『サイコマトラー・TANIGUCHE』  
               題字/谷口  
 
よう、俺だ。谷口だ。  
突然だが、今回の話題は俺様直々に書いた題名の通りだ。  
 
あ?理事長?何言ってんだ?  
俺はそんじょそこらの北高生だぜ。  
女にモテすぎちまう、罪作りな……な☆(ばきゅーん)  
 
おーおー、センキューセンキュー。拍手ありがとう。  
おっと!サインは構わねえが、ハッハッハ♪空き缶にゃあ書けねえよ。  
で、肝心の能力についてだが、どうやらテレパシーってもヤツに近い代物らしい。  
近いって言葉を使ったのは、テレパシーってヤツは『他人の心を読む』らしいんだが  
俺の場合はそれとはかなり違うからだ。まあ、そこは追々わかってくれんだろ。  
 
さて、回想に入る前にひとつ質問だ。  
今の俺の超能力が羨ましいって思ったやつ、いるか?  
 
…。  
……。  
………もしいるならよ、  
 
 
 
 「誰か、誰か  俺 と 変 わ っ て く れ え !!!!」  
 
 
 
いったい、俺が何したってんだ!?  
ええ!涼宮!?  
 
ええ!?キョオオオン!!!??  
 
 
 
 
 
 
事態の始まりはトータル千回目の夢精を達成した、とある朝のことだった。  
この記録にゃあフロントだったか?の先生も脱帽するに違いねえ。  
ん?夢の御相手は誰だって?  
 
…ああ、涼宮だよ。悪いか!!  
 
俺としてはもうどうでもいいんだがよ、あんなヤツ。  
だが、スタイルだけは抜群だからよ、抜く材料として認めてやってる訳だ。  
ああ、それだけだ。それだけさ。それ以上でもそれ以下でもねえな。マジで。  
 
にしても随分と記録を伸ばしたもんだ、俺。  
中学一年から開眼して、卒業時には既に合計五百回。  
ギネスに申請しに行こうか迷ったぐらいだ。流石に止めたけど。  
だが、高校になってもアイツは相変わらず無愛想だったしよ、  
もういい加減に飽きが来てご無沙汰になっていたんだ。  
 
それがよ、  
二学期、いや、一学期の終わり頃だったか。  
アイツが飛びっきりの笑顔を見せるようになりやがった。  
中学の3年間、一度も見た事の無かった、悔しいが最高の笑顔をな。  
そこからは毎日だね。仮眠・昼寝・本寝問わず、寝る=夢精の日々さ。  
それでも今のところ俺の息子が衰える気配はまったく無い。  
将来の分まで先払いして放出しちまってんじゃないかと不安になっちまうぜ。  
 
ガビガビのパンツの感触ももうとっくに慣れた。  
親も無視だしな。ただし、一緒に洗濯してくれることはもうないが。  
朝さっさと起きて自分の分の洗濯を済ませるのは俺の日課となっている。  
やれやれ、とまあ、正直未練がましい己に嘆きながら腰を上げようとして  
 
「……っん!?」  
頭の中に妙なノイズが走ったのを感じた。  
「なんだ?」  
中腰のまま周囲を見回すが、人の気配は無い。  
聞こえるのは、鳥のさえずりだけの筈だ。  
だが、またノイズが走る。  
 
『………ん、んん〜…』  
 
 
ホワッツ?  
起き抜けに伸びをしたような、呻き声。  
『………もう、朝かぁ……』  
高い声だな…女か?  
しかも妙に聞き覚えがある。まさか…  
『……おはよ。シャミ人形』  
 
…涼宮、か?  
 
