「なあ、長門よ」  
「……何?」  
「今日、その……お前の家に泊まりに行っても良いか?」  
「……かまわない」  
彼の顔が、少しばかり綻んだ。  
「じゃ、じゃあ、今から荷物取ってくるから! 少し待っててくれ」  
そう言い残し、全速力で家の中へ駆け込んでいく。  
私が数えて、1分47秒後、彼は私の前へと戻ってきた。  
「それじゃ、行くぞ」  
向かう先は私の家なのに、嬉しそうな彼が先導を切った。  
彼とつきあい始めて3ヶ月。これは、その記念デートの帰りのこと。  
何となくだけど、彼が考えていることが判る気がする。  
……そろそろそんな時期なのかもしれない、と覚悟を少し決めた。  
 
 
「長門、やっぱ手伝おうか?」  
「いい」  
背後から、彼の視線を感じる。  
私は気にせずに、包丁を動かす。  
「いや、いきなり泊まりに来て、やっぱ悪いよ。俺が作る」  
「ダメ」  
「いいから」  
彼が包丁に手を伸ばそうとするのを、回避する。  
こういうときに料理を作るのは、女の方が一般的だと読んだ本に書いてあった。  
それに、手料理は大抵、男の人は喜ぶらしい。  
私は、彼に喜んでもらいたい。  
だから、彼に作らせるわけにはいかない。  
かれこれ3分ほど攻防を続けると、彼はようやく諦めてくれた。  
「大人しく待ってて」  
「わかったよ。ホント悪いな」  
彼がすまなさそうな表情を見せた。  
別に構わない。私がしたいと思っただけ。  
……一つだけ願望を言うとすれば、おいしいと褒めてもらえると嬉しい。  
 
「……長門って料理、出来たんだな」  
私の料理を一口食べ、つぶやいた。  
抗議の意味を込め、じっと睨んでみる。  
瞬間、彼があわてた表情を見せる。  
「あ、いや別にそんな意味じゃなかったんだ。なんというか、お前いつもレトルトだったから、  
新鮮だな〜と思っただけであってだな、決して料理できないんじゃないかって心配していたわけでは……」  
……彼はそのように私を見ていたらしい。少し悲しくなった。  
それが僅かに表情に出てしまったのだろう。彼がさらにあわてる。  
「な、長門、うん。俺が悪かった。だから、そんな顔しないでくれ。頼むから」  
必死に謝る彼。だけど、やはり悲しい。  
――エラー発生。思考パターンに異常を発見。  
それに彼は黙々と食べるだけで、おいしいと言ってくれない。  
口に合わなかったのだろうか? 作り方がまずかったのだろうか?  
料理を作るのは初めてだったから……  
「……おいしく、ない?」  
我慢できずに、尋ねてみる。  
「そんなことないぞ。旨い」  
彼が答える。だけど、彼は優しいから嘘をついているかもしれない。  
見つめてみる。こうすれば、彼は嘘をつけない。  
けれど、彼の瞳は揺らぐことがなかった。  
「いや、ホントに旨い。旨すぎて言葉にならん」  
彼が笑って頭を撫でてくれた。 嘘ではない。よかった。  
 
「……お風呂沸いた」  
「そうか。俺は後で良いから、先入れ」  
テレビを見ている彼がそう言ったので、私はお風呂に入ることにした。  
いつも通り頭を洗い、体を洗い、顔を洗った。  
お風呂につかってしばらくのんびりしたが、何かが思考の端に引っかかる。  
――思考にノイズ発生。エラーにより、異常動作。  
何となく、もう一度丁寧に体を洗ってしまった。  
無駄な行動だと思う。だけど、引っかかりはとれた気がした。  
何かのエラーかもしれない、今度チェックしておこう。  
お風呂を出て、下着を取る。  
一回、いつも使っているシンプルな白の下着を取り出したが……  
――思考にノイズ発生。エラーにより、異常動作。  
それを戻して、水色の縞模様の下着を着けることにする。  
これは以前涼宮ハルヒが選んでくれた物だが、あまり使ったことがない。  
何故、使おうと思ったかは不明。やはりチェックが必要かもしれない。  
 
