「ねえ、キョン、学校生活において、もっとも重要なスーパーイベントって、なんだと思う?」  
授業中、ハルヒがシャーペンで俺の背中をブスブスとつつきながら話しかけてきた。  
「もし当たったら、何でも言うこと聞いたげるわよっ!ホラ、答えなさい!!」  
「ハルヒ、確実に当ててやるから、前払いで言うことを聞いてくれ。シャーペンで突っつくな」  
「あら、あたしが言うことを聞くっていったのは、ベッドでの話よっ。緊縛プレイだっけ、キョンがやりたがっていたのって?」  
言ってねえよ、そんなこと!!  
うう、クラス中から突き刺さる視線が痛い。睨むな、谷口。笑うな、国木田。特に、涙を堪えるように、悲しげに俺を見つめる朝倉涼子の視線が、心の柔らかい部分を突き刺してくる。  
やれやれ、お前が何を言いたいのかは分かってるさ、ハルヒ。およそ一年前からお見通しだ。  
ちょうど、俺もそのことで頭を悩ましていたところなんだよ。  
「わかんない?だったら教えてあげるわっ!キョン、それは――」  
「……文化祭だろ」  
「大正解っ!!キョン、もっと気合入れなさいっ!あたしたちSOS団は、すっごいのぶちかましてやるんだからっ!!」  
ハルヒは、ソーラーカーがあれば時速160キロですっとんでいきそうなほどに、眩しく輝く笑みを浮かべて宣言した。  
俺は、深い深い溜息をつく。垂直に立てれば火星にだって届きそうだ。  
まあ、何とか頑張るさ。ハルヒを楽しませ、退屈させないのはSOS団長の務めだからな。  
と、ハルヒが急にまじめな顔をした。  
どうした、ハルヒ?  
「……亀甲縛りって、どうやるのかしら?」  
いい加減、緊縛プレイから頭を切り替えろ!  
 
 
『ループ・タイム――涼宮ハルヒの溜息――』  
 
 
夏合宿で行った孤島での殺人事件と推理ショー、花火大会にプールに虫取り、夏祭りなど、これでもか、いうほどにイベント山盛りの夏休みが終わる。  
さらに、ハルヒ、長門、朝倉を筆頭としてSOS団メンバーが遺憾なくその身体能力を発揮し、大活躍した体育祭も終わった。  
そして、ハルヒが言うところの、学生生活、最大のスーパーイベントである、文化祭がやってくる。  
といっても、俺と長門にとっては二回目の文化祭だ。ハルヒの超自然的パワーのせいで、俺たちは同じ一年を繰り返しているためだ。  
ハルヒの起こした時間ループの原因は、一体何なのか?その鍵は、一向に見つかっていない。  
ともあれ、ハルヒがやり残したことが分からないために、俺と長門は、少なくとも去年のイベントは、余さず実行しようと誓ったわけだ。  
そういうことで、俺たちSOS団は、決められたイベントを忠実に実行し続けている。  
さて。  
その文化祭であるが……どうしたもんかね?  
 
 
『映画の製作』  
やはりそれか、長門。  
『それが妥当と思われる』  
まあ、予想はしてたがな。なんたって、ハルヒが去年、映画をとりたがってたんだから。今年も映画は撮るべきだろう。  
『……だが監督は私』  
意味ねえだろ!お前が映画を撮りたがってどうするんだ。  
『問題ない』  
ハルヒが監督をやりたがったらどうするんだ?あいつ、絶対に、「監督はあたしよっ」とか言い出すぞ。  
『……私に秘策がある』  
なんだ?その秘策って。  
『言えない。……秘策だから』  
電話が切れた。  
 
 
「映画の製作を行う」  
コンピ研の部室を乗っ取り、あまつさえ文芸部室とコンピ研の間にある壁を工事でぶち抜いて広げ、コンピ研部員たちを、物置と化していた教室に追いやったことで広くなったSOS団の部室である。  
文化祭に向けて、俺は『第一回SOS団文化祭企画会議』を招集していた。  
いつものように、おのおのコスプレに身をかためた女性陣と、変わらぬ制服姿の古泉と俺が、一様に神妙な顔で巫女さん衣装を着た長門の宣託を聞く。  
エアーズロックのごとく揺ぎ無い長門の言葉に、一同反論も出ようはずもない。  
団長である俺もしかりだ。完璧にリーダーシップをとる長門の前では言葉もない。  
……長門、もしかして、SOS団団長の椅子を狙っているのか?  
いつでも譲るから、欲しくなったら即言ってくれ。  
「自主制作映画ですか……なるほど」  
いつものように、わかったような面で古泉が頷く。一体なにがなるほどなんだ?一度じっくり聞いてみたい気もする。  
「ふうん、映画ね……いいじゃないっ、あたしはもちろん――」  
 
