皆さんこんばんは。  
 最近すっかりキャラが別人と評判の俺です。  
 
 視界には、首から下に毛が存在しない完全フラットな裸体が2つ。  
 俺の腕と胴にまたがって、つるつるぬるぬると前後に律動を繰り返しつつ、  
 浴室特有のナチュラルエコーに彩られ、楽しそうにキャッキャウフフと…  
 あ、そうですか。 たった5行で外道ランクがもう上がりますか。 そうですよね。  
 
 …俺もそう思う。  
 
 どうしてこの状況になったかを、サブタイコールを挟みつつ振り返ってみよう。  
 
 
 
― 2nd イグニッション ―  
『 次女 本家妹さん(10才)& 三女 朝倉涼子さん(9才)の場合 』  
 
 
 
 麗しのMyエンジェルこと、現在五女の朝比奈さん(7才)  
 SOS団実質スポンサーこと、現在長女の鶴屋さん(11才)  
 この仲良し美少女2人組の甘酸っぱい初接吻を奪った外道兄こと、俺(16才)は、  
 とめどなく押し寄せる罪悪感に押しつぶされそうになりながら、  
 湯船で膝を抱えていたところ、なにやら脱衣所からキャイキャイと黄色い声が。  
 
 おい、俺がまだ入って  
「わぁい♪ お風っ呂〜」  
「うふふ、おじゃましまぁ〜す」  
 …ですよね〜。  
 
 前も隠さず即乱入の妹's。  
 待て、すぐ出るから、ちょっと待て。  
 つーか妹朝倉! お前改竄されてないんだろ?! ちゃんと本家妹を止めろ!  
「う〜ん。でも妹さん、あなたと久しぶりにお風呂に入れるって喜んでたし」  
「シャンプーシャンプー♪」  
 ああっコラそんなにいっぱい使っちゃ、すすぐの大変だぞ。  
「あ、そうだね〜♪ てへ」  
「…ね?」  
 くう、ここで逃げ出したらイベント失敗でループするんだろうなあ…。  
「わかってるじゃない。それと、私の事はちゃんと涼子って呼んで欲しいな〜」  
 …正直判りたくもないし、ナチュラルにこなせるようにもなりたくないんだが。  
 
 浴室に妹朝倉もとい妹涼子の鼻歌と、本家妹の髪を洗う音が響く。  
 なあ涼子よ。お前もしかして今日の為だけに長門に復活させられたのか?  
「ううん、涼宮さんの力みたい。だから私自身の本当の力も抑えられてないし」  
 
 な、なんだと!? まさかお前!俺の妹に…!  
 
「ああ、安心していいわよ。以前みたいなやり方は得策じゃないって事、  
 私も充分わかったしね。 ほらほら耳の後ろ、洗い残してるわよ〜?」  
「んにゃぁ? どこ〜見えない〜」   
「あ、目を開けちゃダメよ。…ほら、ここのところ」  
「きゃはは、なんかくすぐった〜い♪」  
「は〜い、じっとしてて〜?」  
 
 …お前結構この状況楽しんでないか?  
 
「ええ、かなり楽しませてもらってるわよ? あなたが横目でちらちら私の身体を  
 見てたりするのもなんだか新鮮だしね」  
 ぐ…。いや、これはそういう邪な背徳的意味では無くだな。  
 なんかお前の身体と本家妹の身体が、ほぼ同じに見えるんだが…気のせいか?  
「私自身長門さんとほぼ同期に作られた存在で、それ以前の身体的データが  
 存在しないから、妹さんのデータをコピーしていじらせてもらっちゃった」  
 なるほどな。  
「私には『創造者』と『同系列の個体』は存在しても、本当の意味での家族は存在  
 しなかったから、こんな賑やかで穏やかな日常は凄く新鮮♪」  
 長門がいるじゃないか。アイツはお前にとって…。  
「そうね、長門さんは私にとって特別な存在…。でも彼女と私の関係は、家族とは  
 ちょっと違うのよ。これはたぶん人間であるあなたには言葉で理解できないと思う  
 けどね」  
 そんなもんか…。  
 
「キョンくんと涼子ちゃん、難しい話してる〜?」  
「うふふ、ちょっと難しいかもね〜。はい、目を閉じて〜」  
「ぅぷー」  
 肩に届くくらいまでの髪の上を、シャワーによって泡が滑り落ちてゆく。  
 
 しかしこの2人、どっちが年上の設定なんだかわからないな。  
 …ああ『そういう設定』なのか。  
 
「さて、頭の後は身体を洗いましょうか」  
「はーい」  
 じゃあ俺はのぼせないうちに出るとするひゃ にゃ、にゃんら…!?  
 からだにちからがはいらにゃぃろ…! りょうひょにゃにをひた!?  
「じゃあ今日は、特別に皆でいっぺんに身体を洗う方法をおしえちゃおうかな〜?」  
「わー♪」  
 
 それベタすぎりゅろ!  
 