「お風呂あがった」  
「っ! お、おお。そうか。じゃあ俺も入らせて貰うぞ」  
彼があわてて何かを鞄に隠した。  
そのまま逃げるように、お風呂へ。  
何を隠したのだろう。気になる。  
だけど、勝手に鞄を見るのは悪いと思うので、自制する。  
彼がお風呂に入っている間、本を読もうと思い、ページを開く。  
――エラー発生。思考にノイズを確認。  
なぜだか、落ち着かない。  
ページは同じところで止まったまま。文字を読んでも、頭に入っていかない。  
そんなことを数十分ほど繰り返した後、物音が聞こえた。  
彼がお風呂から上がったらしい。  
――顔面の毛細血管の拡張を確認。表面温度が0.1度上昇。  
心臓の鼓動が早くなったのが判る。私という個体は今、緊張状態にある。  
何故だかは不明。  
彼の足音が近づく。  
 
「長門、風呂あがったぞ」  
「……そう」  
「あのさ……長門」  
「……何?」  
――顔面の表面温度の上昇を確認。心拍数上昇中。  
「その、えーっとな、俺たちがつきあい始めて、3ヶ月経ったわけでな……」  
「……」  
「えっと、ようするにだ。そろそろそんな時期かな〜と俺的には思うわけでだな」  
彼の顔が真っ赤になっていくのが見える。  
私も顔が熱くなっていっているから、おそらく彼と同じようなのだろう。  
「つまり、ぶっちゃけた話、その……しないか?」  
「っ!」  
予想はしていたけど、現実となるとやはり少々戸惑いを覚える。  
黙ったままの私を見て、彼があわてたように付け加える。  
「いや、お前が嫌なら良いんだ。俺の希望ってだけだし、無理にとは言わないから」  
だけど、少しばかり声に残念そうな響きが混ざっていた。  
私は、どうしたいのだろう?  
思考をまとめる。だが、結果はすでに決まっていた。  
「……別に」  
「?」  
「別に、構わない」  
彼の目が見開かれる。驚いているようだ。  
「長門? お前、どういうことだか判って……」  
「判っている」  
「いいのか? こういうことは気を遣わなくても良いんだぞ?」  
「気など遣ってない。これは私の希望でもある」  
嘘はついていない。これは本当の気持ち。  
彼にじっと見つめられる。心拍数の上昇を確認。  
「……じゃあ布団、敷くか」  
赤い顔のままの彼に、私は首肯で応えた。  
 
 
「ん……」  
狭い和室、一組の布団、その上で彼と二人。  
私のことを抱きしめ、何度も繰り返しキスをする。  
皮膚感覚に伝わる、心地よい温もりと圧迫感。  
キスは好き。とても温かい気持ちになる。  
ただ唇を触れあわせているだけなのに、不思議。  
「む……」  
下唇を彼のに挟まれ、そっと吸われる。  
心地よいと感じる。  
その時、何かが唇をなぞるのを感じた。  
刺激に驚き、目を開いてしまう。  
彼曰く、キスをするときは目をつぶるのがマナーなのに。不覚だった。  
しかし、目を開けたことで判ったことが一つ。  
今、私の唇をなぞったのは、彼の舌のようだ。  
ディープキス。知識としては知っていたが、体験するのは初めて。  
――心拍数の上昇を確認。体温が0.3度上昇。  
そして彼の舌が唇を通って、私の口腔へと進入した。  
「ふむっ!?」  
この瞬間の、複雑な感覚を私は言語で表せない。  
熱く、柔らかい彼の舌が、私の口腔を動き回っていく刺激。  
歯茎をなぞり、上顎をくすぐり、そして舌先が触れあったときの電流が走ったような気持ちよさ。  
いつの間にか、私も夢中になって舌を絡め合っていた。  
「ん……ふ、んっ……」  
――思考能力の若干の低下を確認。  
少し息苦しくなったところで、彼が唇を離した。  
私たちの間に紡がれる、銀色の橋。  
それが切れる前に、今度は私から彼に口付けた。  
「ふぅ……んっ……」  
舌を絡め、互いに吸い、奥へ奥へと歩み寄る。  
その時、彼の手が私の胸をまさぐった。  
「んっ」  
予想外の刺激に、吐息が漏れた。  
舌を絡める行為に夢中になっていて、彼の動きに気がつかなかった。不覚。  
 
