門に朝倉、そして俺の計五人。  
俺は身体の自由を奪われ(おそらく宇宙人コンビが原因)、ハルヒの顔が俺の顔に近付き、朝比奈さんと長門は俺のシャツを脱がしにかかり、朝倉に至っては息子を摩られている。  
お分かりだろうか。今まさに俺の貞操のピンチなのでございます。  
こら、そこ!羨ましい、ああ妬ましい忌ま忌ましいと即興で川柳を作るんじゃない!  
 
確かに客観的に見ればとても羨ましい事であるのは否定はしない。文句無しの美少女四人からそんな行為をされるんだからな。もし俺が傍観者の立場だったらそいつにタイラント・オーバー・ブレイクを叩きこんだだろう。  
しかし、何と言うか、その、非常に怖い。目が四人とも獣の様だ。今の状況はメスライオンに狩られたキョン(動物の)といって差し支えない。  
更に言うと、いろいろ持て余す高校生だ。当然行為は一回では済まないだろう。しかも四人。……死ぬ。いろんな意味で。  
「ぶつぶつうるさいわよキョン。いい加減諦め………」と言いかけたハルヒはそのまま床に突っ伏した。長門と朝倉も様子がおかしい。  
「……迂闊だったわね。まさか私達の裏をかくなんて」「朝比奈みくるがこの様な行動に訴えるとは予想外だった……」  
首を動かすと、そこには『 計 画 通 り』と言いたそうな表情の朝比奈さんがいた。  
 
「みなさんを出し抜くのはとっても大変だったんですよぅ。普段は古泉君の組織や長門さん達が観察してるからそんな事出来ないし。  
今なら機関の人も手は出さないだろうし、長門さんに朝倉さんも普通の人と同じくらいの力しかないみたいだからちょっと飲み物に睡眠薬を入れてみたんです」  
 
な、なんですとー!?  
いや、待て。長門に朝倉が一般人レベルしかないなら、当然俺の身体は動くはず。なのにさっぱり動かせん。why?何故?  
「……朝比奈みくるはおそらくあなたの飲み物に強力な痺れ薬を混入したと思われる」  
「で、私達は薬の痺れを自分達の能力による物だと勘違いしてたっていうわけね……まさか私達に一杯喰わせる人がいるとは思わなかったわ」  
俺も、まさかこの宇宙人コンビを出し抜く奴がいるとは思わなかった。しかも出し抜いたのは朝比奈さんである。  
そんな事はRPGをプレイして最初から毒持ちで画面が緑色になってるくらいありえんと思っていた。  
 
長門と朝倉が床に突っ伏した。睡眠薬が効いてるんだろう。  
「キョン君、その痺れ薬は大体6時間ぐらいの効果みたい。うふふ……たっぷりいい事してあ・げ・る」  
普通ならここは喜ぶ場面なんだろう。しかし、古泉からあの話を聞かされたおかげで恐怖感が込み上げる。  
「まずキョン君に『禁則事項』をして『禁則事項』。でさらに『禁則事項』をキョン君の『禁則事項』に『禁則事項』した後、『禁則事項』は『禁則事項』………」  
聞かない方がいい。多分聞いたら朝比奈さんのイメージが180度変わるだろう。下手するとナイフで動脈を切られそうだ。  
「ふう、喉渇いちゃった。確か飲み物はここに置いて――あ、あった」  
そしてコップに注いで一気に飲み干した。まるで中の人…いやいやなんでもない。と、朝比奈さんの顔色がリトマス試験紙のごとく変わった。  
「こ、これに睡眠薬入れてたの忘れちゃってた〜。あ、眠くなって――」  
あ、寝ちゃった。  
 
