「遅い、罰金」  
 学生達にとって貴重で短い春休みを潰した不思議探索日の朝。  
 その日のハルヒの第一声はさっきの通りだった。  
 ちなみに今は集合一時間前で、メンバーはハルヒしかいない。  
 つーか別に俺が最後じゃないんじゃねえか。何でいきなり罰金なんだ。  
「わたしより遅かったから。みんなを待つまでの飲み物ぐらいおごりなさいよ」  
 全く持って理不尽な団長命令により、俺はいつもの口癖を心で呟きながら自販機へと向かった。  
 
 
 人間、誰しも語りたくない過去はあるものだ。当然俺にだってある。  
 俺が心で決めている誰にもいえない過去ベストスリーは、当然この三つだ。  
 幼心に深い傷を負った従妹の姉ちゃんの事。  
 どこぞのバカと閉鎖空間に突入し帰って来た事。  
 
 そして俺がまだ妹にお兄ちゃんと呼ばれていた中学時代。  
 ハルヒ並に忘れられそうもない、アイツと過ごしたあの一週間の事である。  
 
 飲み物を買い終えハルヒの元へと戻る最中、俺はふとあの時の事を思い出していた。  
 
 
- * -  
 五月三日、祝日。  
 
 国木田と図書館で課題の共同作業を行う予定の為、いつもは行動範囲に入れていない公園のベンチで俺は一人奴の事を待っていた。  
 傍には愛用の自転車。そして手には最近変な味と評判のジュース。  
 興味を引かれ買ってみたのだがこれがまた期待はずれの味だった。  
 全くもって変な味じゃないのだ。こんなの──  
 
「こんなのただの薄いオレンジじゃない。あー、がっかり」  
 
 俺の気持ちをまさに代弁したかのような台詞を吐き、ジュースを睨む少女がそこにいた。  
 肩下まで伸ばしてるだろう髪をぶっきらぼうに頭の後ろでまとめ、薄緑のTシャツにデニムの短パンをはいた、どう見ても活動的な少女。  
 異性に対しまだそんなに興味を持ってない俺だったが、そんな俺が見ても可愛いと思える少女だった。  
 
「期待はずれもいいところ。何でこんなのでみんな騒いでるの?」  
 同意する。俺にもさっぱり理解できん。  
 同じジュースを飲み同じ感想を持った俺は、思わず少女の呟きに答えていた。  
 少女が俺の声に反応しこっちを見る。  
 まず俺の手元を見、そして俺の残念そうな表情を見てふと微笑むと  
「アンタも騙されたクチ?」  
 そう言って俺の隣に座ってきた。  
 
「みんなが変な味って言うからさ、期待してたのよ。でもがっかり」  
 俺も同じだね。もっとこう梅干とわさびととろろを混ぜたような、とにかくメチャクチャなものを期待してたんだがな。  
「そう、それ! 誰も飲まないよこんなの! ってのを期待してたのよ、わたしも!」  
 少女は笑い共感してくれる。その後二人で何を入れたらメチャクチャになるかで盛り上がっていると、ようやく国木田が向こうから手を振ってやってきた。  
 
「やあゴメン、遅れちゃって。……あれ、その子は誰?」  
 そうだな。変な奴、って所か?  
「アンタだって十分変よ。まぁいいわ、ジュースは失敗だったけどあんたと笑えたから。じゃあね」  
 ああ、それじゃ。そういって俺はその少女と別れ、国木田と共に図書館へと向かいだした。  
 国木田が何で美少女といたのかと聞いてくるので、俺は手にしていたジュースを渡してやる。  
 
「何、飲めって? ……うわ何これ、変な味。面白いの見つけてきたね」  
 そう国木田が笑って告げてきたので、俺は先ほどの変な少女の話はしないことにした。  
 
 
- * -  
 五月四日、祝日。  
 
 俺は今日も公園で国木田を待つ。国木田は時間に几帳面でいつも時間通りにやってくる。  
 約束の時間まであと三十分あり、つまりは俺は後三十分はここで待ちぼうけしなければならなくなった。  
 どうも性分なのか、俺は早めに集合場所へ来てしまうクセがあるようだ。  
 自転車を止め、適当に持ってきたジュブナイル小説を読みつつのんびりしていると  
 
