俺は何気ない振りをしてポケットに手を入れ、中でリモコンのスイッチを入れる。
「……っ」
お茶を煎れていたメイド姿の朝比奈さんが、一瞬動きを止め、恥ずかしそうに俺を見て笑った。心持ち、体がまえのめりで、手がスカートのあたりを押さえている。
「っつ……はぁ。」
スイッチを切ると、朝比奈さんは甘い吐息を漏らした。
『リモコン・タイム』
部室に行くと、来ていたのは、完璧なメイド姿の朝比奈さんだけだった。まだ長門が来ていないとは、珍しいこともあるもんだ。こんにちは、朝比奈さん。
「うふ、こんにちは、キョンくん。あの……これ貰ってくれますか?」
へ、なんですか、これ?何かのスイッチですか?
「はい。いれてみて。」
俺は言われるままにスイッチを入れてみた。カチリ。
「キョンくんがスイッチをいれると、これが動くの。」
って朝比奈さん、スカートをたくしあげてどうするんです!可愛らしいパンツにはさんでいるのはなんですか!
「リモコンバ×ブです。…ご主人様、みくるをいじめて下さい。」
とうとう、ねじが外れたみたいだ。自分の乳からミルクを出して、俺に飲ませようとした辺りから、怪しいと思ってた。
勿論、外れたのは、俺のねじだが。
というわけで、さっきからスイッチを入れたり切ったりしては、朝比奈さんの可愛らしい反応を楽しんでいる。幸い古泉は休みだが、ハルヒと長門にバレやしないかとヒヤヒヤしている。が、そのスリルが、楽しい。
いや、長門は顔が僅かに赤いな。ひょっとして、気が付いているのか?だが、長門は黙って本を読むばかりだ。
「はぁっ…あ、あのトイレに」
声を出すのが我慢できなくなった朝比奈さんが、堪らずにトイレに行った。
と、ハルヒが赤い顔をして俺のところに来て、声をひそめる。
「キョン…これあげるわ。」
朝比奈さんに貰ったのと同じリモコンが差し出された。
「使い方…わかるよね。今から入れるから、スイッチを入れたり切ったりお願い…こっそりね。」
恥ずかしそうだが、嬉しそうにハルヒは自分に装着した。一応長門に背を向けているが、いや、バレバレだろ。
朝比奈さんが戻ってきた。ハルヒは俺に視線を送り、朝比奈さんは期待に頬を染める。
ひょっとして、一つの電波で二台が同時に…。
俺は震える手でスイッチを入れた。
「あんっ」
三人の声が同時に部室に響いた。
え、三人?
「……装着済み。」
頬を染めた長門が、スカートをめくり上げた。
おしまい