世の中には「健康のためなら死んでもいい」と言ってのけるほど自分の健康に  
気を使う連中がいるということを俺は知っているが、平均的にも平均的、  
もしここに古代中国の思想家が立っていたら俺の中庸体現度に驚いてひれ伏して  
しまうかもしれないほどの平均的男子高校生である俺としては、やはりまだ  
自分の健康というものに気を使うまでもなく体は健康で肌はシャワーの水滴をはじき、  
抜け毛も口臭もなくBMI数値も平均的で、性欲もそれなりにあり、  
自らの健康などということについては普段まったく考えてもいない。  
 
しかし我らがSOS団の団長であらせられる涼宮ハルヒは「世界を変える力」  
というその特殊能力の特殊さを考えの外においたとしても、やはり俺のような  
一般的男子高校生とは思考回路が計算尺とIBM社謹製スーパーコンピュータ  
並に違うらしく、自らの健康を守るためならば、他人にこのような醜態をさらしても、  
存外平気なようだった。  
 
醜態というのは正に今のハルヒの状況であり、同時に俺の状況でもある。  
少し長くなるかもしれないが、俺のためにも説明させてくれ。  
何故俺が、てらてらと濡れて光るハルヒのまたぐらを懸命に舐めているという  
至極不可解きわまりない状況に陥ってしまったのかを――――。  
 
 
話は一週間ほど前にさかのぼる。  
 
高校時代の放課後、という青春の代名詞のようなこの時間帯を、野球部の怒声  
であるとか、吹奏楽部の演奏音であるとか、帰宅部の笑い声であるとかこれも  
青春の代名詞のようなごく普通の高校における生活音を耳から耳へと聞き流しながら、  
今日も今日とて俺は足しげくSOS団の部室へと通っていたのだった。  
 
俺は清純可憐なる朝比奈さんの淹れてくれた美味芳醇な紅茶をすすりながら、  
分厚い本のページをめくり続ける長門の1分につき1こましか動かないアニメーション動作を横目で眺めつつ、  
眼前に繰り広げられる古泉とのSOS団竜王戦の次の手を考えていた。  
要はまあ、いつもの部室の光景を思い浮かべてもらえばいい。  
それは俺が望んでいるそのものだと言っていいが、いつも通りの風景で、いつも通りの活動だった。  
 
 
違っていたのは唯一、ハルヒの様子だけだった。  
107手目で古泉が投了を宣言した辺りで、ハルヒはやってきた。  
いつもは太陽神が移動性高気圧を伴ってこの狭い部室に到来したかのような賑やかさで  
扉を蹴破ってくるハルヒだったが、今日はなんと驚いたことに、ドアノブを回して  
扉を開けるという一連の動作を、特に大きな音も立てず大声も出さず、  
まるで普通の人がそうするような動作でハルヒは部室に入ってきたのだった。  
 
「……おなかいたい……」  
ハルヒは暗い顔で力なさげにそう呟くと、ふらふらした足取りで部室の一番奥、  
最新式のデスクトップパソコンが設置された団長席へ歩いていった。  
椅子に座るとハルヒは、何も言わずに机に倒れこむようにして、突っ伏した。  
 
ぎょっとしたのは俺と古泉と朝比奈さんだ。  
あまりにも様子が違いすぎる。  
というか「こいつも人並みに、体調が悪いなんて事があるんだな」と、  
俺はそのとき素直に驚いたのだ。  
古泉を見ると、どうやら俺と同じような感慨を抱いているようだった。  
俺が見ていることに気づくと、  
「やあ、珍しいこともあるもんですね」  
いつもの古泉スマイルで言うのだった。  
こいつ、心配してるわけではないな、さては。  
ハルヒを「神様」なんていう割にはどうも敬っている感じがしないのは、  
こいつの性格によるものなのか、なんなのか……。  
 
「おい、ハルヒ――」  
俺が呼びかけるよりも早く、黒と白の様式美、メイド姿の朝比奈さんが団長席に  
駆け寄って、覗き込むようにしてハルヒにあれこれ尋ねていた。  
「す、涼宮さん、大丈夫ですか?」  
「うー……なんか急に痛み出してね……」  
「あ、あの……」  
朝比奈さんはちらりと俺と古泉を見てから、ハルヒの耳に手を当ててそっと耳打ちをした。  
「ああ、違う違う、生理じゃないわよ、ついこないだ来たもの」  
だが、ハルヒは朝比奈さんのそんな心遣いを台無しにするべく、必要以上の大声で  
そんなことを言うのだった。少しは恥じらいというものがないのか。  
聞いた朝比奈さんの方が再び俺と古泉を見て、顔を赤くしている。  
 