「あ、変な奴」  
 両手に原色鮮やかなアイスバーを持ちながら、昨日の変な美少女が現われた。  
 
「よぅ。今日は変なアイスか。でもそれただのソーダチョコ味だろ」  
「そうね。ってやっぱりもう食べてたんだ」  
 まぁな。何だかんだ言って踊らされてるのさ、俺も。  
 少女が俺の隣に座る。後ろで束ねた髪が軽く揺れ、少女のちょっと怒った可愛らしさを更に引きだしていた。  
「別に踊らされるのはいいのよ。でもその結果が面白くないってのが問題なのよ」  
 何たって俺とコイツはこうも意見が合うのかね。  
 アイスやジュースだけの話じゃない。中一の俺が見て面白くないと思える世界はどうかと思うよ本当。  
 そういうと少女はわかってるじゃんと言いたげににやりと笑い、持ってたアイスを一つ俺に渡してきた。  
 食べてみると、冷たく凍ったアイスバーは、俺と少女との会話中にちょっとだけ溶け始めていた。  
 
「わたしが言うのもなんだけどさ、アンタも相当すれてるわね」  
 お互いに面白さには飢えてるようだな。アイスバーを舐めながら俺も溜息を吐く。  
 いっその事派手な事件とか起こらんものかと思うね。  
「ええ。銀行強盗とか、殺人事件とか。そういう非日常を味わいたいもんだわ」  
 いやいや、それだって日常的だと思うぞ。  
 ニュースを三日も見てればその手の事件は常にどっかで起こってるからな。  
「そっか……そうよね。こんだけ世界に人間がいたら、誰かしらは体験してるわよね」  
 面白い物を求める人間は、世界だけじゃなくて人類の歴史も相手なのさ。  
 例えば地球の秘境なんて物は過去の誰かによってほぼ踏破されてるわけだし。  
 
「結局は、つまらない普通に生きるしかないのかな。  
 他人と違う方向を向いても、それすら誰かが歩いた道でしかないなんて、本当につまんない」  
「そうでもないぜ。不思議はまだ、ある」  
 俺にしては珍しく力を込めて言ってしまった。その姿に少女がちょっと驚く。  
 
「ある? 何処に?」  
 それはだな──と言い掛けて、俺は言葉を止めた。  
 果たしてこんな幼稚な事を言っていいもんかと思ったからだ。  
 国木田やクラスメイトにそれを話せば  
「はは、お前ってばまだまだガキだね」だとか  
「もう中学だぜ? んなの卒業したよ」とか普通の意見が返ってくるほど幼稚な事だ。  
 
「ねぇ、どうしたの? 面白い事は何処にあるの?」  
 少女が少しずつ目を輝かせて言葉をせかす。  
 俺が言葉に詰まり、さてどうしようかと考えていたら丁度助け舟がやってきた。  
「やあ、待った? ……ってあれ、昨日の人じゃん。どういうことさ」  
 どうもこうもない。それじゃ行くぜ。  
 
「あ、ちょっと何よそれ! 独り占めするつもり!? そんなのずるいわよ!」  
「……って言ってるけど、何の話?」  
 今舐めてるアイスの話だ。だからお前は気にするな。  
 俺は国木田にそう告げると、ばつが悪そうにその場を後にした。  
 
 
- * -  
 五月五日、祝日。  
 
 はてさて、相も変わらず俺が自転車を押していつものベンチに向かおうとすると  
「やっと来たわね。待ってたわよ」  
 約束もしてないのに、あの変な少女がベンチを先約していた。  
 ってお前、俺が来なかったらどうするつもりだったんだ。  
 
「どーせゴールデンウィーク中の課題かなんかしてるんでしょ?  
 だったら今週いっぱいはここで会えるんじゃないかってね。  
 それより喉渇いた。何かおごってよ」  
 何で俺が。  
「わたしを待たせたから。それに昨日アイスあげたじゃない」  
 そう言って睨んでくるので、俺は仕方なく傍の自販機で「おいしい水」を買ってやった。  
 
