『放課後誰もいなくなったら、一年五組の教室に来て』
下駄箱を開けてみたらこんな手紙が入っていました。 差出人は不明ですか…
筆跡を見る限り涼宮さんではないことは確かですが、朝比奈みくる、長門有希、そのどちらとも思えないですね。 直接話せばいいですし。 まさかキョ…
まぁ、敵対組織による罠の可能性も否定できませんが、それに乗ってみるというのもアリでしょう。
とりあえず放課後すぐに行くのも考え物なのでしばらく部室で時間を潰すことにしました。 実は神人が出現しているんですが、他の皆さんで片付けれるでしょう。 たまには僕もサボりたい時もありますよ。
キョン… 君とオセロで勝負をしてみたのですが、ものの見事に勝てませんでした。 やっぱり勘ぐりすぎですか?
ふと時計を見ると5時半。
「すみません、僕はそろそろこの辺で…」
「そうか、じゃあな古泉」
ちょうどいい頃合と思ったので断りを入れて教室に向かうことにしました。
五組の教室に着き、待っていたのは意外な人物でした。
「遅いよ」
確か長門有希と同じTFEI、朝倉涼子でしたね。
「よく分かってるじゃない。 じゃあ何で呼ばれたか理由は分かる?」
僕は肩をすくめました。 正直言って僕に何かあるのでしょうか?
「さぁ、何のことだか見当もつきませんね」
朝倉涼子が教卓から降り、こちらに近づいてきた。 何をする気でしょうか…
「人間はさあ、よく『やらなくて後悔するよりも、やって後悔したほうがいい』っていうよね。 これ、どう思う?」
「どうでしょう。 まさか僕を殺して閉鎖空間を潰させない気ですか?」
「それは無いわ。 あなたが死んでも代わりがいるもの」
微妙にどこかで聞いたことのある台詞ですね。
「では何の用があるんでしょうか?」
「あなたと付き合って、涼宮ハルヒの出方を見る」
不覚にも一瞬唖然としてしまいましたね。
「じゃあ既成事実を作らなきゃね」
その言葉と同時に周りの空気が変わったのを感じました。 まるで閉鎖空間のような雰囲気です。
しまった と思ったときには廊下や窓が灰色の壁に変わった後でした。 我ながら情けない。
「じゃ、ヤるわよ」
まずいですね。 このままでは涼宮さんにどんな顔をして会えばいいのやら…
「別の場所に行きませんか? これでは殺風景すぎますよ」
「うん、それ無理。 周囲の情報封鎖と空間閉鎖に力を使ってるのよ。 これで邪魔は入らないわ」
ダメですか… ってソコを触らないでください。
「ふふ、硬くなっちゃって…」
あぁ、そうやって握らないでください。
なぜかその後の事は記憶にありません。 いや、思い出したくもありません…
それから長門有希が助けに来たのは5時間後のことでした… もう文字通り精魂尽き果てました。
「もしかしてずっと見てました?」
「………」