アレか。  
千回も涼宮とヤる夢を見ちまったせいで、  
脳が異常な幻聴、というか妄想を聞き取れるようになっちまったのか?  
怪しい薬無しでここまで脳が可笑しくとは思わなかった。  
一発頭にパンチをくらわせてみたが、まったく変化無し。痛えだけだ。  
ノイズはまだ流れ続けている。俺自身を無視して、そう、まるで独り言のように。  
 
『…んん?なんだ、まだ6時じゃない』  
一応、時計を確認する。……6時02分だ。  
合ってやがるじゃねえか。俺の妄想力め。  
それとも、さっき部屋を見回した時に無意識に目視していただけか?  
『学校には…まだ、早いわね…』  
ちなみに、ちなみにだが、俺は涼宮の家を知っている。  
中学が一緒だったからな。ストーカーだとかはしてねえぞ。…マジな話だって。  
その俺知識に基づいて時間を計算してみると、なるほど確かに登校するにゃまだ早い。  
…てか、どこまで一人歩きしてやがる?俺のノイズは。  
 
『もうひと眠り……しようかな』  
なんだ、あっさりと終息しそうだな。期待してるわけじゃねえが。  
だが、その声が妙に熱を帯びているのはなんでだ。  
 
…もし、もしもだ!  
これが俺の妄想の産物だったとするなら……。  
 
『でも……………んんっ…、  
 
 ………やっぱり…濡れてる……。  
 
 
 ちょっとだけ…いい…よね?シャミ……』  
 
 
…。  
 
……。  
 
キタァァァァァァ(゚∀゚)ァァ( ゚∀)ァァ(  ゚)ァァ(  )ァァ(`  )ハァ(Д`)ハァ(;´Д`)ハァハァ  
 
 
っても、も、もちつけ。違う!落ち着け、俺!!  
いいか、これは幻聴だ!俺の脳味噌が勝手に涼宮ヴォイスを作り出してるだけなんだ。  
自分に負けるな!勝て!勝つんだ俺ぇぇぇ!!  
 
そ、そうだ!こういう時こそ素数やら小難しい事を数考えて平静を取り戻すんだ!  
えーと、まずは…  
 
『…んっ…  
 
 ……ひぅ……はぁ…あっ、ああん!  
   
 ……だめぇ……気持ちいぃ…のぅ……止まんないよぉ…』  
 
 
まずはぁ…まずはハァ  
 
 
(  )ァァ(`  )ハァ(Д`)ハァ(;´Д`)ハァハァ < ま ず は テ ○ ッ シ ュ だああああ !!!!  
 
 
だってしょうがねえじゃねえか。  
想像してみな?よがってる女の声だよ?  
ヤバイよヤバイよ!リアルでヤバイって(ダミ声)  
例えばよ、映像オジャンになったAVビデオでも声だけで見る価値はあるっていうか、見えねえとこがエロいっていうか。  
いや別に盗撮やそういうモノに興味があるんじゃねえが、女がリアルでよがってる声が聞こえたら俺はクルね。  
ああ、我慢できん。我慢できん我慢できん!例え自分自身のくだらねえ妄想の産物でも俺は構わねえのさ!  
 
とまあ、かなり犯罪者チックな開き直りっぷりを脳内で晒していた訳なのだが、  
そんな俺の煩悩の後押しを受けた涼宮似の嬌声は次第に大きく、エロくなっているようだ。  
ティッ○ュ設置完了!マイサンの後始末の準備も出来たし、さあばっち来い俺の妄想ヴォイスよ。カーマンベイベー。  
 
『…あっ…はぅぅ…くっ…んん……っはぁ…』  
 
涼宮の自慰行為が始まってからまだ一分も経っちゃいない。  
だが、涼宮の押し殺しそうとした嘆息は、かなり荒くなっている。  
『あっあっあ…あんっダメェ…すぐ…いっちゃいそう……』  
女っていうのは、朝抜けからこんなに発情するもんなのか?  
俺にはそういう知識は皆無なのだが……まあ、都合良く出来てんだろ。妄想だし。だよな?  
『…んあっ!……はあ、はぁ……はぁ…  
 あたし…なんで、すごいえっち…こんなに…いやらしいのが……』  
呼吸が落ち着きを取り戻していく。一度行為を中断したようだ。  
その代わりに、恐らく自分を快楽に導いていた指を眺めてでもいるのだろう。  
涼宮の自嘲の声だけ聞かすなんて、俺の妄想にしては随分と焦らすじゃねえか。  
 