「あー、だめだわ。おさまんない。病院いってくる」  
ハルヒはそう言い鞄を取ると、おぼつかない足取りで部室を出て行った。  
ぱたん、と、とてもハルヒが出て行ったとは思えないほど小さな音を立てた扉の方を見ていると  
「……付き添っていかれては?」  
古泉がそう聞いてきたが、黙殺した。  
もちろん、いつもの天然高気圧とはまったく様子の違ったハルヒのことが、心配じゃ無いというわけではないが、  
なぁに、明日になれば何事もなかったかのように元気になって戻ってくるだろう。  
「なるほど、強い信頼……ですね」  
「人の心を読むなっ」  
「ハハ、僕にそんな能力はありませんよ。観察と推測です」  
などと朗らかに言う。  
お前が観察すべきなのは俺じゃなくてハルヒの方だろうが。  
 
 
その次の日。  
ハルヒはやはりいつも通りのハルヒに戻っており、それでもいつもと違うのは、  
団長席でばくばくとヨーグルトを食べているということだった。  
「いやぁ、なんかね、胃に菌がいたらしいのよね!菌が!ピロリとかいうやつ!」  
それでヨーグルトなのか。おなかに優しく。  
「ええ、なんでもピロリ菌は乳酸菌に弱いらしくてね。こうして援軍を大量に  
 送り込んでやってるってわけよ」  
 
大量にはいいが、プレーンヨーグルト500ml一気食いは食後のデザートとしては  
多すぎるんじゃないか、ハルヒ。  
「ダメよこういうのは、一気呵成で行かないと。勝手に私の胃に住み着いてるなんて許せないわ。宿賃を取りたいところよ」  
そう言うとハルヒは、手に持っていたヨーグルトの容器を仰向けにして、  
底をたたき、一気飲みにした。  
「うん、ごちそうさま」  
容器をゴミ箱に投げ捨てると、次は鞄からヤクルト6本パックを取り出して飲み始めた。  
ハルヒの体内乳酸菌は次々と援軍が送られて大喜びだろう。  
どうしてもピロリ菌を駆逐したいらしい。  
 
よりにもよってハルヒの胃に住み着いてしまうとは、菌ながら同情を禁じえない……。  
下手なシャレみたいになってしまったが、とにかくハルヒは乳酸菌によって自らの胃に住む  
細菌を駆逐することに決めたようだった。  
それから一週間程度、ハルヒは健康雑誌や健康番組から情報を集め、  
部室でヨーグルトやヤクルト、世に溢れるさまざまな乳酸菌入り製品を  
一気飲みにするのが日課になっているようだった。  
 
 
そしてようやく、今日の話になる。  
 
俺が部室に入ると、ハルヒが団長席で健康雑誌を読んでいるところだった。  
「なんだ……お前ひとりか」  
「なんだとは何よ、失礼ね、それより見てよこれ」  
ハルヒは手にしていた『ゆほびか』を俺に見せつけ、  
「あのピロリ菌ってば、胃がんの原因にもなるらしいわよ。人の体に住まわせて  
もらってる分際で、大迷惑よね」  
それを言うならハルヒ、この世界に住まわせてもらっているお前には、  
勝手にその世界を改変させる力があるんだが。ていうか『ゆほびか』って。  
女子高校生の読むものじゃないな。おばあちゃんかお前。  
 
「それにしても意外だな、お前がそんなに健康を気にするなんて」  
「世界を大いに盛り上げるには、私は倒れてなんかいられないのよ。団長は常に健康でいなければ、部下が心配しちゃうじゃない」  
「そうだな……確かに」  
俺が入院して寝ている間、こいつは俺のことを心配してずっと見舞ってくれてたらしい。  
意外と心配性なのだろう。  
だからこそ、自分のせいで他人に心配を掛けたくないのかもしれない。  
「キョン」  
「ん、あ。ああ。どうした」  
「私が病院いったとき、心配した?」  
「一週間くらい前の話か?ああ、心配した」  
いつもあまりにも元気で、誰も頼んでもいないのに、自然と皆勤賞を受賞してしまうような奴が  
病院にいってしまったら、それは誰だって心配するだろう。  
おれが「心配した」ということがハルヒには意外だったのか、何も言わずに雑誌に目を戻した。  
その横顔の頬が少し赤らんで見えたのは、きっと俺の見間違いだろう。  
 