「女の子におごるのに普通「おいしい水」なんて買う?」  
 普通はお断りだってお前が言ったんだろ。ありがたく飲めよ。  
「うっ……まぁいいわ。問題は昨日の続きの方だし」  
 ちくしょう、やっぱりその話を引きずるのか。  
 こんな事なら待ち合わせ場所を変えておくべきだったぜ。  
「言っちゃいなさいよ。アンタもそう思ってここへ来たんでしょ?」  
 まぁ、そうなんだけどな。俺は観念してベンチの背もたれを利用して大きく伸びをした。  
 
「……なぁ、お前が考える面白い奴や変な奴って、一体どんな奴だと思う?」  
「え? 何それ。わたしが聞いてるのよ」  
 いいから答えてくれ。  
「んー、そうねぇ……。例えば冒険家とかかなぁ。何ちゃら探検隊みたいなの? やっぱ基本は冒険でしょ」  
 まぁ普通はそう言うだろうな。俺は予想していた範囲の答えに更に頭を悩ませた。  
 このまま話を合わせるか、俺の本当の意見を言うべきかどうかをな。  
 
「何、違うって言うの? それじゃアンタの答えは何よ」  
 うむ、聞いて驚け。俺の考える面白い事、それは──。  
 
「宇宙人だ」  
「…………は?」  
 言ってみたら、やっぱり鳩が豆鉄砲を食らったような表情で少女が静止した。  
「俺の知る限り、宇宙人にあった人類はまだいない。もしいたとしてもほんの一握りだろう。  
 そんな奴らと出会えたら、メチャクチャ面白いんじゃないか、そう思っている」  
 宇宙人だけではない。未来人や異世界人、超能力者、精霊妖怪その他諸々、この際悪の秘密結社や正義の味方だってかまわない。  
 とにかく、そんなジュブナリア(子供向文学)に出てきそうな、なんとも不思議な超常連中と会えたならこんなつまらない世界もメチャクチャ楽しくなるのではないだろうか。  
 俺はそう真剣に考えていた。  
 
「………………バカ?」  
 あぁやっぱり言いやがった。チクショウ、もう二度とこんな事口にするもんか。  
「かもな。んじゃま、そー言う事だ」  
 自責と後悔を頭に回し、少しだけ視界を歪ませて。  
 俺はそれだけ言って立ち上がると、自転車の鍵を外して帰ろうとした。  
 
「でも」  
 何だ。俺は今日受けたこの精神的苦痛をどうやって克服しようか真剣に思案中なのだが。  
 そう言いながらちらりと少女を見ると、少女は何やら真剣に考え込んでいた。  
 
「でも……確かにそれは凄く面白いかも。うん」  
 ……何だって? 今度は俺が鳩が豆鉄砲を食らったような表情で静止した。  
 視界を歪ませてた目の潤みもあっさりと引っ込んだ。  
 
「宇宙人。そうよ、宇宙人や未来人や異世界人や超能力者なら確かに楽しそうかも!」  
 一言だけ言わせてくれ。お前、バカか?  
「バカって何よっ! アンタが先に言ったんでしょう!」  
 あぁ言ったさ。でも宇宙人に未来人に超能力者に、とにかくそんな変な奴らだぜ?  
「そうよ。そんな連中だからこそ、誰も体験したことない事を教えてくれるかもしれないじゃない!」  
 夏に咲く大輪の花の様な笑顔を振りまき、両腕をぶんぶん振って俺の考えに同意する。  
 何でもいいが俺の買ってやった水があたりにぶちまけられてるぞ。  
 
「凄いわアンタ。わたしには全然思いつかなかった! この発見はノーベル賞モノよっ!」  
 ノーベル賞はともかく、俺の意見に同意した時点でお前が変な奴なのは確定だな。  
 折角可愛いのにもったいないと国木田あたりなら言い出しそうだ。  
 
「じゃ、行きましょう」  
 行くって何処へだ。大体俺は  
「待ち合わせなんてしてないんでしょ。今帰ろうとしてたし」  
 しっかり見て、しかも気づいてやがったか。それで何処行くんだ。  
「まずはありきたりだけど図書館ね。相手を探すには、まず相手の事を知らなくっちゃ!」  
 そう言って俺の自転車に近づくと、迷わず後ろに飛び乗った。  
 
