万物は悟りにいたるまで輪廻転生の鎖を断ち切ることは出来ません。  
たとえ情報思念体のヒューマノイドであったとしても。かくして彼女はヒューマノイドとしての  
記憶を失い、ごく普通の女の子として転校から帰ってきました設定で転生し、  
再び北高に舞い戻ってきたのです。  
 
わたしはつい最近まで海外に行っていたことになっているらしいのですが  
実は三途の川の中流域で如来と名乗る方にひろい上げられ、人として肉体を与えられれて、  
転生したのです。わたしの前世は人間の姿をしたロボットのようなものだったらしいのですが  
慈悲深い如来さまは人間としての生活の記憶だけを残してわたしを転生させてくださったのです。  
わたしは新しく与えられた生に日々感謝し、喜びながら生きていますがひとつ悲しいことがあります。  
それはわたしの思い人であったキョンくんがどうもわたしを訝しがり避けているのです。  
前世でわたしはどんな酷い業をつんでしまったのでしょうか・・・。  
毎晩夢枕にたつ如来さまに訪ねても、ただ前世でのわたしの死に深くかかわったというばかり。  
まさかキョンくんがわたしを殺したわけではないでしょうし、  
むしろ彼はわたしのことを恐れているように見えるのです。わたしは何とかして彼との前世からの因果を解きたい。  
そしておこがましいかもしれませんが、結ばれたいと思い、sos団に入ることを試みました。  
涼宮さんは気難しい人と記憶していましたが、三途の川の水質について聞かせてやると、  
満足気な微笑みを浮かべてわたしの入団を了承してくれました。キョンくんはやはりわたしに冷たいのですが  
朝比奈先輩や古泉さんは良くしてくれますし、涼宮さんもわたしの転生の話を  
熱心に聴いてくれる姿はとてもかわいらしいです。 だから部活はとても好きだったのですが・・・・。  
長門さんからは嫌われているのでしょうか。嫌がらせのようなことをされます。  
如来さまは彼女もまたわたしの前世の死に関係する人物だとはいいましたが、深くは教えてくださらず、  
もう過去の業にとらわれるのはやめなさい、不幸になるだけだから。新しい人間関係を作り前向きに生きなさい  
とおっしゃりました。しかし・・・申し訳ありません如来さま。わたしの、わたしのキョン  
くんへの愛は抑えきれぬようです。わたしは次に嫌がらせをされたとき長門さんにきつく問い詰めてやろうと決意したのです。  
次の週のことでした。長門さんが部室に二番のりしたわたしを見て舌打ちをしました。わたしは何でそんなことをするのか  
と訪ねました。それは聞いてはいけないことでした。長門さんはわたしの心象にきずかいわざと難しい言葉であやふやに言いましたが  
聞くにわたしは前世でキョンくんを殺そうとしたらしいのです。しかも彼のことを慕うもう一人の女の子、  
涼宮さんが悲しむのを見たいがために・・・・。  
わたしは生まれ変わったわたしと仲良くしてくれた涼宮さんにとてつもない罪の意識を感じずにはいられませんでした。  
彼女が優しくしてくれるたびに彼女を欺いている気持ちがぬぐえませんでした。そして・・・・  
わたしは身を投げる決意をしました。如来さま、せっかくいただいた命をこのように果てさせることとあいなり、申し訳ございません。  
短い間でしたがわたしのような罪深き女にまともな学園生活を送らせていただき感謝いたしております。  
次からはそのお力を心のきれいな方にお使いくださいまし。そして涼宮さんがキョンくんと幸せになれるよう  
見守ってあげてくださいませ。わたしは階段を上りながらそう祈りをささげて屋上にたどり着きました。さいわい誰もいないようですので。  
さいわい誰もいないようです・・・・  
ではノシ  
 
 
 

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