世の中には不可抗力ってものがあると思う。  
たとえばリンゴが木から落ちるのを見て発見したと言う「万有引力」。  
フレミングの左手の法則だってそうだろう。  
そう、今の俺の状況だってそれと何らかわらないはずなんだ。  
 
 
目の前にいる無表情の中に微かな表情を見せるのは長門だ。  
…何故か全裸だ。  
そして俺は、飛び起きようとして、しかし体がピクリとも動かないことに  
狼狽するでもなく、諦めの境地に入っている。  
 
これが夢じゃない事は、のしかかってきた長門と直に触れ合った俺の肌が証明している。  
きめ細かな肌が…ってそうじゃなくてだな。  
 
一体全体これは何の余興なんだ、長門よ。  
 
「…交尾。交合。性交。まぐわi」  
 
すまん俺が悪かった。頼むから真顔でそんな事務的に答えないでくれ。  
 
「…実験。」  
 
その単語の意味するところを256通りくらい瞬時に想像してやめた。  
どの想像も禄でもないものばかりだ。  
これが情報統合思念体の意思か?  
 
「私の体は月経という機能を有していない」  
 
…はい?  
 
「しかし交合の為の機能は有している」  
 
…  
 
「矛盾」  
 
いや、その、なんだ、そりゃあ、、、あー何を言ったらいいんだ。  
 
「だから、確認の為に実験」  
 
長門の瞳。僅かに潤みがあるような…吸い込まれそうな黒い瞳。  
見つめられるだけで、局部が膨張を開始したのがわかった。  
だんだん思考能力が異常をきたしていく。  
 
長門の目がそこに向く。  
 
「勃起。正常な成人男性が性的欲求及び刺激により反射的に起こる反応」  
 
これは一種の言葉責めプレイか?  
しかし微かにかかる吐息がこう、、、情熱を持て余す。  
 
「いただきます」  
 
待て!待て待てその言葉は絶対にここでは適さな…  
 
…あまりの快楽に、我を忘れそうになった。  
 
長門の中に入る瞬間の熱過ぎる感触が局部から全身に回ったと思ったらもうすっぽりと中に包まれていた。  
目しか動かせないこの身では、腰の上でへたりこみ、控えめな胸が微かに上下しているのが見えるだけだ。  
しかしそれが見えた瞬間、俺の情熱は長門の中で更に膨張した。  
 
「またおおきくなった」  
 
淡々と言う長門の声すらも今は天使の囁きにしか聞こえない。  
少しずつ腰を上げられ、局部が擦れて有り得ない絶頂感が飛来し、必死に抑える。  
少しずつ腰が降り、長門の襞が射精を促す。  
 
幾たびかの動きだけで、全身が快楽で満たされてしまう。  
これは新手の拷問だ。目の前で微かに上気した長門がいるのに何も出来ない。  
 
「快楽を得る機能を有しているのは確認できた」  
 
その艶を帯びた声はやめてくれ。もう放出限界なんだ。  
 
「実験は終了。…出して」  
 
言った途端、熱湯と冷水をコンマ5秒ごとに交互に浴びせられるような、  
めくるめく恍惚感が、長門と触れ合っている部分を通して全身に広がっていく…  
脳に到達したと思った瞬間、マグマが隆起から噴出した…  
 
 
 
そんな夢を見て、数年振りの夢精という奴をしてしまって。  
余程溜まっていたのだろうか。しかも相手はよりによって長門だ。  
朝から何となくブルーな気分で登校し、ハルヒは「なんかあった?」と顔を見るなり  
不機嫌になって。顔に出てしまっているのか?  
放課後は習性で部室に足を運んでしまう。お、今日は一番乗りか。  
 
そしていつものようにPCをつけると。  
 
「実験協力感謝」  
 
と一文がBIOS起動画面の端に確かにあって。  
いやアレは目の錯覚だ。  
断じて錯覚なんだ。  
あんな初体験など…  
 
 
つづかない  

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