「長門……」  
呂律だけで彼が呼び、私は返事を返す代わりに舌を吸う。  
彼の手の動きは、撫で回すようなものから揉みしだくようなものへと変わっている。  
服の上からでも、彼の手にすっぽり収まってしまう私の胸。  
小さいことを今まで気にしたことはなかったが、何故か申し訳ないような気分になる。  
「……ごめんなさい」  
思わず、唇を離して謝ってしまった。  
「ん? 何がだ? 何か俺、気になることしちまったか?」  
不思議そうな顔をする彼。  
「……貧相だから」  
「?」  
「胸、あまり大きくない……」  
そう伝えると、彼は少し吹き出した。  
ちょっとムッとしたので、目で抗議。  
「はは、いや、悪い。俺そんなに気にしてなかったからさ、謝られたのが少しおかしくて」  
「……でも」  
「ホントだって。服の上からでも柔らかいし、大きさはどうでもいいんだ」  
そう言いながら、服の裾から手を入れる。  
ブラの下をかいくぐって、彼の手が直に胸に触れた。  
「ぁっ……」  
――エラー発生。異常動作を確認。  
勝手に声が漏れてしまった。  
一瞬閉じてしまった目を、恐る恐る開けて彼の表情を見る。  
彼は嬉しそうな顔をしていた。  
「なんだか俺の手にしっくりくる。ちょうど良いサイズだと思うぞ」  
それに……と彼が笑いながら付け加える。  
「感度が良いのが、また何とも言えないな」  
――心拍数が急激に上昇。顔面毛細血管の急激な拡張を確認。  
知っている。これは羞恥心というもの。  
感じているのを彼に悟られて、恥ずかしいと思っている。  
視線を合わせることが出来なくて、つい逸らしてしまう。  
彼の小さな笑い声が、耳元をくすぐった。  
 
「服、脱がせてもいいか?」  
彼が問う。首肯を返す。  
壊れ物を扱うように優しく、彼が服を引き上げていく。  
脱がしやすいように、私は手を挙げた。  
上下とも、下着一枚だけとなった時点で、彼は一旦手を止めた。  
彼が息を飲むのを感じた。  
「じゃあ、取るぞ……」  
そう言われると、私まで緊張してしまう。  
そして、彼はブラを外した。  
じっと見つめられているのを感じる。  
舐めるような視線に、触れられてもいないのに体が熱くなってしまう。  
目を開けていることも辛くなり、自然と瞼が降りる。  
本来、私は羞恥心とは無縁に近い存在であったはずなのに。  
でも、今はこんなにも、彼に見られることを恥ずかしいと思っている。  
「……ふ」  
息が漏れる。  
私の反応に満足したのか、彼が顔をそーっと胸に近づけてくる。  
彼の荒くなった息が、こそばゆい。  
ぴちゃ……  
「んっ……!」  
舌が触れた。ただそれだけで、私の体は制御を離れ、勝手に跳ね上がる。  
ぴくん、とまるで小動物のように。  
一方彼は、ミルクを舐める猫のように、一心不乱に私の胸を舐め続けている。  
右手はもう片方の胸に置き、乳首を摘んだり、転がしたりしている。  
「……っ……ふ、ぅ……っ……」  
私は声を漏らさないよう、我慢することで精一杯だった。  
何故?  
何故、声を漏らさないようにしているのだろう?  
自分自身、不思議に思う。  
彼が私の胸を口に含み、吸い上げた。  
「あっ!」  
瞬間、こみ上げる羞恥心。  
そう。  
私自身の疑問の答えは、すぐそこに転がっている。  
私はただ、声を聞かれるのが、たまらなく恥ずかしかった。  
口を固く結ぶ。  
唇を軽く噛みしめ、刺激をどうにかやり過ごそうとする。  
それでも鼻が軽く、くぅくぅ鳴ってしまうのだけは誤魔化しようがなかった。  
 