バン  
 
――と長門が机に分厚い冊子を置き、バニーガールに扮したハルヒの言葉を断ち切った。  
「脚本」  
手回しがいいな、長門。人数分がコピーされて、冊子の形でホッチキスでとめてある。団員たちは脚本をそれぞれ手に取った。俺も一冊をメイド姿の朝倉涼子から受け取り、パラ、とページをめくる。  
「…………」  
はっきりと言おう。俺は頭を抱えたね。  
表紙をめくって、最初に目に飛び込んできたページには、こう書いてあった。  
 
製作著作…SOS団  
総指揮/総監督/脚本/演出/撮影…長門有希  
主演女優…長門有希  
主演男優…キョン  
助演男優…古泉一樹  
脇役…朝比奈みくる  
 
監督どころじゃねぇ!!ほとんどが長門じゃねえか。  
主演女優…長門有希、脇役…朝比奈みくるってのは、主演女優を朝比奈さんに取られ、脇役に甘んじた去年の復讐か?一年間、仕返しの機会を伺っていたとは……。  
いや、大事なのはそこじゃない。それよりなにより……。  
 
♪ ジャーンジャンジャジャン ジャンジャジャン ジャンジャジャン ♪  
 
宇宙一凶悪な剣士、ダース・ベイダー卿のおなじみのテーマが部室に流れる。古泉の「機関」連絡用携帯の着信メロディーだ。  
「アルバイトが入りました」  
電話を取った古泉が、うっかりエアロックをあけてしまって、真空中に放り出される宇宙船の乗組員のように、猛烈な勢いですっ飛んでいった。  
超巨大閉鎖空間が誕生したことはまちがいないな。お疲れさん。  
俺は、おそるおそる、ちらりとバニーガールの方を見てみる。  
ハルヒからは、親友の地球人を凶悪な宇宙人にばらばらにされた戦闘民族のような、巨大な怒りのオーラが放たれていた。  
露出の激しいバニーさんは、ポンペイを灰で埋めたベスビオス火山のように、こみ上げる怒りで体をぶるぶると震わせている。  
その横では、やはり自分の名前をキャストの中に発見できなかった、部室専属のメイド朝倉涼子が、グランド・キャニオンに突き落とされたように、がっくりと落ち込んでいる。  
やばい、朝倉の瞳が潤んで、今にも大粒の涙の雨が降りそうだ。  
「こら、長門!ハルヒと朝倉の名前がないってのは、どういうことだ!?ちゃんと説明しろ!!」  
巫女さん衣装の長門は、俺のセリフには無言のまま、つと立ち上がると、とことことハルヒと朝倉の所まで行き、ごにょごにょと何ごとかを囁いた。  
途切れ途切れに、「……目立つ」とか、「……サプライズ」といった言葉が聞こえる。  
すると、ゲージのてっぺんにまで上りつめて、そろそろ溢れそうになっていたハルヒの怒りは次第におさまっていった。  
絶望のどん底からレスキューのヘリで救出されるように、朝倉の落ち込んでいた気分も回復していく。  
「なるほどね……ま、じゃあ仕方ないわね!有希、キョン、映画は任せるわっ!あたしと涼子は、他にやることがあるからっ!!」  
ハルヒが満面に、とびきりの笑みをたたえて言った。  
「うん、クラスの方もあるけど……何とかやりくりしてみる」  
朝倉もにっこりと笑顔をうかべて頷く。  
うーむ、すごいな。長門、どんな魔法の言葉を使ったんだ?  
「それは秘密」  
 
 
さて、朝倉が「クラスの方」といったのは、もちろんのことだが、俺とハルヒ、朝倉が所属するクラスの出しもののことである。  
ちなみに去年は、誰一人リーダーシップを発揮せず、何の案も出されず、担任岡部の苦肉の策、アンケート調査といういかにもヤル気が感じられないものに落ち着いたが、今回はそうはなるまい。  
SOS団が誇る生粋の美人委員長、朝倉涼子が率先して仕事を行っているからだ。  
現在、ホームルームで、文化祭でなにをやりたいか、提案と投票が行われている。  
「はーい、喫茶店、やりたいのね」  
「えっと、阪中さんの提案ね……喫茶店と。他には、なにかあるかしら?」  
教壇に立っている朝倉涼子は、黒板に「喫茶店」ときれいな字で書いた。朝倉なら、SOS団の書記も任せられそうだな。?  
「決めたわっ!」  
ハルヒがルビコンの渡河を決断したカエサルのような面持ちで、決然と立ち上がる。いや、これから決めるんだよ、アホ。  
「バニー喫茶よっ!女の子は全員、バニーの格好でウエイトレスやるの!」  
おおおお、と男子がどよめく。これまた、男子の煩悩を刺激する企画だな……。  
「え、えと、バニーガール喫茶ね……」  
朝倉が顔を赤らめながら黒板に書いた。  
「うおお、それでいいぜ、決定だー!」  
吼えるな、谷口。谷口だけじゃない、男子一同、目がウサギを狩るハイエナのようにぎらぎらと燃え立っている。  
……だがな、俺はちょっとハルヒと付き合いが長いせいで、お前たちより、もう少し勘が働くんだよ。  
「ハルヒ、女子はバニーとして、男子はどんな格好をするんだ?言ってみてくれ」  
「決まってるじゃない、男子もバニーよ!バニー喫茶なんだからっ!」  
やはりな。  
ええええ、と男子がどよめく。お前ら、世の中はそんなに甘く出来てないんだよ。  
結局、バニー喫茶に投票したのは、ハルヒと谷口の二人だけだった。  
谷口、その執念だけは尊敬したい。  
……というわけで、我らがクラスの出し物は、喫茶店で決定した。  
 
