通算10回目となる市内不思議探索ツアーがいつもどおり収穫ゼロに終わり、  
不満げに大股で去っていくハルヒの後ろ姿をみながら、俺は盛大にため息をついた。  
 見つかるわけがない不思議を求めてただひたすら歩くだけのこのツアー、  
10回目ともなればため息がでないわけがない。  
 俺も帰るか、と歩きだそうとした瞬間、いきなりうしろからわき腹を  
 
 つん  
 
 ぬあっ?!  
 
 みっともない声を上げ、骨髄反射で腰をエビ反らせながら振り返ると、  
そこには人差し指を突き立てた形のまま固定している宇宙人製アンドロイドがいた。  
 
「おい長門っ!」  
 わき腹はやめてくれ!弱いんだから!  
「……そう」  
 ……ひょっとして狙ったのか?  
「……たまたま」  
 そうか……まあいい、それでどうした、何の用だ?  
「……ユニーク」  
 
 とつぶやいたと思ったら視界から長門が消えていた。と思ったら今度は逆のわき腹を  
 
 つん  
 
 ぬあっ?!  
 
「おい長門っ!」  
 今は狙っただろ!瞬間移動まで使いやがって!  
「……ユニーク」  
 こらっ……!やめっ……  
 つん  
 
 ちょっ……!  
「ユニーク」  
 つん  
 
 あひゃっ……  
「ユニーク」  
 つん  
 
 ひぁっ……  
「ユニーク」  
 つん  
 そんなっ…(つん)うれしっ……(つん)……そうなっ…(つん)顔してっ…  
…(つん)…このっ……(つん)…ちょっ……(つん)いつまでっ…(つん)…  
やるっ(つん)…のっ(つん)……あひっ……(つん)…ねっ…(つん)ちょっ…  
(つん)…おまっ…(つん)…こらっ…(つん)…ふぁっ……(つん)…ながとっ(つん)…  
ねっ…(つん)……やめっ…(つん)なっ(つん)…さいっ…(つん)…だからっ…(つん)…ねっ(つん)…  
 
 
 そのまま五分ほど、長門はユニークユニークとつぶやきながら宇宙的能力を無駄に駆使して、  
ひたすら俺のわき腹を遊びに真剣になった子供のような表情でつつき続けた。  
 
 可愛かったぜまじで。  
 

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