夜。俺はハルヒと抱き合っていた。  
 後ろからハルヒを貫いたまま、首を傾けて柔らかな唇をむさぼる。  
 先ほどから絡ませ続けている舌は、もはやどちらが自分の物なのかわからないほど溶け合っていた。  
「んっ……」  
 たまに混じる鼻にかかった声は、どこまでも淫らだ。  
 閉じていた目を開けると、どこかぼんやりとした視界の中に、鼻で荒い呼吸を繰り返すハルヒの顔。  
 肩にかかる髪の毛は汗で張り付き、頬にも幾筋もの黒い線を走らせている。たまに開く目は、俺と同じように濡れていた。  
 普段は決して見せないような、どこか呆としたハルヒの表情を見ていると、何もかもが裏返っていくのを感じる。  
 内が外に、神経が皮膚を貫き、本音が建前に取って代わり、本能が理性を駆逐する。思考すらままならなかった。  
 この態勢だってそうだ。俺がハルヒを組み敷き、ハルヒはどこか媚びる様な目でそんな俺を見る。普段とはまるで逆の構図。  
 倒錯だ。しかしそれ自体が快感でもあった。  
「んぅっ…はぁっ、はっ、んっ」  
 俺が腰を動かすと、ようやくハルヒが唇を離した。代わりに浅く喘ぐような声を聞かせてくれる。  
 腰の動きもどこまでも浅く、緩やかに。終わらせてしまうのはもったいないからな。  
「キョンっ……キョンっ……」  
 しかし、俺の動きに合わせてうわ言のように俺の名前を呼ぶハルヒを見ていると、唯でさえ緩んでいる頭のねじが取り返しのつかないことになりそうだ。というか既になっていた。  
「ハルヒ……かわいいぞ」  
 俺は普通なら死んでも言わないような事を呟きながら、ハルヒの形のいい耳に舌を這わせる。  
「ちょっ、キョン! 耳はダメだって……ひぅっ」  
 こいつは意外と耳が弱い。ハルヒの背筋が落ち着かなく揺さぶられる。膣の中も僅かに律動し、俺を刺激してきた。  
「んっ、ちょっと、はぁ……くぅっ」  
 いよいよ理性がはじけたのか、腰が無意識に動き出した。今のままでは足りない。喉が粘ついている。  
 俺は一度ハルヒから身体を離し、挿入していた自身を引き抜くと、ハルヒの身体を仰向けにして再び貫く。  
「ぁん! あんたいきなり、ぃんっ」  
 今度は強く激しく、動き、弄り、捻りまわす。唇は反射的に、動きに合わせて踊る乳房にむしゃぶりついていた。  
 尖った先端を巧妙に避けながら、なるべく焦らす様に周辺を嘗め回す。右手も同様に乳房を弄ぶ。  
「ちょ、ちょっとキョン、もうちょっとゆっくり……」  
 俺は遊ばせていた左手を、何か言おうとするハルヒの口の中にねじ込んだ。生温い舌を指に絡ませる。  
 荒い呼吸の音と、腰がぶつかり合う音だけが狭い部屋に響く。  
 やがて限界が訪れた。唯でさえ極限まで薄くなっていた理性が、いよいよ崩壊の一途を辿りだす。  
 俺は左手を引き抜くと、代わりに自分の舌をハルヒの口に侵入させる。  
 舌を動かす間も、くぐもった声で俺の名前を呼ぼうとするハルヒがたまらなく愛しい。  
「好きだ、ハルヒ」  
 俺が正直にそう言って空いた手で淫核をぎこちなく擦ってやると、ハルヒは俺の首に手を回してきた。  
 一層激しく律動する膣内。互いの背筋が弓のように張り詰め、視界が白く染まる。  
「ハルヒ、もう……」  
「いいわよ、キョン、そのままで……」  
 出して、と甘く囁く声に脳をやられ、俺はハルヒの中に散々貯め込んだものを注ぎ込んだ。  
 
 
「……夢、か」  
 そうだよな。どうして俺があんな暴走特急娘とあんな事やこんな事をしなくてはならないんだ。  
 大体俺は別にあんな奴の事どうも思っていないというか迷惑にしか思ってないもんな。  
 夢の中で好きだの何だの言ってたのもなんというか青少年の健全な妄想がレール外れの暴走を起こしただけの性質の悪い事故……  
「……何よキョン、もう朝なの?」  
 首を括るためのロープを探さなくてはならないな、と思った。  
 

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