 
そういえば、長門のクラスは何をやるんだ?また占いか?  
『そう』  
ふうむ。あの魔法使い衣装か。  
『違う。今回は、巫女の衣装を着て、御神籤を引かせる』  
ああ、そっちの方が占いらしい雰囲気がある。なんというか、前回のは、ありゃ予言だったからな。  
……あー、あと、もうひとつ。頼みたいことがあるんだ。  
『なに?』  
ENOZのことだ。ハルヒもクラスの喫茶店に参加するから、去年みたいにENOZのライブに飛び入りは難しいと思うんだ。  
ハルヒが教室でウエイトレスをやってたら、生徒会やENOZの面々に会わないだろ。  
なんとか、ENOZがオリジナルメンバーで演奏できるようにしてやれないか?  
『可能。一時的に肉体損傷の修正プログラムを注入する』  
頼んだぜ、長門。  
電話を切る。  
そのとき、ふと思った。  
ハルヒの演奏姿が見られないのは、少し、残念だな。  
あんときのハルヒは、すごくかっこよかったから。  
 
 
映画の撮影が始まった。  
休日の学校でロケを行うために、俺と朝比奈さん、古泉、そして総監督にして主演女優、長門有希は、SOS団部室に集合した。  
「今日はアクション・シーンの撮影を行う」  
そう長門は言った後、おもむろに高速で呪文を唱えだした。おい、ハルヒがいないからって、いきなりそれか。  
閉鎖空間に入ったときのように、奇妙な感覚が、一瞬、体を通り過ぎる。  
「この空間を情報制御下においた。これで、私たち以外は立ち入り出来ない。撮影に専念することが可能」  
俺は長門の呪文も、空間の情報操作も見慣れているが、古泉と朝比奈さんはぽっかりと口をあけて唖然としている。  
そういえば、このループではカマドウマ事件がなかったからな。長門の超能力を見る機会はそうなかったはずだ。  
 
………………  
 
「小道具」  
続いて長門が持ってきたダンボール箱にはいっていたのは、大量のモデルガンだった。ためしに一つを取り上げて持ってみると、重量感があって、手にずっしりと来る。  
すごいな、まるで本物みたいだ……。  
「ふあ、すごいですぅ……ここが引き金ですか?……えいっ」  
 
パンッ  
 
乾いた音とともに、朝比奈さんが反動で吹っ飛んで尻餅をついた。  
「ふえぇ……なな、なんですかこれぇ……なんなんですかぁ……」  
朝比奈さんはおびえたハムスターのように、ふるふると震えて泣き出してしまった。  
おそるおそる見ると、壁には、まごうことなき弾痕が……  
「それは本物」  
うぉい、長門おーっ!!!なにやってんの!!  
「リアルな映像を追求したい」  
ふざけんな、こんなの喰らったら死ぬぞ。お前は平気でも、俺たち地球の有機生命体は間違いなく死ぬぞっ!!  
「大丈夫、安全。あなたたちの痛覚を遮断し、瞬間的に肉体損傷を回復するプログラムを注入すれば、痛みは感じないし、死ぬこともない」  
それって、痛くないし、すぐに治るから死なないけど、弾を食らって怪我はするってことだよな。  
長門、はっきり言って、朝比奈さんも古泉も全力でひいてるぞ。  
俺は朝比奈さんの横に屈みこむ。朝比奈さん、大丈夫ですか?  
「ぐすっ……腰が抜けて……立てませぇん……」  
もしや、今のSOS団でもっとも危険な人物って、長門なんじゃないのか?  
 