彼の右手がすぅっと私の体をなぞる。  
下腹部の辺りを撫でさすり、さらに下へと――  
その手が目指しているところを想い、そして初めて気がついた。  
……濡れ、てる?  
知識としては知っていたが、実際に体感するのは初めてだったので少々驚く。  
そこへ向かっていく彼の手に、羞恥心と期待が高まる。  
だが、彼の手はそこへ伸びず、太ももの外側へと逸れてしまった。  
ほっと安心した気持ちと、残念に思う気持ちが相反する。  
しかも一度意識してしまうと、その部分の感覚を否応なしに意識してしまう。  
結果、疼きに見舞われもどかしく感じるのと、そう感じている自分への羞恥の狭間で私は悶えるしかない。  
早く触れてほしい気持ちと、恥ずかしくてもうやめてほしい気持ち。  
どちらが私の本心なのだろうか?  
答えが出るよりも早く、彼の手が私のそこへと触れた。  
――エラー発生。一時的に身体の制御不能。脳内メモリに小規模な被害を確認。  
「きゃぅっ!」  
焦らされた部分への、一撃。  
体が硬直する。無意識にシーツをギュッと掴んでいた。  
彼は堰を切ったように、下着の中へ手を伸ばし、直にそこへと触れた。  
指でかき回され、声を堪えようとしても、所々で漏れ出てしまう。  
「長門っ」  
彼が私の唇を求めてくる。  
舌が絡められ、私は彼の舌に翻弄されるしかできない。  
「ふむっ……んぅ〜、んっ……」  
粘着質な水音が、上からも下からも聞こえ、耳を塞ぎたくなるほどの淫靡さ。  
しかし、それに溺れそうになっているのは、私であり、彼であった。  
たっぷり吸いあった後、唇を離して彼は私に許しを請う。  
「長門……もう、いいか?」  
頷く。  
その瞬間、最後の一枚は彼の手によって外された。  
 
彼がカチャカチャとベルトを鳴らしている。  
焦っているのか、なかなか外すことが出来ない。  
そういえば今、気がついたが、全裸の私に対して、彼は一枚も脱いでいなかった。  
少しばかり、狡い気がする。  
ようやく外すことに成功し、ズボンとパンツを一気に下げる。  
露出する彼の男性器。  
ムッとするような、まだ若い雄の匂いが鼻につく。  
しかし彼の匂いだと思えば、脳が溶けてしまいそうなほど良い匂いに感じた。  
彼が投げっぱなしの荷物から、何かを取り出す。  
「いや、避妊はしないとマズイだろ」  
取り出したのは、紛れもない避妊具だった。  
それを用意していたと言うことは、やはり最初からするつもりだったらしい。  
「……えっち」  
「うるさい。男なんてそんなもんだ」  
袋から取り出し、つけようとしているが、慣れてないためかうまく装着できない。  
一瞬、生理周期を変えて安全日にしようかとも考えたが、やめた。  
彼は私がこういう力を使うことを望んではいないだろうし、せっかく私のことを考えて  
避妊具をつけようとしてくれているんだから、好意に甘えておくべきだろう。  
ようやく装着することが出来た彼は、私を押し倒し、照準を合わせる。  
「じゃあ、行くぞ」  
ぐっと力が込められ、彼のものが入ってくる感覚が伝わる。  
徐々に、彼と一つに合わさっていく。  
身が引き裂かれるような痛みを感じたが、痛覚を麻痺させる気にはなれなかった。  
この痛みさえも、彼が私に与えてくれる大切なもののように思えたからだった。  
そして、完全に一つになった。  
張り詰めていた緊張が解ける。  
細く、だが長い息を吐いた。  
彼が私を強く抱きしめる。私もそれに応え、背中に手を回す。  
わしゃわしゃと髪を撫でられ、くすぐったい。  
 