『…んぷ……ぷは…はぁ、自分の…舐めるなんて…、わたし…何、してるんだろ…』  
 
しばらくの静寂の後、  
ごくり、と唾を飲む音が二つ。  
『いや、疼いてる…触ってないのに、溢れてきちゃ…………んっ…あっあああん!』  
さっきまでとは比べものにならない嬌声。  
『あっあっあああん!ふぁっだめ、らめな、の…とまん、ないっひあ!』  
悲鳴にも似たなまなましいよがり声が頭にガンガンと響く。  
くそ、俺の脳みそよ。涼宮の声だけじゃなくて  
いじっている部分の音を再生してくれてもいいじゃねえか。  
『ひゃぁっあっ、ぐちょぐちょいってるっのやぁっあっいっちゃううう!!』  
最初の出来る限り噛み殺していた頃が嘘みたいだな。  
俺の頭の中にこだまするぐらいに響くよがり声。息が出来てるのかどうかもわからないぐらいだ。  
やがて、  
『あっいくっいくっいくううううううっ!!!!!』  
 
今までで一番大きな声を出した後、ノイズは急激に静かになった。  
ただひたすら余韻にひたる、甘いため息だけが頭に流れてくる。  
『はぁ……はぁ……っん、ふう………』  
脳に響く涼宮のヴォイスは、あいつが放心状態になればこんな感じだろうという  
俺の妄想を完璧に具現化したものだった。いや、それ以上にいやらしいかもしれん。  
 
だが、俺の頭の中に住み着いたノイズは、  
俺自身は大層満足しているのに全く消える気配が無い。  
『はぁ……なんであたし、こんなにエッチになっちゃったんだろ。…ねえ?シャミ』  
そんなこと俺が知るわけねえだろ。  
たかが妄想の産物のクセに宿主に質問とは大層なご身分だな。オイ。  
いや、実際はシャミとかいうわけわかんねえのに聞いてんだろうがな。  
シャミってなんだ?少なくとも俺の脳内データにゃねえぞ。  
『やっぱり……昨日のアレ…なんだろうな…』  
昨日のアレ?  
頭に流れるノイズはそう言ったが、昨日は特に何も起きちゃいないんだが。  
強いて言えば、放課後に予報外れのパラパラ雪が降って寒かったぐらいか。  
 
『ね、見てシャミ。コレ、あんたのご主人のコートだよ。  
 …まあ、あんたは人形なんだから、あんたに見せたってしょうがないんだけどね』  
コート?ご主人?人形?  
何だか意味不明なキーワードが出始めやがったな。  
ちなみに俺は冬用のコートは持っているがまだ押入れの中だし、  
ご主人と呼ばれるようないわれのある物は持ち合わせちゃいねえ。  
人形遊びも、幼稚園の頃からぜんぜん興味無かったしなあ。  
つまり、この3つの単語は俺の深層心理とはあまり縁が無い筈だ。多分な。  
一体どこまで暴走するつもりだ?  
俺の煩悩パワーよ。  
 
涼宮の深呼吸。  
いや、正確には息を深く、味わうように吸い始めた。  
 
『…すぅぅーっ………んっ…………ンのにおい…』  
 
今、何て言った?  
何か聞き覚えがある単語だった気がするのだが、  
どうやらそんな思案に暮れる暇も無いらしい。  
『やだっ……また……んん…濡れてきちゃっ……』  
第2ラウンドのスタートだ。  
 