………………  
 
銃撃戦とカンフーシーンの撮影がすべて終了するころには、夕方になっていた。  
長門さん、あなたがカンフーシーンで回し蹴りを放つたびに、スカートの中がばっちり映るように思うんですが、それは仕様ですか?  
学校は、度重なる銃撃シーンのせいで、いたるところが弾痕だらけとなって、膨大な数の窓ガラスが割れている。だが、それも長門の高速呪文による再構成で、あっという間に元通りとなった。  
やれやれ。疲れた……カンフーで古泉と戦ったせいで、体中が筋肉痛になりそうだ。  
帰り道に、俺がそう言うと、長門が俺の顔を覗き込んだ。  
「大丈夫?」  
長門は、俺に近寄ると、背伸びをして、いきなりほっぺたに軽くキスをした。  
わ、な、なんだ、長門?ひょっとして、筋肉痛を回避するプログラムの注入か?  
「……おまじない」  
注視していないとわからないぐらい微かに顔を赤らめて、小走りで去っていく長門を、俺はぼんやり見つめていた。  
 
………………  
 
翌日、強烈な筋肉痛が俺の体を襲った。  
 
 
 
激しい戦闘シーンの撮影は終わり、長門と俺の会話や、古泉の登場シーンなどの撮影をこなしていたある日、撮影現場にひょっこり朝倉涼子が顔を出した。  
「撮影、お疲れ様。キョンくん、ちょっといい?」  
どうした、朝倉?そういえば、ハルヒとお前の方は、いったい何をやってるんだ?  
「ふふ、まだ秘密。そのうち分かるから……ねえ、今夜、ちょっとうちに来てくれない?喫茶店で出すメニューの試作をしてみたから、食べて欲しいの」  
ああ、クラスの出し物があったな。分かった、じゃあ、一緒に帰るか。  
「うん、じゃあ、また撮影が終わったころに来るね」  
朝倉涼子は、そういって引っ込んでいった。  
 
………………  
 
帰り道、朝倉はなんだか落ち着かないみたいだった。顔をほのかに赤くして、下ばかり見ている。  
時々、顔を上げて、何か言いたそうにするのだが、俺と目が合うと、あわててまた下を向く。  
結局、マンションに着くまで、朝倉は一言も喋らなかった。  
 
………………  
 
「これ、喫茶店のメニューなの。コーヒーと、お紅茶。あと、サンドイッチ。本当は、ケーキにしたかったんだけど……」  
いや、うまいぞ。十分うまい。すごいうまい。  
夕食前で、臨界点まで腹が減っていた俺は、思わず朝倉手製のサンドイッチを貪り、紅茶とコーヒーを胃に流し込む。  
「そお、良かった……キョンくん、ちょっと待っててくれる?その……、私、ちょっとシャワー浴びて、着替えてくるから」  
朝倉は立ち上がると、少し頬を染めて部屋を出て行った。すっとドアの向こうにきえる白い靴下が、なんだかまぶしくて、俺は妙にどきどきしてしまった。  
いかんいかん、素数を数えろ、冷静になれ。  
59まで数えて心を落ち着けていたとき、朝倉のベッドの脇においてあるシンプルな写真立てが目に入った。  
夏休みにおきた、合宿での孤島殺人事件、そのときの写真だ。  
たしか、古泉のお仲間、メイドの森さんが撮ってくれたんだな。  
俺の腕を取って、笑顔が満開のハルヒ。ふわふわとほほえむ朝比奈さん。  
例の如才ないハンサムスマイルを浮かべる古泉。特に表情を作らない長門も、なんだか楽しそうに見える。  
片手をハルヒに掴まれ、その上、妹に後ろから抱きつかれて、困惑している俺。  
そして――  
朝倉涼子が居た。  
白いワンピースを着て、横を見ながら少し困ったように微笑んでいる。隣の俺が、妹に飛びつかれた拍子に、朝倉に体を寄せているからか。  
……そういえば、この頃からだろうか、朝倉が髪形をポニーテールにしなくなったのは。  
あれ?  
俺はふと思った。  
同じ写真は、俺も持っている。だが、妹を背中から下ろして、森さんに撮り直してもらったやつだ。  
そっちの写真では、朝倉はカメラを見てにっこりと笑っていたし、俺も朝倉にもたれかからず、ちゃんとまっすぐ立っていた。  
なぜ、朝倉は、どう見ても失敗したほうの写真を飾っているのだろう?  
そう思うと、なぜか胸がちくりと痛んだ気がした。  
 
………………  
 
「キョンくん」  
おわ、びっくりした。ドアから顔だけ出して、朝倉がこっちを見ていた。シャワーを浴びて、上気したような顔をしている。  
まさか、下はバスタオル一枚なんて、そんなベタなことは断じてあるまいが……。  
「あの……ちょっと恥ずかしいから、目をつぶっててくれないかな?」  
まてまてまて朝倉っ――と言おうとして、朝倉がドアを開けたので、あわてて俺は目を固く閉じる。  
ま、まさか、ホントにバスタオルだけとか……。  
急激に頭に血が上った。やばい、自分の顔が真っ赤になるのが分かる。  
「はい、いいよ。目、開けてみて」  
俺は、恐る恐る目を開ける。  
そこに居た朝倉は――  
もちろんバスタオル一枚でも、一糸まとわぬ姿でもなかった。  
「それ……喫茶店のウエイトレスの衣装か?ひょっとして」  
朝倉は、顔を赤くして頷く。  
「作ってみたの。今日は、これの感想も聞こうと思って……」  
「…………」  
はっきりと言おう。すごい、いい。正直、たまりません。  
黒を基調とした上下に、白のエプロンにはレースで縁取りがされている。胸元には大きなリボン、頭にもレースの髪飾りをつけている。  
「ちょ、ちょっと、スカート丈が短いかな、ってあたしは思うんだけど……」  
朝倉涼子は、太腿が露になるのが恥ずかしそうに、ぎゅっ、ぎゅっ、とスカートの裾を下に引っ張る。  
「いや、すごくいいぞ。似合ってる」  
俺がそう言うと、朝倉は、赤い顔でにっこりと微笑んだ。  
「よかった、気に入ってもらえて……ありがと、キョンくん」  
いやいや、こちらこそ眼福です。  
 
