あの悪夢の日が過ぎて、はや数週間になる。季節は未だ夏の面影を引きずっており、俺た  
ちは、焼け付くような日差しを浴びながらの登校を余儀なくさせられていた。  
 
俺が言った悪夢の日とは、8月31日だ。その日、俺はハルヒのやり残したことを叶える  
ため、半信半疑であったが、SOS団の連中を全員俺の部屋に呼んで、宿題をやる名目で集ま  
った。何故そんなことをしたのかというと、永遠の輪廻に支配された、夏休み最後の2週  
間から抜け出すためだった。俺の機転によって、果たしてそれは成功した。  
 
だがその日、神は俺の功績を認めることはなかった。  
ハルヒが、俺の所蔵するDVD群、パソコンに入っていた各種画像、動画を根こそぎ没収し、  
または消去するという暴挙で、夏休みの最終日は幕を閉じたのだ。  
 
 
俺は、あの日ハルヒたちが帰途についた後、パソコンを起ち上げ、なんとかデータ修復は  
できないかと、一縷の望みを掛けて作業を行った。だが、そんな望みは無惨に打ち崩され  
た。  
なにしろ、データ消去というハルヒの命令を、忠実に守って完全消去を行ったのは、宇宙  
人製アンドロイドの長門だったのだ。おまけにファイル修復ソフトを起動させると、『ダメ』  
と画面一杯に文字が表示されるという、ウイルスまがいのロジックを仕掛けられていた。  
 
その日の翌日であるところの、9月1日つまり始業式だが、俺は古泉の裏切りにより、す  
べての理由をつまびらかにされ、団長のハルヒ以下に糾弾された。特に俺がハルヒ似の主  
演女優が出ていたDVDを持っていたことが、それに拍車を掛けたようだ。  
 
だが別に俺は、ハルヒに対してそういう欲望を持っていたわけではないので、念のために…。  
では何故持っていたかというと、貴重なエロ分を捨て去ることができなかっただけだと言  
っておこう。  
あえて断言する。1日飯を食わなくても生きていけるが、1日エロがなければ、俺たち健  
全な高校生はもてあました欲望がほとばしり、翌朝大変なことになっているのだ。  
だから、俺の部屋にあるエロ群がすべて持ち去られてしまった日には、欲望を抑えかねた  
ほどだ。  
 
 
だが、その日以来、俺はハルヒから変態の称号を拝領し、SOS団女性メンバーからの絶対零度  
のような視線から堪え忍ばねばならなかった。しかもハルヒと朝比奈さんは、1週間口を  
きいてくれなかった。長門については相変わらずで、裏切り者の古泉は、なんの悪びれたふうもない。  
 
ようやくほとぼりが冷めたころ、俺は、ハルヒにDVDの行方について尋ねてみた。  
「なあ、ハルヒ。例のDVDのことだがな…」  
「なに?あれなら返さないわよ」  
「は?お前、まだ持っていたのか…?」  
すると、ハルヒは耳まで真っ赤にしてこう言った。  
「か、勘違いしないでよね。あれは研究のために持ってるんだからね」  
 
どことなく、墓穴を掘っているように思うのだが…、  
「おまえ、あれを見ているのか?研究って何のためだよ」  
「あ、あんたが、どんな犯罪を犯しそうか、そのための研究よ!別にやましいことなんて  
ないんだからね」  
語るに落ちるとはこのことだ。しかも、言っていることがめちゃくちゃだ。  
その後、ハルヒは要領の得ない答えをまくし立てていた。  
 
「わかったわかった。じゃあ、話を変えよう。ところで、古泉も男なわけだが、あいつの  
部屋は、調べなくて良いのか?」  
「古泉君?大丈夫でしょ。彼、あんたと違って、変態じゃないし、それに彼こう言ってたわ。  
『僕は裸の男性のDVDを持っていますから、裸の女性のDVDなんて必要ないんです』だって、彼  
ボディビルでもやってるのかしらね」  
 
古泉、お前はやっぱり…。  
 
 
終わり  
 

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