『んあっ…やっ…あぁぁ……すごぃ…さっきより……きて、んっんん!』  
さっきよりも格段に息が荒い。  
しかも無自覚なんだろうか。自分を虐める言葉を紡ぎ続けている。  
『ふあっ、っやあん!…やぁ………の匂いがする…、  
 触られる…オマンコぉ…ぐちょぐちょに触られてるよぉ…』  
さっきよりも格段に興奮した声。  
きっと、コートを滅茶苦茶に抱きしめながら、  
コートを渡した男に貪られ、弄られまくっている様を妄想してやがるんだろう。  
『ああっはああん!いっぱあ、いっぱいさあられてる…、  
 いやっ、きもちい!ひもちいいよおお!!』  
ノイズの呂律が回らなくなってきた。  
ヤバイ。いくらなんでも可笑しいだろ、これは。  
妄想っても有り得ねえくらい涼宮が狂ってやがる。  
千回見たどの夢の中でさえ、ここまで涼宮をよがらせた覚えはねえ。  
 
いや、もう心ん中じゃわかってるんだ。  
この声を聞かずとも、な。  
 
 
『欲しい……欲しいよぉ…………………抱きしめてよぉ………キョン……』  
 
 
これは俺の妄想なんかじゃねえ。  
ああ、認めてたまるか。  
アイツのこと妄想してよがる涼宮を、俺が妄想するなんてよ。  
 
有り得ねえんだ。  
 
『んん…キョンの……キョンのがぁ…はいってくる…』  
俺が妄想しようのない、恍惚とした声を出す涼宮。  
あいつ、一体何を挿れやがったのか。  
『あっ…ああ、あ、んん、んあっあああ!!』  
ああ、考えたくない、考えたくない。  
涼宮がキョンに抱かれてよがってる姿なんて。  
『ああっはっん、んん!!とまん、ひゃいの、ああっひぅっ!』  
実際は涼宮が一人で自分を言葉責めにしているだけだってえのに。  
本当の映像が無い分、余計なビジョンまで浮かんできやがる。  
『ああ、あっ!すごい、すごいの、いっぱい、きちゃううう!!』  
『ねえ、シャミ、シャミ?見て、キョンに、キョンにひれられてる、  
 こんなに、ひっぱい、ぐちょぐちょにされてるのおおおお』  
『らめえ、らめなのお、ひ、いっちゃうの、ひぁ、あっあっあ!』  
よがり狂う涼宮の大音量の嬌声は、俺の頭の中でガンガン反響しやがる。  
せめて、涼宮に腰を叩きつけてやがる相手の顔にぐらいモザイクくらいかけておかねえと。  
それぐらいでもしねえと次に二人に顔を合わせたとき俺がどう行動するか保障できかねねえからな。  
俺の脳に突然乱入しやがったお前が悪いんだ。  
少しぐらい相手の変換したって構わないじゃねえか。なあ、涼宮?  
 
『いっひゃう、らめ、もうらめえ!キョン、キョン!っあ、あああああああああ!!!』  
 
 
 
……。  
 
…。  
 
 
 『……………キョン……愛してる………』  
 
 
 
謎のノイズは、  
腹の立つ呟きを残してきれいさっぱり消失した。  
 
ベッドに倒れこみ、ただ呆然とする俺。  
 
さっきのは…何だったんだ?  
アレが俺の妄想の産物じゃねえことはよーくわかった。  
じゃあやっぱり、  
アレは涼宮の心のなか…だったっつうのか?  
 
…ま、何だっていいか。  
ありゃあ神さんが千回目の夢精を達成した俺様への、  
かなり趣味の悪いプレゼントだったにちげえねえ。  
とにかく、さっさと忘れよ。  
仮にも知ってる女と友人がヤッてる幻聴を見るなんて、  
到底思い出したくも無い出来事に決まってやがるからな。  
 
そういや俺はまだガビガビのパンツのままなんだった。  
おまけにさっきので履き心地の悪さが30%増しときてやがる。  
…泣けてきた。さっさと着替えよ。  
 
そのとき、  
『………ん、んん〜…』  
 
 
ま た ノ イ ズ が 走 っ た。  
 
おいおい、今度は何だ?ていうか涼宮じゃなかったな。誰だ?  
それとも、今度こそ架空のエロキャラ妄想ヴォイスか?  
 