………………  
 
朝倉は、とすん、と俺の側に座った。  
触れるか触れないか、というぐらいに、俺の肩に寄りかかる。俯いて表情は見えないが、首筋がほのかに赤くなっているから、きっと顔を紅くしているのだろう。  
なんとなく緊張して、俺はあわてて話題を探した。  
「……あ、朝倉、そういえば、なんでポニーテールやめたんだ?」  
朝倉は、ゆっくり顔を上げて俺の方を見る。その表情は、なんだか泣き出しそうなのを、無理に押し殺したような無表情で、指でつつくと、すぐにも壊れて涙が零れそうだった。  
「……ほんとはね、気がついてるの。キョンくんと涼宮さんの間に入るなんて無理だって……」  
いきなり、爆弾だ。  
「ポニーにしてると、どうしても自分と涼宮さんを比べちゃうから……それが嫌だった。だから、前の髪型に戻したの」  
むりやり作ったような笑顔を、朝倉は俺に向ける。  
「でもね、諦めたわけじゃないよ?あなたと涼宮さんの間に割って入って、涼宮さんの居る場所に立とうとするのをやめただけ。……私は、反対側で、あなたと寄り添っていようって……思って……」  
手、つないでいい?と聞く朝倉に、俺は黙って頷いた。  
朝倉は、自分の指を俺の手に絡めて、しばらくじっと握っていたが、やがて、抱えたひざに額を寄せて俯くと、押し殺した声で静かに泣き始めた……。  
 
 
 
「……遅かったじゃない」  
俺が朝倉のマンションから帰って、自分の部屋に入ると、ベッドに寝転んでいたハルヒが、俺めがけて言葉を投げつけた。  
……ハルヒ、なんでここにいるんだ?  
「あんたが居なかったから、妹ちゃんに言って待たせてもらったのよ。あんた、どこ行ってたの?」  
ベッドから跳ね起きたハルヒが、俺に詰め寄る。  
こういうとき、ハルヒに隠し事をしても無駄であることは、俺は経験上痛いほど分かっていた。  
正直に朝倉との一件を話すと、ハルヒは、なんだか間違えて変なものを飲み込んだような、なんとも複雑な表情をして、ふぅん、と言った。  
「分かった……誰が悪いわけでもないもの、何も言わないわよ」  
なんだか、ハルヒが大人になったような気がする……一年前なら、縛り首にでもされてそうだが。  
「でも、もう涼子のこと泣かしちゃ駄目よ、あの子、すっごくいい子なんだから……」  
ふう、とハルヒは溜息をついた。やっぱりこいつも朝倉のことが好きなんだろう。  
「……全力を尽くすよ」  
「それに、あたしだって、キョンが居なくなったら泣いちゃうから。三日三晩ワンワン泣いて、涙を拭いて、新しい人生を歩き出すから」  
あ、立ち直るんだ。  
「嘘よ。とにかく、キョン、心に刻みなさいっ、あんたがいなくなるなんて、絶対に嫌だからっ!」  
言い終わると、ハルヒは俺の首に手を回して、ゆっくりと口付けした。  
「ん……ぷはっ」  
ところで、ハルヒ、何しにきたんだ?  
ハルヒは、顔を真っ赤にさせて、嬉しそうに呟く。  
「エッチ」  
やれやれ。  
 
…………………  
 
「キョン、すっごい気持ちよかった」  
……俺もだ。  
俺の腕を枕にしていたハルヒは、布団を跳ね除けて起き上がる。  
「第六ラウンド、行くわよっ!!」  
 
 
全撮影日程が終了し、現在、長門の手によるCG処理と編集作業が行われている。  
コンピ研とのゲーム対戦で見せた、長門の超高速タイピングを見るのは久しぶりだ。キーボードが壊れるんじゃないかというスピードで、長門はCG処理を施していく。  
古泉と朝比奈さんは茫然自失して、目が点になっている。まあ、気持ちはわかるよ。  
それにしても、さすがにコンピューターはお手の物だな。下手すると、本当にハリウッドから長門にスカウトがくるんじゃないか?  
俺と古泉、朝比奈さんは、撮影が終わった時点でお役ごめんとなり、ぽかんと口をあけて長門の編集作業を見守るのみだった。  
ちなみに、古泉が俺の撃った銃弾をすばやく避けたり、古泉が長門のまわし蹴りを食らったり、古泉が長門によって銃で撃ち抜かれたりするのは、すべて実写である。  
ものの一日で、長門はCG製作及び編集作業を終えた。  
やれやれ。あとは、文化祭を待つばかりだな。  
 