朝比奈さんが自爆してから一時間が経過した。まだ一向に身体が動きそうにない。  
色々な事件が今まであったが、今回はやばかった。いや本当に。ある意味最大の危機だった。  
「なんで過去形にしてるのかしら?」  
前言撤回、みんなさっきの文を現在進行形に各自直しておくように。魔人アサクラ リョウコは目を醒ました。他はまだ寝てるらしい。  
待て、いや待って下さい涼子さん。その、なんだ、何をするつもりでしょうか。  
「あなたの初めてを奪うつもりだけど」  
出来れば控えてもらいたいのですが。なんと言いますか、その、読み手はそんな事望んでないし、何よりこの作者はそんな描写出来n  
「うん、それ無理♪」  
語尾に八分音符を付けて俺の顔に朝倉が接近して来た。どうせなら全休符を付けてくれ。まだ動けない俺はそれを回避出来ない。くそ、念動力があれば!  
程なく俺と朝倉の唇が触れ合う。……柔らかい。本当に宇宙人なのかこいつ。無口、無表情な長門と違い、表情豊かだからなあ。  
と、場違いな考えを遮るように朝倉の舌が俺の口の中に侵入した。  
 
やばい、とてつもなくやばい。舌の動きに緩急をつけ、巧みに俺の舌と絡ませてくる。そして唾液が喉の奥に注がれていく。理性が吹っ飛びそうだ。  
このままでは俺の初の行為は宇宙人というとんでもない事になる。すげえ、多分地球人の中で俺が初だ……って違う!(違わないかもしれんが)  
そんな事を考えていると、朝倉が顔を離して一言。  
「どう、身体は動く?」  
 
……言葉の意味を理解するのに数秒かかった。お、動く。後5時間かかるはずなのに。  
「薬を身体から消去したわ。力が完全なら触っただけで解毒出来るけど、まだちゃんと戻ってないの。  
だから、私の体液を直接あなたに注いだのよ。粘膜同士の接触が最も効率がいいわ」  
そ、そうか。ありがとよ、朝倉。ついでに帰らせてもらいたいたいんだが。  
「いいわよ。私も結果的にあなたの初めてを奪えて満足だし。  
閉鎖空間でキスはしたみたいだけど舌を使ったのは初めてよね。まあ、他の人はあなたの『禁則事項』を奪いたかったみたいだけど」  
 
……おい、もしかして身体の痺れをとる方法は他にもあったんじゃないか?こら、目を反らすな。  
まあいい。被害がこれだけなら御の字だろう。さて、帰るとするか。  
「……ごめんね」  
ん、なんだ?さっきの事なら別にもういいぞ。むしろ気持ちよ…いやなんでもない。  
「それじゃないわ。過去に二回もあなたを殺しかけた事」  
………。  
「いくら謝っても許されないよね。それは解ってるの。でも、どうしても言わなきゃいけない気がして」  
そうだなあ、じゃあ一つだけ約束してくれ。  
これからも色々な事が起きるだろう。SOS団自体に危機が迫るかもしれん。その時は……手を貸してくれないか?  
「もちろんそのつもりよ」  
よし、じゃあ過去の事は全て水に流す。それに一度生き返らせてくれたしな。  
あ、そうだ、手を出して小指以外閉じてくれ。  
「こう?」  
そう。  
「何をするの?」  
日本に伝わる儀式みたいな物だ。約束をちゃんと守るっていう、な。  
そう言うと、俺は自分の小指と朝倉の小指を絡ませる。  
 
こうやって小指同士をぎゅってやるんだ。  
「ああ、思い出した。クラスの人がやってるのを見たわ。確かこう唱えるのよね。  
 
ゆーび切ーりげーんまーん嘘つーいたーらはーりせーんぼーん飲ーます。  
ゆーび切ーった」  
指切りをしたあと朝倉ははにかんだ笑みを浮かべていた。この表情を写真に撮って学校に貼ったらまず間違いなく朝倉人気が朝比奈さんや長門より上になるだろう。  
 
さて、朝倉に後を頼み、長門のマンションから奇跡的に生還を果たした。見ると、黒塗りのタクシーがある。躊躇いもせず乗り込む。しかし、それがまずかった。  
 
 
一時間後。  
「では、これから『機関のウホッ!男だらけの乱交パーティー』を開催します。皆さん、用意は良いですか?  
それでは、スタート!」  
 
辞めろ――!!俺がショックで虎のロボの中で昏睡状態になっちまう!  
 
うあああああああ!!  
 
 
続く?  
 

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