『………もう、朝かぁ……』  
 
…んん?待て。  
妙に低い声だな………オトコ?  
 
 
まさか…  
 
 
『……よっ。おはよ、シャミセン』  
 
キョン!!!??  
 
待て待て。何だコレわ。  
もち、もち、もちもち!!もちついてみようぜ、ああ。  
よし。もちついたな、俺。  
 
『…んん?なんだ、まだ6時半じゃねえか』  
 
待て待て待て。もつちんて考えよう。な?  
まず、まずだ。これは一体なんだ?  
おい、俺のクソ味噌よ。俺にはそんな趣味はねえ。  
みなまで言わんが、俺は断じてそういう気はねええ!!  
 
『学校にゃあまだ早いな…』  
 
待て待て待て待て。一回深呼吸だ、うん。  
時間は……6時38分。合ってやがるな。  
だからなんだ。結局何もわかっちゃいねえじゃねえか。  
 
『まだ少し眠いしな…。寝なおすか?』  
 
待て待て待て待て待て。そのまま寝てくれ。  
寝ていいからよ、早くノイズを止めてくれ!  
頼むから、頼むから!嘘言って悪かった。わかってるから。  
さっきと同じ流れだってわかってっからよおおお!!  
 
『……あー、駄目だ。寝れねえな。  
 まあ、朝っぱらからこんなにギンギンになってちゃあな』  
 
待て待て待て待て待て待て。興味ねえから!  
お前のマイサンの状態なんて聞かせるんじゃねええ!!  
 
『ほれ、シャミセン。眠ってるところ申し訳ないが、  
 俺はこれからちょっと忙しいんだ。出てけ』  
 
待て待て待て待て待て待て待て。追い出すんじゃねえよ!  
何が忙しいだ、一人で何する気だ、って120%わかってんだがよおお!!  
 
『さて…』  
 
待てえええくぁwせdrftgyふじこlp;@  
 
 
 
 
ぎゃあああぁぁぁぁぁ.........  
 
 
 
 
 
……。  
 
……………ハッ。  
 
 
どれぐらいの時間が経っていたんだろうか。  
キョンのなまなましいハァハァヴォイスを脳に直接散々聞かされた俺は、  
そのピュアな精神に回復しようのない強烈なダメージを負っていた。  
 
ていうかキョンよ。お前、妹いるんじゃなかったか?  
あんな大声で涼宮の名前連呼しやがって。絶対にバレてるぞ。  
 
ある種の喪失感を感じながら呆然としていると、  
また、頭の中にノイズが走った。  
思わず身を縮める。  
 
誰だお前。  
『あなたに名乗る必要性はない。私はただの助言者』  
さっきの二人はまた違う、やたら平坦な女の声。  
ていうかこいつ、俺に返事を返しやがった。  
助言者だと?  
『そう。あなたが手に入れた力を、あなた自身に理解して貰う為にここに来た』  
…なんかこいつの声も聞いたことがあるな。  
あんまり覚えちゃいねえが。  
平坦な声の女は、淡々と言葉を繋げていく。  
『齟齬が発生しているが、あなたが授かった能力は  
 人間の言葉でもっとも近しい呼び方をするならば、テレパシー』  
へえ、そりゃスゲエ。  
でも、近しいってことはどう違うんだ?  
『心を読み取ることが出来る、という訳では無い。  
 正しくは、特定の人物の、他人の干渉を求めない心の呟きを正確に聞き取り、理解する能力。  
 それも対象の中枢神経系が何れかかの事情で異常反応を示した場合のみに限られる』  
…えーと、  
ようするにだ。  
オナニーがしたくなるぐらい興奮したヤツの独り言が  
俺の気持ちとは無関係に盗聴できるようになった、ってわけか。  
『そう』  
大当たりかよ。迷惑だ。せめて何か褒美をくれ。  
…特定の人物ってのは、涼宮とキョンのことだな?  
『そう』  
…あのなあ。  
涼宮はまだ止しとしてやる。だが!だがな!  
な、ん、で、キョンもなんだ?  
『…あなたには、事態の全貌を説明すべきでは無いとの判断が下されている。  
 また、たとえあなたに全てを話す許可が出たとしても、  
 あなたが理解できるとは、私という個人は全く思っていない。  
 なので簡単に、あなたのすべき事だけを説明する』  
何か今、軽く馬鹿にされた気がするのは俺の気のせいってか?  
まあいい。で、すべきことってなんだ。  
二人をくっつけろってか?  
『そう』  
 