 
で、文化祭、当日である。  
俺とハルヒ、朝倉の三人は、午前中はクラスの喫茶店の仕事に追われていた。  
ハルヒは俺のウエイター姿に爆笑し、ひーひー床を転げてた。おい、パンツ見えるぞ。あ、白だ。  
こっちも笑ってやりたいが、残念ながら、ハルヒのウエイトレス姿は完璧に決まっていた。  
朝倉と二人で立つと、それだけで神々しさに、この空間に光が満ちるようだ。  
こりゃ、朝比奈さんところの焼きソバ喫茶のウエイトレスと、グッドデザイン賞を争うな。  
谷口と国木田も、全てを忘れて二人をぽかんと見つめている。  
ときおり、思い出したように、俺を恨めしそうにギロリと睨み、またデレデレと二人の美少女ウエイトレスに見入っている。  
「お飲み物は、お紅茶ですか、コーヒーですか?」  
首を傾げてオーダーをとる朝倉。実に可憐だ……。SOS団部室での朝倉のコスプレは、メイドからウエイトレスに変更して欲しい。  
「ほら、サンドイッチよ、さっさと金をよこしなさいっ!!」  
ハルヒ……黙っていれば完璧なんだが……。  
「キョンよぉ……マジで羨ましいぜ……あの涼宮が恋人で、朝倉が専属のメイドだろ?ちくしょう、頼む、俺もSOS団とやらに入れてくれっ!」  
「長門さんは巫女さんなんでしょ?ぜひ間近でみたいなぁ。キョン、僕の入団も、考えておいてよ」  
やれやれ、谷口。国木田。  
「なんだ?」「なに?」  
「お前ら、仕事しろ」  
 
 
ようやくシフトが終わり、俺たちSOS団のメンバーは、クラスの仕事から解放された。  
「キョン、二大美女がいなくなったら、売り上げ、がた落ちだぜ」  
と言った谷口が、怒り狂った女子達にボコボコにリンチされる間に、俺は制服に着替えて教室を出た。  
ハルヒと朝倉は、シフトが終わったと思ったら、どっかに消えている。  
さて、長門と古泉、朝比奈さんのところに顔を出して、体育館に行くか。  
ENOZのライブがある。長門、ちゃんとオリジナルメンバーで公演できるようにしてくれたか?  
 
「……引いて」  
適当に棒を引くと、13番だ。やれやれ、いきなり縁起が良くない。  
ちょこんとした巫女さん衣装に身を包んだ長門は、御神籤をとりに棚までいき、そこでしばらくごそごそやっていると、13番の御神籤を持ってきた。  
長門が持ってきたのは、御神籤というか、普通の紙にたった一言、  
 
『大吉』  
 
とだけ書いてある。うーむ……この筆跡には覚えがあるんだが……。  
「長門、書き直さなくてもいい。ホントはなんだったんだ?」  
長門は、ばつが悪そうに、後ろ手に隠していた御神籤を差し出す。うむ、やはり大凶か。  
『たすけはこず、まちびときたらず、たびはよせ、さがしものはなんですか』  
この御神籤を作った奴、ふざけているとしか思えない。  
「引きなおす?」  
長門が俺の顔を覗き込む。  
「なに、いいさ」  
教室に持ち込まれた鉢植えの木の枝に大凶の結んで、なんとなくさっぱりして教室を出た。  
 
古泉は、一年前と同じく、なんだかよく分からん劇のなんだかよくわからん役をやっていて、女子たちの憧れの視線を集めている。  
古泉が俺に気付いたかは分からんが、軽く手を振って教室を出た。どうせENOZのライブで会えるだろ。  
 
「あっれー、キョンくん!みくるならいないにょろよ?」  
あれ、そうなんですか、鶴屋さん。  
残念、朝比奈さんのウエイトレスのお姿を目に焼き付けようと思っていたのだが。  
「まあ、あたしじゃ、みくるには敵わないけどねっ、どう、めがっさ似合ってると思わないかいっ!?」  
ええ、それはもう。実に素晴らしいですよ、鶴屋さん。  
「あっはははははは、ありがとっ!またSOS団にお邪魔するからねっ!!そんときはヨロシクッ!!」  
 