「まずキョン兄さんには横になってもらいま〜す」  
「はい、ごろ〜ん♪」  
 狭っ! 床冷っ! あと意外に腕力あるな本家!  
「あ〜、ちょっと狭いわね。じゃあキョン兄さんの上に乗っちゃいましょう〜」  
「わ〜い♪」  
 ぎゃわー! 今までのしっとり会話をブチ壊すはだかんぼイベント!  
 朝倉! お前本当にこんなんでいいのか!?  
「安心して、この筋弛緩状態は陰茎にも適応されてるから」  
 なんだ? どういうことだ!?  
「勃起も射精もしないって事♪」  
 ちょ、それ凄い地獄じゃないか! くそ!最初に気付くべきだった!  
 お前『妖艶妹』キャラか!  
 
 ぷにゅむ  
 
 ぉふぅ、なにか柔らかい感触が胸の上に…。  
 ああなるほど、本家妹の尻の感触か… て本家! 正面に向きなおるな!  
 見えてる! まるみえ! sujiが! 甘栗が! 超至近距離で!  
「では次にボディソープを身体にいっぱいつけましょうね〜」  
「ん−と、…こう?」  
「そうそう、でキョン兄さんの身体に自分の体をくっつけて擦っちゃいましょう♪  
 これで2人いっぺんに身体を洗えるでしょう?」  
「ほんとだ〜!」  
 俺の身体の上をぬるんぬるんと縦横無尽にぺたんこな胸、恥丘、尻肉が行き来…。  
 やべ、気持ちいい! なのに沸騰血液吸収帯に血液が回らない! 頭がクラクラする!  
 まて! これは朝倉の罠だ! まちなさい本家妹! ち、乳首がくすぐったい!  
 
 ぷにょむ  
 
 ほふぅ、こんどは左手に直接何かやーらかいくて、ひだひだのついたものが…  
 って、朝倉!?  
「 涼 子 。私だけのけ者っていうのは酷いんじゃないかな? 兄 さ ん ♪」  
 微妙にねばっこい卑猥な音を立てて、恥肉を俺の手のひらに擦りつけつつ、  
 耳もとでささやきかける朝倉。 耳、耳はほんと弱いから!  
「はぁ…はぁ…キョンく…ん、涼子ちゃん… なんかコレ…気持ちいいね…」  
 うわ、息が荒いですよ本家妹さん!?  
 そんなトロンとした目で見上げられても困る! 凄く!  
「これは…ね? 大好きな男の人…だけにして良い洗い方なの…。 んっ…  
 日々の感謝の…気持ちが、ハァ…ハァ…相手に一番伝わるのよ…?」  
 嘘教えるな涼子! 俺おいてけぼりでヒートアップかよ!  
「…感謝…の…?」  
 いや、ものごっつい嘘だぞ本家!? 信じちゃ…  
 
 
「…キョン…くん… いつもわ…がまま聞いてくれて…  …ありがと… 」  
 
 
 油断した。  
 超油断した。  
 頬擦りしながらしおらしい事を言う妹に。  
 いやいや、頭が朦朧としてたんだ。仕方ないさ。  
 幼い身体をわななかせ、生まれて初めての絶頂に達した妹の顔先に、  
 俺の唇が『たまたま』あっただけで。  
 
 そうさ! 俺は妖艶妹、涼子の魔術によって体の自由を奪われてたんだ!  
 これは事故だ!  
 
「最後のほうは私もえっちに集中しちゃってて、身体の自由は戻ってたんだけどね」   
 
 
 
 
 
 
 また俺は…  妹の唇を…  しかも今度は本当にマジものの妹の唇を…  
 
 
 
 
 
 
            舌まで入れて…  
 
 
 
 
 
 
 マスターアップ直前のプログラマーのような足取りで  
 ズリズリと階段をはい上がる。  
 呼吸するたびに罪悪感が肺に溜まっていく。  
 そして吐き出されるのはドス黒い後悔の念。  
 
 
 
 失神した妹の顔を直視できなかった俺は、後始末を朝倉にまかせた。  
 
 
 
 …すまん、本家妹よ…。  
 元の世界に戻ったら、何でも言うこと聞いてやるからな…。  
 今は、ダメな兄貴を許してくれ…。  
 後生だ…。  
 
 
 
 
 
 
 
 
「…ずいぶん長風呂だったじゃない、バカキョン」  
 
 
 
 
 
 
 
 
 …すまん、本家妹よ…。  
 
 俺はもう、生きて帰れないかもしれない…。  
 
 

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