……ハア??  
『二人はお互いを強く欲している。相思相愛の関係。  
 だが、二人とも自分の気持ちを相手に告白することを躊躇い、  
 友人関係の延長線上をズルズルと続けている。見ているこちらの腹が立つほどに』  
それはものすごい分かる。  
二人揃ってトップクラスのツンデレだからな。タチが悪い。  
『……ある者はその関係が高校を卒業するまで持続することを望まなかった。  
 そして、二人の関係を後押しする存在を強く欲した』  
 
『それがあなた』  
馬鹿馬鹿しくて、声も出ねえ。  
『ようするに、恋のキューピット』  
本っ当に、…馬鹿馬鹿しくて話になんねえぜ。  
 
『その能力は、二人の関係がある者の理想形になった時、自然と消失する。  
 相手への願望や欲求を込めた独り言を聞き、あなたがどう行動するかは、全てあなたの自由』  
 
そこまで好き勝手言った後、  
ノイズはまた自分勝手にブツンと途切れた。  
 
……。  
 
ケッ!  
何で俺がそんな面倒くせえことを…。  
冗談じゃねえぜ!  
 
 
…いや、待て!!  
 
よ〜〜〜〜〜っく考えろ。  
 
俺って、今、物凄いお得な状態なんだよな?  
だって、タダで女のオナニーヴォイス聞き放題なんだぜ!!  
時たま気持ち悪い男のノイズも入るが、割合的には半分ずつだろうしな。  
涼宮のよがり声といったらお前、たとえキョンの不快な声を10回聞いても相殺できるもんじゃねえんだぜ!  
 
別に協力する義理もねえしな。  
むしろこのネタで涼宮を脅して…………っと、  
 
 
 
(  )ァァ(`  )ハァ(Д`)ハァ(;´Д`)ハァハァ < またノイズが来たぞおおおおおお!!  
 
 
『ふたつ、忘れていた』  
 
なんだ、お前か('A`)  
 
『涼宮ハルヒと彼にこの事実を知らせることは許さない。  
 もしそのような気配を見せれば、あなたの存在を確実に抹消する』  
ぐっ、怖え!!  
…仕方がない。  
まあ、そんなこと考えなくても  
涼宮のオナニーさせ聞けりゃそれで十分だしな。  
 
…ざわ…ざわ…  
『それともうひとつ』  
…ざわ…ざわ…  
 
ん?別のノイズがもうひとつ?  
 
ざわ…ざわ…  
『涼宮ハルヒが自慰を行う割合は』  
ざわ…ざわ…ざわ…!  
 
 
 
『彼の一万五千四百九十八回分の内、一回』  
 
 
なっ……。  
 
―― まぁた我慢できなくなってきやがったなあ…  
 
なっ……!!!  
 
『健闘を…否、同情を 送る』  
 
 
よせ、やめくぁwせdrftgyふじこlp;@  
 
 
 
 
 
ぎゃあああああぁぁぁぁぁ......  
 
(BAD END)orz  
 

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