 
体育館に着いたとき、演奏していたのはDMCもどきのバンドで、「SATUGAIせよ!SATUGAIせよ!」というフレーズが客の少ない体育館に響いていた。  
確か、ENOZの出番は次だ。  
やがて、DMCが人文字を作って退場し、ENOZメンバーが入ってくる。  
一人……二人……三人……四人。  
よかった、ちゃんとみんな揃っている。長門はきちんと仕事をしてくれたようだ。  
ENOZのオリジナルメンバーの歌を聴くのは初めてだ。ハルヒがやったときも、曲と歌詞に感動した記憶がある。楽しみだ。  
 
…………………  
 
一言で言うと、うん、すごく良かった。  
やっぱり、なんだかんだ言って、四人の息がぴったり合っている。それに、みんなすごく楽しそうで、とてもリラックスしていた。MCでも冗談を飛ばし、観客を沸かせていた。  
まあ、一年前、ハルヒがカチンコチンだったのは仕方ないさ。飛び入りだったんだからな。  
観客たちは最高に盛り上がっていたが、はて、俺がいまいち乗り切れなかったのは、なんでだろう?  
――などと考えるまでもない。一年前、ライブをやって、満足したような、でもどこか不満だったような、複雑なハルヒの顔を思い出していたからだ。  
そして、今年は、そんな興奮を、ハルヒに経験させてやれなかったからだ。  
……来年は、SOS団でバンドでもやるか。  
俺は心の底からそう思った。  
ハルヒに思いっきり歌わせてやりたい。案外、それが原因でループになっているのかも知れないな。  
『これで、体育館公演のプログラムを終了いたします……』  
アナウンスが響く。やれやれ、これで今年の文化祭もお終いだ。  
 
 
瞬間、体育館の照明が消えた。  
真っ暗になった体育館に、観客たちの混乱したどよめきが響く。  
どういうことだ、なにが起きた?  
そのとき、俺の頭の中で、いくつかの光景が高速でフラッシュ・バックした。  
ハルヒに耳打ちする長門。頷くハルヒ。「サプライズ」というセリフ。ハルヒの満開の笑顔。  
そこに、長門の持ち出したダンボール箱に入った大量の銃器の映像が割り込んだせいで、俺の背筋は凍りついた。  
まさかとは思うが……体育館の占拠?立てこもり?銃撃戦?亡命?  
SOS団で独立国を作るために、ハルヒが武装して体育館の観客を人質に取ったとか?  
『えー、テス・テス・テス』  
そのハルヒの声が、体育館に響いた。  
『あんたたち、この体育館は、私たちSOS団が占拠したわっ!!立ち上がって、後ろを向きなさいっ、いい、逆らったら死刑よっ!!』  
ハルヒ、やめろ、やめてくれ、犯罪だけは洒落にならんぞ。  
観客たちははなんのことやら飲み込めずに、ざわざわと後ろを向く。俺も後ろを振り返った。  
 
スポットライトがあたり、体育館の後ろにステージが照らし出される。  
おかしい、こんなステージなかったはずだ。  
そして、ステージの真ん中に立っているのは……赤いコスチュームのバニーガールだ。マイクを握り締めて、緊張のあまりプルプルと小刻みに震えている。  
『み、みなさんっ、これから、SOS団による、ゲゲゲリラ・ライブを行いましゅっ!!司会は、赤いバニーの、私、あああ朝比奈みくるですっ』  
朝比奈さん、なにやってるんですか!?  
観客は巨乳のバニーガールに、ただ呆然としている。  
『ふえ、ええと、バンド名は……バニーズですぅ!!』  
その言葉と同時に、バニーガールたちがステージに上がってきた。  
 
『く、黒いバニーさんは、涼宮ハルヒさんですっ!』  
ハルヒが大きく手を振りながら登場する。その抜群のプロポーションに、観客の温度が、一気に五度は確実に上昇した。黒いバニーガールは、手に持ったギターをぶんぶん振り回している。  
『白いバニーさんは、な、長門有希さんです!』  
とことこと出てきた長門は、真っ白のバニーコスチュームに身を包んでいる。やばい、可愛い。  
ハルヒに歓声を送ったのとは違う趣味を持つ観客層が、うおおおおおと怒号を発する。  
やはり長門の担当はギターか。あの超絶テクを披露したら、観客たちは度肝を抜かれるだろうな。  
『ブルーのバニーさん、朝倉涼子さんですぅ!』  
女子たちが黄色い歓声をあげた。朝倉は自分の着ている露出度の高いバニーコスプレに、顔が茹でたロブスターのごとく真っ赤だ。  
ハルヒに劣らぬ完璧なプロポーションと、恥らう顔のギャップがたまらない……はっ、何言ってるんだ、俺は。  
朝倉は、ベースを持っているようだが……まだドラムが登場していない。朝比奈さんってことはないだろう。マイクを握る反対の手で、タンバリンを握り締めている。  
鶴屋さん?まさか、さっき会ったばかりだ。  
古泉だったら帰ってやる。断固として帰ってやる。  
『グリーンのバニーさんは、特別ゲストですっ!』  
その人が、微笑みを浮かべてステージに上ってきた。露出の激しい緑のバニーガール。  
ああ、なるほど。  
やれやれ。この人なら、超絶ドラムテクが期待できそうだな。  
『喜緑江美里さんっ!!』  
 