目が熱い。頬を伝う一筋の水。  
それを見つけた彼が、心配そうな声で聞く。  
「やっぱり痛いのか? 大丈夫か?」  
「……違う」  
痛くて涙を流したわけではない。  
ただ、幸福感がじんわりと染みてきて、私の中の雪を溶かしただけ。  
それが涙となって溢れ出した。  
そして、その奥から出てきた一つの言葉。  
今、私を形作るものの中で、一番大切な言葉。  
「あなたに伝えておきたい。齟齬が発生するかもしれない、でも聞いて」  
「なんだ?」  
「……だいすき」  
頬の力を抜いて、緩ませる。  
私はちゃんと、笑えただろうか?  
ぎこちないかもしれない、それでも私は笑いたかった。  
伝えたい。この笑顔と気持ちを、あなたに。  
「俺もだ、大好きだ。長門」  
彼も笑ってくれた。  
軽く口づけをかわし、彼が言う。  
「……動くぞ」  
「いい」  
 
彼のが膣壁を擦るたびに、ピリピリとした刺激が走る。  
奥にコツンと当たれば、それこそ息が詰まってしまう。  
圧迫感と、幸福感に胸が詰まる。  
「くふぅ……」  
思わず漏れてしまった、苦しげな吐息。  
胸が詰まって苦しい。幸せすぎて苦しくなる。  
――エラー発生。思考能力の大幅な低下を確認。  
彼の胸にかじりつくようにして、ただ私は貫かれ続ける。  
吐息が、声が、漏れてしまうのを抑えられない。  
ぴくんと体は勝手に跳ね、もはや制御もままならない。  
――エラー発生。異常動作を確認。  
いつの間にか、私の腰も動き、彼を迎え入れるかのように。  
――エラー発……もういい。  
うるさい脳内のソフトを破棄する。  
これはエラーなんかではない。  
彼や、SOS団、その他にも私に関わったたくさんの人々。  
その人たちから分け与えられてきた、エラーなんかじゃない、私の感情と呼べるもの。  
私の大切な、構成要素。  
情報統合思念体がエラーだと言っても構わない。  
私にとっては、私と同じぐらい、大切なものだから。  
思考を破棄する。  
自分から能動的に、彼を求める。  
単調に、機械的に、快楽を求め、私は動く。  
体が言うことを聞かなくなったって、構わない。  
それこそが、感情の成せるもの。  
それを得たことこそが、私の自立進化。  
「な……長門……俺、そろそろ……」  
荒い息を吐き続け、彼が言う。  
「ぁっ……んぅ……あっ、んくっ……」  
甘い声を漏らすことしかできない私は、手を握ることで返事の代わりとした。  
 
彼の動きが勢いを増す。  
私の動きも、彼のリズムに合わさっていく。  
言語も、思考も超えて、彼と通じ合っている。  
私は彼を思い、彼もまた私を思っている。  
取るに足らないことかもしれない、でもそれを嬉しいと私は感じる。  
そう感じることの出来る、心を得ることが出来た。  
それが私に舞い降りた、小さな奇跡。  
「長門っ!!」  
彼が一際大きな声を上げる。  
一番奥へと、強くたたきつけられる。  
瞬間、浮遊感にも似た感覚へと。  
白い白い世界に、光が満ちていく。  
それに手を伸ばしたとき、私は意識さえも手放した。  
 
 
 
目を開けると、彼の笑顔がそこにあった。  
意識がなくなっていたのを恥ずかしく感じ、目を逸らす。  
「この恥ずかしがりやめ、こっち向けよ」  
彼に頬を両手で挟まれ、無理矢理彼の顔の方を向かされる。  
彼の瞳に映る、私の頬は真っ赤に染まっていた。  
恥ずかしいのを承知で、じっと睨んで目で抗議。  
効果はなかったらしい。……キスされた。  
「あ〜! もう、可愛いやつめ!」  
笑った彼は、もう一度私の唇を奪う。  
……夜はまだ、長い。  
 
 
(終わり)  
 

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