「ようやく終わったわね!これでSOS団の人気もうなぎのぼりね!」
その日俺たちは、ようやく「涼宮ハルヒの憂鬱」最終話の収録を終え、
劇中でも使われた例の喫茶店で打ち上げをしていた。
「たいへんだったけど意外と楽しかったですよねぇ。ふぇ〜。」
朝比奈さんがやっと肩の荷がおりた、と言わんばかりに気の抜けた声で言った。
ちなみにこのお方はどうしても俺に実年齢を教えてくれないらしい。
絶対年下だよな…。
「ええ。まさか僕もここまで人気が出るとは思いませんでした。一重に涼宮さんのおかげです。」
古泉がハルヒを調子付かせるような事を言う。
基本的に役柄と本当のキャラはほぼ同じだが、こいつは劇中でも現実でも本性が知れないやつだ
鶴屋さんは「古泉君ってホモっぽいよねっ。キョンくん、気をつけたほうがいいよ!」ととんでもない事を言っていたが、
孤島の時の俺を見る目は尋常じゃなかったように思える。
あんなに見つめるなんて台本には書いてなかったぞ。
「……」
長門は無言だ。しかしこいつの無口は劇中だけかと思ってたけど普段もそうらしい。
まさか部屋まであの通りなのではないかと思えてくる。
「ハレ晴レユカイ」のレコーディングの時の長門の歌いっぷりには驚愕したが。
別の日に撮ったハルヒダンス(巷じゃそう呼ばれてるらしい)の時も、
長門があんなに機敏に動くとは思わなかった。
「さあ、じゃんじゃん食べなさい!ホントはビールかけとかやりたかったけど一応未成年だしね、あたしたち」
ちなみにここにいない鶴屋さんや朝倉や国木田、谷口、新川さん、朝比奈さん(大)
などなどの面々は都合がつかず、別の日に改めて一緒に打ち上げる予定なのだ。
朝倉と鶴屋さんは劇中で絡まない分と仲がよく、新川さんと朝比奈さん(大)も
大人の付き合いをしてるみたいだ。森さんは女子大生らしい。
「いやーほんと、詰合の売上も上々だし、順風満帆ね!」
ハルヒが嬉々として語っている。しかしこれで終わりと思うと少し寂しい気もするな。
「キョン。あんたなに世迷言いってるわけ?」
俺は一瞬頭の上に?を浮かべ、次のハルヒの発言にまた忙しい日々を送る事になるのである。
「二期よ、二期!言ってなかったっけ?あ、あとみくるちゃんと有希のキャラソンも発売予定だから。
レコーディングはもう済ませたわ。古泉君、台本もってきた?」
「もちろん。どうぞ、みなさん」
古泉は何処からか台本を取り出し、俺たちに配った。どうやら知らなかったのは俺だけらしい。
しかもキャラソンだって?そんなものまでつくってたのか。
「二期は有希、あなたが主役の話をベースにやるわよ。あ、安心して。みくるちゃんの話もちゃんとあるから。
あと出演者にもオファーをかけてあるわ。阪中ちゃんとか」
新キャラも加えてますます加速するハルヒ大監督の勢いを止めるものはないらしい。
とりあえず今は―――――。
長門のキャラクターソングを聴いてみたいね。