…………………  
 
五人のバニーガールが勢ぞろいしたところで、ハルヒが自分の前のマイクで喋りだした。  
『こんにちは、バニーズですっ!!』  
観客は、既に熱気に包まれている。ハルヒは、嬉しそうに頷く。  
『さあて、早速だけど、一曲目行くわよっ!オリジナルつくる暇がなくてカバーだけど、耳の穴かっぽじってよーく聴きなさいっ!「LETTERBOMB」!!』  
長門のギターの轟音が響く。アップテンポのイントロ。ハルヒが、すう、と息を吸って、叩きつけるように歌いだした。一気に観客が歓声に包まれる。  
「いやあ、実にうまいですね。素晴らしい」  
古泉、いつの間に居やがった。  
「おや、あなたがぼんやりと口をあけてステージを見ていた、さっきから居ましたよ。  
ああ、あのステージの設置は大変でした。コンピ研の部員さんたちと僕が、かりだされて作ったんです。  
直前まで、長門さんの情報操作で屈光シールドを張って隠していたんですよ」  
お前も一枚かんでいたのか。とすると、SOS団でこのライブのことを知らなかったのは俺だけじゃないか?  
「その通りです。なんといっても、サプライズ企画ですからね」  
だからって、同じSOS団メンバーに隠すこともないもんだ。  
古泉は、やれやれといった表情で、肩をすくめる。  
「おやおや、皆さん、別に観客を驚かせるためにやっていたわけではありませんよ。もちろん、驚かせたかったのは……ま、それは本人達から聞いてください」  
無性に古泉を殴りたくなった。いや、別に怒ってなんかいないさ。  
単に、めちゃくちゃ嬉しくて、それが気恥ずかしかっただけだ。  
 
…………………  
 
あっという間に、ライブの時間は過ぎていった。ハルヒも、朝倉も、長門と喜緑さんも、タンバリンを叩いて踊っている朝比奈さんも、みんな実に楽しそうに演奏していた。  
ああ、ハルヒは、こういうバンドをやってみたかったんだろう、きっと。  
だが。  
ふと考える。これが、ハルヒのループの鍵になっているとしたらどうなる?  
時間が戻って、俺たちは、SOS団活動二年目の春にスキップされるのか?  
そのとき、朝倉はどうなるのだろう?  
朝倉涼子は消えちまうのか?ここにいる朝倉は、長門がこの世界で再構成したのだから、普通に考えればそうだ。  
あるいは、この一年で、やり残したことをやって満足したハルヒが、世界を崩壊させちまうかもしれない。  
はたまた、このメンバーのままで、二年目に突入するのかも知れない。  
……そうであって欲しい。  
俺は、そうなることを、祈らずにはいられなかった。  
お前も、そう思わないか、ハルヒ?  
 
…………………  
 
『さて、そろそろ最後の曲よっ!!』  
観客からあがる、ええええという不満の声。  
『文句言わないっ!!また来年やるから、そのときに会いましょっ!!じゃあ、ラストソング!』  
ハルヒが曲名を叫ぶ。  
有名な曲だ。音楽を大して聴かない俺でさえ知っている。  
観客からも大合唱がわき起こった。  
 
そう、たぶん。  
俺なんかに、お前を救えるかは分からないけどな。  
結局のところ――  
ここがループする時間の中を彷徨う、俺たちの終着地点なのかもしれない。  
 
『おしまいっ!!……ふう、どう、驚いたでしょ?キョン!』  
歌い終わったハルヒが、満足そうに付け加えた。  
『愛してるからね、キョン。じゃ、おーばー♪』  
 
 
ともあれ、後日談はささやかなものだ。  
長門がコンピ研の活動として製作していた、「The Day Of Sagittarius4――Ender’s Game――」が、めでたく全国で一斉に公式発売の運びとなった。  
「The Day Of Sagittarius3」とは比べ物にならない、豪華なグラフィックスと大規模な宇宙戦闘を売りにした、宇宙戦略シュミレーションゲームである。  
発売元は、長門が裏で社長を務める「サイレンス」だ。サイレントユキの賞金を元に、株式で利益を上げて立ち上げたらしい。  
 
…………………  
 
で、今日が、その発売日。  
さっきから俺が駅に向かって急いでいるのは、こういう訳だ。  
「おっそい、キョン!!もうみんな来てるわっ!さあ、有希が作ったゲーム、みんなで買いに行くわよ!」  
ハルヒが俺の腕をつかんで、ズンズン歩き出す。  
やれやれ、そう、ハルヒの言うとおりだ。  
SOS団、みんなで。  
俺の隣で、長い髪を揺らして、朝倉涼子がにっこりと微笑んだ。  
 
 
 
おしまい  
 

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