「さぁ、出発出発! 宇宙人も未来人も超能力者も待ってはくれないわよ!」  
 何を待つのか知らんが、とりあえず楽しそうだな、お前。  
 まぁ確かに、そんな笑顔を見せて楽しそうに待ってる奴がいると知れば、宇宙人や未来人が急いでやってくる準備を始めたり、超能力者が今この瞬間誕生してたりしててもおかしくなさそうだと俺は思うよ。  
 コイツを驚かせて、コイツに驚いて。その結果はこの笑顔か。  
 仕方なく俺は自転車に乗り、謎の変な少女を連れて一路図書館へと走り出した。  
 
 少女と同じく、おそらく俺も笑いながら。  
 
 
- * -  
 土曜日。  
 
 朝も早くから、俺はあの公園で少女に会っていた。  
「来たわね。それじゃ出発しましょ」  
 今日は何処へ行くんだ。俺の問いに少女はさぁと首を傾げてから  
「午前中はとにかく変なところを走りましょ。昼はこれ食べて、午後は図書館ね」  
 ちょっと大きめのバスケットを自転車のかごに載せ、少女は俺の自転車の後ろに飛び乗った。  
「さぁ、宇宙人探しにレッツゴー!」  
 その意見は認めるが、恥ずかしいから叫ぶのは止めろ。  
 
 
「宇宙人へのコンタクトってどうすればいいと思う?」  
 新緑が少し深まりだした川土手の一角で、俺は少女とバスケットの中身を食べていた。  
 サンドイッチなんだが、これが意外と美味しい。  
「色んな物に手を出したからね。何か面白い事がないかって」  
 料理の腕もその時身につけた物らしい。どんなパワフル少女なんだお前は。  
 
「いいでしょ別に。それよりコンタクト方法よ」  
 少なくともお前が今めくってる超常現象の本に書かれたような、とにかく怪しい儀式を何とか実践しても、全く無駄に終わると俺は思うね。  
「どうして?」  
 雑誌レベルで見つかる方法で宇宙人が本当に来るなら、今頃ニュースで特集組んでるよ。  
 だから埋蔵金特番も結果は見つからないで終わるし、テレビの超能力者も手品師の上級職でしかない訳だ。  
 
「言えてるわ。でもそれだと話が終わっちゃう」  
 そうだな……手紙でも出せれば早いんだろうけどな。宇宙人さまへって感じで。  
「サンタクロースとかじゃないんだから、どうやって届けるのよそんなの」  
 それもそうだ。ところでサンタクロースまで信じてるのかお前は。  
「全然、着ぐるみには興味ないわ」  
 着ぐるみとはまた的を得た表現だ。確かにサンタには中の人がいるからな。  
 
「宇宙から見えるぐらい大きなメッセージを書いたらどうかな」  
 でもそれだと見てくれるかどうかが宇宙人次第になるな。  
 だったらまだ星に願った方が早そうに思えないか。  
「星に願っただけで宇宙人が来てくるなら、今頃アルタイル星人とベガ星人は大使館を造ってるわよ」  
 それもそうだ。そういって俺たちは笑いあった。  
 
 しかしアレだな。  
 この春ウララな散歩日和にこうして中学生男女が並んで弁当食ってるというのに  
どうしてこんな事を話し合っているんだろうね。  
 
 結局この日は二人して、宇宙人や以下略とどう接触してどう遊ぶかを、  
川土手から二人で移動した先の図書館が閉館するまで終始話して過ごした。  
 
 
 そしてこれが、俺が見たその変な少女の最後でもあった。  
 
 
- * -  
 次の週。  
 俺がいつもの公園に行っても、そこにあの少女の姿はなかった。  
 その次の週。この日もまた同じ。土日とも彼女はいなかった。  
 俺は二週とも朝から夕暮れまで、一人公園で過ごすことになる。  
 そんな俺の事を何処で知ったのか、国木田は国木田で「あれ、あの変な子とは終わっちゃったの?」などと言い出す始末。  
 その上ぼろかった自転車が寿命を迎えてしまい、更に俺自身もたちの悪い風邪を引いたりしてしまった。  
 