そこでおれは教室に財布を置き忘れてきたことに気づき、取りに帰った。  
そして再び部室に戻ってきた時、事態は急展開したのだった。  
 
ええとなんだ、話が長くなってすまない、俺もこんな状況で混乱しているんだ。  
なにしろ女の股に顔をつっこんで、局部をなめつづけるというのは俺の人生の中でも初めての状況なんでね。  
クンニグリス。  
その言葉と行為の内容は知っていたが、まさか俺がこんな場所――部室――でその行為に及ぶとは、  
神も仏も涼宮ハルヒだって予想外だったに違いない。  
何しろ俺が舌を動かすごとに、大きくまたは小さく体をくねらせ足り震えさせたりしているのは、  
ハルヒ本人なのだから。  
「んっ……くぅ……」  
下から上に大きく舐め上げると、切ない声が聞こえた。  
椅子に座っているハルヒを見上げると、ぎゅっと目をつむり、  
ハルヒは何かをこらえているようでもあった。  
「……気持ち、いいのか?」  
口をつけたままで喋ると、ハルヒは背筋を震わせて  
「バッ……バカっ…そのままで喋らないでよ……!」  
潤んだ瞳で見下ろしてきた。気持ちいいらしい。  
 
 
話を10分前に戻そう。  
教室から財布を取って帰ってきた俺は、部室の前ではたと立ち止まった。  
なにか女の泣くような声が聞こえた。  
俺が教室に行ってここに戻ってくるまで、5分ほどしか掛かっていないはずだ。  
つまり中にいるのはハルヒだけ、という可能性が高い。  
今の声――?  
 
「ハルヒ――!?」  
勢いよく扉を開けると、ハルヒはびくっとして、口から人差し指を抜いた。  
「?なに、やってたん――」  
団長席に近付いたところで、異様なにおいが鼻を突いた。  
なんというかこう、外国のチーズというか、発酵系の匂いだったが、不思議と悪い感じはしなかった。  
ハルヒはうつむいて、両手をスカートの上にのせている。  
 
「ん?ネット見てたのか。なになに『乳酸菌』――」  
PCのディスプレイに映っていたのは、今ウェブ2.0とか言って話題の、  
ウェブ上の百科事典のページ、乳酸菌の項だった。  
 
――乳酸菌(にゅうさんきん)は、発酵によって乳酸を産出する細菌の総称で、  
ヨーグルト、乳酸菌飲料、漬け物などの発酵食品の製造に利用される。――  
 
「はは、なんだ、本当に乳酸菌にハマってんだな。次は漬物に挑戦か?」  
しかし俺を凍りつかせたのは、次の数行だった。  
 
――また、一部の乳酸菌はヒトの腸などの消化管(腸内細菌)や女性の膣内に常在しているが――  
 
まさか、と思いハルヒの足元を見た。  
ハルヒはうつむいたままで、肩を震えさせている。  
足首に、しわくちゃになったボーダー柄がひっかかったままになっていた。  
女物のパンツが、脱ぐと異様に縮こまるということは、妹がいなければ知らなかっただろう。  
 
「ハルヒ」  
俺の呼びかけに、ハルヒはびくっと体を震わせた。  
「おまえ、まさか……」  
 
ここまでいったところで、ハルヒが――キレた。  
 
「あああああああああもうっ!なんでそんなに早く帰ってくるのよバカキョン!  
 もう少しゆっくりと帰ってくるのかと思ってたじゃない!」  
「――俺がいない間にお前が何をしてたか、あててやろうか」  
謎を解決に導く要素は揃っている。  
 
「部室前で聞こえた、女の泣くような声」  
「部室に入ると、ハルヒは口から指を抜いた」  
「ハルヒはここ一週間、乳酸菌を摂取することに余念がなかった」  
「乳酸菌は女性の膣内にも存在しているという」  
「足首に引っかかっているのは、下着だろう」  
 
頭が痛くなってきた。  
常日頃から、変だ変だとは思っていたが、まさか変は変でも「変」態だとは。  
「お前、俺がいない間に――」  
「……っ!!いや、だめっ……」  
「この部室で――」  
「その先を言ったら……!!」  
「オn」  
ハルヒの両手が俺の口にあてがわれた。  
独特の香りが鼻腔をついた。  
「…………体に、いいと思って……」  
こいつはつまり、健康になりたかったのだ。  
そのやり方が常識を地球半周分くらい外れていたとしても、我らが涼宮ハルヒは、  
常識なんて物を気にしないから涼宮ハルヒなのだ。  
……こいつは馬鹿なのだろうか。  
 
ハルヒは自分の指を俺の口に押し込んできた。  
ぬる。  
とした触感が口内に生まれた。  
同時に、なんとも言えない不可解な味が広がる。  
ハルヒは、部室で自慰にふけっていたのだ。  
しかも自分でその自分の指を舐めて――  
 
自分の膣内にいる乳酸菌を自分で摂取する。正に変態の考えだ。  
考えがそこに至ったのが悪かったのか、それとも口に広がるハルヒ本人の味が  
俺の理性を失わせたのか、とにかく、思考と理性が消し飛んでいった。  
「直接、乳酸菌、舐めさせろ」  
ハルヒはこっちを見て、真っ赤になった。  
 
「ほら……足開けよ」  
「いゃっ……!」  
椅子に座ったままのハルヒの太ももを掴み、左右に広げると、そこはしっかりと濡れていた。  
「観音」や「菩薩」と呼ばれることもある女性のその部位は、俺にとっては「観音」  
というより「アンノウン」で、実際に目にした今でもそれをうまく言い表すことが出来ない。  
色は血色のいい色で、なんと言うかこう、拝むように合わせた両手を少し開いて  
親指側から覗くよう、というか、毛の生えたアワビ、というか……。  
椅子の前に膝をつき、ピンク色のそれをよく観察すると、ハルヒの呼吸に合わせて、それも震えているのがわかった。  
「ピロリ菌をやっつけたかったのよ。やっぱり自分の菌が一番信頼できるじゃない!」  
やはりハルヒの思考回路は、常人には理解し難い。  
俺の思考回路が今、ハルヒの局部に釘付けになっていることを差し引いても、  
やはり理解できない。  
 
「……ちょっと、あんまり、見ないでよ……!は、はずかしいんだから…!」  
といって顔を赤らめるハルヒは、いつもの様子からは想像がつかないほどにしおらしく見え、それは非常に可愛らしかった。  
俺は顔を濡れたハルヒに押し付け、息を吸い込んだ。  
「やだっ……におい、かがないで……ひゃぁうっ」  
舌を伸ばして舐めてみると、柔らかい陰毛の感触の下に、これ以上柔らかい肉はないだろうという確信のもてるほどの柔らかさを持った肉の感触があった。  
 
「んっ……くぅ……」  
下から上に大きく舐め上げると、切ない声が聞こえた。  
椅子に座っているハルヒを見上げると、ぎゅっと目をつむり、  
ハルヒは何かをこらえているようでもあった。  
「……気持ち、いいのか?」  
口をつけたままで喋ると、ハルヒは背筋を震わせて  
「バッ……バカっ…そのままで喋らないでよ……!」  
潤んだ瞳で見下ろしてきた。気持ちいいらしい。  
舌を左右に動かすと、その動きにあわせてハルヒの体が震えているのがわかった。  
「ひゃん……やあぁ……っんん……」  
切なげに漏れるハルヒの声を聞いていると、興奮してくる。  
舌の勢いも増そうというものだ。  
一度、唇を閉じる。  
「…………?」  
ハルヒが下をむいて、俺の様子をうかがっている。  
ハルヒの目はほとんど涙目といっていいくらい潤んで、黒い瞳がより大きく見える。  
唇を閉じたままで、ハルヒの唇――下の唇だが――に当てる。  
鼻から息を吸い込み、一度に息を吐く。  
「ぶるるるるるるっ」  
と唇が高速で動き、ハルヒの局部を責めたてた。  
「ぶるるるるるるっぶるるるるるるっ」  
何度かやっていると、これはハルヒの好みらしく、つぎつぎと液が溢れ出し、じっとりして参りました。  
「ちょっ……!キョン……!それ……やめてっ……!」  
ハルヒは両手で俺の頭を押さえ込んできた。  
もちろんやめない。  
続ける。  
「やだっ……キョンっ……イクっ……!!」  
ハルヒは俺の頭を揺らすが、引き離そうとはしていない。  
合意であるのだ。  
ハルヒの涙ながらの訴えを聞き、俺は唇を突起物にあてがって、また一度に息を吐いた。  
唇が、クリトリスを高速でたたいた。  
「………………………………………………………っ!」  
濃い液が出てきて、俺の口にまとわりついた。  
「っやぁぁああああああああああああああああああああんんっ!」  
ハルヒは背中を大きくのけぞらして、ひょっとしたらコンピ研に聞こえたかもしれないほどの大声を上げた。  
 