 
 それらが重なり、俺は待ちぼうけした二週を最後にこの公園に行かなくなった。  
 
 
- * -  
 七月七日。  
 
 今日は織姫ベガと彦星アルタイルに願いをかければ叶うという、全国的に他力本願七夕日和だった。  
 あの変な少女と話した事を思い出し、俺は夕食を終えた八時頃、コンビニに行くという名目で家を出た。  
 俺は誰にも見られたくないという考えの下、学区外に近い場所まで二代目自転車を走らせ、目的の物を探し出した。  
 地域の自治体が子供対象に飾り付けを行った笹飾り。俺は誰にも見つからないようそこへ短冊を一つ吊るして帰った。  
 
『みんなと遭えるように』  
 ここで言うみんなが宇宙人なのか未来人なのか超能力者なのか。  
 はたまたアイツのことなのか。  
 そして誰と遭える事を願っているのか。  
 俺は特に考えず、それだけを短冊に記した。  
 
 考えないようにしていたが、吊るし終えるとやはり考えてしまう。  
 アイツは今、一体何をやってるんだろうか。  
 夢から醒め嘘が嘘だとわかり、俺に遭った事を恥じているだろうか。  
 はたまた、感じるままに感じる事だけを追い求めているだろうか。  
 空を見上げれば、晴れ渡る満点の夜空に天の川も二つの星も輝きをみせていた。  
 
 
 
 少し余談になる。  
 コンビニに行くと言って出た以上はコンビニに行っておく必要があるだろうと、  
俺は帰り際に見つけたコンビニに寄り菓子を物色していた。  
 そうしたら突然ジャケットを持った高校生らしき少年が店に突入してきた。  
 時計を見ながら冷房にあたり、売り物の新聞を物色しては突然天を仰ぎ、  
足を中心に全身がくがくと震え出したたかと思えばその新聞をぶち投げて  
店を飛び出していくという傍若無人ぶり。  
 
 ……何なんだありゃ? 新手のパフォーマーか何かヤバイ薬の副作用か?  
 どちらにせよ、人間ああにだけはなりたくないなと心の底から星に誓った瞬間だった。  
 
 
- * -  
 そして現在。  
 
 ……とまぁ、これが国木田が時々もらす「変な女」との全エピソードである。  
 アイツとの関係は「男女の付き合い」なんかじゃなかった事は判っていただけただろうか。  
 でもあの頃の俺にとって、アイツと会ってたあの時間が一番楽しかったのは認めよう。  
 何故アイツが来なくなったのかは俺は知らないし、他人の過去を知るすべも俺にはない。  
 そもそも俺もアイツもお互い名乗る事すらしてなかったのだ。  
 当然、今アイツがどうしてるかなんて俺は知らないし、あいつも俺が今何をしているかなんて知らない事だろう。  
 
 でももし、何かの拍子にアイツと出会う事があったなら、アイツに教えてやりたいね。  
 俺は今、宇宙人と未来人と超能力者と、そいつらに負けないぐらいの超元気娘と、俺たちが面白くないと感じていたこの世界で、  
今はおもいっきり楽しく遊んでるぜ、って事を。  
 
 もしお前があの時のままなら、俺はお前に手を差し出してもいいと思っている。  
 きっとハルヒも認めてくれるさ。だから──  
 
 ──お前も、俺たちと一緒に歩いて行こうぜ。  
 どうだい? 機会があったら、その胸の内の答えを教えてほしい。  
 
 
 
 さて、何でこんなこっ恥ずかしいエピソードを思い出したかというとだ。  
 俺は三年前アイツにしてやった事をこれからハルヒにもしてやろうと考えてるからだ。  
 左手に持つのは、奴へのおごりジュースの「おいしい水」。  
 これを見て奴が何て言い出すやらと、俺はあれこれ想像していた。  
 
 
「あなたが涼宮さんに妙なことを思いつかせなければ……」  
と、ちょっと前に何故かで聞いた誰かの言葉を何故か思い出しながら。  
 
 

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