「大声出しすぎだ、ハルヒ」  
立ち上がって、机に突っ伏したハルヒに声をかけるが、返事はない。  
肩で息をしている。  
「……そんなに、気持ちよかったのか?」  
というと勢いよく起き上がり  
「気持ちよくなんかないわよっ!」  
と耳まで真っ赤な顔で、言ってきた。  
「いいからパンツぐらいはけよ」  
まだ足首に引っかかったままになっている。  
「……ダメ」  
「なにがだ。ほら、早くしないと誰か来るぞ」  
「腰が抜けて、立てない」  
…………よかったんじゃないか。  
「ああもうほらっ、早くしろ――」  
腕を引っ張り立ち上がらせると、ハルヒはフラフラとしながらも、腰まで穿きあげた  
「うぅ……ベトベト。気持ち悪い……」  
「よかったくせに」  
「ううう、うるさいわねっ!馬鹿キョンっ!」  
ハルヒが腕を振り上げたところに、  
 
「おやおや、随分仲がよろしいんですね」  
古泉がいつもの笑顔で入ってきた。  
古泉はすんすんと鼻を鳴らし  
「なんだか、変なにおいがしますね。なんというか……チーズのような」  
と言った。  
 
ハルヒは背中をびくっとさせ、無言で団長席に座った。  
ここは俺が弁解せねば。  
「なんでもない、なんでもないんだよ古泉!」  
俺は出来るだけの爽やかさな笑顔を作った。白い前歯が輝いているに違いない。  
古泉はその笑顔を見てくっくっと笑い、  
「ああ、すいませんがちょっと僕は用事を思い出しましたので帰らせていただきます」  
というと俺に手招きをし、耳打ちした。  
「つぎはあなたがこう言うんです、『タンパク質も体にいいんだぞ』って」  
「はぁ?一体何のことだそりゃ」  
「いえいえ、あなたのためを思ってですよ」  
それだけ言うと古泉は出て行った。  
 
「なんだぁ?人の顔見て笑いやがって」  
「……キョン、ちょっとその顔してみてちょうだい」  
俺はハルヒの言うとおりに、爽やか三組な笑顔を見せ付けてやった。  
すると、ハルヒは見る見るうちに顔を赤く染めた。  
「な、なんだよ――」  
ハルヒは赤い顔のまま、鞄の中から手鏡を取り出して俺に突きつけた。  
「鏡?鏡が何か――」  
鏡には、予想通り爽やかな俺の笑顔が映っている。  
「前歯!」ハルヒは頭を抱えながら言った。  
「前歯?――あ」  
挟まっていた。前歯に。毛が。……ハルヒの。  
 
「古泉に……気づかれたかな?」  
「知らないわよっ馬鹿キョン!」  
ハルヒはぷいとそっぽを向く。  
「あと古泉が『タンパク質も体にいい』って言えとか言ってたが――どういうことだ?」  
ハルヒは赤い顔をしている。  
「……わかったわよ!早くズボンを脱ぎなさい!!」  
「ええ!?何のことだいきなりっ!」  
「今度は私の番!キョンだけが私の乳酸菌で健康になるなんて、許さないんだから!」  
「はぁ?私の番って――?」  
と言っている間にもハルヒは、俺のズボンからベルトを抜き取り、トランクスを下げた。  
「おおうっ!?」  
そこには、ハルヒのにおいにすっかり興奮しきっている我が分身の姿があった。  
雄雄しい。  
「今度は、わたしがあんたからタンパク質をもらうの!」  
ハルヒ、まさかそれって――?  
考える間もなく、俺の分身はハルヒの口中に納められ、あっけなく俺は高たんぱくな  
体にいい(?)ものをハルヒに摂取させることとなってしまった。  
ハルヒへの愛撫は俺に対しての前義と同様の意味を持っていたのだ。  
その間――わずか三秒。  
ほとんど口に含まれたその瞬間、すぐに出てしまった。  
ハルヒは大分苦労しながらも、俺の精液を飲み下し  
「これで……もう健康間違いなしね」  
と気丈に言い放った。  
 
健康とはかくも苦労して手に入れなければならないものだったのか、と、俺は考えを新たにした。  
「それにしても……」  
ハルヒのニヤニヤ笑いが俺を見ている。  
「待てよハルヒ、何となく言いたいことは分かるが言わないでくれないか」  
しかしハルヒは俺の願いなど気きれてくれるはずもなく言い放つ。  
「早かったわねえ……早漏なのね。キョン」  
…………………………返す言葉もない。  
 
俺がうなだれているとハルヒはゲラゲラと笑い、  
「ほら、早く洗いにいこ、手と口」  
と言って、俺の手を掴み、元気に走り出すのだった。  
すっかり健康的な笑顔で――。  
 
 
 
 
終わり  
 

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